第17話 大魔王様降臨!
前回のあらすじ
ミリ:ねぇねぇリューリ?
リュ:どしたのミリエル?
ミリ:最近一切前回のあらすじ言ってないけど、いいの。
リュ:かまへんかまへん。前回のあらすじとかなんざ、期待してる人いないから。
ミリ:いいのかなぁ?
リュいいんじゃに?
ミリ:そうだね、じゃあ今回始まろ!
リュ:アンタが一番あらすじしとらんで。
ミリ:では第17話!はじまりはじまり。
時は、柳犁が治療を終えた直後に遡る。
1つの目的を果たしたその男達は、次の目標が現れるまで悠々と…そう悠々と
「ミシェルちゃーん!こんなのはどうかなー?プリップリの、ブ、ラ、ジャ、アー!」
「素直にキモいですよ」
服を選んでいた
と言ってもこの、男の方。服の中でも、とりわけ露出度の高い服しか選ばず…最終的には、下着へと帰結した。
「んもう!僕はただ、ふっつーにミシェルちゃんに似合うかなーっ、て思ったものだけをチョイスしてるんだよ!それをキモイだなんて…ミシェルちゃんに人の心ってものはないのかー!」
「その心が、全力で否定してるんですよ…貴方を。もう、自分で選ぶんでどっか行っててください」
「はう!グスン…そんなこと言うようになっちゃったのね。お母さん悲しい」
「赤の他人だろアンタ…」
この男、イルティラ。
先程から、一つ一つの動作を大胆に。主に、腰を大きく動かしている。
それにどこか、劇場チックな雰囲気を漂わせながらの挙動…
彼女の視線からこれをまとめよう、うっとおしい。
「分かった。そんなに言うなら僕ちゃんわかった。向かいのカッフェでパッフェでも食べてますよ…あ、決まったら呼んでね。」
「はいはいどっかいけ」
そう言うと男は、そそくさと服屋を後にした
自分の選んだミシェル用衣装の会計だけはキッチリ済ませて
そして取り残されたミシェル。
「…着ろってか。私にこれを着れってか」
案の定、目の前に放置された衣装の数々は大胆。
どうしてか、特に腹部の露出が多いものばかり…
だがミシェル、悪い気はしない。買ってしまったものならば仕方ないと、その服を試着室へ持っていき
「モギュモギュもぎゅっと…ちょっとこのチョコパフェ、後半こーんフレーク多すぎかなあ?カサ増しが過ぎんよ」
ミシェル所在の服屋向かいのカフェにて、優雅なティータイムを楽しむ私…
はぁ、ミシェルちゃん。僕の買った服、着てくれるかな?
もしそのお腹、曝け出して来てくれちゃったら…ベッリィ、グッド!
<ドン>
「お茶漬けです」
期待に胸を膨らませ、エゲツない面をしていたイルティラの前に突如、お茶漬けが叩きつけられる。
「…あのう。それ、頼んでないんですけど」
「うるせぇ、ぶぶ漬けだ。とっとと帰れっつってんだよ」
「なんだおいウエイター。どんな教育受けてんだ、テメェ…罷り間違っても、店員が客にんな態度とっていいとでも…」
わざわざ立ってる奴を見上げんのも億劫だが、その面見てやる…よ…て、あ
机についた肘を起こし、目線を上げるイルティラ。
そしてその顔を見るや否や、驚愕!その店員は
「リゲル!リゲルじゃあねぇか!ようやく見つけたぞ。何やってんだよもう…これは!こいつは俺へのサービスかコンニャロう!!」
「………」
「……ひゃ?」
二人は知り合い、その筈だ。
だからこそ第一声、ここまでのハイテンションで再開を喜んでいたイルティラなのだが。
その相手は、全くもって乗り気ではない…よう、だ
「リゲル君?へ?…どうしたんだよ、そんなに黙り込んで」
「なぁ、イルティラ」
恐ろしく低い、真面目な声音。
おちゃらけ気味のイルティラとは正反対の、そんな感じで話を続ける
「俺等は、もう子供じゃあないんだ」
「…うん。僕もう30過ぎて…」
「だからよう、イルティラ。昔のようにはいかねんだ。昔みテェに、ここで大騒ぎしようもんならよ。周りの目ってものが、分かるだろ?」
「あうん…うん。だよね、そうだよね。俺等…もういい年したおっさん」
「に、なれるわきゃあねぇだろうが!!」
「だよなぁ、おい!!」
一変!大声で騒ぎ出した。
途端に席を立ち肩を組む二人!
「久しぶりだなぁ!何年振りだ?10年振りか!いい歳月だ、お互い色々あったろうに」
「ダッハッハッハッハ!!!友よ、それでも再び会えたんだ!今はそれを…」
「ああ…」
「友JOー!を噛み締めていこー!!」
「イェア!!」
大はしゃぎ、それがこの二人なのだ!これが大の大人二人のすることなのだ!!
「ちょっとリゲル君…何を店で騒いでるんだ!」
「あ、店長。俺、今日で辞めます」
「あっさり退職申請ぃーー!?」
あまりの事態にドン引きの周囲。その悉くを凌駕するは、この二人のテンション!治ることを知らず
「それじゃあ、再開の印に」
「一杯、やりましょうかぁ〜」
「「が〜ハッハッハッハ!!!」」
それどころか酒を飲もうという暴挙!それこそ完全に、リミッターが外れる!
もう誰にも止めることは出来ない!
「辞めんか馬鹿たれぇ!」
「ドプシャ」
かと思われた瞬間。ミシェルの放つ蹴りが、完璧な角度でイルティラに決まる!!
店の柱へ吹っ飛ばされる、その間数メートルの跳躍!!
「イル…ティラ」
「まあったく少し目を離せば…貴方の酒癖がどれだけ酷いものなのか。自覚が無いのもいい加減にしてください」
「ズビばぜエン…モウおジャケ、のびばベン」
顔面を潰された…もうマトモに声も出ねぇじゃねぇか
全くもう手厳しいんだから、ミシェルちゃんって…ええ!?
血で濡れた目元を凝らしてよーく見る。よーく見ると…
「着てる!ミシェル〜!なんだ…俺の選んだ服、着てくれたのね」
「ああこれ。着なきゃ良かった」
なぁんて言ってますけどね!なんたって着てくれちゃってますからね!
言い訳できませんからね!俺のこと…嫌いじゃないって知ってるんだかあらね!!
「てか一瞬で顔治ったし…イルティラ、知り合いかこの子」
「ばぁた、うん。僕の彼女、つか愛人?」
「保護者です」
保護者!?私の保護者と申しますかミシェルたん!!
え、だって容姿はどう見ても僕親!おっさん!でミシェルちゃんが娘よ、少女…
「保護者?あ、そーいうプレイね。確かにあんた、マザコンの気質あったもんな。てか普通、幼女にそれやらせるか」
「ウルセェ!僕は幼女としてのミシェルたんを愛しているんだ!そのままのおヘソにしゃぶり付きたいんだ!」
「どさくさに、なに言ってんだこの野郎!」
「あペシ!ごめんなさい、こんなこともう言わないから!だから辞めて!執拗に左目を狙わないで!」
わかってる!この子が恥ずかしがり屋なのは…他人の前で素直になれないってことは!
これも一種のテレ隠しなんだよね!本格的に、片目だけ集中して潰そうだなんて魂胆じゃないよね!
なんて謝っても、蹴りは止まず。
ああ、これは大分怒ってらっしゃるなと。恐る恐る、まだ視力の効く右目でミシェルの顔を覗き込むと
彼女は笑顔だった
「お、おいアンタ。もうそのへんにしとけって…な?そいつもよーく反省したと思うから…」
ナイース、リゲルくん。止めに入ってくれたか…
流石俺の親友だこと…助け舟を出してくれるのは、いつも君だ!
「なんでしょうか?」
<プチ>
「だぁぁぁあむ!!」
しかし時既に遅し
イルティラの左目は完全に潰された。
「あ、うん。なんでもない」
放棄したー!間に合わなかったからって、止めるの諦めたよあの人!
ダメだ…こんなんじゃ、コイツは止まらないんだ!
「ゴメン…ミシェルちゃん。ね?もう片目潰れちゃったしさー、許してちょ」
「ええ、いいですよ。スッキリしましたし」
ただの憂さ晴らしで人の片目潰せるんだよこの子。
とんでもなく恐ろしいよこの子。
もう泣きたい!でも涙はもう半分の量しか出てこれない!
「でもせめて…この悲しみだけは。君のその、つつましやかなお胸に、抱いてくれ」
「あ。やっぱ片目じゃなくて、片玉潰しといた方が良さそうですね」
辞めてやめて。一旦仕事し終わったからって下げたその脚を、今度は股間に標準を合わせるの辞めてぇ!
「はい、チェストぉ!!」
「ほびゃあ!!」
間髪なしにケリ入れて来たよこの娘!!
危な、流石に金的だけは潰される訳にはいかねぇ!
一発目は避けたが…ミシェルちゃん、脚がめり込んでますよ…地面に抉りこまれてますよ…
どんだけ俺の睾丸を破壊したいんだ!なんだ、なんか怨み買ったか…ミシェルちゃんから!
「ちょ、ミシェルちゃん。もしかして昨晩のアレ、まだ根に持って…」
「サイド、チェストォ!」
「アバっシ!!」
股間をガードしてたから見誤った!顔面にクリーンヒット…
痛い
「…アンタ。いつからその人と一緒に行動してた?」
「もう何年も。このうっとおしさを味わってきました」
ミシェルが攻撃の手を緩めたと同時に、リゲルお前…俺のこと無視して話進めやがって!!
「…既に俺より長い付き合いか。それでこの容赦の無さ…あながち、イルティラの嫁宣言も間違ってねぇんじゃねぇか?どうなのそこんとこ」
「紛れもなく私は、この人の女ですよ。挙式は上げてませんが」
「そうそう。そのために、君に話があるんだ…」
「あ、治ってる」
立ち上がるイルティラ
その身に受けた傷を全て、回復させて!
「君には新郎側で出席してほしいんだ!はいこれ名簿」
「おお神前式…慎ましく、参加させていただきます」
「新婚旅行は勿論!ワイハ〜、ですよねぇ!」
「そうさねぇ〜。海外!いいよねぇ」
お二人抱き合って。
「中いいのか悪いのか…いまいち分かんねぇなアンタ等」
「じゃなくてだねリゲル君。今日ここに来たのは、披露宴への参加は勿論!その他に大事な話もあるんだ」
ハグっと一周ターン周ってからの、きめぽーず。
っと、はいはい。
今回ここへ来た2つ目の目的、果たさなくっちゃーねぇ!
「…例のアレか。分かってる。こっちもこっちで、リサーチだけはしといたからな」
「さっすがリゲルゥ、でっきる男!…でね!それが本日、大々的に動き出しちゃうわけよ」
「今日?なんで今日だと断言出来る」
「今日、動かざるおえないからさ。今この街には丁度、神の子がいる。コレを必ず、狙ってくるだろう」
「…なるほど」
分かってくれたかな?
奴等が手を組むってのは、まかり間違っても無いと思ってたっしょ。
だが、それを強行するとわねぇ。恐ろしいよ
でもまぁ、案の定そう上手くはいってないみたいだ。
現に今回、お互いに出し抜こうとしてる…
「ここで俺からの提案だ」
「本題、本題♪」
「、話してくれ」
ここから一気に真面目ムードよ
「今日、出向するであろう魔神軍戦力を我々3人で、完膚なきまでに叩きのめす!ま、戦力をごっそり減らしとこうって提案だ」
「…ここで魔神の戦力を。そうだな、まだ他の戦力と合流していない今。今なら、確実に軍力を減らすことが出来る!それも今日…奴等の飛空艇が出発し、地上から離されたその時。それ以上の援軍を決して呼ばれない状況で!」
「いやまぁ、状況はどうでもいいけどね。どの道全滅させるだけだし。ただ、主力連中に足止めされるのが厄介だ。それじゃあ、軍全体に大したダメージが見込めないだろ?」
結局、軍全体の総数を減らさなければ意味がねぇ
俺等がおっぱじめようとしてる、この戦争…いくら多く見積もっても、こちら側の戦力が圧倒的に少ない。
だから、今のうちに少しでも戦力を減らしてやんねぇと…つか、今回は連中に足止め押し付けて来たんだがなぁ!
「ふ、アンタらしい。ともかく、大暴れしろってことだろ?上等…」
「乗り気だねぇ。よかった!それでこそリゲルだ!」
「おじさーん、チョコパフェくださーい」
あら?ミシェルちゃん、普通に注文しとるで。
話聞いてた?みゃあいい。そんな頭悩ませること、何一つ言っちゃいないんで。
「じゃ僕も二杯目、いっときますか」
「それじゃ、俺も頼むか」
「あれ?君店員でしょ」
「やめた」
そういやそうね
「だからさぁ。やっぱり運動しないと駄目ね、すぐ筋肉弱くなっちゃうから」
「ホントかぁ?アンタ昔と変わらず。ガタイ良さそうに見えっけど」
「いやいや。腕周りとか脚とか、そーゆう日頃使う筋力は衰えねぇんだけど。いかんせんそれ以外がなー」
「何歳だっけ?イルティラさん」
「俺、今年で34だ。はぁ、もうおっさんの仲間入りかぁ…早えなぁ」
「いやいや、まだ若いでしょ全然。そんなんで、いったいどこの筋力が弱っちまうんだよ?」
「ケツがなぁ…どおしても」
「ケツか…ん?そこ弱まっちまうと、何が?」
「うんこが、一切合切我慢出来なくなる」
「…今更ながら、飯食ってるときに話す話題じゃなかったな」
「何目を反らしてんだ。こんなの、後お前も数年したらぶち当たる問題よ?考えてもみろ。『糞』をしたいと思った瞬間、『既』に排便は終わっているんだ。何があったかも分からず、気づけばズボンから転げ落ちちまうんだよ。大事なものが。男は皆、そんな恐ろしい未来が待ち受けてんの」
「本当。人間として大事なもの、全部かなぐり捨ててますよねぇ。結局その服、誰が洗うと思ってるんですか?」
皆あの後、一様にパッフェを注文してから
何気ない会話を続けていた
「いやアレは俺、素手で洗ったじゃん。水洗いしてから、洗濯機に放り込んで…」
「それでも一緒に私の服洗うの嫌だったんで、別個にしましたけどね」
そんなこと言いつつ…嫌な顔してない
やっぱり良い子だなー、ミシェルちゃんわぁ!
「っと、大分たったな…それでも一向にパフェがくる気配がなし
「10分は立ちましたよね。さっきなんか、大きな音してましたし…何かあったんでしょうか?」
「すいまっせーん!店員さん、さっき頼んだパフェがまだこないんですけどー」
と、店員さんに聞いてみるが…姿が見えねぇな。
他に客も…さっきので逃げちまったから、接客では出てこねぇのか
だとしても、厨房にも人影が見えねぇってのはおかしくないか?
「………返答なしと。分かった、厨房見てくる」
「行かなくてもいい、イルティラ」
〜〜?
どしたのリゲル…このタイミングで止めるかね?
「行かなくていいってな、どーゆーことだよ?」
「向かいの道路を見てみろ」
向かいの道路?あ、はいはい窓から覗けってね。
どりんくばー取りやすいように、僕だけ窓側じゃなかったから
隣のミシェルちゃんにちょこっとどいてもらって
「ミシェルちゃ〜ん、ちょい失礼」
「だからって、真ん前通りまふか?普通」
えっとなになに?道端にパフェの素材でも狩りにいってんの?
もしくは、従業員のストライキか…どっちにしろ、お客様ほったらかしというのが感に触る。
「さ〜て、不届き者共。いったいなにをしてやがるのでしょーか?…あ」
「見えたか?これでよく分かっただろう。従業員はサボっても、ストライキを起こしたりしてもいない」
「なるへそ。奴等がよーやく、動き出しましたか」
道端にいる者全員!気絶しているッ!
「そうらしいな。で?こちらより先に、あっちが動いてくれちゃったが…」
「いいや、これでいい。見事、釣り糸に引っかかってくれたみてぇだな…」
この状況…奴等、魔神が!現れた証拠だ
この世界では、魔神と人間…この二種類の魔力の質が、最も異なったものとされる。
故に、絶対的魔力量で劣る人間は…魔神が魔力垂れ流しで近づきでもすりゃあ、簡単に気絶する!
こうすれば、魔神共は楽々と仕事ができるからなぁ!
「釣り糸?」
「ああ、とびっきりのな!下手すりゃこれで、相手さんの主力を潰せるかもしれねぇ…んまぁそれ以上に、俺等の活躍がじゅーよーなんだけどね」
「ほいきた!それじゃあ早速、敵本艦に乗り込むんだな」
「それなんだけどね、リゲル君。ちょっとこっち来て」
「どした?」
「ほーらミシェルも!さっさとパフェ食べて」
「シャキシャキシャキ」
口いっぱいにコーンフレーク加えこんで、ハムスターみたいになってますよミシェルちゃん…
じゃとっとと移動しましょうか!
「ついたぞ、ここだ」
「ここって…カフェの隣の服屋じゃあねぇか」
「さっきいた所ね」
「この店はね。実は、とんでもないものを保管するためのフェイク!本当はこんなこともあろうかと、俺が独自に建設していたんだ!」
「なんだって!それは本当か!」
「だからこーゆー、露出度の高い服しか置いてねぇのかここは」
さぁ、どんどん中に入っていきますよぉ〜!
中に入って、三番目の試着室!ここのなんか、垂れ下がってる糸を引くと…なんと!
<ガタガタガタガタ>
「おお!エレベーターみたいに下へ降り始めた…」
「つかここ、さっき私の入った試着室ですよね。大分簡単にここ、下れますけど?」
「ダイジョーブ!この試着室だけに設置された、マジックミラー感知カメラに俺が感知されなきゃ、何があっても下がらないしくみになってるんだよ」
「ほーハイテク」
「ん?カメラあったんですか、ここ?」
「まぁね。気づかなかったでしょ?なんせあの鏡が全部、反対側から見ればただのガラス!いくらでも監視しほーだい!」
「じゃさっき、私に下着ばっかり勧めてきたのは?」
「つまり、しょゆこと」
<バキ、ボガ、バキ>
「てっ、的確に…俺の仙骨を砕かれた!…やべぇ、立てねえ。体のバランスが保てねぇ!」
「まったく…こんなもの使って、私以外の裸!まさかとは思いますけど、覗いてないでしょうね?」
「見てない!見てなーい!断じて見てません!覗きません!」
「…良かった。一般の方にも迷惑がかかっていたらどうしようかと。まったく、言ってくれれば私、いくらでも脱ぎますから。こういう盗撮盗聴、すべて浮気とみなしますからね!今度やったら、頭蓋骨叩き割りますよ」
「いや浮気以前に、ただの犯罪だと思いますが。つか、自分の裸はいいのね」
イルティラが痛みでのたうち回り、やっとこさ落ち着いたその時。
エレベーターもまた、最下層へたどり着いた
「ついたな。思ったより長かったが…こんなもの、一体いつ作ったんだ」
「つか下だけじゃなくて、横にも進んでた気がするんですが」
「さぁて到着!僕の秘密ラボへ!」
たどり着いた場所は、ラボというにはあまりにも散らかりすぎていた。
そこら中に散らばる残骸…廃棄された何かしらの数々
「まぁ、ここ数年使って無いから。荒れに荒れチャッてるんだけどね」
「にしても酷えな…なんだこのホコリの量」
「掃除くらいしてくださいよ」
「だってここ、本当は僕の施設じゃないしー」
「…大方誰のか予想はつくが、そんな場所になんの用だ?」
ここに着た理由、それは一つしかないんじゃないですか?
この場所に保管されている物はほぼ全て!一級品の兵器達よ…
「ふっふっふ。これから喧嘩売りに行く魔神共の飛空挺は、既に出航している」
「そんなもん。普通に飛んで追いかけりゃいいだろ」
「野暮だねリゲル君。ここで男が『ロマン』を追求するならば、これしかないでしょ」
そう言うとイルティラは、目の前にあるホコリまみれの布を勢いよく引き離した
するとその布に隠されていた機体が、露わに!
「!?、これは…」
「かの天才科学者、天才魔術師が丹精を込めて作り上げた…昆虫型超速飛行特攻機!!
その4枚の羽はトンボの如く!
そのスタイルはカブトの如く!
羽ばたく姿はまさにハエ!!!
その名も…『浮乱舞起亜』!!」
「ただの丸パクリじゃねぇかッ!!」
「…ちょっと無理に突入しすぎちゃったかな?衝撃で浮乱舞起亜が、動かなくなっちゃったよん」
「いや直接甲板に突っ込むやつがおるか。もう少しうまく突入せいや」
「うるせぇ!事は一刻を争うんだよ…そんなどーら一家みてぇに真正面から突っ込んでや、いつしーたが自ら逃げるか分かったもんじゃねぇ」
「おば様もシータもムスカも居りゃしねぇだろ。ゴリラてちゃうぞ、この船」
「と、んなことやってる場合とちゃうぞ」
流石にあんだけ派手に突っ込めば、すぐさま兵士達がやってくるわな!
「貴様等!!この船を輸送豪華艇『御人羅天』だと知っての蛮行か!!」
あ…まじでゴリラてなの
「一流の客船には、一流の人材が配備されてるのは常識!!その我等から逃れられるなどと思うなよ!」
一流ねぇ…そんな称号、豪語できる連中がわさわさと。こりゃ一筋縄じゃ行けなさそうだな
「行くぞ族共!この船に乗り込んだ時点で容赦はせん!かカレー!!」
「来るぜ連中!一斉に!」
「無論…迎え撃つ!」
「上等…」
瞬間!三手に分かれて襲いかかる!
空中、左右…一部の隙もないコンビネーションで!
「へいパス!」
「トス!」
「狙うはそこだッ!!」
「ブロック!!」
バレーボールを始めた!!
「はぁ!?」
「見たか!これが我等が一流のバレーよ!!」
「我等が射程距離に入った時点で!この地獄のラリーの間に挟まれるがいい!!」
「いつ当てられるかを恐怖し続けながらなぁ!!」
果てしない、ボールの応酬!!その速度は、既に人知の領域を超えていた!!
「………」
なーにやってんのコイツ等
俺等間に挟んで、スポーツやり始めて…つか、当たっても大して痛くなさそうだし
<ボガァ!!>
「ぶべらッ!!」
直撃!完全に舐めて棒立ちしていたイルティラに、直撃のスパイク!!
「ちょっと!鼻血出てきたよ!?」
「ハハハハハハハハハ!!馬鹿め、コートの中央で突っ立ている奴があるか!!」
「そんな所にいれば、球が当たるだなんて目に見えていたろうに…」
「テメェ等が勝手に始めたんだろうが!!!」
「馬鹿野郎!イルティラ…勝負はもうとっくに始まっているんだ!!」
「リゲル…」
気づいたらもの凄い数ボールが飛び交ってるんだけど!!
なんかそれをこの人達だけ、全部避けてるんですけど!!
「ほいそこ!」
「ぷガッ!!」
「もいっちょ!!」
「ポゲッ!」
「くたばれ!!」
「ほいガッ!!」
「はーい、トス」
「どジャバ!!」
や…やべぇ…とことん俺を狙って来やがった
ん?つーか今ミシェル参加してなかったか!!
「何やってるんだイルティラ!試合中に!」
「なんでてめぇ等はバレーしだしてんだぁ!!」
ミシェル!リゲル!こいつ等、順応すんの早すぎだろ!
こっちは避けるのですら必死なのに、見事こなしてやがる…
完全なプロになってやがる!
「相手の土俵へ勝手に足踏み入れたのは俺等だ。だったら戦い方ぐらい真似なきゃ、割に合わねえだろ」
「いや無断で踏み込んでる時点で振り切ってんだろー!!カンストしてるだろ。今更割合いなんて取れないぐらいに…」
「イルティラ!パス」
「話を聞けぇ!!」
ちくしょう…ええい、ままよ!
だったら合わせてやろうじゃねぇの!このままバレーで完封してやらぁ!!
「ウオラァ!喰らえッ!」
これがっ!俺の!スーパースペシャル、スマッシュ!!
捉えた!イルティラのしなる腕が的確に、どストライィィク!!
「な、なにぃ!?」
イルティラのパワーを全て伝えたボールは炎をも纏う!!
因果、法則を捻じ曲げた至極の一撃!
その一撃が、コートごとすべてを粉砕する!!
「「「あぎゃばぁぁあむあまあまぁぁあむぁぁ!!!!!」」」
「な!?向こうのコートの奴等が、全滅した!!」
「オメェ等もな」
「「「ふぁ!?ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」」」
…ナイッス俺!奴等のペースに飲み込まれねぇでやったぜ。
自分達のペースで物事が運ぶと思って油断したな!一発KOよ…俺の攻撃で!!
「リゲルもナイスな!後ろ、片付けてクレて」
「ああ。あんまし疲れずに排除できてよかった」
「なーんでバレーですか。意味わかりませんよまったく」
「の割には適応早過ぎでしょ。俺を狙うの早すぎでしょアレ」
まったく、とんだ足止めだったぜ…予想以上に時間を食った。
もっとやべえのが邪魔しに来なきゃいいが…
「よし。とっとと移動するぞ…こっから離れる。そうだな、とりあえず動力室辺りを落とすか」
「んだな。船ごと沈めよう」
「つか、直接船破壊すりゃいいんじゃないですか?」
む、そうだな…それが手っ取り早いんだけどなぁ、できないんだよなぁ…
「疲れるからパス」
「オケです」
こんだけのデカさ…全部をぶっ壊すにゃあ、相応に疲れちまうだろ
出来れば疲れたくないでゴザル、さぼりたいん
「つーことで手分けして、動力室探し開始ー!!」
「おー!」
「おー」
三方離散、別れて捜索だ…
リゲルが右、ミシェルが左の通路にだ…え?もう通路がないだろうって。
そりゃあ確かに、このT字路…もう道はない。
でもあるんだよなぁ、俺の通らなきゃなんないロードが。
「さーて行ったな…それじゃあ俺等が、始めようか」
「…ほへぇ」
気づかねぇとでも思ったか?そこ
最初っから気配だだ漏れで張ってたくせによぉ!
「うおおおお、気づかれたかー。やるなー、おまえ」
「素直に目の前に出てきてくれるとは、…てかなんだおめぇ?そのかったるい喋り方はよぉ!」
間延びした声…焦点さえあってねぇみてぇな、気の抜けた眼
こいつ、俺のことをきっちり認識してんのか?
「かったるいー?怒らせたなー、おまえ。人を馬鹿にすると怒られるんだぞー。だから俺は怒ったんだぞー」
「迫のねぇ起こり方だなぁ、おまえ…いいぜ、怒ったんなら相手してやる。サシでやろうじゃねぇか!」
「おまえ強いのかー?俺は強いぞー。相手は選んだ方がいいぞー?」
「聞いたな?俺に、それを聞いたなおめえ?」
「おお?」
こいつ、質問したよなぁ!
この俺が強いのか…この俺が誰なのか!!
「この俺が誰なのか!知りたきゃてめぇ、教えてやるぜ!
ありとあらゆる者共よ!その身に刻み!焼きつけろ!
世界を統べるは神ではない!解さぬならば教えよう!
大魔王俺、参上!!
最初から最後まで…俺だけのステージだ!!」
<ドン!>
決まった…一連の流れ、決めポーズ!完璧だぁ…
「うおおお…ダサい」
「あがっ!?…どこがダセいってんだぁ!」
お、俺の渾身の決め台詞を…ダサい!?許さねぇ
「許さねぇ、ぞ…テメエ!ひねり潰す…」
「おおおお、殺意だぁ。とんだもねー殺意がビシビシ来るだぁ」
「3代末までなぁ!!」
次回予告
イル:ミシェルゥ〜、僕ってダサい?
ミシ:言葉で言い表せないくらいには。
イル:ガクッ!、ミシェルまでそーいうー…
ミシ:大体何なんですか、そのコートは?夏場も羽織ってますよね。
イル:これがダサいってか!?駄目だよ、コレは僕の存在理由!
ミシ:真っ黒で大した装飾もなしと…はっきり言って、地味ですよね。
イル:地味かー…じゃあ思い切って、赤いコートにでもする?
ミシ:コートは捨てないんですね。
次回 虚無への誘い
リュ:このコートも、たまには洗おう。




