第11話 頂上決戦!リューリvsヴァルザード
前回のあらすじ
ナレ:柳犁は、考えるのを辞めた
アー:出来れば、そのままずっと宇宙空間を漂ってくれないかな〜
リュ:ここに居るわ!てか人増えたなここ
リチ:大方レギュラーメンバーは出揃ったってことですね
ヴァ:一、二、三…駄目だ、数えるのが面倒臭ぇ
リュ:後お前入れて4人だろ!!なんでそこで諦めた馬鹿が
ヴァ:誰が馬鹿だ!
リチ:はいそこ、くだらない言い争いしなーい
アー:これがこいつ等のノリだ諦めろ
リュ:てかお前等本当にどーゆー付き合いなんだよ
リチ:はいじゃ本編行ってくださーい
リュ:おーい無視すんなー!
アー:はい第11話、よろしく〜
ヴァ:いつもこんなノリだもんな
どうでもいい!!訳の分からん話などどうでもいい!!
そんなこんなも全部!!腹いせに潰されろぉぉぉぉ!!!!!!!
「おっしゃこいやリューリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!」
「いっとるわボケェェェェェェェェェェェェェェェェェエェェェェェェェェェエェ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ど直球に感情剥き出しにした叫びをぶつけ合う、リューリとヴァルザード。
全てを全力でしか戦えない、馬鹿正直な2人…その初撃!
<<<ガキィィィィィィィィィイン!!!!!!!!!>>>
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「おんどりゃぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
<<<グォォォオオオオオオオオオオオンン!!!!!!!!!!>>>
挨拶代わり、剣と刀がぶつかり合う!!その衝撃は、爆音となり観客席へ轟く!!
『開始早々、お互いが全力!!余波が響く!!剣撃と剣撃の壮烈な撃ち合いは会場全体へ!!』
「いけい!!リューリ君、ヴァルザード君!!君達の本気を見せてくれぇ!!!」
「頑張れぇぇぇぇ!!!お兄ちゃん!!リューリ!!2人ともぉぉぉぉ!!」
「頑張れぇー!!」
「も、一層の事頑張れい!!!」
「わーい、やれやれーー!!!」
「うるせーーーーー!!!!!あいつらも、こいつらもーーーーー!!!!!」
「貴方の隣に居る私こそ、一番鼓膜にダメージがきてるのだが?」
「あれ、また増えてる」
「おい!リューリ!!」
「なんじゃヴァルザード!!」
鬼気迫る表情、とても会話をするようなテンションでない筈の、今にでも相手を斬り殺す勢いのこの2人。
だが会話は成り立つ。どちらも全身全霊、それでも切り裂けぬ相手同士…それだけで
「いつになったら押し負けるんだよおまえはぁぁぁ!!!!」
「押し負けてたまるかよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
<<<ギギギギギギギギギギギギギ!!!!!!!>>>
強え…シンプルに強え…この俺と張り合うたぁ…ヴァルザード!!
かつてない高揚感、それを柳犁は噛み締めていた。
楽しい…ひたすらに楽しい戦いが出来る相手…それが初めて、自分の目の前に現れた!
「「かぁっ!!」」
<<<ギイィィン!!!>>>
迫合いは止み、互いに弾き距離を取る。
「なあ、リューリ。おまえ、ミリエルのことをどう思ってる」
「ああん!?何を急に聞いてきやがる…」
そこで再び問答を交わす…ヴァルザードの気にしてやまないことだ
「いいから、嘘つかないで答えろよ…」
「よくわからん。気がついたらそこにいただけだ」
「おいおい、俺の妹の魅力がないって言いてぇのか?」
「なんだよそりゃ、好きだって言っても怒るくせに…たった1日2日知り合ったやつのために、命を賭けられるような自信もねーだけさ…」
この答えを聞いて、少しスッキリしたヴァルザード…いや、どんな答えでもよかった
「正直よぉ…俺はおまえを許すつもりがなかったんだぜ。たった1人の妹だ、その妹を奪おうってんだからよぉ…」
「………」
「だがお前は強い…本能的に、一眼見た時からそう思った…なら、そんなお前なら…認めてやってもいいと、な」
「なんだそりゃ。そんなこと兄貴の決めていいことかよ」
「当然、お兄ちゃんなのだから」
「どーした…んなこと急に喋り出して」
「…モヤモヤしてたくねーからな。こんな面白い戦いしようってのによ〜…そんな余計なもん、持ち込みたくねーだろ」
「俺もだ。この戦いが楽しい、心からそう思えるよ…」
本能ーーーその一点でのみ、この2人の理性は交差する
ただ2人、理解し合える唯一の条件…それを満たした今
真の狩りが始まる
「いくぜリューリ、こっからが本番だ」
「ああ…全力で殺りあおうぜ、ヴァルザード」
初手、攻めるはヴァルザード
<<<ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!>>>
魔力の放出…来る!!
「らぁぁぁあああああああ!!!!!1!!」
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!!>>>
放たれた直線上の魔力…膨大な、破滅の権化が
<<<ヴィシュン!!>>>
瞬間!柳犁は瞬間移動…ヴァルザードの背後に回りこんだ!!
「オラァ!!」
「だあっ!!」
<<<ガキイィン!!!>>>
からの斬撃!しかし当然、受け止める!!
<<<キイィィン!!!>>
ヴァルザードの剣が震える…それは魔力が放出される前兆
こいつ、やるってのかこの至近距離で!!俺に食らわせる気か!!
「しゃあ!!」
危ねぇ!
「がああああああああぁ!!」
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
間一髪、瞬間移動で避ける柳犁
そしてまた、攻撃に転じる…が!
「りっ!!」
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
反応される!!再び柳犁へ魔力が放たれる!!
<<<ヴィシュン!!>>>
そして柳犁の瞬間移動…これが繰り返す!!どちらかが諦めるまで!!
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
<<<シュキィィィィィイイイイイイン!!!!!!>>>
<<<ヴィシュン!!>>>
どっちかが折れるまでなぁ!!
『なんだなんだこれは!!!速すぎるっ!!目に追えないっ、だが!!壮絶な撃ち合い!!この破壊力!!!さしずめヴァルザード選手の強力な魔力放出攻撃を、リューリ選手が瞬間移動で避け続けているのでしょう!!!これほどの連撃!!両者とも人間技じゃないぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
「察しいいなあの視界…私にも目に追えぬ速さだが。単純な脚力ではないようだな」
「空間操作、それが奴の能力だ。んま、取るに足らない児戯だよ児戯。その本質はそうやって逃げることしかできない」
と言っても…今の奴相手では、このアーク・レイフォードも苦戦するだろうがna
「ヴァルザード君の一撃一撃を、リューリ君が瞬間移動で避けている…まさしく瞬間、刹那の出来事なのだからか。しかもその度にあの放出量…やはり化け物だねヴァルザード君。無論、それを避け続けるリューリ君も」
「あそこまで充実した魔力見たことがない…お兄ちゃんがこんなに楽しんでるのは初めてだよ!!凄いよ!!凄いよ2人とも!!!」
クソッ!!流石にこのままじゃ埒が開かねえ!!一旦退くしかねえか…
幾度か同じことを繰り返し、流石に無理だと感じた柳犁は距離を取る…
それと同時に、ヴァルザードも魔力放出を止めた
『おっとおお!!斬り合いが止んだ!?そしてリューリ選手が距離を置いた!!これは』
「っと、容赦ねえな」
「手ぇ抜いちゃ面白くねえだろ」
…そりゃそうだ、こいつは手なんか抜いちゃくれねぇ
んであの威力…1発食らえば即お陀仏だろ。下手に近づけない、近づけないと攻撃が当てられない…これ詰みじゃねぇか?いや…まだ手はある。
「頼んだぜ…『鎖錠空牙』っ!!!」
<<<ギュルルルルルルルルルル!!!!!!>>>
「あん?」
手数を増やす、とことんに!
柳犁が出現させるは無数の鎖!
この鎖と共に一斉に攻め込む…どこまで反応出来るかな!!
「数で押し込もうってか…それで通用するかどうか、やってみろリューリ!!」
「だったら対応してみせろ!!!ヴァルザードォォォ!!!!」
<<<ギュルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!>>>
<<<ギリリリリリリリリ!!!!!!!!>>>
<<<ガギリリリリリリリリリ!!!!!!!>>>
四方八方、全方位からの鎖による攻撃…
「『縦横鎖刃撃』ッ!!」
『これはッ!!一瞬にしてステージ上に、無数の鎖が出現したアアアアアアア!!!!次に攻め込むはリューリ選手!!ステージ上を埋め尽くすほどの鎖の量!!なんという物量戦術!!』
「質より量なんだおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
「やりすぎだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
<<<ギイイイイイイイイイイイイイイイイイン>>>
鎖が放たれる…その瞬間、同時にヴァルザードも魔力を放った!!
<<<ギュリリリリルルルルギギギ!!!!!!!>>>
いや…放出した!!
「「「おんどりゃああああああああ!!!!!!!!!!!!」」」
<<<シュッガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!>>>
リューリ…お前がそんな『数』で攻めるんならよぉ…こっちもそれ相応の『量』で対抗してやるよ…
俺の全力!!食らってくたばっちまいな!!!
「なうあっ!?コイツは!!」
ヴァルザードを中心に解き放たれた、膨大な魔力の放出…
それは瞬く間に、柳犁の鎖を全て薙ぎ払った!!
『これは、この威力は!!ヴァルザード選手がさらに、魔力を放出!!もはや強い!!なんでもなく、ただ強すぎるこの2人!!理屈のいらないこの戦い…この緊迫感がたまらないっ!!』
鎖を全て薙ぎ払ったのち、放出を止めるヴァルザード…
「か~、あ!!へへっ、俺の『質』が勝ったようだな…おらリューリ、攻撃の手ぇ緩めてんじゃねえぞ!!」
…見事に全部弾き飛ばされた、か
さて頭で考えられる限りの勝算は、今ので全部だ…
元より戦闘中、あまり頭を使わない柳犁であったが…それをフル回転で使った結果、今のが限界
そこで柳犁はシンプルな、たった一つの手で勝負をつけることにした。
「なあヴァルザード…おまえも、もう分かってんだろうが…」
「なんだよ、もうちょい楽しまねえのか?」
「もういいだろ…俺達にこんな小技の鬩ぎ合いなんざ」
「…戦いの醍醐味ってやつか。どーにも分からなかったな…だな、俺等にはそれしかねぇか」
思いをぶつけ合う?信念の鍔迫り合い?そんなちゃっちい戦いでよ、俺らが満足出来ると思うな。
なんもねえ…ただ最高の力と、最高の技、これを放ち受け合う、いっくら身体がボロボロになっても…俺等はそんな喧嘩がしてえんだ…
じゃあもう、余計なものはいらねぇ…ただの全力で、コイツをぶっ倒す!!
ただ一つ、この2人が満足できる最高の瞬間は…至高の一撃を放つ時
「…急に2人共動きが止まりましたね」
「ああ、ようやく決心したようだ…彼等の戦いを終わらせることを」
「それじゃあ…」
「多分、次に2人共が最高最全…いや、言葉でなんて言い表せないほど、人間の新奥に眠ってしまった野生の『全力』…その一撃を放つだろうね」
野生…?
「野生…ですか。確かにあれは、理性の働いた者の類ではないですね。単純な強さの権化…私達に理解出来るのは、あれは紛れもなく強者なのだとだけ…それ以上は理解出来ないでしょうね。『理』に捕らわれている限り」
「別にいいだろうがそれで。余計なこと考える必要あるか?」
「とうとう、その傲慢さが足を掬われるときが来ましたね…これは」
「傲慢で結構…不足はないさ」
「消し飛ばせ…『神羅万象』!!」
「全開で放出だ…俺!!」
<<<シュグラララドドンッドガガガガルルルルルギギギギギギュララララララルラルラリルルカカカガガガガギゲギギギギガガガガガ!!!!!!!!!!!>>>
異様なエネルギーの量が、異質な音と共に具現する…
この世界をも滅ぼしかねぬ2人の一撃しかと見よ!!
『!?本当に何が起こるか分からない…前代未聞だぞ…これは…何だと言うのだ!?この巨大な力の塊はぁぁぁぁぁ!!!!!第2回戦でステージ上を滅茶苦茶にした、リューリ選手の『神羅万象』ぅ!!!!そしてステージ中を包み込んだ、ヴァルザード選手の魔力!!…これが、同時に…いやもうムリです!!これは無理です!!最悪防護壁が保ちません!!会場の皆さん、今すぐに非難をぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』
アナウンスと共に、多くの観客が逃げ惑う中。グレイブ達のみが微塵も動こうとしない、2人の戦いを最後まで見続ける為に!!
「避難勧告!?既に2人の力はそれほど…でもね、僕は見続けるよ…何があっても!」
「ええ、グレイブさん…見ましょう、最期まで」
「うわ~、おっきいね」
…あれ?このままでは私達も巻き込まれるでしょうに…なんで逃げようとしないのですか、この人達…
「いや待ちなさい。あんなものを放っては彼等の命がありませんよ…」
「それはここも一緒だろう…あの程度の防護壁で守り切れはせん。そこいらで逃げ回る連中がいる中…なんでコイツらは逃げんのだ?」
「どうしても見たいから…あの2人の戦いは、理屈なんかじゃない。何か訳の分からない、引き込まれてしまうもんがあるのよ」
「ふん…なんと言われようが、やはり。こんな戦いを見せられては身体が疼いてしょうがない」
「分かったかリチャード。これが奴等だ」
ええ、全くもって訳が分かりませんよ
「リューリィィィイ!!!もう観客いなくなっちまったぞ!!!これ試合って呼べんのかな!!」
「関係ねえだろ!!この喧嘩は、そもそも俺とおまえだけのもんだ!!」
「しゃあ!!いいぜ、いくぜ!!俺の、俺達の全力を!!!」
「ああ!!お互いに見せつけてやろうぜ!!」
「「「るっしあゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
<<<ヒッッッツドダヅウウウウウゴゴゴゴオオオオンンンンンン!!!!!!!!!!!>>>
2人は同時に…放ちあう、最大の技を…が、放出されたエネルギーは止まることを知らず…今にも防護壁を突き破ろうとしてくる!
「綺麗な自殺だな…馬鹿共が」
「ふんっ!!ヤベェぜ、防護壁突き破ってあふれ出てくるぞ!」
「そろそろ逃げましょうか、もう限界です!!」
「大丈夫!!なんとかなるさ!!」
「いや死ぬわよ!!これは死ねるわよ!!」
<<<ヒュッドォォォォオオオオオオオンンンンンン!!!!!!!!!!>>>
溢れ出した2人のエネルギーは…突如吸い込まれるように空中へ
『溢れんばかりの力が!!真上に、空に飛んでいったぁ!!たっ…助かった…』
「本当に助かるとは…流石に、少し焦りましたよ今回」
「…これは、まずいな」
「ええ、気づくのが遅すぎましたね」
「どうしたんだアーク君!助かったんだぞ私達!!」
「呑気なものだな…グレイブ。あれを見ろ」
「あが…か、楽しかった…ぜ」
「おう…やりきった…感じ、だ」
<バタン>
『とっ、共倒れだあああああああああ!!!!!!なにがやりたかったんだ、おまえたち!!散々暴れといて、ふざけんじゃねぇぞ!!!被害が尋常じゃないってこれ!!てかなんで上に…てあれは!!!』
「まさか…そんな」
煙の晴れた空を見上げる一同…そこにあったものは
「女神の…艦隊が、なぜここに!!」
…最悪の事態は、思えばここから始まったのだ
「どわっふ、冷たっ!!」
寝起き一発目になんだっ!!いきなり顔に冷水ぶっかけられたぞ!?
「ああ、起きましたねリューリ。も〜う、いくら回復薬をちまちま飲ませても起きて来なかったんで、直接ぶっかけちゃいましたよ」
「いやいや…それ回復薬とか関係ない起こし方だからね!」
「遅かったな、こっちはもうとっくに目ぇ冷めてるんによ」
ヴァルザード、おまえ…
「おまえも、ぶっかけられたのか…」
びしょ濡れのヴァルザード
「まあな…」
つーかびちょびちょだよ、汗も掻いたし…家帰って風呂入りてぇ
「うう…あんまし美味しくないね、回復薬って」
「もうサーシャ、そんななんでもかんでもつまみ食いしちゃ駄目って言ったでしょう!もし危ないものだったらどうするの」
完璧、扱いが犬のそれなんですが…
「てかよぉ…どーすんだ俺達、結局勝敗はどうなんだよ」
あ、そうだ
二人とも倒れちまった場合どうなんだよ…まさか引き分けで、2人共敗退とか!?
「もし負けってんならよぉ…やばいぜ、バリバリ勝つつもりだったんで賞金貰う気で宿も手配してねぇし、そんな金もねぇぞ」
おいおい…どこまで行き当たりばったりで行くつもりだったんだ
「ええ〜野宿?」
「しかねえか」
真っ先にその選択肢が出てくるあたり流石ですわ、この兄妹
「お楽しみのところ悪いけど、ちょっと私に注目して貰えるかしら」
部屋奥、唯一の出入り口の前に突如現れた一人の女
…なんだこの女、部屋にいきなり入ってきて急に偉そーに
「はぁい、天理柳犁…ご無沙汰かしら」
なんか俺に手を振ってるんだが…俺の知り合い!?
「…知り合いか、リューリ」
「知らん、誰だコイツ」
「ファ!?」
なんだ…コイツ、派手派手しい格好しやがって
いやこんな奴見たことあったら忘れないレベルだぜぇ…こんな絵画に描かれた女神様みたいな…あ
「私よ私!!貴方に力を与えてやった女神様よっ!!」
ああ、ものほんの女神様でしたか
「で、何の用だ?」
「あんた…目の前に女神様がいるってのに、なんなのよそのうっすい反応は!!まぁ良いわ…そんなことより、もっと大事な本題があるのよ」
「わざわざ俺になんの用だ…」
「あんたなんかはどうでもいいわ!それよりも、その女の身柄を引き渡してもらいましょうか!!」
そう言って指を差す女神さん、その先には…
「てめぇ…ミリエルになんの用だっ!!」
「ちげぇよ馬鹿。あんた、サーシャに何するつもりだ」
「へぇ、私?」
間違いねぇ、コイツの狙いはサーシャだ…だが何の為に
「あら?もしかして抵抗する気かしら、身の程知らずにも『限度』ってのがあるのよ」
「コイツになんの用かって聞いてるんだ、答えになってねえぞ」
「そう、じゃほい」
なんだ!?力が抜けて…
「あーはっははははっははは!!貴方のその能力、あげたのは私なのよ、取り上げることくらい造作も無いことよ!!どう?これであんたの置かれた立ち位置理解できた…!?」
「うっとおしい」
<<<コツンッ>>>
力を抜かれて、本来なら立つのもやっとの筈の柳犁。だが普通に女神をぶん殴った!!
「ヒデブゥア!!」
<<<ズガンッ>>>
ちょこっと小突いただけだが…壁まで吹っ飛びやがったな
「あんた…なんで一瞬で私の…前に…瞬間移動はできないはずじゃ!!」
「いやね…どいつもコイツも、普通に脚力で俺の瞬間移動のスピード超えてくるのよ、だから俺もそんくらいまでは鍛えたってだけの話よ」
上の世界じゃ、まず瞬間移動が使えなかったがな
「うっそ…そんなのあり…分かった、ちゃんと話すから待って…ティッシュちょうだいよ…」
「はい、大丈夫ですか?鼻血がえらい量出てますよ」
「大丈夫…鼻にティッシュ突っ込んどけばなんとか…スンッ!!よし、じゃ単刀直入に言うわよ…」
その頃城内にて、天界の長たるアルティレェルと頭角を護衛に置く国王アルムラド・ハンとの会談が行われていた。
「本日はわざわざお越しいただき感謝いたしますぞ、アルティレェル様」
「いえいえ国王陛下殿、礼になど及びません…わざわざ出迎えまでつけてくれるとは」
「それは…決して貴女方を疑っているわけではなく、人としての礼儀をですね…」
「まあいいでしょう、それよりも大事な話があります…グレイブ・ラー・ブレンディーはいますか?」
「なんと!?グレイブだと…それは」
「なんでしょうか、私めに。天界の長である貴女様が」
そこに、いつもと明らかに違う…憤慨した様子のグレイブが現れた
「グレイブ…」
「いいのですよ、貴方が我々をよく思っていないことは重々承知の上です。だからこそ貴方に…」
「分かっているのでしたら、どうぞお引き取りください…私にはこれ以上自分を抑えられる自信がない」
そう…グレイブにとってこれは苦痛でしかない、憎くて憎くて仕方ない相手が目の前にいるのに何もできない…
「ですから真実をお教えしにきました、貴方の妻子を手にかけた…本当の人物を」
「黙れっ!!神は死んだ、私が嬲り殺しにしてやりたかった相手を!!貴女が…」
「グレイブ!!」
「グレイブさん!!」
そりゃ止めるわよ!こいつのことを知ってる私達からしたら…
「…すまない、取り乱した」
駄目なのよ…コイツには、もう…
「おや、知っていたのですね。知った上で黙っていてくれたのですね、何と素晴らしい愛国心でしょうか」
「アルティレェル様、もういいでしょう…これ以上そのことを言うのであれば、我々人間とて容赦はしませんよ」
「国王陛下、ご安心ください。これは貴方にとっても深刻な問題なのです」
「…何だと言うのかね」
「神はまだ死んではいません、正確に言うと『完璧』にはですがね」
「!?」
「!?」
「…………」
運命は…まだ…私に…戦えというのか?
ある男の嘆き、それは天には届かなかった
一度は国のため、生き残った人達のためと諦めかけたが、その灯火は消えることなく
そして今宵、復讐に囚われた男は、今ある全てをかなぐり捨てた
次回 神の落とし子




