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神殺しの龍拳  作者: 桐ケ谷緋乃進
花札編
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32/61

32話

飲み屋の端の席にリオル・グランテが座り、その正面にはヨサン・フリーロが座っている。

そこはまだ暗い、だが南朝連邦の夜はいつもお祭りのようにピカピカと光り続ける。

流石世界で一番睡眠時間が少ない国。


リオルが焼き鳥串を食べ、その口に一気にお酒を流し込む。

それを見たヨサンが頬杖をつく。


ヨサンが言う

「それってそんなにおいしいんだもん?」


リオルが言う

「んなんあったりめえだ!!おめえも食うか?」


ヨサンが呆れたように言う

「はぁ...食べるもん。」


それを聞いたリオルは仕方ないなぁ...とでも思いながら焼き鳥とネギが刺さっている串をヨサンのほうに渡す。


ヨサンが目を逸らす

「僕...ネギ苦手...だもん」


リオルが不思議そうな顔で言う

「そうなのか?そういえばアヤシノも言ってたな。」


ヨサンが言う

「アヤシノ?誰だもん?」


リオルが言う

「アヤシノ・サインって名前で俺たちとおんなじ部隊の仲間だぜ。今度会ってみろよ。」


ヨサンが言う

「僕...人に話しかけるの...苦手だもん...」


リオルが言う

「心配すんなって。俺はお前から離れられねえんだからさ。」


リオルの肩に乗っかっていたカーデンヴェリが右肩から左肩へと移動する。

その移動したカーデンヴェリを右手で撫でる。


ヨサンが言う

「で。そのオウムは何なんだもん?」


リオルが言う

「カーデンヴェリ。こいつによるとオウム界では高飛車なお姉さまらしいぜ。」


ヨサンが言う

「自認高飛車なお姉さま?なんだもんそれ」


しばらく二人は黙々と串焼きを食べている。

二人が食べ終え、外に出る。そうするとリオルが腕時計を見るなりこう言った

「おお。すまんすまん。時間が来ちまった。」


ヨサンが言う

「.....任務....なんだもん?」


リオルが言う

「あったりめえだ!!聖遺物を奪いに行くぞッ!!」


++++++++++++++++++++


12月3日:彫帝里


リオルとヨサンは里の侵入にはすんなり成功し、建物と建物の間に身をひそめ、ことぼりの様子を見守る。


リオルが言う

「どうやら、潜入者は俺達だけじゃなかったみたいだな。」


ヨサンが首をかしげる


ヨサンが言う

「今は...何が起こっているんだもん?」


リオルがヨサンにニカッと微笑みかけると


リオルが言う

「こいつらは大領帝国のやつらだろう。あれがパロマ・フエゴ。その横は...誰か知らねえ。」


ヨサンが言う

「それで、目的の聖遺物はいったいどこにあるの?」


リオルが言う

「俺たちがどうこうする必要はねえぜ。こいつらは優秀なカモなんだよ。」


++++++++++++++++++++


パロマと優香が雨冬杏樹と椿の二人組と戦っているその間。

陰からこっそりその様子を見ていた南朝連邦の二人がいた。

だがそれとは別にまだいたようだ。


パロマに向けて雨冬が斬撃を繰り出し、それを何とかパロマはパリィしている。

その足元の動きの一瞬のほころびを雨冬が見逃さなかった。

足元をすくわれ、そのまま転倒する。


転倒したパロマにとどめを刺そうとしたその瞬間

コツコツと足音が聞こえてくる。


雨冬がその足音の主の姿をとらえようと振り向いたその瞬間。

パロマが消えた。


雨冬が振り向いた先には


こむぎ。りんな。がいた。


雨冬が言う

「おやおや...これはこれは...どうしてこんなところに...いらっしゃったのですか?あなたたちと戦う未来は想像できません...」


その瞬間後方から優香が飛んできて、それをりんながキャッチする。


りんなが言う

「危なかったねぇ~♡」


優香が怪訝な顔をする


雨冬が言う

「皆さんとは...おそらく私の実力だけでは足元にも及びません...ですが...」


雨冬の背後から藤松門下が出てくる。


一行は悟った。こいつらがこれからやることを。


翔とアリスが遠くで花札邸に向かっている様子が見える


この殺し合いにおいて、重要なのは何を目的として争(たたか)うか。

それは単純である。

五光の目的は花札の逃走時間の確保。大領帝国特殊部隊側は花札の死。

この戦闘でわかることは、五光側と領帝特殊達の実力差は明らか。

領帝特殊達の方が圧倒的に上だ。


......。


この戦闘では誰かが死ぬ、もちろん五光側の誰か。ここでは人情など関係なく、任務遂行のためならば誰の死もいとわない。


《《それが自分であろうとも》》。




雨冬が振り向かずに言う

「椿さん。逃げてください。」


椿が目を見開いて言う

「...何を...言ってるの?」


雨冬が言う

「今までありがとうございました。ようやく、花札様が言ってたことが分かった気がします。」


椿が涙を流しながら言う

「だめ...そんなの絶対だめ!!」


いってらっしゃいませ。


門下が雨冬の横に立ち言う

「心の準備など出来る状況ではあるまいな。若き人。」


雨冬が小さく力のない言う

「はい。そうですね。」


雨冬が一歩踏み出して言う

「改めて自己紹介させていただきます。僕の名前は雨冬杏樹。正々堂々かかって来てください。」

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