第35話 最悪の三人 その2
「なんだと言うのだ、あれが……
たかが片割れの力か」
あれから、数分間
まるで我々のことなど、意に返さず
ただああやって、口喧嘩をし続けている
何をしに来たんだ、奴等は!?
「だーから、やれば良いんだろ!
出来ぬと不平を言うんなら
解決策の一つでも出してみろって!」
「そうならねぇことが第一なんだろうが!
そうさせねぇ為に、テメェに託したものを
テメェは……」
<<バギィ>>
「フッぐ……」
「ぐキィ……」
殴り、あった……
奴等口喧嘩どころか
殴りあいの喧嘩を始めたぞ!
何度でも言う
何をやっているんだ奴等は!?
「があ!いってぇ……」
「こうでもしなきゃ
テメェは分かりゃ、しねぇだろうが!」
「こなクソォ!!」
くどいようだが
何をやっているんだ、奴等は!?
仲間であろう、お互いを
潰しあって!
「ふん!!」
…………潰された、本当に
あの威力では、頭が
一体
一体何者だと言うのだ、アイツは!
「うっぶ、る……」
「喧嘩両成敗だ
それと、んなもんやってる暇かよ」
「…………あ」
今回のタイトルは、最悪の三人(2)
柳犁とヴァルザード、この二人だけにしては
三人という、頭数に合わない
では残りの一人は、誰か
この男しか居らぬだろう!
「オルテンシアさん……アンタ」
「いったぁ……
勘弁してくれよなぁ、親父」
…………っへ?
「ヴァルザード君
一体ちみは、何を言って」
「あん、そうか
そういや、お前と別れてからだもんな
これ分かったの」
「おう、柳犁
俺もびっくりしたが、どうも俺達
血の繋がった、親子みてぇなんだ」
へ、何急に
やだ急に
なんなの、この情報量
再開した友達が
再開した恩人の息子で
再開する前の2、3日前でそれが分かったって
「ええええええええええええええ」
節、句
「いや、どことなーく
似てるところはあったんだよ」
似てるも何も
俺等全員諸共全部!
脳筋以外の何者でも無いんですが!!
「そんでなんか、ゲルダの野郎が
知らねぇうちに、血ぃ抜いて検査してたみたいで
親子関係、判明しちゃいましたとさ」
随分と軽く言ってくれるね、オルテンシアさん
そんな突拍子もねぇことを……ん?
オルテンシアさんが、ヴァルの親父
ってこたぁつまり、その妹は
「だってことはいいんだが、それより
俺の娘に、何してくれさっとんじゃボケェ」
その、娘だ
「だぁ魔神共
くたばる覚悟は出来てんだろうなぁ!」
恐えよ、何よりも怖いよこの人達
予想する
さっきの俺も大概、本気で殴りかかっちゃいたが
手抜きなんざする人達じゃねぇ!
間違いなく、俺以上に……
えげつねぇ戦闘になるぞこれはぁ
「…………いいや、恐れ入った
その闘志、本物だ」
「いやいいから、そうゆうの
ミリエル出せ言ってんの
テメェ等だろ、ミリエル攫ったの
だってさっきからなぁ
ミリエルの匂いが、プンプンするもんなぁー!」
匂いで判断してんのこの人等!
まぁ、確信も無く衝動で動いちまうような
俺よかマシか
「その通り……
ミリエル嬢を攫わせたのは、我々魔神だ」
当たってた
コイツ等だよ、ミリエル囲ってたの
ん?そういやそうだ
ラグナロクは、サーシャだけでなく
何故か、ミリエルも攫って行った
その指示は、コイツ等から貰ったってことか
よし、しばこう
「だからほら、会いたいのならば
今直ぐ合わせてやろうて」
<シュン>
「っ、ミリエル!」
一番大柄な、魔神共でも
さらにそのトップ、そいつの傍に
ミリエルが……一瞬で、出てきやがった
俺と同じ類の能力か、あれは
空間を操作する、何かしらの能力者みてぇだな
んなことより
随分とたやすく、こっちの目的……
ミリエルを出してくれるとは
「お兄ちゃん!」
「どうだ貴様等
念願の娘は、ここに
目の前に居るぞ
おおっと、下手に貴様等が動くと
この娘がどうなるか、分かっているだろうな」
っま、そうなるか
<ザシィ>
「!?ふぐっ」
…………ふざけてるねぇ
やっぱり、オルテンシアさん
アンタはもう
「馬鹿な!あの一瞬で……
この距離だぞ!それを詰め、瞬間
娘を、私の腕ごと奪い取るだとぉ!」
切った、野郎の腕を
ミリエルを掴んだ腕を切り落とし
そのまま、強制的にミリエルを引き剥がした
硬いんだぜ、魔神の体は
ついさっき俺でも、皮膚しか切れなかったものを
ああも簡単に、腕一本持ってぐたぁ
「嫁入り前の人の娘に
なに汚ぇ手で触ってんだ、失せろ」
<バギィ>
そんで容赦ねぇ
切れはしなかったが、あれの顔を
剣で思いっきりぶん殴りやがった
「おい柳犁!」
「っと、」
ミリエルを、こっちに投げつけた?
そうかオルテンシアさん、アンタそのまま
「ミリエルは逃せ!
どっか安全な場所に……
俺はこのまま、コイツの相手をする」
一番強い奴を相手するってのか!
ちくしょうカッケェ、あの人は
自分からデケェ山、請負い込みやがった……
「ミリエル、無事か!
なにもされちゃいねぇよな」
「うん大丈夫、お兄ちゃん
なんか結構、御茶菓子とかくれたし
そんなに不満はなかったよ」
「いやそうじゃなくて柳犁!
そこの馬鹿に、なんかされてねぇかってことだ」
「おい、なんだそれ」
相変わらず俺に対してだけ
酷い言いようだな、ヴァルちゃん
「それよかミリエル貸せ
瞬間移動で飛ばす
比較的……安全な場所へ」
さっきまでいた
グレイブさんのとこが一番安全か
ともかくそこへ飛ばさなぁ……
「柳犁、ごめん
サーシャは……
ここへ連れてこられて直ぐに
別々にさせられちゃって」
「構いやしねーよ
オメェだけでも、無事だったんだからな
サーシャも俺が、助け出してやっから
お前は黙って助かってろ」
「柳犁……」
また余計なこと、言われそうだったから
それ以上言われる前に、飛ばした
「文句は、あるか」
「いいやねーよ
オメェの言う通り、ミリエルは助かった
後俺等に出来ることは……もう」
「ふううううううううう、回復
やっと声帯が治って喋れますよ、ええ
柳犁……」
「長は、いったか……
ならばここに居る二人
我等が相手するしか、あるまい」
そう、俺達に出来ることは
この二匹、しばき回すことだけだ
「恐ろしい……
ただの人間に、この私が
ここまで傷つけられるとは
恐ろしきかな、その戦闘力」
「御託はいい
聞いたぜ、テメェ等魔神は
俺のガキ二人を狙ってるんだってなぁ」
魔神の長、レグルスを吹っ飛ばした先
柳犁達の居る地点から
また、十数キロ離れたその場所で
オルテンシアは、立つ
何よりも、父として
「これはまた数奇な
悲劇よな、其方の息子娘が
我等のような化け物に、生まれながらにして
命を狙われる身とは
まったく親不孝な子供だことよ」
「かまわねぇさ、そんくらい
子供ってのは、親にわがままなもんだろ
ちょっと度がすぎたくれぇで
テメェの子供、見捨てる親があるかよ」
「大層な漢よな、貴様」
「んなもんじゃねぇって」
両雄、構え
「俺は、ただの父親さ」
次回へ続く
次回 最悪の三人 その3




