表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/48

第21話 究極形態:九十九式

前回のあらすじ


イル:メシーメシー


ミシ:メシーメメシシメシー


二人:メーシー


リゲ:……アホかこいつら


アル:遂に頭共々イカれたか


イル:そんなことはさておき


リゲ:あ、戻った


イル:メシーマダカー


アル:大丈夫じゃなかった…


ミシ:それじゃあ第21話!よろしくね



「そうですか…分かりました」


「なっなんだ…どうした?

今の音は、なにがあった!」


「侵入者ですね。しかも狙いの…『偏食者』」


侵入者だと…

すぐさっき、つーか前回の最後に壁ぇ出してすぐだってのによぉ

こんなに早く俺の居場所が特定された!


なんてこった…最悪のタイミングだ!

責められた時の対処の方法、なにも考えていねぇじゃねぇか!!

どーするんだよ、このビル!ここに!

既にここに攻め込まれてるってのかぁ…

どうする、俺の身がヤベェんじゃねぇか?


誘い出しには成功したってけどよぉ…

今すぐにでも、逃げ出した方が俺の為だぜ


「どうします?」


「どうしますもなにも…とっととひっ捕らえろ!

いや、もう警備員達に取り押さえられてんじゃねぇか?」


「現在10階ほど、上がってきているようです」


役にたたねぇ…警備員役にたたねぇ…


「どうしました?

なにをそこまで卑屈になってるんですか」


「なにをって…現状わかってんのかぁ、テメェ

俺の身があぶねぇんだよ、俺がやられちまうんだよ!」


だってそうだろ!

警備員足止めにもなってねぇし、んでそれ以上に…


連中をひっ捕らえられる戦力、うちにはねぇし。

どうすんだ!連中がこんなに強いだなんて聞いてねぇぞ!!


「そんなんだったら最初から、

策の一つぐらい考えといてください。

今更になって悔やんでも…後悔先に立ちませんよ」


「冷静ぶってんじゃねぇ!

ここまでやっちまったんだ…俺の名声を上げる為たぁ言え

連中をひっ捕らえるという大義名分がなきゃあ、

俺もお前もその地位を失っちまう…

それがどういう意味か!わからねぇ訳じゃあねぇよな」


「分かってますよ。だってここには…」


<<バァン!!!>>


「ヒィィ!!もうこの音…

すぐそこのフロアまで来てんじゃねぇか!!」


「丁度いい…では、打ち取って参ります」


「な…なんだよその自信は!」


「任せておいてください。私には…コレがある」








「あのそれさぁ…歩きながら食うもんかぁ?」


「歩きながらじゃなくとも普通、食っていいもんじゃないでしょ」


「いやそうじゃなくて。

さっきから俺の顔に(食いカス)が飛んでんだよ…

もうちょい行儀よくしてくんねんかなーって」


そう、さっきからずーっと…

心臓部からプランプランした血管から、

新鮮な血液がぶしゃぶしゃと俺の顔面に


まぁそれを鷲掴みしてる本人、ビッシリ血まみれんなっとるし

そう言うの気にしない人なんだろうね、コイツ


「つーか、私等最上階まで登ってきたのよね?

さっきのアレ、長官みてぇな奴…ちゃんとこのタワーにいんのよね?」


「テメェが()()んだろ…

自分の力が、それほど信用できねぇっつーのかい?」


「ブランクあるからねぇ…

未だ本調子じゃないっつーか」


とまぁ、何を言おうとコイツの力だけは確実。

コイツが見えたってんだから、それでまず間違っちゃいねぇんだ


にしてもこのクソ長ぇー通路、いくら歩こうが橋が見えねぇ。

いつになったらその部屋があんのかまったく…


「リゲル、着いたわよ…アレ」


「ああ、はいはい」


この階に来てから、一本道の通路を延々歩かされ続けたが

ようやく到着した。この、開けたパーチー会場に…


「間違いないわ、ここよ」


「本当かよ…本当にここで」


「お待ちしておりました。御二方、どうぞこちらへ」


…だだっ広い部屋の奥

そっから堂々と、元から隠れる場所もなかったか…

男が1人、歩いてくらぁ


「どうも皆さん。

私、等ビルディングのオーナー

『ヴィル・ペンタゴン・ピッチ』と申します。

本日は…よろしくを願いいたします」


ガタイのいい、タキシード姿の男が深々と頭を下げてくらぁ…

よく出来た飼い犬だこった、侵入者にまで礼儀が払えるとは…


んまぁ礼儀もクソも、こっちは不法侵入者だってのによぉ


「あ、どーも。ウース」


「雑だなぁ…返し雑だなぁ…

がっちり構えてくれちゃってるんだよ、相手?」


「どーでもいいでしょ、そんなの?

はなからその相手さんをぶっ叩きに来たんでしょうが」


「言うてもねぇ…」


「貴方方が本日、この場所へ来たことは、いささか早計でしたね」


おーい。

こっちが相手しないから勝手に話し始めちゃったよ、あの人。

あくまで紳士キャラをとことん貫くつもりだよ…


「何故ならば…ここには今

この世界随一の科学力、その結晶があるのですから」


…結晶、俺?


「で?どーするアレ

やっていいかな…とっととやっちゃっていいかなアレ」


「まぁ待て。少しは相手に合わせてやれ…

そう節操がねぇといけねぇ」


「いいんじゃない?どーせやるんだからさぁ

なに?あのクッソたるそうな話、全部聞いてやれっての?」


「いやそうだけども…そんなさぁ、出てきて直ぐさぁ

倒しちゃうってのも、流石にアレかなーって」


コイツ…せめてもの礼儀ってやつを知らねぇのか

戦い前に交わす問答といやぁ、こーいうバトル展開じゃお決まりってやつだろ


「…まぁ、いいでしょう。

こちらも有無を言わさず、全力で行きましょうか」


お、くるみてえだな

ちょっと無下にしすぎたかな…ま、いいや


「リミッター解放…着衣、『究極形態:九十九式(ゼル:ザイン)』」



「なんだ。光りだしたぞ、あのおっさん」


「変身シーンね。アレ、一旦裸になってからなんか着てるやつよ」


「ふーん。そういや、さっきからガシャンガシャン鳴ってるしな

機械的な、装甲的なアレを身に付けてんだろ」


つーか、さっきからアレしか言ってなくね?



limit over cross in<ZERO:ZAIN>


「はいはいかっこいい英語音声ね

よくあるやつだわー、そういうの」


「じゃないだろって、準備完了みたいよー」


「全身装甲…随分メカメカしくなったじゃないの」


光が晴れたら…本人の登場ねぇ

全身メタリック塗装の機械人間、ここに爆誕か



「お待たせ致しました。こちらが…私の戦闘形態

究極形態:一式(ゼル:ワン) 完全防御(パーフェクト)金剛甲冑(アーマー)』…

この圧倒的防御力の前に、何人足りとも傷一つつけることはできない!」


「おー、カッケー」


動きにくくねぇのかな、アレ

結構重そうだけど…

見た目に全振りしたおかげで、利便性皆無な気が


「……反応が薄いですね。いいでしょう…ではこれで」


「動くぞ…どう来る?」


「アンタの上」


「あいよ」


<バァン!!>


撃った。左手のガンで、俺の真上…シャンデリアを!


<ガァン!>


「アブねぇな!

下手すりゃ俺どころか、オメェも下敷きにされてたぞ」


「ベェつにぃ…これくらいじゃ私、傷つかないんで」


とりあえず、落下してきたシャンデリアは避けたが

あの左手、びっしりと重火器がついてるんじゃないの!

飛び道具はお手の物ってかい…これじゃあ


<ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!>


やっぱり撃ってきた!マシンガン…


さっきのを避けてよろけちまった俺等は、格好のマトだものなぁ!


<パリン>


「食らったか…まぁ、避ける術もあるまい

銃弾を全身に浴び…蜂の巣だ、まず助かりは」



しねぇだろうな…実際痛ぇもん

イルティラみてぇに、完璧に無効化たぁいかなかったが…


「なんとか生きちゃいるみてーだ

どうだ、そっちは」


「うん、生きてる」


死んだふり、も通用しねぇだろうが一応な

あいにく、相手さんと俺等とじゃあ高低差があるんで

寝そべってるだけで完璧、向こうからこっちを捉えることは出来ない

この間に、いくらか打ち合わせもしときてーが


「生存反応…あり」


<ピッ>


ヤベェ…手榴弾投げ込んできやがった

個体ならどうにでもなるが、爆風は!


<バゴン!>


「吹き飛んだか…次こそ、息の根を止めたか…いや」


まぁ、そうだな。俺たちゃ生きてる

生きて…オメェの後ろへ回り込んでるんだからなぁ!


そのまま蹴りの一発でも食いやがれ!


「うラァ!」<ダム!>


…手加減はしちゃいなかったんだがね

本気で、俺のしなる蹴りを横顔に直撃させたんだ

なのになんだ<ダム>って…まるでなんか、

柔けぇもんでも蹴ったみてぇじゃねぇか!


うーわこっち向いた…余裕かよ

わざと攻撃受けてっから、そっちに俺がいるからって狙うのかよ!

並みの一撃じゃあ怯みもしねぇって言いてぇみてぇに…


「ああ、生きていたか。

だが問題はない…そっちから、近づいてくれたのなら…」


ヤベェ。この至近距離で左手の重火器、ぶっ放すつもりだ


残念なことに俺は、並み以上の身体能力は持ち合わせちゃあいないんでね

さっきの移動も、手榴弾あってのものだ

そんで次は…まんま目の前か

避けられるかよそんなもん!


「つーことでアルマリッサ!惹きつけは充分か」


「もちのロンよ」


「!?」


なぁんて、ハナから俺はただの囮

仕上げは勿論、このアルマリッサ(人外女)に任せっきりよぉ!


「『ローーレウニ・テッゼ』」


<ズガン!>


決まった!今回は<ズガン>だ

心臓部を蹴り一閃!抉りとッ…


「…今のは効いたな」


削れてねぇ!装甲が…微塵たりとも削れちゃいねぇ!

馬鹿な…ただの身体能力だけでも、アルマリッサは俺の数倍だ!

それでこの程度だと…


「リゲル!一旦距離取れぇ!!!」


「分かって…」


「見逃さん。『究極形態:二式(ゼル:セカンド) 超噴射(ジェット)超神速(ブラスト)』」


<<ヴィン!!>>


消えた!

ロボット野郎が…一瞬で!


<ドガ!バギィ!>


「くっ、がああああああああああ!!!!!!!」


「リゲル!」


やられた!たったの二発ではあるが…確実に俺の体を、壊しにきてやがる!

脚が折られて…胸が、肋もいったなこりゃあ!


「1人目、終了〜。次はお前だ」



野郎…なんちゅうスピードよ

あの一瞬での加速、肉眼では捉えきれなかった!


オマケにリゲルも、ありゃ戦闘不能ね

仕方ない。今回はこのアルマリッさんが、本気出してやろうじゃないの!


まず、反射神経で捉えるってのが無理な相手の速度!

でもそれはもう、私の能力の前では無意味に等しい

それを今、証明してあげる!


「『究極形態:五式(ゼル:ファイブス) 雷電殻(エレクトロ)轟射砲(バズーカ)』」


見えた!電気のエネルギーをあたり一面に張り巡らせる気ね

触れたら即感電死の高アンペア…なら私の対処法は


「『絶対無度』」

<パキパキパキパキ>


凍らせる!あの玉が発射される前に…

イル。あんたの技、使わせてもらったわよ!


「馬鹿な!私の砲門が…こんな氷でぇ!」


今!隙ができた内に、リゲルを回収しなければ!


さっきのでここら一面!

カチンコチンに凍った、天然のスケート場となった

当然…これを利用しない訳ないわよね


「局所、フッリーズ。完成!

即興スケートシューズ!!」


<キッ、キィィィィ!!!!!>


氷をブレード状に固めて、足裏にくっつけた!

これで私は自由に立ち回れる…その代わり!


「ぐ!?わぁぁぁぁ!!!!」


相手さんはスッ転ぶ訳よ!

ツルンツルンの床に、思いっきり顔面ぶつけなさいな


<ボガァ!>


「ビンゴ!見事に顔面、ひしゃげたんじゃないの」


さぁて、このままリゲルをさらって。


「す…すまねぇ。余計な手間、かけさせちまったな」


「いいことよってぇ。

まぁ少し、私等はアイツを舐めすぎていた

アンタの相手への態度の取り方も、考えものよね」


「オメェも油断してねぇで、次の攻撃を見ろ!」


「はいはい、分かってますって」 


言ってくれるわリゲル君

私の()の中でも…そいつが一番疲れるんだって


「いくわよ…『未来視』」


私の能力は、この眼。この左眼には

ありとあらゆる能力を持った魔眼が埋め込まれている


ーー『千変万化の隻眼』ーー


未来を見ることも、誰かの能力を見るだけでコピーすることも

純真なあの子のスカートの中パンツの色すらも見て取れる。


だいたい未来が読めるって時点で、敵無しなんだけど。

こと実力差…単純な馬力の差だけは、この眼だけでは覆しにくい

だからこそそういう場合、

無理に相手をしないのが鉄則なんだけど…


今回は…今回だけは、そうも言えないのよ


「見えた…もうちょい距離取るよ!」


「あいよ…ただもうちょい優しく持ってくんない?」


「む、り」


さぁって、どうしたものかね

あの究極形態:九十九式(ゼル:ザイン)とやら、

どうにもこうにも…

アイツが作った兵器の中でも

トップクラスにヤバイんじゃないの?


初めてよ…この私が、アイツに敗北を意識しちまってんのは!

それがどうにも気に食わにゃあ

魔王軍幹部女子部最強は、この私よ!


「リゲル…ちょっと時間たんなそうだから、治療が中途半端だけど

いける?その体で」


「ああ…最低限両足は動くようになったからな

それでも、俺がやれんのは野郎の守りを崩すことだけだ

トドメ刺すには…火力が足んねぇ」


「そこんとこ補うのが私でしょ

いいわ。キッカケだけ作ってくれれば、それで充分」


ある程度の距離が開いてから

相手さんは、その重そうな鎧ごと立ち上がってきた!

ここから先、私等に攻撃するところまでは読めてる…けど



「おのれぇ!こんな氷程度で…

この俺を地べたに這いつくばらせやがってぇ!!!

許さん…このような屈辱は、

貴様等に最大限の痛みを与えなければ晴らされぬ!」


ヤバいの…来るわよ


「『究極形態:九十九式(ゼル:ザイン)九十番台(エクストラ)九十七(ザ・セブン)!!

白世界(イラッゲテルガ)絶対(アルグリラ)絶滅(アルガレルド)!!!!!』」


<<<ドバァァァァァァァン!!!!!!!>>>


「うを眩し!?」


なんちゅう発光よ…未来視で見た通りだわ

で、んの通りだとこの後! 


<<バキバキバキバキバキバキバキバキ!!!!!>>


一面真っ白に覆われた、ここいらの空間が割れだした!

どーいう訳か、あの光に包まれた場所はそこに固定される!

そのまませんべいポキっと折るみたいに簡単に、

人間の体すらもかち折られる!

ここまでスピード飛ばせばギリギリ、範囲外へ逃げられる!


<<バッキン!!!>>


「かぁ!抜けたぁ!」


危ねぇ…ほんットギリギリ、助かったぁ…

このホールがもっと狭かったら、

逃げ場がなくてやられてたわね…危な


って!これよこれ!こっからが重要なのよ!


「今よリゲル!今なら、野郎の動きが止まってる!」


「あいよ!こいつが俺の、唯一の活躍場だねぇ!」


床に両手をつけた…

そう、リゲルの能力は物質を伝ってのみ発現する!

直接だろうと間接だらうと、対象に触れてさえいれば


全ての無機物を結晶化させる!


砕涙花(さいるいか)千秋一会(せんしゅうひとえ)、」


<ビキビキビキビキビキ!!!>


伝わっていく!床のフローリングを伝わって、野郎の足元へ!


「な!?これは…」


捕まえた!結晶が触れたぞ…これで

奴の装甲が砕けち…


<バキッバキ!!>


ない!

結晶が野郎の全身を覆っただけで、一向に砕け落ちない

なんで!これだけ隙のできるチャンス、もう…


「…心配なかったか

この完全防御(パーフェクト)金剛甲冑(アーマー)には、概念すら歪める能力だろうと通用しない」


「あれ?んなもんありかよ…

もしかして本格的に、俺の活躍なし?」


「そのようだ」


<バキン>


結晶が…まるで足止めにすらなっていない

軽くその拘束を外しやがった…


もう無理よこれ、これ以上やるには今の私達2人じゃあ火力が足りなすぎる


「向かってくる気は…ないか

それもそうか、こうなっては逃走の一手しかあるまい。

差し詰めこの場から、

どのようにして逃げ出そうかと必死になって考えておろうが…

無意味だ、はっきりと言ってやる」


さっきまでえらいパニクって、大技ぶちかましてた野郎がよく言うよ

まぁ事実、止めにまではいかなかった…けどね


「無意味?それは何を見て言ってやがるんだ、おっさん」


「小僧、見えておらぬのは貴様等の方であろう。

よもやあの短時間で、アレだけの傷を負った貴様に…

勝ち目などないと、分からぬか」


「乗った、乗ってくれちゃったぁ?この俺の挑発にぃ」


「なに」


…きたきた

リゲルの…いつもの調子が!


「いいや言わなくても分かる。アンタ割と、短気な性格してんだろ?

本当ならあのまんま、

有無も言わさず俺を殺しに来ときゃあよかったものを…

おっさんの一言で、ご丁寧に現状説明してくれてよぉ」


「何が言いたい…

そんなもの、意味をなしたとしても、たかが時間稼ぎ」


「いいんだよそれでぇ!

たかが時間稼ぎ…成功じゃねぇか!」


「…!?、これは」


リゲルの触れたところから…そう、アイツの立っている地面から

そこを伝って一面!結晶化のコーティングは済んでるってのよ!


「俺の能力は、利便性にも欠けるし

普通なら対人の戦闘力も皆無…だがちょっとの時間さえあれば

この通り準備万端、俺に有利なフィールドの完成よ」


焦ったぁ…もうあんな余裕ぶっこいてないで

最初っからこうしとけば、楽に勝ててたものを…

あの鎧を纏ってからと言うものあの野郎、一部の隙もねぇじゃないの


とまぁそこは、アルマリッサに感謝ってことで


「ほう、これはこれは良い光景だ

それで?この美しい結晶達を使って、何ができると」


「ありがたいねぇ、この美しさを評価してくれるなんざ

なーに。この光景に大した意味はない

ただちょっと…空気中の濃度を上げたかっただけだ」


俺の能力、砕涙花は見ての通り『結晶』を出現させる能力

と言っても、俺の触れた物質だけ、壊れやすい結晶に変わる能力なんだがなぁ

それも、物質限定…人そのものを結晶化することは出来ない

だがある程度、空気中にその因子が舞えば…

俺の体から離れていようと操作できるようになる!


「その鎧も…内側から肉が食い破られやぁ

()()()ってもんだよなぁ!」


「なに…貴様、まさか」


「芽生えろ…塵雅(ちりみやび)


あ、終わった


<ザシュッ!>


貫いた…みたいだけど、鎧は壊れなかったわねぇ…

その中身がどれだけぐちゃぐちゃになっているものか、見たくもないけど


「う…ば…あ」

<ドシャア>


「…結構苦戦しちゃったわね」


「んだ。やっぱし舐めプはよく無いってねぇ

イルティラ(アイツ)の真似してもやっぱり、うまくいかねぇよ」


「それで勝てたんだからいいじゃない。なんせ私達が来なきゃ…」


「やられてたんだよな、あの人」


そう、ここにくる前。アルマリッサの能力で一つの予知を見た

今日、この場所で…さっきの野郎に、イルティラが殺されるところを


んなことあるわけねぇと思ったけど、こいつの未来視…

特に突発的に現れる予知は、ほぼ確実に実現する!


「なんて言っても、こんな奴にアイツが負けだなんて到底信じられないけど」


「ソイツじゃ無いんだろ…この先に、その女が居るはずだ

イルティラを殺せるであろう、その女が」


この究極形態:九十九式(ゼル:ザイン)とやら、とんでもねぇ技術力で作られてやがる

ただ俺達の知る中でたった1人、それを可能にできる女がいる


「この先、かしら」


唯一残った、このビル最後の扉

この先に、間違いなくあの女はいる


「おっ邪魔、しっまーす!」


ドアを蹴り破って侵入ぅ〜

まぁいいよね、ちゃんと挨拶したしいいよね


「だぁれもいないじゃないの、もぬけの殻よこれ」


「いいや。逃げ出した痕跡があるな

元よりそこの椅子にふんぞり帰ってたや奴は、

もうとっくにトンズラこいたんだろ」


「元々は、ね」


聴き慣れた声じゃねぇか…

部屋中見渡しても、人影一つ見えないんにどこからかの声

あり得るとすれば、向こうっ側向いてるあの椅子に…

見慣れたチンチクリンが座っているとしか


「ようこそ、私の国へ…リゲル、アルマリッサ」


「国っつーかさ、ただの街だろうがよ…

で?アンタの目的はなんだ


魔王軍幹部、エルシアン」


「DEAD END 5.sとは呼ばないのね…

けっこー私それ、気に入ってるんだけど」


「とぼけんな

そのDEAD EDN 5.sのオメェが、なんで

その魔王様(ヘッド)を殺しちまうんだよ?」


 ここに来てようやく、

椅子を一回転してこちらに姿を見せたエルシアン

相変わらずのチビだし、相変わらずの…憎たらしい面だこった



「私がぁ、イルティラ様を殺すって?

ああ、アルちゃんのその眼で見えたのね…

なるほど、それなら信憑性のある情報じゃない」


「だから、なんのつもりかって聞いてんのよ

私の……この力が意志と関係なく発動するのは、つまり」


 そう、アルマリッサの未来視の能力は

その意思に反して、自動的に発動することは先ずない

それが発動しちまったってことは……

変わりようのない、絶対の未来を見た時だけ


 んなことができんのは、コイツしかいねぇ

それで俺達はまんまと、誘い込まれたわけだ


アンタ、皆んなが解散したあの後…一体なにしてたの?」


 10年前、戦争で散々暴れまくった俺達は

各々解散して、好き勝手に生きることにした

俺は普通にカタギとして生きてきたが…

この状況、エルシアンがただ普通に生きる道を選びはしない


  何故なら、そもそも…

コイツは、イルティラの能力を奪う為に仲間になっていた


「うんうん。

私の今までの行動から考えると、君達の疑問は全くもって当然

私のことを敵だと考えているなら、それは正解だよ」


「やはりな…悉く胡散臭い野郎だと思っていたぜ」


「しかしその前だ

君達の知っている私なら、

ここで君達もろともイルティラを始末しているかもしれない

だがその私に至るまでの行動を知ってくれれば、

少しは考えも変わってくるんじゃないかな?」


 はぁ?なに言ってるんだ、コイツ


「へぇ、じゃあ聞いてあげましょうか」


「なに言ってるんだアルマリッサ。どう考えたって、

俺達を言いくるめて逃げようとしてるんに決まってる」


「だからよ。

こいつの口車に乗るってことは

それこそ全部、私達の意に沿った判断のみ

コイツがこんなに面白がった表情してる時は、

本当にヤバい何かが起きる時」


「ご名答、アルマリッサちゃん

その通りだ、私がこれから言うことは全て

この世界の存続に関わることなんだから」


「……世界の、存続」


 そこまで言ってエルシアンは、

椅子から降りて、俺達の前にやってくる

そして何かを持った手を、俺達へ差し出してきた


「取り敢えず、これを見て頂戴」


「これは…何かのカスか」


 エルシアンの持ってきたものは

黒い…何かの粉末だった

石炭とかそうゆう類のものではなく

エルシアンの手は、その粉末で汚れてはいない


「これはさっきあなた達が戦った究極形態:九十九式(ゼル:ザイン)に使用した物質…

概念に干渉する能力ですら無効にする、奇跡の粉」


「無効化…そりゃまるで、イルティラの能力」


 まさかコイツ…イルティラの能力を再現することに成功したのか!?

ヤベェ…あんな能力を…そうポンポンと使えるようにしたってのかよ


「勘違いしないで頂戴

これはあくまで、イルティラとはまったく別の能力…その塊よ」


「別って…アンタ

あのレベルの能力が、まだ別にあるってのかよ」


 恐ろしいことだが…イルティラの無効化の能力

あんなインチキ能力、そうそう有っていいもんじゃねぇ


 現に俺も…イルティラの能力が最強だと信じて疑ったことがねぇ

それが…他にも


「私がイルティラの能力を狙っていたのも、これよ

この世界に全員居るかまでは知らないけど、全てで9人

常人では計り知れないポテンシャルを持った『能力』が存在する

最初から私は…その保持者を探して生きてきてたの」


 9人…そんなにかよその全員が、

その気になりゃあ世界なんて何百回と滅しかねねぇ能力を

イルティラレベルの能力を持っているっていうのかよ!


「そして今、その能力を持つものは少なくとも2人

この戦いに関わってきている」


「……神共をぶちのめそうっていう

イルティラのこの戦争(けんか)に、2人?」


「1人は私達の大将…イルティラ

そしてもう1人は、この粉末の本体」






















「あ、あ〜。女神さまぁ。

ここでいいんですよねぇ、例のハァリナが居るって場所は」


『八大天使長 ゴンザレス』


彼が見下ろす先には

今まさに柳犁達の居る、アマンダの家が!


「ええ、そこです。気おつけて言ってくださいね

何故なら彼等は、既に八大天使長の一角を崩している」


「安心してください、結界は貼りました

この結界内では体の自由がきかねぇ

そう苦戦することもなく、倒してやるよ」


「ええ、期待していますよ…それでは」


「通信が切れた…

まったく、どいつもコイツもアホだなぁ

どう見たって楽にこんなの、終わるだろうって…

そんなのでも成功すりゃあ、次期天帝に任命してくれるとは

女神ってのも、割と臆病なもんなんだってんぇ……って」


 既に勝利を確信し、下びた笑いをしていたゴンザレスを横目に

女が1人…通り過ぎて行く


「おいオメェこっから先は危ねぇよ

?てゆーか既に結界内だってのに、なんで気怠くなってねぇんだ」


 対魔力無視の概念決壊だぞ!

俺の結界は、範囲内の生物の三半規管をめちゃくちゃにする…

それはもうインフル並みに立てねぇって状況になるはずだ!


「それをお前は…なんで」


「うるせぇなあ…私の邪魔、しないで頂戴」


「…へ?」


<ス____________ン>


 ゴンザレスはなんと!この女が触れた途端

音も無く木っ端微塵に吹き飛ばされた!


「せっかく一人で楽しもうと思ったのに

あの女神は…ちょっかい出すのが好きね」



 それは、この世界ができるずっと前

まだ全てが一つだった時から存在し続けている

概念の『象徴』



「全ての始まり…いや、彼女が司るのはその真逆」



 司るは、終焉を導く崩壊…その名を、『終焉崩壊(ラグナロク)

次回予告


今ここで 夢見れば


嘘つき 正しさの


どこかにあった いつまでも


貴方だけの、歌を………


次回 滅

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ