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=空間操作系能力者の無双録= <世界を相手取ったのは、時空を統べる転生覇者>  作者: 入江晃明
season1 異世界転生!知らしめる最強のロード
13/48

第12話 神の落とし子

前回のあらすじ


リュ:あのさ


アー:なにさ


リュ:なんか4人に増えてるし


アー:そういえばそうですね


リュ:やめろよ!4って数字は縁起が悪いんだ!!1人抜けろよ!!


ヴァ:いきなり何言い出してんだ


リチ:ほら、そんなことやってないで。とっとと仕事しますよ、前回のあらすじ


アー:セヤナ


リチ:気まぐれで始まった、シリアスルートに入った私達


ヴァ:え?そんな展開だっけ今?


リチ:しかしまた気まぐれで、それはなかったことに


ヴァ:なんじゃそりゃ!


アー:果たして…こんな情緒不安定な作品は、観てもらえるのか?


リチ:第12話 始まるよ!


リュ:しかも4の倍数じゃねえか!!


ヴァ:いつまで騒いでるんだリューリ…

「サーシャの保護ぉ?なんでおまえにそんなことされにゃあかんのだ、サーシャは」


「ともかく、その子は狙われてんのよ。だから私が…あ、ティッシュ追加で…」


「はい」


「ありがと、ぬっ。保護して逃がしてあげようとしてんの、分かったら邪魔しないで」



突如として現れたこの女神…そんでいきなり『サーシャを保護する』だとか言い出して、訳の分からん状況…

コイツ曰わく、とんでもねぇ連中にサーシャは追われとるんだと



「たくよぉ…俺に負けたあんたが何を仰りますか。あんたに護られるより、俺達と一緒にいたほうがコイツも安全なんだよ」



前回素手で女神相手に圧勝した柳犁は、自分より弱い奴に指示される道理はないと突っぱねる



「そーゆう問題じゃないわ…単純な戦闘力で計るのとは訳が違う、アイツらの()()を相手にするってのは、世界全体を相手にすることと同意なのよ!」


「世界だ?くだらねぇ」



そんな連中にサーシャ(こいつ)が追われてるなんて、んなわきゃねぇだ…


いや、タイミング的におかしい…一応聞いとくか



「なんでサーシャが世界なんぞに追われる必要がある?コイツを確保したところで、餌代が馬鹿にならないだけだとと思うんだがな」



身体だけなら俺も欲しいが



「そら知らないでしょうね、その子の正体は、本人自身も分かってないことだし」



まぁ当の本人が何も理解できずポケーっとしてんだからな…待て、サーシャの正体?



「…お前、サーシャについて何か知ってるな?」



いや、最初からそうだったのか…この女がサーシャを求めた時から…


サーシャが何者なのか…あまりにも謎な点が多過ぎる。おまけに女神なんぞも関わって来ちまうんじゃ…

一層の事、全部こいつに教えてもらおうか。



「…知りたい?そうね、味方は多いに越したことはないわね。ついでにあなた達全員聞きなさい。その子が何者なのかを」



元より静かに聞いていた一同だったが。この言葉で、更に静まり返る…



「その子はね…神様の一部なのよ!」



…っな………



驚愕する柳犁…元より話を聞いていないヴァルザード…笑っているだけで、話に一ミリも興味を持っていない娘2人…


反応はマチマチだが、共通している部分はある。誰も話を理解出来てない。



「はぁ?こいつが神様だってのか、ただの馬鹿娘にしか見えねぇがな」


「馬鹿は酷いだろ、馬鹿が」


「そうですよ馬鹿兄さん、女の子にそれは酷すぎます」


「なふあ!?」



いつも通りのヴァルザードの扱い…傷心のヴァルザード


しかしまぁ、こんな突拍子もねぇ話信じろってのがまず無理な話よ…



「神だぁ?サーシャ(コイツ)がぁ?いやまぁ、確かにサーシャの出現は意味不明だった…だが、かと言って神はないだろ神は」



一切の信用を持たない柳犁


それが顔面にも激しく現れ。あ、こいつ全く私の話信じちゃいねーなと、女神は察することとなる



「ハァ…いきなり言われて信用できるよーな話じゃないことは分かっているわよ。でもね、これはあんたらにも関係する話なのよ。私を信じて、私に従った方が良い。それがあなた達にとってベストな選択だと言っておくわ」



話の内容以前に、この女の偉そうな態度に腹が立つ柳犁。



「で?お前に従わなかったらどーなる。そこまで言うんだったら、随分御大層ーな根拠があんだろうな」



ヴァルザードが気になったところだけをズバリ質問する。



「…ええ、それなりのがありましてよ」


「そうか。じゃ、教えてくれや…何があんのか」



若干鋭いところをついたこのヴァルザード


くだらないことで一々突っかかる柳犁に比べれば、話が効率的に進むと言えよう



「いーわ。過程より、その先の結果に興味を持つってのは…帝王としての資質が有ると思うわよ…あなた」



ただのせっかちだと思うのですが



「結果は簡単…皆等しく死よ。ここでその子を野放しにしちゃうと…今いる人類の殆どは死に絶えるわ」


「…サーシャ1人、どーこーするだけでか」


「ほらやっぱり!過程も気になるんじゃないの」



それはヴァルザードが急かすからだろう。俺はキチンと話を聞こうと…


いや、やっぱりこいつの話は信じた方が良さそうだな…じゃなきゃ埒が開かない。

それに、上手くいけば…



「分ぁかりましたよ。信じますから、従いますから。その話、聞かせてくださいな」


「…何、妙に素直になるじゃない。気持ちわる…」



あまりの柳犁の豹変に身震いする女神


そして覚えておこう。柳犁(この男)が素直になる時、それは何か裏がある時だと。



「コホン、では早速本題ね〜。昔々あるところに〜」



童話を語る感覚で話し始める



「てか10年前?そこには世界を支配する神様がいました〜」


「10年前かよ!」



もうちょい、精々数百年は昔の感じで語り出してたろ!誇張もいい所だな…



「めっちゃ退屈な日々を過ごしていた神様は〜。ある日、とてもナイスでグッドなアイデアを思いついたのでした〜」


「はいはい、それでそれで?」


「超能力やモンスターの蔓延る、夢あるファンタジーのこの世界とは違う異世界…夢もキボーも無いようなくそったれた世界から人を連れてきて、最高潮の幸せを与えてやろうって企てを」



それって、異世界転生のことだよな?



「よってまず第一に、とても悲惨な死を遂げた青年を選んだ…それが事実上、史上初の異世界転生者ってこと」



なに、暇潰しで始まったの?異世界転生(この企画)



「でもそいつが想定外だったみたいでねー…やっぱし、異世界転生者にチート能力は必須じゃあん?でもね…そいつの場合は能力(それが)強過ぎた。更には限界以上に使いこなしちゃうってんだから、厄介極まり無いでしょ。そんな状態で好き勝手に大暴れ…しかも神様(元凶)は知らん振り。処理が面倒臭いってだけで、全部女神(私達)に押し付けてったのよ」



話だけ聞くと、ただのクズじゃねーか(そいつ)



「勿論反発したわよー、女神(うち)のトップ。そんで神と女神の大喧嘩。まぁ、人間からすればただの厄災だったんだけどね」



はた迷惑すぎんだろ



「で、当然。人間はその戦争(喧嘩)に巻き込まれて大打撃…よくたった10年でここまで復興出来たってレベルでね」



そんな気配ないわな。まぁ、それが人様のしぶとさってことで。



「そんなこんなで喧嘩は終わり。女神の勝利でね…」


「神様やられとるやん」


「今回の問題はそっからなのよ…神がやられた、その後からの」



神は殺されたという、神はここにいるという

矛盾にも聞こえる女神の言葉。その真意はなんだ



「んの後?」


「その後。神は死んでいなかった…まぁよくあるパターンよね〜、神の不死性とか。神は自らの魂を、幾らかに分離することによって生き永らえた…その一部なのよ、その子は」



そーゆーこと。本当によくあるパターンね…



「だから神さんに復活される前に、サーシャ(一部)だけでも始末しようって魂胆かい」


「…ちょっと違うわね。()()じゃない…そんなことより、その子を使えばもっと有意に立ち回れる。分かった?その子の利用価値は相当なもんよ」



ああ、どの道あかんタイプやなこれ。

サーシャを物扱いするコイツにも、そもそも敵対視してるであろう女神共にも…どっちにサーシャを預けても、ロクなことにはならなそうだ。


だったら答えは簡単だ



「んじゃ断る。不本意だが、断らせてもらう…サーシャの保護者は変わり無く、こちらが受け持つ」



きっぱり断る柳犁。どれだけ重要な話でも、本人が全く聞いていない以上第三者が判断するしかない。


そして決断した答えは、俺がサーシャを守ると…そっちの方が格好がつきそうだ



「断る!?あなた馬鹿なのぉ!!人の話は聞いていましたかぁ?女神様が相手なんですよー、勝てる訳ないでしょうが!!そんな小娘一人の為に何を…」


「その言動だ。俺は誰だろうと、上から物を言う奴が気に食わなくてね…何かしら対価を支払ってくれるならともかく、一方的に要求してくるお前みたいな奴にヘコヘコしたくねぇだけさ」


「私が気に食わないってだけでって、そんなの…」


「横暴ってか?女神共(そいつら)程じゃねぇと思うがな」



まぁどの道俺を殺そうって連中だ。元々アークの野郎と組んで潰すつもりだったんだ…今更サーシャ一人の重りなんぞ屁でもねぇ



「その子を犠牲には出来ないってのね…分かった、分かったわよ。じゃあその子要らないから、その代わりに普通に私と手を組んで頂戴」



手を組む?この女も女神だよな…何故?



「なんであんたと手ぇ組まなきゃなんねんだ?あんたも女神だろ」



女神はこの問いに嫌悪感を抱いているのか、顔をしかめながら答えた



「クビになったのよ…女神業務」


「……クビィ!?」



余りにも非常識な答え。いや、概念ぶち壊しのこの答えに驚愕する柳犁…



「クビって…あんた。そんな、役職みたいな扱いなんですか?女神様って…」



驚きすぎで、所々口調が丁寧になる…



「会社と殆ど変わらないわよー。女神様なんてやってても」



こんなの予想外だろ…そんな組織めいたこと、いや。結構この世界近代的なところあったしなー…ありえんのか、ありえんのか…



「で、どーすんの?手を組む、組まない?」



ここで提案してくる、か…

一応、敵は共通だってことが分かった…ならサーシャでなく、こいつを手土産にアークを誘うか



「俺一人が決めるのもあれだ…ヴァルザード、お前はどうする?いや…殆ど急な話で済まないが」



此処まで話を聞いて、不本意だが無関係ではいられなくなったヴァルザード。

そのヴァルザードにどちらへ着くつもりかを問う柳犁。自分と共に戦う仲間か、敵になりうる存在かを…



「何が済まないだ柳犁。おんもしろそうじゃねえか…俺は手を貸すぜ、その喧嘩」



即答。迷う素振りも見せずに答えるヴァルザード

事の重大さを理解出来ていない訳ではないが、元の性分がそれを楽しむ性質だった…それだけだ



「ふん…そうかよ」



その答えを聞いて微笑する柳犁

心のどこかでこの二人、通じ合う物があるのだろう…



「あんたら…笑って、楽しそうに。女神に無策で挑もうだなんて、普通じゃない」


「ああそうさ。俺等は『普通』だなんて枠に収まれる存在じゃあない…だがそいつ等が挑むのもまた、女神だなんてふざけた相手だ。むしろこれくらいで丁度いいんじゃないかね」


「なにを馬鹿なことを…それでもまだ足りないくらいよ」



一件落着。したってことでいいのか?


まぁ双方納得したんだから、それでヨシでしょうって…しんどいのはこれからだ



「んで、これから具体的にどうすりゃいい?やっぱし本拠地に殴り込みーってか。あいにく、俺とヴァルの使い道なんて実戦しかねーぞ」



事実上の脳筋宣言。てか事実だ



「そーね、それが手っ取り早いわよねー。丁度良い…今からカチコミに行きましょうか」


「…今から?」



流石に早すぎねーか?てかそいつ等の拠点とかどこにあるかとか知らねーし…そんくらいの前知識がなくちゃ



「今攻めるのがベストなのよ。丁度今、この国に女神共のトップが雁首揃えて滞在してるんだから」


「何その都合良すぎる展開!今まさに仕留めてくださいって言ってるようなもんじゃないすか」



驚いたわー…もう数話で目的果たしちゃうんじゃないの、これ



「てかリューリ、何なんだ今のヴァルって呼び方」


「気に入らなかったか?」


「いや気に入った」


「そうか…」



本質が一緒だからか、どうにもこいつとは気が合う…



「じゃー行くわよ。国崩し、否!世界の均衡ぶっ壊しに…」


「上等だ…」



世崩し…いっちょ派手にな!













移動道中



「てか名乗らないと不便よね。私ハァリナ、あんた等より年上だから尊敬してね」


「年増が何言ってやがる…痛っ!走りながら殴るなよ」


「お兄ちゃん…女性の人なら、それは殴りますよ。ほんっとデリカシーのない…」


「すっすまんミリエル!」


「謝る相手が違う!」



この兄弟…今から世界のトップに喧嘩売りに行くってのに、相変わらず元気よなー

っま、そーでもないとやってられんか…こんな暴挙



「どーしたリューリ?そんな顔して。今更後悔でもしてるのか」


「してねーよ!ちょっと考え事してただけだ」



あの救護室にはグレイブさんも、ゲルダさんも居りゃしなかった…こんなことやって、あの人達にはどう思われちまうのかねー…見にすら来てくれなかったが、オルテンシアさんも…



「ところであんた等、この国の頭角(エル・スリード)って連中に知り合いって居る?」



…そんなこと考えてたら、ほら



「居ますよ。割と結構」


「今連絡とか取れたりってできる?」


「無理だね、電話すらもねーし」



急になに聞いてくんだこいつ?



「だったらちょっと覚悟しときなさい。そいつ等と…多分戦うことになるだろうから」


「はぁ!?何だよそりゃ…」



…戦う?んな馬鹿な



「今回女神共が総出でこの国来たのもその為。地上で有数の実力者が集まる頭角(エル・スリード)の面々に接触して協力を持ちかける…それも国ごと、断ることは出来ないでしょうね」


「ちょっと待て。元はと言えば神と女神の小競り合いで人間は散々な目にあったんだよな。何でその元凶の女神なんかの言うこと聞いちまうんだよ…」


「…神の方がよっぽど危険だって印象操作されちゃってんのよ。前の戦争だって、全部神が悪かったみたいにね。ま、それでも女神に恨みを持ってる人間も少なくないけど」


「他人事だな。さっきから全部…」


「あんたも世界がどーなろうが、別に興味ないでしょ?」


「無論」



理由なんぞはどーでもいい。気に入らないから喧嘩するのみ!…って俺も大概他のことガン無視だもんなぁ



無責任に即座に行動を選んだこの柳犁。恩人たるグレイブをも殴り倒すこと、罪悪感無し!



「にしても…あれねー。遠いわねー、お城」



結構徒歩で歩いて来たのに、未だに城へと辿り付かないことに不満を漏らすハァリナ



「いやさ…あんた女神だろ。空ぐらい飛べへんの?」


「無理よー。女神ってそもそも飛べる種族とちゃうし。自分じゃなくて、他人に加護とか与える専門なんでー」



なんか目を反らしながら言ってますけど…それって



「それって、戦闘要員として役に立つん?いや立たへんよね」


「勿論、サポート専用なので」



天理柳犁。この男がどう考えても勝算のない喧嘩に踏み切ったのは…ヴァルザードとか女神もいるし何とかなるかなー、という甘過ぎる見積もりから


だが見事その目論見は破綻した



「中止ーーー!!!カチコミ中止ーーーー!!!」


「はっ!?なんだよおい!!」


「いいから!!撤退するぞコンニャロォ!!」



流石にどうにかなるものではないと察した柳犁は、


即座に撤退の選択を叫んだ



「ちょっと何言ってんの!!今更そんなの無しよ、無し!!」


「うるせぇ!撤退と言ったら撤退だ!!勝ち目がねぇっつってんだよ!!」


「何よそれっ!勝ち目がない?どうにかしなさいよ!!どうにかなると思ったから突っ込んできたんでしょうが!!」



それに猛反発のハァリナ。どうにか止めようと必死である



「………どーすんだこれ、なんか喧嘩し始めちまったが」


「そーだね〜、どーしようもないかな〜。ところでお兄ちゃん」


「ん?どーした、ミリエル」



足を止めて言い争う柳犁とハァリナ

その光景を横目にミリエルは



「これ、どこに向かってるの?」



何も、理解していないようだ



「帰るか」


「帰ろう」



兄妹(きょうだい)は、帰宅の選択をした



「あ!?待てやお前等!!これ以上戦力が減らされてたまるかってのよ!!」


「うるせぇ!!俺も帰る。一人で世崩しでも何でもやってろ」


「それはあんたが勝手に言ったことでしょうが!!」



ったくよぉ…よくよく考えたら、何やってんだ俺?衝動的に動き過ぎだっての。毛ほども勝ち目があらへんでしょうが、こんなの

…自分のこう馬鹿なとこ、時々嫌んなるわなぁホント



「話を聞きなさいよ!!人の顔見なさいよ!どこ見てんのよあんた!!」



上の空。夕暮れ掛かって来た、この空を…なんかもうハァリナ(コイツ)の顔見たくもなくてなぁ

あ、流れ星。こんな時間帯からよく降るなぁ。


や〜がて、星が降…あれ?星とちゃうであれ、人やで



「つーかここに落ちて…てか危ね」



落下位置が自分の真上と察した柳犁は、数メートル離れたヴァルザード等の元へ瞬間移動

無論、ハァリナは置き去りで



「おうリューリ、どした急に」


「ちょっとな」


「は!?どこ行ってんのよリューリ!!」



当然、居なくなった柳犁の方向へ意識は向く。だが落下物は止まらない



「お?あれは」


「3、2、1、はい」



<<<ズドーーーーーーン!!!!!!!>>>



ハァリナへ直撃、慈悲はない



「お、女神様大丈夫か?」


「ヘーキでしょ。それよか、降って来た方がグチャグチャになってなきゃいいが」



その心配も杞憂だった。見た限り肉片が飛び散ったような様子ではない

だが、それ以上の…異質な事態だということを、落下物(それ)を見た柳犁は確信した



「いや。こいつはどうなってんだよ…」


「だな、リューリ」



そして駆け寄る、その人の元へと



「ゲルダさん!生きてるかあんた!!」



落下物はゲルダ、その人であった



「イタタタタ…てかあんたリューリ!!何でこんなとこにいんのよ!…っとサーシャは!!」



かなり遠くからふっ飛んで来たであろうが、目立った外傷もなく即座に柳犁へ摑みかかる



「ふぇえ!サーシャ!?いやいやいや、否!!んなことよりアンタがどうした!?何ですっ飛んで来てんだよ、ここによ!!」


「いいから!アンタ等は瞬間移動使って逃げなさい!!ここからなるべく遠い場所に…」


「だーかーらー!!どうしたって」



明らかに今、ヤバい状況にあるのはゲルダ

なのに開口一番、サーシャ及び自分達に逃げろと急かす

まるで、それらを今すぐにでも狩り取ろうものが迫っているかのように



「おいリューリ、ここはゲルダさんの言う通り逃げた方がいいかもしれねぇ」


「ヴァル…お前までそんなことを」


「分かんねぇのか!!さっき吹っ飛んで来たあの方向、その先からとんでもねぇ力が…」



柳犁の胸ぐらを掴み、本気(マジ)のトーンでそう言い放つヴァルザード

そして柳犁もまた、その存在を感知する



「ああヴァル、お前の言う通りだ。この感じは…この腹の底から滲み出て来る最大限の嫌気は、間違いない」



どーゆーことかは知らねぇが、この感じ…なんでこの野郎がんなことを



「なぁ、グレイブさんよぉ!!」


「やあリューリ君!お元気〜?」



柳犁達の眼前、平然と上空に降臨するグレイブ



「グレイブ…さん」


「チッ!もう来たか」



呆然とするヴァルザード、当然柳犁も驚いた様子



「僕も元気だから、君も元気満点だよね〜?折角こんなところでお会いできたんだから、これからもっと楽しみまっしょ〜うよーーーー!!!」



高めのテンションで一方的に話を進めるグレイブ

これに柳犁はいつも以上の嫌悪感を示す



「見ての通りグレイブがおかしくなってんのよ!!元から大概だけど…そんなのより今は逃げなさい」


「ああ、見て分かるわんなもん!!ともかく…退けばいいんだな」



なんだかよく分からんが。退くに都合は悪くない



「よーし退くぞてめーら。お言葉に甘えて」


即、撤退の意思表示

一度敗走を認めたものの選択は硬い



「待ていや。この状況、かなりやべーんじゃねぇのか」



未だ空中に佇み続けるグレイブの異様な気に当てられてか、臨戦態勢をとるヴァルザード

本能でか、このグレイブを絶対に仕留めるべきターゲットと認識したようだ



「…そりゃ戦力的にか?ゲルダさんだけじゃ足りねーと」


「ああそうだ。お前も、俺も…単体でアレを倒せると思うのか」


「まぁ無理よな。だから退くんだろ」


「じゃあ、なんでんなことした…途中でほっぽちまうよーな戦いをよ」



『ムカついたから』

単純ではあるが、唯一明確な柳犁の行動理念

衝動的にそれだけで判断する、自分がどう動くのかを…しかし今回

柳犁自身もその判断に違和感を感じていた



「いいから早く!そこで歪み合ってないで、とっとと…」



瞳はグレイブを捉えたまま、急かすようにゲルダは言い放つ



「だそうだ。どーも早急に逃げた方が良さそーだ」



違和感云々より今は、だ…逃げるが先決と、俺は判断しちまったようだな

俺は俺の判断に従う



「…そうか。それがお前の判断か、なら」



ヴァルザードは半歩、柳犁を腕で払い前に出る



「あ?なんだこの手は」


「リューリ。逃げんならミリエル連れてげ。んでしばらくの間面倒見てもらえ」


「なんじゃそりゃ…オメーも逃げるんじゃねーのかよ」


「じゃかあしいわ!」



柳犁の胸ぐらを掴むヴァルザード

先程までと違い、必死の形相となって…



「んだよさっきから!ふざけてる場合かよ…」


「そりゃこっちの台詞だっつーの。オメーがヘッポコでよ、やること成すことテキトーでよ…でも強いってこたぁ知ってるんだぜ、俺は」



表情が変わる、下を向く…その顔を柳犁に見せまいと



「理由はどーでもいい、だが丁度いい。逃せ、ミリエルを。


「はぁ!?いきなり…」


「牛の言う通りなら、俺といちゃミリエルが危ねぇ。丁度いいつったろ…()がミリエルを諦めきれんなら、いい条件だ」



そして強く、覚悟を決めたその表情で柳犁を睨みつける



「訳分かんねぇ…なんたってこの状況で」


「ええ、訳が分からないです。でも、それでいいんです」


「あ…?ミリエル、オメェ」



ぶっ倒れたハァリナの介護をし、会話には参加していなかったミリエルだが…このとき、唐突に話へと割り込んで来た



「昔っからのお兄ちゃんも、今日からのリューリも…二人共、何一つ理解なんてできないです。でもそれが二人じゃないですか。二人共、口に出したこと以上の考えなんて持ってないでしょう?」


「ミリエル…」



両方、最早開いた口が塞がらない

自分で自覚出来ていない本質を、このミリエルに見抜かれているから



「だーかーら。お兄ちゃんは残る、リューリは逃げる。それで確定でいいじゃないですか」


「ミリエル、あのな」


「モタモタしないリューリッ!アンタがそう決めたんでしょう、だったら早く逃げなさいよ!」


「うるせぇーー!!!分かったよ、どいつもこいつも!!逃げるよ!尻尾巻いて逃げりゃいいんでしょう!!」



喚く柳犁。もうその大半の理解を放棄し、ともかく行動に移る



「ほら行くぞミリエル…サーシャ、とそこの女神も」


「は〜いはい。行くよー、サーシャ」


「フォーイ」



半ばヤケクソに移動用のゲートを出現させた柳犁



「言っとくが。あんまりにも長距離過ぎると、どこに出るか分かんねぇもんだから、安全の保証は出来ねぇ。それでもいいな」


「大丈夫、早く行きますよ。さっきからゲルダさんの顔も怖いし」



ちょっと目を離した隙にグレイブから攻撃があったようだ。それも相当数

かなりヤバめの表情でどうにか耐えている



「ああそうよ!とっとととっとと行きなさい!!」


「つー訳だ。援軍は俺に任せて行ってこい」


「よーし援軍…早速この攻撃をどうにかして頂戴。マジでヤバいから!!」


「そこは私の屍を越えてげとかじゃねーのかよ」


「私必死!それに、サーシャさえ助かれば…最悪問題無いわよ」


「え?サーシャ」


「行けい、リューリ!!」


「はい!」


「とうっ!」


「行ってきまーす」



瞬間移動完了、移動用のゲートは閉じる

そして残されたヴァルザードは…



「ゲルダさん。これ、防護壁みたいなの貼られてますけど…()()からの攻撃も止められちゃいます?」


「そりゃあね!んな高性能じゃねぇっつーの!!」


「じゃ解いてくれ」


「はぁ!?なによ、死にたくてここ残った訳!!」


「攻撃は最大の防御っすよ。篭ってても仕方ねぇ」



そう言うとヴァルザードは、魔力放出の構えを取った



「え、ちょ…え!?」


「おんどりゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」



<<<シュキィィィイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!>>>



ゲルダの張る防護壁を突き破り、ヴァルザードの魔力は放出される。グレイブへと



「消ーえーちゃーーーやーーーーーよーーーーーーーー!!!!!!!!!!リューーーーリ、きゅーーーーーーーん!!!!!!!」
















一方、その他に女神陣営への単騎特攻を行った者が二人…鉢合わせする



<<<キイイイイイイイイイイイン!!!>>>



「邪魔じゃあ!!どけやオラァ!!!!!」


「うるっせぇぞ!!ぐらぁああああ!!!」



<<<ズガガガガガガガガガガ!!!!!>>>



地獄絵図、それに尽きる

馬鹿二人が放つ、一切加減無しの光と炎…辺り一面を蹂躙する、その光景は



「なんでかなぁ!!なんでこうなるかなぁ!!どうして俺とお前の行動パターンが被っちゃうのかなぁ!?」


「なんででしょうねぇ!!なんでこんな胸糞悪ぃ展開になっちまうんでしょうねぇ!?」


「とっ…止めろぉ!!!!!!!」



人間と天使、その双方入り乱れた警備を突破せんと、二人の猛攻は続く。



「にしても、さっきからすっトロいですよぉ…この程度で、もうへばったんですかぁ!?」


「うるせぇ、多過ぎんだよ!!!あの腐れ女神ぃ…攻め込まれるってこと予測してやがったなぁ!!」



軽々と一撃数百単位で相手を蹴散らしていく

それでも、一向に敵さんの数は減らない…



「足止めにはベストですねぇ…人海戦術。それもこの規模でやられちゃあ」


「目的は済んだみてぇだがなぁ。これ以上僕等の足止め必要ねぇだろ…早々に増員した戦力使い潰す気か」


「この国、地上最大ですもんねぇ。人員よりかはその情報網、そっちが欲しいんでしょう…天界じゃ地上の情報、手に入んないでしょ」


「…遂に締めにかかったか。そうなりゃ、どこ逃げても詰みだねぇ」


「いよいよ地下行きですか?」


「辞めろ…文字通り地獄でしょうがあそこ」


「クハハハハ!!どの道、ここで倒れちゃ地獄行きでしょうに」



戦場のど真ん中、死地真っ只中において何気無い(こいつ等基準)会話を交わす余裕はあるようだ



「それにしても。私もあなたも見積もりが甘かったですねぇ…単身より、さっきの奴でも連れて来れば良かったんじゃ」


「安心しろ。多分来る」


「なんですかそのアバウトな期待」


「そーゆー奴だ。きっと、足りない頭なりに裏をかこうとしてくる…僕に恩を売ってやろうと女神の首を狙ってくるはずだ」



この時点で、柳犁は逃走を終えている



「しゃあ!!もうひと踏ん張りしてやろうか!!」



結果数分後、この二名だけでどうにかするのは…また別の話

次回予告


ゲル:ああ、助かった…ガチで死ぬかと思ったわよ、グレイブのやろう


サー:お疲れ様〜頑張ってたね


ゲル:疲れたわよ、でもね、ようやく復活したこのコーナーを雑談で潰そうもんなら、今度こそ消えてなくなるわよ。きちんと仕事はしましょう。


ミリ:そうです、ちゃんと仕事をしましょう!!


ハァ:てかなんでこの私がここにいるわけ…


ゲル:そーゆー予定なの


ハァ:ああ、そうですかい…


ゲル:ほらやるわよ次回予告!


次回 阿修羅慟哭



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