第19話 戦力図…いや、これどう見ても無理なんですけど
前回のあらすじ
リュ:ちょっと最近このコーナー…機能してなさすぎじゃない?
ハァ:そうね、流石に今回くらいはまともにやりましょうか。
リュ:言うて俺前回のこと、何も知らんのだけども。
ハァ:じゃなんで言った
リュ:いやー、そういう気分?
ハァ:どんな気分よ…あそうよね、アンタそういうやつよね
リュ:んまともかく。今回も、いっときますか?
ハァ:はいじゃあとっとと第19話、よろしく。
「えっと…じゃあ、読むわよ」
「ああ…」
「まったく…どこの誰からよ、こんなの」
「ワクワク!文通はドキドキだね!」
「そーだね!そーだよね!一通の文通から始まる…恋の予感」
「あのそこの娘二人、黙っててちょうだい」
「「はーい」」
先日…魔神共の襲撃を受けた私達は、一旦アマンダさんの家へ引き返すことにした。
これからも奴等に対抗するために、この家を拠点にさせてくれると…アマンダさんからの了承は得ているから。結構簡単に許してくれたわよね…
それで一日休んで、朝起きるとびっくり!
家の屋根一面、ビッシーとなにかが生えてるじゃないの!
それがなんだか…屋根登って確認したんだけどね、柳犁が
そしたらこれ、矢文よ。矢文だったのよ
そして現在、その矢文の内容を私が音読することになったの。
最悪、これが呪いの類だとしても、それに対しての抵抗は私がいっちばん高いからね、適任ってわけ。
まぁ、持った感じただの手紙なんだけど…さて中身は、ピラ
「どっ…どうだ?ハァリナ。なんて書いて…」
「はいはい読むから待ってなさい。えっと、なになに?」
拝啓 天理柳犁様
最近、なんか熱くなってきましたね。
この時期になりますと、昨日まで恋しかった温かいオフトゥンが忌々しく感じてきます。
そんな中、いかがお過ごしでしょうか。
私は元気です。今からでも、屋上に出て叫びたいくらいには元気です。
本日はどうしてもこの手紙を受け取っていただきたく、矢文にして1870通ほど射抜かさせてもらいました。
今この文章を見てもらえてるということは届いたんですね、うれしぃです。
さて、本日どうしてこのような手紙を寄越したかと言うと…
「ようやく本題か…なんだ、このクソどうでもいい前置き」
「こんなもの送りつけるためだけに、我が家の屋根は穴ボコだらけにされたのかい。ハァリナ、とっとと送り主の名前言ってちょうだい。血祭りだよ」
「つーこった。それだまた、俺宛だってのが気に入らねぇな。どこのどいつだこんにゃろ」
「今人が読んでるんだから、邪魔せんといてくーさい。はい続き!…て、え!?」
「…どうした?」
「と、とりあえず…読むわよ」
続きはこちらまで↓
「は?」
「と…地図が同伴されてるんだけど。矢印の先に」
「つまり、そこまで来いと」
「私に聞くなって…でも、多分そう」
瞬間。真顔て聞いていた柳犁とアマンダ、両方…般若と化す
「ふざけんなよおいゴラァ!!」
「さんっざん回りくどいことしといて、挙げ句!自分からこっちこいだぁ?ふざけんのも大概にしなよ!」
「その地図くれ」
「はい」
地図を確認する柳犁
しかし、この付近の地理など頭にないため
アマンダさんに場所の特定をお願いする
「えっと…どこです、ここ?」
「これはサピラの街ね。こっから、二つ先の街」
「あざます。じゃあちょっと一飛び」
「そうね、いってらっしゃい」
「気おつけて行きなよ」
「お土産よろしくー!」
「お菓子も!」
「へいへい。っと、ほい」
<<<ヴイシュン!!!>>>
柳犁!差出人暗殺のため、参る!
「さて、一瞬で来れるチョー便利」
地図で見ただけで、ここまで正確に飛べるんだ…俺の瞬間移動
近距離なら俺の足力が勝るけども、やっぱこう長距離となるとこの能力…使い勝手がいいよなーあ
「て、んなことより。あんの手紙の差出人はぁ、どこにいやがる?」
いやね。街の場所はわかっても、街ってクソ広いんだよ?
この中で差出人一人探せって…思えば、相当鬼畜な気が…
周りを見渡す、と…なんてこたーねぇ、普通の田舎街だが。
余計に探すの難しくねぇか?
「いや、そうか。別に俺が探さなくとも…向こうが察知してくれやいいんだな」
考えはついた
前にオルテンシアさんに言われたっけか?
俺は魔力はからっきしだが、それ以上に『個』として察知し易い気力が垂れ流しなんだってな
もしこの差出人が、一度でも俺と会ってるんならば…
その気を察知して、俺の方まで出向いて来るはず!
「リューリさん気放出!さぁさぁ、いったい誰が釣れるかな?」
………と、流石に道端じゃあ目立つか
さっきから通行人の目線が痛い…
…そこの飯屋でも入って、待っとくか。
「クフフ…手紙、届いたようですねぇ」
「アムアムアムアムお、これ美味い」
<ガツガツガツガ>
一応、金持ってきたんが功を奏したな。
いかんせんこの街の飯、美味い
話に聞くとどうにもこの街は、飛空艇での他大陸との公益が盛んで、世界中の食材が集まってくるらしい。
そら山ほど有る食材の中から美味いもんだけを店に出しゃ、美味いもんだけしか食えねぇわけだな。
「おっ、お客さん…これまた随分な食いっぷりでぇ。厨房のもの共の調理が追いついてませんて…料理の追加、すまねぇが遅くなりそうだ」
「別にガブ!気にや止めねぇアム!よ。遅くても、料理さえ出してくれりゃ俺はゴックン!」
「そ、そうですかい?……(なんだこの量…もう、4〜50人前は軽く平らげてるぞ…)」
「にしてもうんめぇなあ、ここんち。食材が豊富だからって、どこもかしこもこんな美味くなるもんなんかいガブ」
「え、そーですねぇ。確かに他国から集まる多様な食材が目当てで、この街には腕の良い料理人が店をかまえまくってる。家もその内の一つだが…確かに、この街に来てから格段と店に来る客足も伸びた。これがまた皆グルメでねぇ、料理人の俺でさえ知らない用な調理法を知ってやがる。『食欲』の賜物だね、この街は。街に住む人間一人一人の食欲がさらなる旨味を目指し、この街は形作られてきたんだな」
ふーん。旨味の追求ねぇ…
そうやって、今までも美味い料理が生まれてきたのか。
俺も長らくのサバイバル生活で、食えるもんは何も手ぇ加えず食ってきたけど…やっぱりキチンと調理したのが良いな
…料理、勉強しましょうかね?
「んじゃおっちゃん、素人にも作り易い飯って言ったらなんだい?」
「作り易い飯かぁ…それじゃあ兄ちゃん、今はどんだけのもん作れんだよ?」
「質問文に質問文でか…おっと、そうさなぁ。お茶漬け?」
「兄ちゃんそれ、料理とちゃうよ」
「そうか?ガブリ」
まったくの素人よな
台所に立った覚えないし、包丁なんて握る機会ないし。
刀なら飽きるほど振るってきたが、包丁となると…
けど、生物の構造なんてほとんど一緒か
う〜ん。狩った獲物の肉ぅ取ってたときの感覚でやりゃあ、ある程度包丁もいけるとみたね。
けどそうじゃない。料理で肝心なのは、その味付け。
その秘訣を…俺は知りたいんだ
「おっちゃん。これチャーハン、作るときどんな味付けしてんの?」
「そらぁ秘密だね、流石に教えられんよ。うちの企業秘密」
「ええー。」
「けどまぁ。兄ちゃんに教えたところで、なんの問題もねぇか」
「え?いいの。なんか軽いなぁ、その企業秘密」
「教えちゃやるが、他の店にふれまわっちゃ駄目よ。この料理は、あれこれこうしてな?」
「ふむふむ。そーしてあーして、こーすると」
「その通り!後ぁ実践あるのみだな。帰ったら、とりあえず作ってみ?まぁ最初はそりゃ上手くはいかねーだろうけどな。そりゃ一朝一夕で簡単にできちまったら、俺の顔が立たねぇよ」
「ありがとよおっちゃん。早速帰って試してみらぁ…ご馳走さま!」<パチン!>
手と手をあわせてご馳走さま!
さぁて、腹も膨れたし…帰るか
<バン!>「きゃぁ!!」
…と思ったが。何やら只事じゃねぇ音がしやがったな
「銃声か…おっちゃん、下の方でなんかあったみてぇだぞ」
「なんだよ店の中で!一体誰が、銃なんざぶっ放してんだ!」
俺が飯を食ったカウンター席のすぐ横、螺旋階段の下の階から聞こえてきた…
この店、けっこーでけえから。何者が入ってきたのか、入り口も見えやしなかったが…間違いなく、飯食い処で起きていい出来事じゃあねぇな
「おっちゃん、アンタはここで待ってな。俺がちょいと、下の階見てきてやるよ」
「はぁ?いや、お客にそんな役任せるわけにゃいかねぇ!ここは俺が…」
「なーに心配いらねぇさ。俺には何も起きやしねぇよ」
対人用の銃弾なんざ、俺の皮膚も貫通できねぇよ
「ほ、本当か?じゃあちょっと見てきてくれ、ちょっとだけだぞ!馬鹿げた真似だけはすんなよ…」
「おうよ。死なねぇくらいに見てくるわ」
まっ、うまい飯の礼だ…どっこいしょっと
ん?流石に食い過ぎたか。ちょっと体が重いな…
いうて問題はないっしょ、よし行こう
階段下って〜ほいチラ見
「うっ……ぐはぁ!」
「なんだ人違いか…まぁいい、次行くぞ」
なんだいあれは…
なんかあれ、派手な服来た奴が銃持ってやがる…あの音だな
それと撃たれたのは…なんともガラ悪いおっさんだこと
酒飲みの喧嘩にゃ見えねぇが
「しっかし本当に居るのか?例の奴は…どいつもこいつも外ればっかりだが」
「ハッ!被害状況から見て、未だこの街に滞在中かと」
「チッ!今日中に見つかるんだろうなぁ…こんなことに何日も使いたくねーぞ、俺は」
うわよく見たらすっげー警備の数
あの派手派手野郎…何かしらの権力者か?
「ひ、酷え!コイツが何したって言うんだよ!!おい!大丈夫か!」
一人、あの撃たれたおっさんの仲間か?
奥の方から駆けつけてきたが…
「酷い?おいおい、これの何処が酷いってゆーんだよ!ああ!まさか俺が何者かぁ、知らねぇっつんじゃねぇだろうな」
やっぱりか、アレ
図に乗った権力者タイプだ、めんどくさ
「俺はこの街の警備長官だぞ?この俺が悪い奴捕まえてやろうって『正義』に命張ってんのに、紛らわしい面してたソイツが悪いんじゃねぇか!ええ!」
馬鹿か?アイツ、馬鹿なのか?
「言っとくが俺に文句があるんだったらなぁ、ソイツごとテメェもムショ送りにしてやるよ!分かったら、これ以上捜査の邪魔はしないでいただきたい」
「そんな…あんまりだ!」
「ああん!今この俺に対しての不服を言いやがったのか!」
おっさんの仲間にまで掴みかかりやがった…
「よぉし分かった。そんなにムショ暮らしがしてぇらしいな…おいテメェ等!とっととコイツ等を連れて行きやがれ!」
「ハッ!」
腐った権力図の悉くを体現してやがるな…アイツ等
「ちくしょう、好き勝手言いやがって!」
「そうよ!その人がなにをしたって言うのよ!」
「いきなり押し掛けて人のこと撃ち抜いといて…なにが正義だ!」
「ふざけんな!なんの権限があってこんな…」
おうおう、反発しますなぁ人民諸君
しゃあねぇ、あんな悪行晒してちゃあ。ブーイングもねぇってのがおかしいぜ…
<バン!>
あっ、また銃撃った
でも人には当たってねぇだけまだマシか。後ろの壁にゃ穴ぼこ空いちまったろうが
「黙れぇ!今俺がどれだけの相手を追っているのかも知らねぇで好き勝手に言いやがって…いいか、今この街にはな!!」
「うるせぇ!!」<ビシッ!>
「うボルぁ!!?」
は!?殴った!
まったく関係ぇない奴が殴り飛ばしやがった!!
「ちょ、長官ーーー!!貴様…なんということを!!」
「うるせぇ!今飯食ってんでしょうが!騒がしくておちおち飯なんて食っちゃいられねぇじゃねぇか!!なぁ、ミシェルちゃん」
「アンタが一番ウルセェよ」
「あーああ、手ぇ出しちゃった…めんどくせぇよー、めんどくさくなるよーこれ絶対」
「ちょっとイールー?これ以上うるさくはしないで頂戴」
「ええい、皆構えろ!銃を抜けぇーー!!」
ああああヤベェよ。黒スーツの護衛皆様やる気だよ!!
なにやってるんだあの酔っ払い!少しは相手見て喧嘩売って!
仕方ねぇ…このままじゃあの人、集中砲火でお陀仏だよ!こうなりゃ俺が手ェ貸すしか…
<<<ドゴォォォン!!!>>>
………へ?
「いや…アイツに静かにしろとか、無理だったわ」
ぶっ飛ばしたアアアアアアアア!!!!!!!一瞬で護衛全員ぶっ飛ばしたアアアアアアアア!!!!!!!
へ、何?何者!?ドユコト!?
「店の壁に大穴空いちゃってるじゃないの…だから暴れんなって言ったのに。修理代とかどーすんの」
「かまわねぇだろ…払うのあの人なんだから」
「うちの家計です」
「「あ、すんません」」
強すぎんだろ…
俺にゃ全部見えたぞ。あの一瞬、とてつもねぇスピードで一人ずつどつき回してた。
的確に、一人1発ずつ!10人以上はいた連中を…
「あ、アンタ…ありがてぇ、あの連中をぶっ飛ばしてくれて!」
「あん?なんだそいつ…血塗れじゃあねぇか、大丈夫か?」
「え、は?さっきの見てないの!?」
「取り敢えずこれ使え、な?応急処置にしかなんねぇだろうが、無いよりはマシでしょ」
「はい?なんですかコレ」
なんか手渡したよ…血止めか何かか?
「じゃ、頑張って」
「いや、あのコレ…」
………あり?アレって…
「ただの絆創膏なんですがぁ!?」
血すら止められねぇだろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
「馬鹿。どう見たって絆創膏でどうにかなる怪我じゃないでしょうが」
「どきなイル。怪我の方は私がどーにかするから」
「そうか。じゃあ俺続き食ってるぞ」
「後片付けせいや。アレ」
なんだよあの4人組…もういいや、関わらんとこ
この状況で余計に面倒毎テイクアウトしてどうすんだよ…戻ろ
「よーおっちゃん。見てきたぜ」
「大丈夫、全部聞こえてた。それよりこのお客さん、相席になったから」
「カウンターに相席もねぇだろ。かまわねぇよ…アンタもそれでいいか?」
「かまいませんよ。今宵は元より、一人で飲むつもりではありませんでしたから」
「そうかい、俺に付き合ってくれるかい。悪いが、相当な絡み酒だぜ…俺ぁ」
「ふふふ…それぐらいでないと、面白味も欠けるというもの」
「おっちゃん…エゲツない度のヤツくれ」
「エゲツないって…具体的にはどんくらいよ?」
「そうだな…例えば」
<<バギッ!!>>
「ルベルしゃあッ!!!
「この割れた酒瓶より」
「角『度』!?つかいきなりそのお客さんに何してんだあああああ!!!!!」
何やっただぁ?酒ビンで頭ぶっ叩いてやっただけだぜこんちくしょう…
んのままかち割れればいいもんを…無駄に頑丈だよなぁ
「ク、フフフフフフ……まだ始まったばかりですよ、もう酔ってるんですか…みっともない」
「あいにくシラフだよ。なぁ、手紙の差出人さんよぉ」
「フフフ…あの手紙ですか。ええ、アレは反省してますよはい。流石に1341本は放ち過ぎたかと…」
「2398本だ、きっちり数えてきたんだよ…突き刺さってたの全部」
「そうですね、どの道やり過ぎましたよ…あの、謝りますから…その構えた酒瓶2本目、下げて貰えませんか?」
「こうか?」
<<バギッ!!>>
「アァッ!!」
「リチャード|?クラッチズールだっけアンタ?アークの友達の…」
「友達じゃありません、断固として。せいぜいただの昔馴染みです」
「はいはいそうだね。で?俺に何の用」
「話に聞く以上に人の話聞かないですね貴方…いやしかし、そちらの方が手っ取り早い」
…コイツとは面識しかねぇからな。必要以上に疑ってかかってる
目的が一緒だって話だが、はっきり言ってそこんとこの信憑性は薄い
付き合い短いし…アークから何も聞いちゃいねぇからな
「では御希望通り、単刀直入で話させていただきます。今回貴方を呼び出したのは、折り入って二人だけの会談の場を設けたかったからです」
「二人だけでか。どうりでアークの野郎が居ねぇ筈だ…アンタとつるんでたんだもんな」
「彼の話はまた別になりますが…まぁ、そこはいいでしょう」
「んで?俺にだけ話したい話ってのはなんだ。わざわざおっちゃんにも退いてもらって…」
「ええ。貴方にだけ、否…貴方本人の、これからの身の振り方についての話です」
「身の振り方?」
見の振り方もクソも…今更あるかよ
コイツも分かってる筈だ。俺がこれから、何と喧嘩しようとしてんのかを
「現在、貴方は女神打倒のため動いています。それは彼女を…神の子を守る為」
「サーシャだ。名前で呼べ、こんにゃろ。アイツを神の子呼び方すんじゃねぇ」
「クハハ…よほど気に入っているようですね、その娘を。しかし何故?出合ってたった数日の娘にそこまでの好意を抱けるのですか?」
「一目惚れだ。あのプロポーション…言ったって分からねぇだろうが、それに心を奪われねぇ男はいねぇよ」
「…ええ、分かりませんね。でもまさか、そんな理由でこの戦いに身を投じるとは…」
「どうとでも言え。それに、今となっちゃ戦う理由は…それだけじゃなくなっちまった」
そう…サーシャを守るだけじゃねぇ。
俺は、ウル・キースをも狩らなくちゃならねぇ
どっちみち全部、俺の決めた戦いだ…後悔はない
「……成し遂げる『覚悟』。それが無ければ話にもなりませんでしたが、安心しました。そんなものはとうに出来ていたと」
「ああ。だから見の振り方もクソもねぇ…俺はこのまま突き進むだけよ」
そこで男は一服、グラスを啜る
この決断に後悔はなしとしていても…どこか悔いの残る瞳をして
「いいや、出来ますよ。貴方なら…」
「世辞はよせ。誰がどう見ても、状況は絶望的…つくづく馬鹿な喧嘩し始めたもんだ」
「お世辞ではないですよ。なんなら、勝利の算段もついてます」
「なんだそりゃ?本当かよ…」
「はい」
「はっきり言うな…それじゃあ聞かせてもらおうか、その勝算とやらを」
「ではまず…現状を再確認してもらいましょうか…」
同時刻
王国中央において、各勢力の会談が行われていた!
「お集まり頂きありがとうございます。かくしてはこの新国王、ヘルニア・ハンより礼を申し上げたい」
新国王『ヘルニア・ハン』
頑なに女神との共同を拒んだ前国王にて父『ウルムラド・ハン』に変わり、王国全土の実権を手にいれた!
「いえいえ…貴方の働きがなければこうして、我々女神も貴方達と手を組むことはなかった」
女神長『アルティレル』
天界の実権を担う女神!
ヘルニア・ハンと共謀し、ウルムラドから国王の座を奪い取った!
よって今、ここに協定を結んだのだ!
「ふん…若輩の王が。手を組むにしても、その役。貴殿では不足ではないのか?」
魔神総括『ガウル・レグルス』
前回、船ごと落とされたがなんとか無事だった!
「なにを言うかレグルス殿。今回の協定、ヘルニア殿無しでは到底実現不能であった…それを成し遂げた実績こそ、彼の実力を指し示しているではないか」
「なるほど…ある程度の実力はある、有能な王か。しかし、経験がものを言うのも事実。それにしては、いささか若過ぎるのだよ…君は」
「レグルス殿。確かに貴殿の心配事は正しい。このヘルニア・ハン、例え王として役不足であろうと…先代、我が父を落としてのこの地位だ。少しでもこの覚悟は伝わってほしいものだな」
「すまぬ、悪かった。懐古厨は見苦しいものよな…王たる器、一度拝見しておきたかったのだよ」
「それはお互い様でしょう」
女神。王国。魔神。
各勢力のトップが一同に会するこの会談
その勢力の中核たる人物達も、勿論ここへ集っている
「レグルス様。これ以上の無礼はおやめください…」
『魔神』アリエス・メーヴィル
「そうですよ。ただでさえうちの勢力…二人しかいないんですから」
『魔神』ウル・キース
「ええ…今それ言っちゃう?それこそ大事な会談の途中だよぉ」
「さっきから威厳出そうと頑張ってるのはわかりますけどね…まったく、その片鱗も感じませんから」
「ちょっと!それでも君達のトップなんだよ私!」
「シッシッシー。あっちのトップも、うちの女神様並みに部下との距離が近そうデシな。仲がいーのは結構結構」
『八大天使長』ペンパド・ジーサズ
「そう言ってやらないのペンパド。うちの女神様はフレンドリーなんじゃないの、ただ舐め腐られてるだけなの」
『八大天使長』ラ・カターナ・ベンク
「聞こえてますよカターナ」
「女神様。集中。会議中」
『八大天使長』ガマ・ルマ
「た、ちくしょう…どいつもコイツも」
「女神さぁん…そないな煽り、ぜーんぶ反応してちゃあ、きりがあらへんがな。そーゆー時にはムーシ」
『八大天使長』フォン・レッジョイ
「黙ってろエセ関西弁!弱ぇキャラ付けしてんじゃねぇよこの野郎!!」
「アドバイスにガチギレ!?」
「フォン君。仕方ないよ、彼女気が短いからさぁ?あんなのいつものこと、気にしなーい気にしない」
『八大天使長』トレイル・リードラッフェ
「そぅそぅ。気にした方が負ぁけ…ポジティブにぃ、生きなさぁぃ」
『八大天使長』ゴンザレス
「………」
「おたくも…苦労してんのね」
「あははははははは!!お二人共、良い信頼関係ではないか!」
「なんだと!それは聞き捨てならんよな、ヘルニア・ハン!」
「そうよ!コイツ等のどこが良いって言うのですよ!!」
「あっはっはははは!!だって、ほら…私の陣営
一人しか…来てくれてないですもん」
「言っておきますが私も。給料が変わらないのであれば今すぐ帰りたいです」
『頭角』マハード・オズマン
「皆様…」
「ええ」
「分かってます」
「これからも、頑張りましょう…解散」
場所は戻り、柳犁とリチャードの居る酒場
「そんだけの戦力差か。人数的には、もう絶望しか見えねぇな」
「そこそこの戦闘力を持つ戦闘員は、少なく見積もっても60万人以上…内別格が20名。こちらの戦力は10人もアテがないというに」
「言ってそれだけか。雑兵はどうにでもなるとして、問題はこちらの戦力…」
戦えんのは…俺、リチャード、アーク、ハァリナ
無事かわかんねぇが…ヴァル、オルテンシアさん、ゲルダさん、ゼルブラッドさん…
「やべぇ、泣きたくなってきた」
「今夜は私、フリーですよ」
「誰が悲しくて男に泣きつくか。あれ?おたく、もしかしてそうゆう気が」
「ありません。私も勿論、女性が好きですよ。いや、特に少女と言われる部類が…ですかねぇ」
そら男なんざ、俺もいやだよ…
ん?少女…
「ちょっとまて、それってロリコ…」
「フェミニストです。とでも言えば満足しますか?」
「いやどっちみちただの変態じゃ」
「貴方に言われたくないですね。あのサーシャとやらの格好…どう見たって痴女ビッチじゃないですか」
「馬鹿野郎、大事な部分だけはきちんと隠れてるだろうが。そのちょっともう少し見えないってのが、清純さを表してるんだろ?それがいいのよ、それが」
「相容れぬようですね…貴方も、アークと同じく」
「そういやアークどうした?オメェと一緒に行動してたんじゃないんかい」
まだ王国に居た時に、アークとコイツ。この二人が別で行動してたおかげで、女神へのカチコミは中断せずおえなかったんだ…
そいつがここまで逃げてきたってことは、アークも居なきゃおかしいんだが…
ん?もしアークが敵に取っ捕まってたとしたら…ここにいねぇのも分かる。
もしそうなら笑いもんだが…
「ああ、彼なら。王国ですよ、捕まってます」
やったぜ。
本当に捕まっていやがった!
いや、笑い事じゃねぇって…そりゃつまり、戦力が一人減ったってわけだかんなぁ!
やべぇよ…ますます勝利が遠ざかっていくじゃねぇかよおい!
「………どーすんの。戦力、大幅に減少したんですけど」
「まぁ、彼程度の穴。私にも埋められるんで」
「意地張んな、現実を見ろ。アンタがアークをどんだけライバル視してるか知らねぇが、ほぼほぼ半減するようなもんだろ?」
「確かに。私だけの実力じゃ到底…穴埋め出来ませんね」
「だったらどうすんだ…どうやって勝ちゃいいんだ俺達」
「これだけ無謀な喧嘩を売っておいて、今更後悔ですか…物事、キチンと考えて行動しなくては」
「いやぁね?俺一人でどーにかできるかなー、なんて調子に乗っちゃいましたよ…良く考えりゃ無理だろってーに」
「いいえ、無理ではありませんよ。貴方一人でもこの喧嘩…どうにかなります」
「………は?」
は?何を根拠にそんなことを
いや、俺をなだめてくれてるなら嬉しいんだけど…
テキトー言ってるんだったらぶっ飛ばすぞ
「『灼羅桜邏』…それが貴方の能力。その能力にこそ、可能性はある」
「俺の能力がか?」
「ええ。その能力…真に使いこなしたくないですか?」
「てこたぁ…つまり」
「御教授して差し上げましょう。能力の使いこなし方というものを」
次回予告
イル:よーし。もうこのコーナー完璧、俺達のもんになったな!
ミシ:元から誰も欲しちゃいませんよ。私達がここ来た時、既にもぬけの殻じゃなかったですか。
イル:それでもいーじゃん!帰る家があるってのはさ
リゲ:まぁコーナー云々はどうでもいいとして、仕事ぐらいはやっといた方がいいんじゃないの?
イル:そだね。どうせ次回もまた、僕等メインの回だからね〜
ミシ:いつまで働かにゃあいかんのですか私は。
イル:後3人!僕の仲間を集めれば、完了だ!
リゲ:ツー訳で次回、アイツか。
イル:そ!もう今回いたけどね、アルちゃん。
次回 偏食者
アル:どう?貴女は乗り気?
ミシ:案外




