第20話 偏食者
ぜんかいのあらすじ
リュ:和むなぁ…この最近
ハァ:なにが?
リュ:何もかも。ゆっくりしたいでねぇ
ハァ:なんじゃコイツ…いきなり爺さんになっとるがな
リュ:てーげー、てーげー…どうでも良きかな人生
ハァ:だめだこりゃ。人の話、完全に聞かないやつだ…コレ
サー:リューリ、このお茶菓子食べて良い?
リュ:良いよー。ああ後、お茶飲む?
サー:ご馳走様!お茶は良いや。ジュースあるし
リュ:…お茶はうめぇなぁ
ハァ:…20話、いっちゃって
時は、柳犁がリチャードと再開する数刻前
こいつらもまた、この街にたどり着いていた。
「馬車に揺られて早2時間!やーっと到着いたしました、美食の街に!」
「なんか美味しい店、沢山有るんですよね。まずどこから行きます?」
「待て待て待て待て。アルマリッサ探しはどうなった…それが目的で今回、ここ来たんだろうに」
「そんなこと言わなーい!ともかく存分に、ご飯食べちゃいましょう」
今回イルティラ達は、仲間の一人であるアルちゃんを探しに、この街へやって来た。
どうやら『アルちゃんがいる』と確信出来る何かしらの事件が、この街で起こっているらしい。
「みーんな、何食べたい?僕はお肉が食べたいなー」
「私は、なんか無性にチーズが食べたいです」
「俺は、そうだな…美味い酒が飲みたい」
「よし決定!居酒屋だな。居酒屋なら大抵なんでもある!それじゃあ僕の鼻を過信して、匂いで料理屋捜索開始ぃ!」
くんかくんかくんくんくんか…
これは…ちょっと周りの匂いを嗅いだだけで、なんという芳醇な香りの数々!
数多の食材が使用された数多の料理…
それがいくら、デタラメに混ざり合った香りになろうとも…これ程までに我々の食欲を刺激する、未知の物質になり得ることがあるのか!?
まずい…もう、この時点で…ヨダレが止まりませんなぁ
「あの、店見つかりましたか?私お腹減ってきてんですけど」
「ん?…ああ。ちゃーんと探してるよっ!いや〜でも悩んじゃうなぁ…どこもかしこも美味しそうな匂いで…ふぁ!?」
余りにも、美味そうな料理を出すだろう店が多過ぎて、選ぶに選べずにいたイルティラ。
だがそんなイルティラに突如!電撃が走る!
なんだ…この香りは!?
今までのどんな香りをも比にならねぇ…圧倒的な旨味が、俺の鼻を刺激した!!
「よし!決定だ。あの店、あの店にしよう!」
と、イルティラが勢いよく指を差すのは
周りと見比べても、一際大きな外見の料理店。
「あそこは間違いねぇ、居酒屋だ!美味そうな肉のチーズの酒の匂いが、タップリしてくらぁ…」
「あそこ…あそこですね!でもなんかあそこ、物凄く混んでそうですよ?まず店に入れなくないですか?」
「大丈夫!このイルティラちゃん鼻を信用しなさい!店内の地形も把握、脳内地図にインプット済み!それによると、4人席が一つ空いている!僕達3人だから、余裕で座れるよ!」
「ほいじゃ行きましょう。他の客が入る前に」
いざ、入店!!
「お客様、大変申し訳ございませんが…本日満席となっております」
「ええーー。空いてないの、席」
「カウンターなら空きがあるのですが…それでは3名様、別々となってしまい」
「なに、イルティラ。空いてなかったんですけど」
「ショーーがにゃいな…空いてたと思ったのに4人席」
俺達が店に入る前に席を取られたか…チックショー、タイミング悪過ぎんだろ
「こうなったら…3人別々でも良い?」
「いや、ちょっと待ってください」
「ん?どしたのミシェルちゃん」
「あそこアレ、4人席なのに…1人で座ってる人居ますよ」
「本当だ。ちょっと店員さ〜ん、良いのかなあれ?混んでる時こそ、席ってのは譲り合うものなんじゃないかな」
女の子1人で、4人席占領とは…許せんよなぁ!
ここは彼女に、別の席へ移動してもらって、僕達はそこへ座ると
そうと決まりゃ、特攻だ
「ちょっとすいませんお嬢さん!そんな堂々と席をまぁ無駄遣いしてくれちゃって…退いてもらおうか!」
「あら?これは貴方達のための席よ、私がとっておいたの…ねぇ、イールゥ?」
「え…お前、その顔!」
「…マジか」
「アルちゃん!見いつけた!!なんっだよこんなとこにいたのかよ!!」
アルマリッサ・ローズファニー。通称アルちゃん
僕達の追い求めていた仲間!
まさかこんなに早く見つかるとは意外ッ!!
「て、アルちゃんから来てくれたのか。分かってたのね、僕等来ること?」
「もっちのロンよ、イルゥ…その連れも」
おっと、そういや双方に何にも伝えてなかったね。
アルちゃんのことも…ミシェルのことも
「紹介しよう!アルちゃん、僕のお友達。そんでねアルちゃん、この子が…」
「イルの嫁ね、分かってるわ」
「さっすがアルちゃん!話が早いな〜」
「ねぇ、リゲルさん。何者ですか?あの人」
「アルマリッサだ。俺の仲間…元だけど。いやまぁイルティラと仲良く話してるってんでジェラシー感じてんのかもしんないけど、あんたに危害は加えないだろうから安心して」
「ふーん、そうですか。言っときますが、ジェラシーなんてもの感じちゃいませんよ」
あるのは…そう。面倒臭い
「よっしゃ宴だ!今日はもう、とことん飲むぞ!!」
「よし来たコレ。酒なんていつぶりかしら…」
「まーだ偏食生活してんの?いい加減体壊すから、辞めなさいって言ったでしょうに」
「私の場合。逆に、普通の食生活したほうが体壊れんのよ…って、前も言ったわよね」
「そうだった?そーいやこんなやりとり前もしたな〜、いや懐かしい…」
思えば…あの頃が一番輝かしがったな
若さにかまけて、やりたい放題…
夜通し店を梯子して、何度もよいつぶれたものだなぁ
ああ、もう戻らぬか10年前…僕の20代
今はもう見るも無残なおっさんですよ…ホント
それでも、今が悪いとは絶対に言えないよ
だって今の僕には、大事な…とっても大事な…
「ミシェルちゃんが居るからね!」
「すいませーん、このピッツァもう一枚」
………あれ?いつの間にか注文してた
てゆーかせっかく隣に座ってくれてるのに、僕のこと無視?
仕方ないな…いい子いい子っと
「………あの二人、夫婦じゃないの?なんかフツーに、イルが無視されてるんですけど」
「気にするな…あれでも、仲は相当良い」
うーん!非常に撫でやすい頭でした
さて…ミシェルちゃんを愛でるだけでなく、僕もご飯食べますか!
「さてさて、メニューは?おお!どれもすっごく美味そうだな…さてさてお肉系はなにが…」
「一通り、頼んどきましたよ。あんたが満足する程度には」
「あらなんて気の利く子!!もぉうミシェルちゃん…そんなに僕のこと好きなら、もっと思いっきり『しゅき』って言っちゃって良いんだよ!」
「まったく…黙って食べなさいよ、ご飯くらい」
「そーいうとこは冷たいんだからさーねー…恥ずかしがっちゃって」
「それはそうと…」
「ん?どしたの」
あれ、こっち向いた…
ミシェルちゃん、食事を辞めてこっちを
それどころか耳元まで来て?来て!?
「ちゅき」
大噴火悶絶フィイイイイイイイイーーーーーーーーーーーヴァァァァァァァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
なにもうこの子、可愛い!
一回付け放したように見せかけて…そっからの超甘ちゅき、って。
上げ下げ山脈の最頂点…絶頂!
ああん…なにこの悶狂い!
切なくて、暖かくて…何より、気持ちいい…
「ああんもうミッシェルゥーーーー!!!!好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き、しゅ、、、、、、、、、き」
もう、いい子いい子じゃ収まらない!!
はギュはギュのはギュ!!身体中を擦りつけてしまいましょう!!
「いやん、もーう。みんな見てるから辞なさいよー」
そう言いながらもぉ、もぉ!
「まったく、なにやってんだよあの人等」
「仲は良いみたいね…本当」
良いやもうご飯要らない!
もうお腹いっぱいですよ、この感激だけで!!
ずっとずっっと…このままナデナデしていた
<バァン!!>
………銃声?
「あら、急にどうしたのかしら?」
「只事じゃあねぇな。こんな四六時中に発砲音とは…」
「…何かあったみたいですよ。様子、見に行かなくて良いんですか?」
「べっつにぃー。このまま抱き合っっていられればー、なーんも不都合ないかなーって」
「良い加減離れろやこら」
「ヤン…気変わり早い」
ちくしょう…
せっかくの甘々ミシェルちゃんがいつもの調子に戻っちゃったじゃないですかーー
どこの誰だゴラァ!!こんな馬鹿騒ぎ起こしてんのはよぉ!!
「うっ……ぐはぁ!」
「なんだ人違いか…まぁいい、次行くぞ」
あ?ありゃなんだ…
ゾロゾロと役人みテーのが、店に入って来やがる…
あとアレだな、やつ等の先頭で銃握ってる奴。アレがリーダーか
「しっかし本当に居るのか?例の奴は…どいつもこいつも外ればっかりだが」
「ハッ!被害状況から見て、未だこの街に滞在中かと」
「チッ!今日中に見つかるんだろうなぁ…こんなことに何日も使いたくねーぞ、俺は」
なんの集会ですかー、あれは?
大人数が寄ってたかっておっさん1人を虐めてらぁ…
しかも銃器込みでだぞ?おっさんなにも持っちゃいねぇのに
「ひ、酷え!コイツが何したって言うんだよ!!おい!大丈夫か!」
「酷い?おいおい、これの何処が酷いってゆーんだよ!ああ!まさか俺が何者かぁ、知らねぇっつんじゃねぇだろうな」
なんだよオイ、偉そーな態度取りやがって。
ま実際え偉いんだろうけど…なんかなぁ
ああいう馬鹿見てると、飯も不味くなる
「俺はこの街の警備長官だぞ?この俺が悪い奴捕まえてやろうって『正義』に命張ってんのに、紛らわしい面してたソイツが悪いんじゃねぇか!ええ!」
馬鹿か?アイツ、馬鹿なのか?
なんの理由にもなっちゃいねーよ、それ
「言っとくが俺に文句があるんだったらなぁ、ソイツごとテメェもムショ送りにしてやるよ!分かったら、これ以上捜査の邪魔はしないでいただきたい」
「そんな…あんまりだ!」
「ああん!今この俺に対しての不服を言いやがったのか!」
ちっちゃ、器ちっちゃ
「よぉし分かった。そんなにムショ暮らしがしてぇらしいな…おいテメェ等!とっととコイツ等を連れて行きやがれ!」
「ハッ!」
言いなりだな…
よくもまぁあんな野郎を上司と拝めるねぇ
「ちくしょう、好き勝手言いやがって!」
「そうよ!その人がなにをしたって言うのよ!」
「いきなり押し掛けて人のこと撃ち抜いといて…なにが正義だ!」
「ふざけんな!なんの権限があってこんな…」
<バン!>
………イラ
「黙れぇ!今俺がどれだけの相手を追っているのかも知らねぇで好き勝手に言いやがって…いいか、今この街にはな!!」
「うるせぇ!!」<ビシッ!>
「うボルぁ!!?」
やカマしぃんだよ!!
まーた銃をぶっ放しやがって…食事の邪魔だろうがーーー!!!!
「ちょ、長官ーーー!!貴様…なんということを!!」
「うるせぇ!今飯食ってんでしょうが!騒がしくておちおち飯なんて食っちゃいられねぇじゃねぇか!!なぁ、ミシェルちゃん」
「アンタが一番ウルセェよ」
「あーああ、手ぇ出しちゃった…めんどくせぇよー、めんどくさくなるよーこれ絶対」
「ちょっとイールー?これ以上うるさくはしないで頂戴」
「ええい、皆構えろ!銃を抜けぇーー!!」
ちぇえええええええすとおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
<<<ドゴォォォン!!!>>>
「いや…アイツに静かにしろとか、無理だったわ」
「店の壁に大穴空いちゃってるじゃないの…だから暴れんなって言ったのに。修理代とかどーすんの」
「かまわねぇだろ…払うのあの人なんだから」
「うちの家計です」
「「あ、すんません」」
ふん!態度がデケェだけの能無しどもが
俺1人からすら、より無能な上司をも守れやしねぇ
「あ、アンタ…ありがてぇ、あの連中をぶっ飛ばしてくれて!」
俺に礼だ?ああ、さっき騒いでいた連中か
そんなこと言う前に一回くらい、自分等で反発してみたらどーなんだいええ?
人に頼りっきりは良くないよ…て
「あん?なんだそいつ…血塗れじゃあねぇか、大丈夫か?」
「え、は?さっきの見てないの!?」
ヤベェな…銃弾が腹を貫通してやがる、これじゃ血が止まらねぇ
先ずは傷口を塞ぐのが最優先だな…となればこれを
「取り敢えずこれ使え、な?応急処置にしかなんねぇだろうが、無いよりはマシでしょう」
「はい?なんですかコレ」
まぁ、こんくらいしか俺にできることはないしな
後は…なるように
「じゃ、頑張って」
「いや、あのコレ…ただの絆創膏なんですがぁ!?」
礼はいらねぇよ…
その喜びの叫び…胸にしかと、受け止めたぜ
「馬鹿。どう見たって絆創膏でどうにかなる怪我じゃないでしょうが」
「どきなイル。怪我の方は私がどーにかするから」
…あり?僕の対応、雑ですか?
「そうか。じゃあ俺続き食ってるぞ」
「後片付けせいや。アレ」
アレって…ああ、ぶっ壊した壁のこと?
確かにアレは後片付けが面倒そうだ…ま、頑張って。
「ええい…なにをしている凡兵共!!束になって、男1人すら抑えきれんのか…」
ああ。最初に殴ったやつ、まだ意識あったんだ。
起きて早々、部下への叱咤激励たぁねぇ…随分なこった
「もういい!こんな無能共に、これ以上俺の身辺警護任せるわけにゃあいかねぇな」
なんだい、おもむろに懐へ手ェ入れて…
まーた銃でも取り出すのか?
言っとくが、いや考えとくが。
銃火器何本持ってこようと、俺等には敵わねぇ
「試作品だって言うが…試してやるか。起動!」
あん…野郎の取り出したアレ!アレの匂いは
「これで、動ける?」
「マジか…あんだけ痛かったのが、嘘みてぇに」
「テメェ等!!伏せろ!!」
「え?」
あの匂い…爆薬だ!!
この店ごと、全部!吹き飛ばそうってのか!!
「死ねい馬鹿共!!BOMよBOM!!もう丸ごと、消し炭にしてやるわぁ!!!」
クソッ!
この距離じゃ無効化するにも間に合わねぇ!!
「くおらぁ!!」
<ヴィシュン!!>
「へ、ああ!?爆弾が消えた!!」
一瞬で、野郎が手に持っていた爆弾が消えやがった…なんで?
「たぁく…いつまでドンパチやってんだ、下の階は」
「貴方もいつまで…私のことを…殴り続けるつもりですか」
「おう、これで終いだ」
「ぎゃあ!!」
「なんだぁ、おい!!いったいどうなってやがる!!」
「どうなさいました!!長官!!」
げ!?店の外からゾロゾロと増援が!!
流石にこんだけの数、相手にすんのはキツいぞ…
「おお!丁度いいとこにきた…アイツ等だ!アイツ等がこの騒ぎの元凶だ!今直ぐにひっとらえろ!!」
「ハッ!」
しかも早々に目ぇつけられた!
ヤベェよ…襲われちゃう流れだよ、これ
「イル…どうすんのこれ?」
「どうするもこうするも…こんな数、相手にすんのもめんどくせぇ。となりゃあ…」
「ぎゃはははははははははは!!!!人様のことぶん殴りやがって、このカスが!!
今度こそテメェ、ギャフンと言わせてやるかっぶべらっ!!」
「逃げる!!」
悪いなぁ…また足の裏で踏んじまって。
まぁ人様のことカス呼ばわりしてくれたんだし?
どっこいどっこいってことで
「イル…アンタと連んでればやっぱり、こんなどんちゃん騒ぎになんのよね!!」
「アルちゃん。そいたぁ心外だぁね…
こっちもなりたくってなってるんじゃねぇよ」
「後先考えないから…んな面倒なことばっかになんですよ」
「同感だ。この人と一緒じゃあ、厄介ごとが多すぎる」
こいつ等…人のことなんだと思ってんだよまったく
「逃げたぞー!!追え!!」
おっと。早速追手か
「つーわけで。あんまし戦って被害拡大すんのもアレだから、別れて追手を振りきんぞ」
「再集合場所は?街の外でいいか…」
「おうよ。各々どうにかしてな。
てことで散開!あミシェルちゃんは一緒ね」
「ほい」
「どこ行きやがった、アイツ等!!」
「探せ!草の根分けても探し出せ!!」
さーて、しつこいぐらいに追跡して来るなぁ…連中
どうにかこうやって、路地裏のゴミ箱に身を隠して撒いてるが
「ちょっと…イル、臭い」
「ミシェルちゃんそれは、俺じゃなくてゴミ袋が臭ってんだよ。直ぐ隣ゴミ捨て場だし」
「いやアンタ、昨日風呂入りました?」
「昨日?昨日は入ったろうに…朝帰りして直ぐだけども」
「それだよ、入ってないと一緒だよそれ。なんかすっごく酸っぱい臭いが…」
「何、足の裏の臭い?それともさっきスカした時の…」
<ゴズ>
「うボレア!?」
いきなり蹴ります!?
オモクソ外に放り出されちゃいましたよ!
「ちょっとミシェルちゃあん…こんなに騒いでると、直ぐ敵さんに感づかれちゃうよ」
「そんときゃそん時ですよ…んなことよりアンタ、アンタが不潔なのが問題だよ。
しばらく私に近づかないで」
「あ、ちょ…待てって。分かった、今日は一緒にお風呂…入ってあげるから」
「見つけたぞ!あそこの路地裏に」
げ!?やっぱり見つかった…
めちゃくちゃこっち見て来てるよ、がっつり見つかっちゃってるよ
「どーすんのミシェルちゃん!隠密作戦失敗だよ」
「たく…こうなったら」
<ボガ!バキ!グシャ!>
「がはぁ…」
ああ…蹴散らしちゃった
女の子が暴力はいかんよー、もう
「て。前線に無理矢理引っ張り出させてる、私の言えたことじゃあないんですけどね」
「誰に向かって言ってんですか…それより、とっととこの街出ますよ」
「はーい。でどう行きます?この街出る言うても、そっからどこまで逃げましょうか」
「どこまでって…元からどこ行くつもりだったんですかアンタ」
弱ったなぁ…
もうこっからのルート、何にも考えちゃいませんよ
あと2人、仲間集めなっくちゃいけないのはいけないんだけども…
その2人に関してはどこにいるかなんて情報、まったく聞かないしなぁ
「んまぁ、テキトーに生きときゃ人生どうにかなるでしょう」
「少しは真面目に考えなさいな…そんなんだからコレ、こんな状況に陥ってるんでしょうが」
「くよくよしても仕方ないでしょ。
行動あるのみ…手始めに、逃走用の車でも取ってこようか」
「そうですね、足は欲しいです」
決まり!
俺等の目的は決まった…ツーことで
アイツ等もどうにか逃げて来てくれることでしょうし。
それまではミシェルんちゃんと、世界中をドライブと行きましょうか!!
「ちっくしょう…連中め、何の恨みがあってこんなこと」
「あの、恨みも何も。
アレだけのことを大衆のど真ん中でやってしまっては、仕方ないことかと」
「ああん?テメェも文句あんのか…そんなんだったら」
「ありません」
「否定!?いや、否定しきれねーだろ。聞いてたよ、前の発言全部」
「しかし、なんでわざわざ本社になんて戻って来たんですか?
先方の連中は置き去りだと言うのに」
「その挙句無視かよ…いいよ、もう。
そんなことより、これ見ろコレ」
「コレは…」
本社最奥、長官室にて
その男が取り出したのは、それっぽい…
明らかな、最終兵器のボタンだった
「コレはな。この街全体を包囲する鉄壁の守り…
この街全域を強大な包囲網、いわば牢獄に変える悪魔のスイッチよ!」
「なるほど。それを使って、この街を完全に封鎖すると。
街民になんの告知もなしに」
「告知なんざ必要ねぇよ。
なんせこっちは、その街民達のためにやってることなんだからなぁ」
「流石に反発を招きますよ。
その設備があること自体、街民に知らせもしていないで…」
「ごちゃごちゃうるせぇなあ…
だったらテメェ一人でどうにかしやがれ」
「いえ、それは面倒なので」
「…そうかよ。
んじゃいっちまうぜ?ポチッと…」
「はいポチッと」
「な!?お前が押すのかよ!」
「夕焼け空ぁがぁ〜落ちそぉうなぐらいにぃ〜どっちり構ぁえったぁ〜大きなぁ〜夢の〜アンドリュウ〜」
「なんですか、その音程が合わな過ぎる歌声は。
最早プロの領域ですよ、下手さが」
「なーに…こんな清々しいドライブの最中だ。
歌の一つも歌いたくなるでしょうって」
結局、盗んだバイクで走りだしゃしなかったが…
盗んだ車で走り出しちゃった、てへぺろ☆
ミシェルちゃんと2人きりでオープンカー…
燃えてくるぅ!
「風もきんもちええし、このまま…
海辺まで行っちゃおうか!!」
「なんでですか、バカですか?
外で仲間さん達と合流するんじゃなかったんですか?
それに…ボンネット引きちぎったの、貴方でしょうが…
気持ちいいもクソもあらへんがな…どうすんの?
この車、借り物でしょうが」
乗りで…そう、乗りで…屋根、取っ払っちゃったかな?って
いいじゃん、ムードでるじゃんってこれ
「てやっぱ風で冷えちゃうか、幼女だから」
「その幼女に露出度高い服着させますかぁ、普通?
てかほれ前」
前?前向けって、ああ
追跡の早いこって
「来た、来たぞ!!やつらだ、止めろぉ!!」
「回り込みかぁ?いや、ここは関所か。
最初っから駐屯してただけの兵士ちゃんに、このカートが止められるかな!!
どの道…このまま突っ込んでやるぜ!覚悟はいいな!」
「免許持ってましたっけ?」
「原チャリならば!!」
突っ込むぜ!!このままフルスピードでな!!!
門ごとふっ飛ばして、街から脱出よぉ!!
目の前は門!固く閉ざされた壁門に、一切の速度を落とさずに突っ込むイルティラ!!
それどころか、速度は上がり続ける!
メーターの全てを振り切りながらも、速度は…
「おっしゃあ!!最高速度到達…
いけるぜ!いっちゃうぜ!このまま速度の先へ
時間をも超えた先の、異次元へ!!」
「目的変わっとるがな」
Urrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いらねぇさ、俺を縛るものなんてなぁ…
何に遮られることもない、法定速度を振り切った世界に
俺は…たどり着いていたんだ
「ったぁぁぉぉぉぉぉお!!!!????
馬鹿な!車に乗ったまま突っ込んできやがった!!」
「待避ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!
このままじゃぺしゃんこにされるぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇえぇ!!!!!!!」」
<<バシぃ!!>>
突破ぁ!!いったぜ…関所は抜けた!!
このまま外に…って!?
<<<ズドォォォン!!!!>>>
もうこの街を抜けた!
そう確信していたイルティラは、度肝を抜かされた!!
後ほんのもう少し、ギリギリ車の先端が出ていたというのに
突如!車の車体が宙に浮いたのだ!!
「どぉなってるこりゃあ!?」
「それより飛びますよ!!
このままじゃこの車体は、ひっくり返る!!
振り落とされる前に、早く!!」
当然、ミシェルちゃんの判断は正しい…だが!
これは単に宙に浮いたわけじゃあない!
下だ…下から壁がせり上がってきてるんだ…
このまま、街側へ落ちようものなら
今度はこの壁に脱出を阻まれる!!
だったら逆に!!空へ飛ぶ!
俺は飛べるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
「と、強く念じても。結局空飛べないんだよね、テヘ」
「なーに言ってんだアンタ」
あーあ、それでも落下中なのは変わらないのね
けっこーなすぴーどで墜落してるこった、こらぁ…
ちょっと痛そうかな
「アベシ!」
「着地っ!」
いったぁ〜、顔からいった。
なんかミシェルちゃんだけまともに着地してるし…
「もーう、ミシェルちゃん〜。
なんなら、お姫様抱っこで抱えてくれたって良かったんだよ
期待して落ちたのにぃ」
「ぶりっ子してもキショいだけですって」
「辛辣ぅ…
んなことは置いといて、どうすんのぉコレ」
壁が出てきましたよ、地中から
うーわ見上げても足りないくらいまで伸びてる…
こりゃあこの街一周囲まれてますよ、どうしよ
「コレじゃ外出れませんね
イルさん、とっととこの壁ぶっ壊しちゃってください」
「早速ぅ〜?
もうちょいワナワナせんと、敵さんも満足せんでしょう」
せっかくこんな大掛かりな仕掛けまで動かしてくれたんだ…
そんなドキドキイベントを、即解決しちゃあ…面白みってのがね
「まったく…なんと言おうが、いつも通りのナメプじゃないですか
いい加減足掬われますよ、それ」
「いやぁでもね、コレは大魔王様らしい余裕であって
自信と威厳の象徴ってやつなのよ。
絶対俺、勇者が目の前まで来てHPギリギリだったら回復させるよ?
勇者全快の状態で完封しますよぉう、私」
「シンプルなクズですね」
「シンプルに心に刺さる言葉よね…」
みゃ、みゃああ?こんな状況だ
おそらく連中の方が、動いてくれてるんじゃないかなぁ
一方、この壁を出現させた側の反応は!?
「凄い…立派なのが生えてきたな」
「貴方が作らせたんでしょう。
何を今更驚いてるんですか」
「いやぁ。図面と実物とじゃあ、スケールが違うってか
百聞は一見に如かずと言うだろう、それだ」
「兎にも角にも、コレで『偏食者』の確保は完了した訳ですが。
そこからどうするおつもりです?」
「そこはどうにかしろよ。
俺の仕事はここまでだ」
「そう言うと思いましたよ…
まぁ、お任せください」
「………と、早いな。もう来たぞ」
「早くも感づかれましたか、
ここが司令塔だと」
確かにそうだ、こいつと入れば仕事は早い。
だけどこんなとこにも無策で突っ込んじまうとなると、アイツよりタチが悪い。
「アルマリッサ…ここで良いんだろうな」
「ええ、ほぼ間違いないでしょう。
だってそうでもなきゃ…」
ああ、そうよな。こんなに…
「敵に囲まれることもなかったろうに」
ヤベェよ、マジモンの拠点だよ。
そこにノックして入ってったからねぇ、この人
そら兵士さん総出で、私達囲むはずだわ
「無駄な抵抗はやめろ!君達は完全に包囲されている」
まさか本当にこの言葉を聞く時が来るとは…
先に教えとくが、ウチのお袋はもう逝ってる
「天国のお袋さんに泣いて欲しくなければ、
速やかに手を挙げて投降しなさい!」
なんでバレてんの?なんでお袋臨終してんのが前提になってんの!?
「だそうよ」
「だそうよじゃねぇよ…
降伏するつもりか、テメェ」
「そんな、柄に無いこと言うんじゃ無いわよ
アンタも私も、後退のネジなんてとうの昔に外してるクセに」
「そうだな、ここも…押し切るしかねぇか」
「君達、人の話を聞いているのかね!!
黙って突っ立って無いで降伏しなさいと言ってるんだ」
一応…聞いとくか
「おいテメェら!
揃いも揃って銃なんざ向けてくれてるが、死ぬ覚悟が有ってのことだよな!」
「は!?何を…」
「言っとくが、こちらは一切の容赦をしない。
死人が出ようと文句は言うんじゃねーぞ!」
「何を言っているのか分からないが…
そんなもの、ここに居る全員!覚悟の上だ!!」
言質…取れたぜ
「そーかい。じゃあせいぜい気をつけな
なんせコイツは」
「なに…もう1人はどこへ消えた!!」
<ヴァシッ!!>
「た…隊長!!」
「アンムア…ふー、マッズ」
…いつ見ても良いモンじゃねぇな
人の心臓が食われとるシーンなんざ
「コイツ…『偏食者』だ!!」
「まさか、ここに!?ぐはぁぁぁぁっぁ!!」
抉り取る!
心臓を…胸の肉と共に!!
そして味わうのだ、心ゆくまで!彼女は
「はぁぁぁぁぁぁんっ、、、、、、、
上がって、来たああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
『偏食者』アルマリッサ・ローズファニー !!!
次回予告
イル:はい次回もまた!僕等の回だよやったね
ミシ:最近無駄に出番多いですよね
アル:言うてぇ、次回のメイン私だしぃ
リゲ:ま、俺等の活躍もあって良いでしょうし
イル:アレェ?もしかして次回
ミシ:私達の出番なしですね
イル:うそぉん
アル;まま。下手に登場してきても、私の活躍に埋もれちゃうから。今回ばかりは自粛してもらおうか
イル:うるっせぇ、んなもん知るか。俺は輝きたいんだよ…だってこの作品の主人公は
ミシ:貴方じゃ無いですよね
イル:きっぱり言わんといてぇ…
リゲ:まーたしょげた
アル:そんなわけで、とっとと次回…いっちゃおうか
次回 究極形態:九十九式
リュ:主人公は…この俺だ!
イル:テメェかゴラァ!
リュ:ブベシッ!




