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=空間操作系能力者の無双録= <世界を相手取ったのは、時空を統べる転生覇者>  作者: 入江晃明
season1 異世界転生!知らしめる最強のロード
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第10話 那由他の因縁

前回のあらすじ


柳犁、死亡。


勝手に殺すな!!


でもだいーぶ苦戦しとったやん。


ありゃダミー映像だって…それであの腰痛野郎の出場権剥奪って話題に出てたろ…


それでも重傷だったやん


それは言うな!


さーてそんなこんな関係なしに第10話、始まるよ!


…もういっそのことそれでいいわ


スタジアム内、とある観客席の一席にて



「おいなんだよ中の光景!?さっきまでと全然違うぞ!」


「なんかダミー映像流してたって話だぜ?」


「本当かよ…しかもそれやったの、あの王子様だよな…」


「何考えてるんだよ…人が払った税でよ!」



ヘルニア・ハンの不正が顕になった為、国民からの反感を買っているようだ


そして、そこに居た男が1人…席を離れる



「?おい、あれって…」


「あ!?確か出場者の、リチャード…なんだっけ?」


「気づかなかった…いつからあそこで」



席を立ったその男は、人の通りがない通路へと向かい…独り言のように何かを呟く



「ククク…アマリ・リューリ、面白い男に目をつけましたね…」



何を言ってやがる…わざわざこんなとこまで来て、何を1人でブツブツと…



「ダンプットダン・ゼルブラッド…もういいでしょう。こそこそするのは辞めなさい…」



チッ…そうゆうことかよ



「分かってて誘い出しのか…目的は?」



闇に隠れ、姿を現さずに様子を伺うゼルブラッド…但し天井に張り付きながら。



「安心なさい。貴方をどうこうしようなどとは考えておりませぬ…ただこうもストーキングされては気が散る。なので、ここで手を引いてもらいたい」


「手を引く、か…それは無理な話だな。君がその怪しさプンプンなのをどうにかしてくれない限り…こっちも仕事なんでね」


「…貴方が探っているのは予選でのことだろう?なら私は黒だ、この際はっきり言ってしまおうじゃない」


「おいおい…堂々と言うことかー?それ…」


「言ってしまえばそれでいい…それを知っていたとして、この大会中は動けないでしょう?」


「あ〜、手詰まりだね…君の言う通り、今は動きようがない。…ところで君、何するつもり?」



その瞬間、男の影が揺らぐ…そして



「どーもしない、私はね?」



後ッ!!



<<<ザシュッ>>>















「うるるぁ!!何なんだテメェはよぉ!顔合わせた瞬間、ぶん殴りやがって!」



場所は変わり、スタジアム内救護室。


先程の戦いで傷ついた柳犁の見舞いに来た筈の一向だったが…

早々にヴァルザードが、見舞い代わりの1発を柳犁に叩き込んだ。


「うるせぇぇ!テメェこそ何のつもりだぁ、赤髪ぃ!!うちのミリエルちゃんに手ぇ出しやがって、この病原菌が!!」


「誰が病原菌だ!!俺がそんな小汚ぇ野良犬にでも見えるのか!?」


「どこの誰から貰ってきたのかも知れん病気を股間を媒体にして振りまく奴を妹に近づけてたまるかってんだ!!」


「誰が性病もちじゃあ!!童貞なめてんじゃねぇぞ、クラァ!」



「まぁまぁ落ち着きなさい2人とも…せっかくのお祝い事が台無しじゃないか」



2人を宥めようとするグレイブ…しかしそんな言葉は届かぬくらい、デッドヒートする2人



「んだとぉ!?これだけは譲れねぇな!先に殴ったのはそっちだ、こっちも一発返さねえ分には折り合いがつかねぇ!」


「リューリ、それは…大丈夫だと思うんだ…」



そんな中、ミリエルが間に割って入る



「な、ミリエル!?


「ミリエル…何言って」


「お兄ちゃん。いっつもいーーつも、暴んじゃないって言ってますよね?」



敵意通り越して殺意剥き出しになってる笑顔を振りまくミリエル


それには、頭に血が登った2人すらも怯える。



「ミリエル…すまん」 


「ふんぬっ」


「ぶだはっ!」



謝るヴァルザード、しかし遅かった…ミリエルの怒りは頂点に。ミリエル、渾身の右エルボーが炸裂する。



「………これで2人とも、準決勝進出が決まったわけだけども。改めて、今の気持ちはどうだい?」



 まさかのタイミングで話を振ってくるグレイブ。しかし、何だかその悍ましい光景を直視したくない柳犁は素早い反応を示す。



「まあまあっすね…さっきの試合はちょっぴりビビりましたけど、あんまし苦戦することなく順調ですし」


まぁ、勝つのが当然?勝って当たり前の人間ですから、ボクちん。



これは紛れも無い本心である。


して、ヴァルザードはと言うと…



「そうだね、ヴァルザード君はどうかな?」



「かぁぁぁ!ギブギブギブギブギブギブギブ!!!もうだめぇ!折れるぅっ!」


「まだですよ!きちんと反省するまで解きません!」



今度はコブラツイストをかけているミリエル…



「綺麗に極まっちゃいるが…どこで学んできたんだよ、これ」


「ミリエル…なにもそこまでしなくても」



ゲルダさんも止めに入る…か

流石に気が引けるなー。ここまでされちゃあ…



「…俺ももう怒っちゃいねぇから、そいつをそろそろ解放してやってくれ」



だがミリエル、辞めるつもりはないようで…



「甘いですよ!トロットロに甘過ぎます!こレでも、この人はまだ懲りません!今日はこのままコッテリ背脂地獄盛りコースですから!!」



なんじゃそのコース名…



「なんか、美味しそうな名前だね!」



サーシャの脳内にある言葉、全てが『食』



「サーシャ…その感想はおかしいぞ」


「あっ!じゃあさサーシャ、ちょっと協力してくれないかな」



サーシャが話に興味を持ったのをいいことに、勧誘をしだすミリエル。一緒にシバこう、と。



「ええ~良いよ、なにすればいいの?」


「手を広げてこっちにはしってきて」


「そんなんでいいの~いくよ~」


「よ~し、いくよ!」



なんか嫌な予感が…生きろよ、緑髪



「はいっ!」



一瞬、ヴァルザードを解放

そのまま体重に身を任せて倒れるだけのヴァルザードに、2人の少女の腕が向かう…



「せーの!!!!」



<<<ゴギィィイ!!!>>>



「ぐげぇ!!」



首からいったぁぁぁぁぁ!!!!!!!凄ぇ音したぁぁぁぁぁぁ!!!!!!


なんとゆう、少女と少女のツープラトン…これはどんな業界からしても拷問、いや死刑執行だってこれ…



「大丈夫か!?下手したらそいつ死ぬぞ!!」



現に泡吹いてぶっ倒れてるから!瞳孔開いちゃってるから!!



「大丈夫ですよ~ここの魔法薬は凄いんですよ~致命傷を受けても、たったの一滴でどうにかなるんですから」


「それってつまり、殺したってことですよね…致命傷与えたって自覚しているんですよね!?」


「ほ~ら、これで元通り」



本当に一滴のみヴァルザードへ垂らす…すると



「ぬあぁぁぁ!!なんだ!?急に目の前が真っ暗に…」



変な方向へ曲がっていたヴァルザードの首が、元通りに…



「あ!?マジか」


「クソっ、記憶が曖昧でなにがなんだか」


「ほーら元通り。きっちり目覚めたじゃないですか〜」


「いや明らかに大丈夫そうじゃ無いんですが、記憶が飛んじゃってるるみたいなんですが!?」



明らかなる異常事態に焦る柳犁…それとゲルダ、グレイブ


それよりもいろんな意味でヴァルザードを不憫に思い、どうにかして彼の気を変えようと



「……ま、まぁ…このくらいにしようじゃないか。それより、他の人達の試合が始まっちゃってるから、そっち見に行こう、ね!!」



…そうだな。コイツも記憶ないみたいだし、思い出されるよりかは、忘れていた方がいいかもな…

んじゃ俺も、アークなんちゃら(あのやろう)にヤジでも飛ばしにいこうかね…



「ですね!ミリエル、ヴァルザード。そっち見に行こうぜ?絶対楽しいってそっちの方が、ね!」


「ああん?いつから俺とお前はそんなに仲良くなった?」


「いいから、行こうよ~ね?お兄ちゃん」


「よしぃ!行くか!」



無意識で妹には逆らえない…か。どうしよう、コイツが不憫で仕方ない気がしてきた…













ステージ中央にて相対すは…柳犁の目の敵、『アーク・レイフォード』VS噂では強いらしい、剣王『ジュラケル・オーバルキン』


だがどうやら、マトモな試合にならなかったようだ



「なん…だと!?何故、我が剣撃が通用しないのだ…」


「簡単な話さ…『俺が強い』。それだけのことさ」


「我を侮辱するか…ふざけるな!!」


「だが敬意は評そう、剣王…貴方は、只の一撃では散らせんよ」



剣は折られ、既に勝負はついたであろうその状況。


だがアークは、そんな相手に止めを刺す為…渾身の一撃を打ち込もうと銃を構える



天命全うせよ(ヒドゥン・バニルダ)…』



<<<シュグイイイイン!!!!>>>



眩い光、装填された弾丸は無数…宙に具現し放たれた!!



「ばぁぁぁかぁぁぁなぁぁぁぁぁ!!!!!俺がぁぁぁぁ!!こんな小僧にぃぃぃぃぃ!!!」



そしてその光は、一瞬にして剣王を包み込む。これにて!



『決着ぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!アーク・レイフォード選手の攻撃が、ジュラケル・オーバルキン選手を打ち抜いたぁぁぁぁ!!!!!やはり強い、優勝最有力候補は揺るがないぃぃぃぃぃ!!!!!!!」



「なんだ…せっかく観に来たってのに、もう終わってるじゃねぇか。つまんねぇな~しかも、全然余裕そうだってのがまた腹経つ」


「流石だね、アーク・レイフォード君は。圧巻の強さだったよ…決勝戦に上がって来るのはもう彼で決まりかな!」


「そうですねグレイブさん…やはりこの俺と戦うに相応しいのは、あいつしかいませんね」



そんで叩き潰す…少しはそれで気が晴れそうだ。



「おい、なに寝ぼけたこと言ってんだ?決勝戦に出るのはこの俺。つまりな、おまえは俺に負けることになるんだよ…アマリ・リューリちゃん」



すっかり元気になったヴァルザード。

先程の柳犁の気遣い…と言えるものでもないが。

それを無下にされたと認識した、あまりにも狭過ぎる柳犁の器は、同時に罵倒の道を選んだ



「うるせぇよ単細胞馬鹿が」


「あん?誰が馬鹿だとごらぁ!!」


「馬鹿に馬鹿と言って、何がおかしいんだ馬鹿が」


「止めなさい…さっきからのその言い争い、ピリピリしてばかりじゃいけないよ…まったく、似た者どうしなんだから」


「誰がこんな奴と一緒だってんだぁ、おい!!」

「誰がこんな奴と一緒だってんだぁ、おい!!」



珍しくマトモなグレイブの仲裁の言葉にも反発する馬鹿2名



「息ピッタリじゃないか。2人とも本当に良く似ているよ…とても元気なところがね」


「止めなさい、炊き立てるだけよ…それ」



冗談じゃねぇ…誰がこんな奴と一緒だ、俺はもっとチャーミングだってのによぉ!



「そんなことより!これで4強がほぼほぼ出揃ったじゃないかこの大会!!そんな高順位にまで登り詰めるとは!流石リューリ君!流石ヴァルザード君!こんなにも胸躍る物があるだろうか!」



なんつーか…この人が一番はしゃいでるんだよなぁ、この大会

このはしゃぎようを見ると、逆にこっちが落ち着ける…



「でもこのまま2人が勝ってっちゃうと、その2人が当たっちゃうんじゃない?そんときあんたは、果たしてどちらを応援するのかしら?」



………それを聞くかゲルダさん!この人にそれを…



リューリ大好きマンのグレイブ…多分、それと同じくらいヴァルザード大好きになりつつある彼だ

こんな質問をすれば、どれだけこの場が騒々しくなるか予想のついた柳犁…後は



「………………………………………………」


「…あれ?」



後は…俄然厄介なことになるだろうと踏んでいた柳犁だが…何故か黙りこむグレイブ



「あれ…?グレイブさん!?」


「見事に黙りこくったわね〜。いつもこうなのよ、グレイブ…何かに入れ込んでるときに、それを比べさせるようなこと言うと、こうやって黙りこむ。こいつを黙らせるには、これが一番手っ取り早い…」


「凄!?そんな手が…流石ゲルダさん!!」



こうしてグレイブは、この後しばらくの間…黙りこくることとなった。




















数時間後、第二回戦最終試合直前



「リューリ、ヴァルザード、アーク。この3人の準決勝進出が確定していて。今から戦う、デックス・ドルトンとリチャード・クラッチズール…この2人のうちどちらかが、最後の1人として準決勝にくるわけね…なんか活躍してるかどうかがイマイチ分かってないんだけども…期待できるかしらね?」


「無理だね」


「無理だろ」



態度のデカい馬鹿2人、余裕満々である



「てか俺とお前、準決勝で当たるんだってな」


「そーみてーだな」


「しかも次だってな」


「そーだな」


「さっきから興味薄すぎるだろ…お前のことだぞ、リューリ」


「どの道俺が勝つからなー」


「そーだな、俺が勝つからな」


「………」


「………」


「どんな結果になろうが…まぁどうでもいい、私の優勝に変わり無しなのだから」



こいつ!?



ヴァルザード、リューリと続いて、何故か隣にアークが居た。



「…なんでお前がいるの?」


「居て、悪いか」



2人以上に太々しい態度で、どっかりと座り込むアーク。



「アーク・レイフォード…何故お前がここに?」



唐突の出現に驚くヴァルザード…神出鬼没過ぎる



「本当、なんだこいつ…新手のストーカーか?」


「リューリ…なんだいきなりのその言い草はぁ!?」


「…へっ」


「ええ?リューリ、忘れるなよ…お前は1回、私に負けているんだつまり弱い!!弱いくせに偉そうにするな…シンプルにそれを守れよ」


「だったら今すぐに甘美な敗北をプレゼントしてやろうか?でもそれは怖いよなぁ…だから決勝戦までは〜その猿山でふんぞり返らせといてやるからよ、黙って消え失せな…」



やっぱりうっとおしいぜ、この野郎は…腹が立つ。

お気に入りの服についた薄汚い油汚れみたいなよぉ、この隠すつもりも無い悪意がよぉ…



「まあいい、すぐに結果は出るんだ。それよりこの試合を見ようじゃ無いか…おまえとの決戦の前に、ウォーミングアップくらいできる相手と当たれればいいが…」


「どんだけ上から目線なんだ…まぁいい、勝手にしろ」


「ははははは…なんか、思ってたより我がままな性格してるのねぇ…あんた」


「それは違いますよ、ゲルダ・ルシアン殿。彼をからかいたいだけです」


「ウルセェ、黙って見てろな」



それでもどーしてか、この現場に馴染んでいる

















『さあさあ第2回戦もいよいよ最後!!今回当たるはこの2人!!デックス・ドルトンvsリチャード・クラッチズール!!!!!!!!!!』



ステージ中央、相対すはこの2人。

外見は完全におじいさんのデックス・ドルトン、そしてその容姿すら見えないリチャード・クラッチズール



「騒がしいのう、あの司会は。もうちょっち老人を労らんかい」


「………………」


「………それはお主も一緒じゃったな。まっすぐに目を合わせた相手に挨拶の一つも無いとは…年寄り相手に寂しいのお」



もっとも、目すら捉えられぬが…このローブ、魔力的なものか…



『それでは試合っ、開始ぃぃぃぃいっぃぃい!!!!!!!!』



「だ、そうだ。ほれ、ローブくらい脱いで顔をみせんかい」


「……………………」


「………人としてなっとらんな。若造が、ちょいと声を聞かせてもらうぞ」



そう言うと、流れるように構えをとる老人

だがその動きはまるで、老人のそれではなく…



「「「ほいっ!」」」



その突きもまた、常人の速さではない!



「「「ほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほいほい!!!!!!」」」



そのまま突きを繰り返す、至近距離!!



『速い速い速い速い速いぞぉ!デックス・ドルトン!老人の動きではない、これが賢人!」



賢人…本来そういう意味では使わんのじゃがね



「ほれほれほれほれほれ!!受け続けては身が持たんぞ!!」 



リチャード・クラッチズール、避けるそぶりも無くただ食らい続ける…



妙じゃな…手応えがない

これもローブの効力かの…?どの道殴り倒すこと以外、儂には出来んからのぉ。このまま攻めさせてもらおう



「ほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ!」



突きから蹴りへとシフトチェンジ

この老人、相当な体術の使い手である





「ダッ、ハハハハハハハハ!!あの男、このまま無抵抗で殺されるつもりか!!」



観客席で品のない笑い声をあげるアーク



「あのローブの下を見てみたいは…さぞかし必死の形相で…いや、見れないか」


「なんじゃそりゃ、見たいのか見たくないのかはっきりしろ」


「見れんさ、あれはどうしようと。魔力でカバーされている…素顔どころか、奴の性質が何一つ確認出来ないほどに念入りにな…俺が正体を見抜けぬ呪術師など、いや…」



苦そうな顔をするアーク

この男にも、そんな顔が出来るのだと割とマトモに考え込む柳犁



「まさか…な」


















「ククククク…やっと気がつきましたか」








そのときチラッと、ローブが捲れた…



「!?お主、始めて顔を出しおったな…ならばその顔、剥がせて貰おう!」



そして老人は狙いをローブに変え、そのローブを…



「「はいやっ!」」



<<<シュッ!>>>



『決まったぁぁぁぁぁ!!!!!ドルトン選手の一撃がついに顔に!!これは勝負ありかぁーーー…ってえ?』






「んなっ!?ありゃあ…」


「嫌な予感を的中させおって…ルィッシェリダ…」


「…へ?」








ローブが消える…それと同時に…



「な!?怨霊の類だったか!!姿が消え…」


「御老人。貴殿の奮闘、見事でした」



背後に立つ…



「なんじゃ…お主、誰じゃ?別人じゃぞ!?ワシの戦っていた相手は…もっと小さかったはず!!」


「ククククク、カハハハハハハ!!まだまだ人生経験が足りませんね…やはり、()()のような那由他の時を過ごしたものでなければその程度で…『賢人』と呼ばれるには、もう万年必要でしたかね」



背後に立つその男は…姿は歪み、霧がかる…それ以上に、そのざっと見は前より…



「もういいでしょう…貴方は存分に戦った。まぁ、私からすればまだまだですが…」 


「なんじゃ!?なんなんじゃお主はーーー!!!!!」



それは恐怖か…途方も無き恐怖を覚えてか、顔を歪め叫ぶ老人


その恐怖は的中する…滅びとなって



「飽きました」













「ヤベェ!耐えろよ、おまえらっ!!!」


「はっ!?なんだよ急に!」



次いで叫ぶアーク…それを察知したかのように







焔獄(えんごく)扁柱葬(へんちゅうそう)



<<<ズッガガガガザザザザザザ!!!!!>>> 



炎の柱がステージ中に出現する…その豪炎は全てを包み込む…そうその圧倒的な熱量で



『あっつい!あつつうつつつつつつつつうういいい!!!なんですかぁこれは!!まただ!!今大会は何度防御壁が限界まで追い込まれれば気が済むんだぁ!!維持費ハンパねぇんだぞ!!コラァ!!』



なぁぁぁぁにぃぃぃぃを、嘆いとんのじゃああああ!!!あいつはぁぁぁぁぁあああああ!!!!!

おまえが管理してるのか、この会場を!!!!!てか熱!めっちゃ熱!!



「溶けるって!もう溶けちゃうって!!防護壁機能してねぇじゃねぇか!!観客席(こっち)まで熱くなってやがる!!」


「ええい、黙れいっ!!この程度で何を言っている!!実際溶けなかっただけありがたく思えよ…あの防御壁が無ければ、アイツは俺ごと会場全体を燃やし尽くしていただろうに…」


「いやいやいやいやいや、どうなってんだそらぁ!!なんでおまえが燃やされてるんだよ!!」


「いやまて!!中の爺さんは!!爺さんはどうなってんだ!!無事じゃ済まねえぞ!!」


「九分九厘死んだな…ようやく熱さが退いてきたわ」


「す…凄まじい爆炎だったねぇ…みんな、大丈夫かい!?」



あ、グレイブさん戻った。



「なんとか生きてるわよ…予備動作も無しにあんなのがきたから、周りの観客だけしか防護出来なかったけどね」



どうやら、ゲルダが旧繕いで周りの人間を魔法で防護していたようだ


それがなければ死んでいた、というほどなのだから…やはり相当な火力



「ありがとう…僕達より、観客の方々を護らないとだからね…ああ、でもヴァルザード君達は!?」


「ちょっぴり熱かっただけだから問題ねぇっすよ…ミリエル、平気か?」


「うん…一瞬熱かっただけだしなんともないよ」


「そうか…リューリ、サーシャ!!おまえらもダメージはねぇか!!」


「はふはふ…冷めてたじゃがバタが、こんなにあったかく…」


「相変わらずそうだ!問題ねぇ」


  

『消火ぁぁぁぉぉ!!!!消火急げぇぇぇぇ!!!!』



まだ炎自体は消えていないようだ…

しっかしこんな、下手したら全員巻き込んでたような攻撃…なんでこんなものを使ったんだ。



「……………………」



アークの野郎が、急に立って…

いや…コイツが何か知ってる様子だ。まだ俺の知らない情報、たんまり持っているだろうからな…



「どうした?どこへ行くつもりだ…」


「結構だ。これは俺達の問題なのでな、おまえには直接関係しない」


「多少なりとも説明の義務がおまえにはある…この間の話に関係があるなら、俺にも聞かせろ」


「分かった好きにしろ…だが言っておくぞ。おまえの実力では敵わない相手だとな」


「上等だ…そもそも、そんな相手と戦えって言ったおまえが何を心配している」


「絶対に敵いはしないさ…なんせ地獄の住人だ」


「まぁいいや…じゃあグレイブさん、俺ちょっと席外すんで!」


「はーい!気をつけてね~」


「じゃないでしょ、こんな状況下でどこにいくっての!!」


「ああ、確かに。トイレかな?」


「なにを呑気に、おかしいと思わないの!!もしアイツに、何か起こりでもすれば…」


「彼らなら問題ないよ、強いんだから」


「ああもう!ちょっと私が見てくるから、サーシャ達をよろしくね!」


「はーい」


「行ってらっしゃーい」





  







  



スタジアム内、無人の一室にて会合する3人



「クッ、ハハハハハハハハハ!!珍しいじゃないですか、アナタが人間を連れているなんて…ああ、アナタも今は()()でしたね」


「体だけだ。それより、そんな人間になってまで…何をしに来た?『()()』…ルィッシェリダハーカ」


「おんなじことでしょう、『()()』ズェクリエル。私も貴方も、そうまでしなければ生き残れなかった」


「……なに言ってんだこいつ等?」



先程の試合から抜け出してきたリチャード、それを魔力を頼りに辿って来た柳犁とアーク

だがこの2人の会話に全くついて行けない柳犁だった



「正体を隠しているにしては、随分と派手な攻撃だったが…本当はこうやって、俺とおち合うのが目的だったんだろう?ワザとバレるようにしてな…」


「ええ、その通りです。いつまでたっても、気付いてもらえなかったのでね。痺れを切らしてしまいました」


「ほざけ。実際のところ、ただ俺を殺そうとしただけの癖によく言える…」



そら、躊躇なんてしてるような威力じゃなかったからな…俺もビビったぞ




「私が貴方の首を狙っていない時がありましたか?まぁ、それでもいつまでたっても死ねないからここまでの付き合いになってしまったのですが」


「で、なにしに来た…まさか援軍とでも言うんじゃねぇだろうな?」


「ご明察、貴方と同じですって。あの女狐に一杯食わせたい…そのために…」


「マジかよ…お前と手を組めって?」


「虫酸が走りますが…仕方なく」


「おいアンタ!!」



あまりにも情報の整理ができず、痺れを切らした柳犁。2人の会話に割って入る。



「…私かな?」


「ああ、あんた。あんたもそこのアークと仲間なんだろ?俺はそいつに協力しなきゃなんねぇ、全くもって不本意だが…だったらあんたも何者か、いい加減俺に教えてくれたっていいんじゃないか?」


「…仲間?それは心外だ…もう少し離れた扱いをしてくれないか」


「ルィ…今はリチャードか。そいつにそんな細かい注文は無意味だ…まず守りもしない」



うるせぇよ



「失礼。そこの貴方、アマリ・リューリでしたね。この男が説明不足なおかげで、大層迷惑したでしょう…『知り合い』としてお詫びをします。ところで『リューリ君』と呼んでよろしいでしょうか?」



悪い気もしない…

だが、この笑顔を信用できもしない…

胡散臭さMAXの野郎だ…こんなのには出会ったことがないくらいにな。



「いいぜ、呼び方は好きにしてくれ。こっちも…あんたらはただの知り合いってことにしとくよ」


「ええ、それでいいでしょう。ではリューリ君…早速私達の正体について話しておきましょう…それはそうと」



なんだ?俺の後ろっ側の通路を覗いて…



「そこの御人、隠れていないで出て来なさい。貴方にも話してあげましょーう」



そこに…誰かいるのか?ええ怖い…




「あら…やっぱしバレてた?」


「あんたその格好で仕事してたの?派手でしょうにって…だからバレたんでしょう」



そこにいたのは、ゲルダと、ゼルブラッド



「ゲルダさん!ゼルブラッドさん!!…なんでアンタ達が」


「いや、やましい事をしているわけじゃないわよ。てかアンタ達の方が、よっぽどやましいことしているように見えるんですけど?さっきから何を話しているの、ほとんど伝承上での話よそれ」


「そのトーリ…お誘いもあったってことで、直々に聞かせてもらおうか…」




「おまえ、わざと聞かせたな。最初からそこにいるのを知っていながら放置して…」


「クハハハハハハハハ!!そちらの方が面白い…それに、共謀者は多いに越したことはない。案ずるな、重要な話はこれからだ。判断は任せる」



そしてこれから話を仕切り出すはゲルダ陣営



「リューリ…そいつ等何者よ?いつからつるんでたの…そいつ等、まるで自分たちが人間じゃないみたいな言い方して『天帝』だの『冥皇』だのと…どこでそんな情報仕入れたか知らないけどね…そんな最高機密」


「最高機密!?」


「最高機密…まぁ、俺が『天帝』でこいつが『冥皇』本人ってだけ。機密も何もな〜い」


「本人!?」



立て続けに驚くリューリとゼルブラッド



「何それ…笑えない冗談ね。知らないと思って?10年前の大戦で、そいつ等2人共死んだはずよ…」


「ああ確かに死んだ、肉体はな…だが魂はこうやって人間の体に転移させた。勿論、スペックはそのままで」


「…なんの冗談よ、それ」


「冗談でこうも事情通ではいられんだろ…精々10年前現役の頭角(エル・スリード)か、天界関係者か。知ってるとしたら、それくらいだろ」


「………」



キョトンとした顔をするゲルダ

つまりその通りだと言う…このアークの言うことは事実なのだと、認めざるおえないと言った反応だ



「ゲルダ…こいつは」


「ええ、間違い無さそうね。天界の存在を知っている時点で、まず只者じゃないわよ…こいつ等」



………あのう、すいません…僕には何にも理解出来てません。



「では改めて、私達の自己紹介とでもいきましょうかね…アーク」


「そうだな…ある程度理解してもらえたみたいだし。僕等の目的も添えて…」



もういいや、こいつ等のやろうとしてることだけ聞こう…



柳犁は、考えるのを辞めた。



遂に遂に!お兄ちゃんとリューリがぁ!


戦っちゃう!!


きゃ〜!ミリエルちゃんを掛けての男同士の戦い…燃えるわね〜


勝手に掛けないでください


ごめん…笑顔がまた怖い


次回 柳犁vsヴァルザード


どっちに勝ってほしい?ミリエル…ミリエル!?

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