第27話 ずっと消えないお友達 その1
「ヤァ、オスグマちゃん♂だよ
ヤァ、メスグマちゃん♀だよ
アア!僕ト突キ会ッテヨ
イイワヨ
アペンシャブルルウリギス!!!
(裏声)」
「わーあ、クマさん達…一緒になれたんだね!」
はーい私ことリチャードさん
現在このメルヴィルちゃんとおままごと中
とりあえず今は、年頃のクマ同士の恋愛事情を
お人形さんを使って再現してみましたー
メルヴィルちゃんが笑ってくれて良かったよー
ガンバった甲斐が、ありましてん
さてと次は、コチラの人形を使って…
動物園九股殺熊騒動の、第2幕をお披露目しましょうか
「それじゃあ続き行くよー!第2幕 元嫁の慰謝料」
「なーにやっとるんじゃ、戦地のど真ん中でよー」
敵、ですか
………っと、少し楽しみ過ぎましたかね
メルヴィルちゃんと遊ぶ為とはいえ
まさしく敵地のまん真ん中で、シート広げて遊んでちゃ
それは敵の一人もくるでしょうねぇ
私の能力で岩盤に囲まれたこのドームを
外からの侵入はほぼ、不可能なこのドームを
私に悟られず侵入してくるとは…あの彼
空でも飛んで来たんですかねぇ?
「あれは…」
「ん?メルヴィルちゃん、どうしたのー?」
あの男を見ての、このメルヴィルちゃんの反応は…
流石にそうですよねぇ…わたしにとっての敵は
この子にとっては味方なのですから
仕方ない…この子の目の前で
仲間を半殺しになんてできませんからね
ここは一旦引きましょう
そしてその場を立ち上がり
無言で立ち去ろうとするリチャードだったが
その服の端を掴み、静止する手があった…
「これは…メルヴィルちゃん」
「アイツキライ…まだリチャードの方が好きだから
一緒にいて…」
………弱ったなぁ
幼女に好きなんて言われちゃあ
離れ離れになんてなれないじゃないですか!
相分かった!
どのような事情で仲間同士敵対してるか知りませんがね
男として、女性に手を差し伸べるは万国共通!
いや、万界共通!…まっとうしましょうぞ
「あん?なんや、おマン等頭角の連中は
ワシ等裏切らんと、気が済まないっちゅうのかい…」
「フフフ…恨むなら
この子に嫌われたあなた自身を恨みなさい
立場階級に関わらず、純真な少女に嫌われる者は
すなわちこれクズ!
最低最悪な『人間』であることの証明なのですよ!フフ…フ?」
さっきまでは声と…メルヴィルちゃんの反応だけでしか
あの敵さんの情報はなかった、んですよ
顔は、見てなかったんですよ
それで今…初めて振り返って、全体図を捉えたら
顔はいいんです、顔は普通で…おかしいのは
「ほーかい、なら気軽に潰しちもーてええんか
ほな…今回も記録更新やな」
ダルマ…?
あの、彼の頭上に乗っかってるの…ダルマですか?
しっかりと、片目の黒が塗られてない…ダルマ
何かしらの目的、があってああしてるんでしょうか
それにしても何故…ダルマ?
「なんや、人の面見て固まって
ああ、こいつか…このダルマがちょい、場違いやったか」
ちょいどころじゃないですよ
と突っ込みたいのを抑えて
彼から…その理由を聞き出さなくては!
私の興味が収まらない!
「コイツはなぁ、賭けでこうしてんだ
一切どげなこと、しようと落とさん
そーう、ワシはある男と賭けてんよ」
………面白いことを考えましたね
率直な感想です
賭けでダルマを選択する、そのセンス…
私個人からしたら高得点ですよ
「でもなぁ…そいつは、逝っちまってん
賭けの結果…見届けんままにな」
それは…残念です
「ゴンザレス言う男なんやがなぁ」
ああ、あの時の
「つまりテメェ等の手によって!
この賭けは永遠に成立せんなくなったわい!
どう落とし前つける気んっちゅーじゃ!!」
イキナリ、キレ出しましたね…
というかゴンザレスって
私、彼がどうなったか知らないんですけど
なんて考えも伝わらずにか
彼は自ら、その賭けの対象であるダルマを降ろし…
それを目一杯の力で
「おんどりゃあ!!
それじゃあもう、うっとをしぃだけやないかい!コレぇ!」
地面に叩きつけた……
気性の荒い人ですねー、いや
性格の安定しない人というか
いやでもこれは、シンプルでいい
シンプルに、その怒りをぶつける戦い方だというなら
あまりにも、同情する余地のない…どうでもいい理由なので
躊躇することなく、私も戦える
「とのことですね…ではメルヴィル、離れていてください
こんな近くにいては、貴方にも迷惑がかかる」
「いいえ、リチャード……私にも戦わせて
この天使はキライだし、要らない」
おっと…これはまた予想外な
メルヴィルちゃんも、戦いのご意向とは…
まぁ、いいでしょう……この子も非力ではないのですから
「そうですか…では行きましょう
即興ですが、私達のコンビネーションを…
見せつけてあげましょうか!」
「……ほい」
彼女の能力すら知りませんが
少なくとも、頭角の一員であることは確か
二人係で用意に、アレを倒せる実力だと信じてますよ
「来い!天に喧嘩を売った馬鹿共がぁ!
身の程を思い知れぇ!!」
「炎獄・遍柱葬」
<<ゴグオガアアアア!!!!>>
初手、爆炎の塊を発生させました
それは呻きうねる、自在の炎柱…
少し熱いですが…それでも
相手一人の魂を取るには、十分な火力ですよ
「あっつ!?なんじぇいこりゃあ
急にマグマが襲いかかって来たわい…
お前さん、恐ろしい能力持っとるな」
「それほどでも
しかし、これで驚かれては
ここから先についてこれますかね?」
熱いと言いつつも、彼
まるで余裕ですね…
あの場から一歩も動きやしない
この能力相手では、下手に動き回ったほうが危ういと
即座に理解したからこその、あの余裕…
私のこの能力は、動きは遅くとも
その異常な攻撃範囲で、まず確実に相手を捉える
だからこその…一点集中
そこに脆さが現れる
逃げる相手には、大分厄介な能力なのですが
いかんせん、攻撃自体は…
見れば避けられなくもありません
それに、一つ一つの炎の塊が大き過ぎて
ちょっとした間に、攻撃を差し込めるかと言われれば
まず無理です…簡単に抜けられます
だからこそ…彼は動かない
つまり彼は何かしら…
この攻撃を避ける、確実な策がある
「熱くてしゃーないわ!
いい加減辞めてくれーな、って
言っても伝わらんか」
来る…体制を変えた
では牽制として、その進路を塞ぎましょうか…
「つー事で言いに来た」
!?瞬間移動……?
まさか私が、遍柱葬を動かす前に
私の目の前へと現れるとは!
「環境破壊すんなや」
<バギィ!>
蹴り、ですか…
両手をポケットに突っ込んで…
随分とまぁ余裕ですね!
しかしその攻撃はしかと
私の槍で受け止めさせてもらいました
自らの頭を狙った蹴りを
瞬時に発現させた槍で、受けきるリチャード
しかしその威力、尋常なものではない
これは、まともに食らえばヤバそうだと
リチャードは冷や汗を流す!
「あら?当たらんかったか
反応早いなー、あんさん」
「おしゃべりですか?
つくづく余裕なことを
直ぐ様追撃すれば…
勝負はついていたのかもしれないのに」
「そうかい…ほんじゃ」
<シャキ>
足で槍を返した…
私の腕力を軽く、上回るのか!
そして当然…ガードの崩れた私を狙って
<ガガガガガガガガガ!!!!>
蹴りの連打!
なんて鮮やかな足技ですか…
早く、撓る…その蹴りを何度も浴びせて
こちらはなんとか、顔を守るので手一杯ですよ!
「ほーう、基本的なこたぁ…分かってんのか
何よりも顔を、優先的に守っている…
こりゃあ多少は、長引きそうヤン」
などと、攻撃を緩めずによく言える
コレは…私が倒れるまで
蹴りを辞めないつもりですね
たったの数秒、蹴り続けると言うのも
かなりの体力を使うもの…
それを未だ、ペースを落とさずに続けている
耐久は、難しそうですね
さてどうしたものか
ここでまた、私の能力で牽制しようものなら
完璧に私も巻き込まれる
どれもコレも、被害範囲大きすぎるものなー
「しかし!ワシの持久力は、そう柔くない
はっきり言って後3分は、この攻撃を続けられる!
さぁ!果たしてそれまで耐えられるかな!」
「おいで、ずっと消えないお友達」
<ボキィ!>
「あっふぇ」
……なんと、彼が吹き飛んだ
自らそうしたような素振りはなかった、つまり
何かが、吹っ飛ばしたのか!
今この場でその可能性があるもの…
メルヴィルちゃんか!
「フゥゥゥぅ、グゥうぅウゥ」
そこにいたのは
先ほどまで私とやり合っていた相手を
吹っ飛ばしたのは…クマ?
「て誰だお前ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
次回 ずっと消えないお友達 その2




