12話
クラシックの流れる廊下を歩き少し濡れた髪の毛をタオルで包み込む。
ホテルのカギについている部屋番号を見る。「1741」
1741
1741...どこだ...
部屋の番号を見ながらホテルの廊下を歩く
温泉から上がったらスマホに翔から
「お風呂あがったら、なるはや部屋に来て。次の作戦の話するから。」
だってさ。
ただでさえ今回の任務長かったのに。また任務?
いやになっちゃうね。
おぉ。あった。1741。
鍵穴に鍵を刺して回し、ドアノブをひねる。
そうして視線を下の落とす。玄関土間には二足の靴が置いてある。
恐らくじゃなくてもりんなと翔だろう
こむぎは靴を脱いで部屋に入っていく。
そうするとりんなと翔が何かを話していたみたいだ。
りんなが言う
「それって...こむぎちゃんに言うべきなの?」
翔が言う
「いやぁ...言うべき。だと思う。」
翔が言う
「あぁ...りんな。右見て右。」
翔が部屋の入り口を指さして言う
こむぎがアイスを頬張りながら言う
「何の話してたの...あむぅ...」
翔が言う
「落ち着いて聞いて欲しい。」
こむぎがアイスを食べるのを中断する
「なに。」
翔が言う
「スパイが見つかったんだ。そいつは...こむぎの親戚のうちの一人なんだ。」
こむぎが俯く
親戚?
こむぎが言う
「嫌だよ。」
りんなと翔が頭を抱える
翔が言う
「そうなるよねえ...そうだよねえ...
一応説明するけど、そのスパイはこむぎの従妹。
こむぎ...誕生日...あるでしょ。誕生日パーティーで...」
こむぎが言う
「嫌だ。」
りんなが言う
「いや...でもそこでしか...」
こむぎが言う
「..........誕生日でまでも人を殺さないといけないの?」
................。
しばらくの沈黙が訪れる。
誰も何も言わない...いや、言えない。
この場でのこむぎの回答によってすべてが変わる。
こむぎが口を開く
「レベルは?」
翔が言う
「Highレベル。」
レベル。それは任務の優先度を表す、恐らく東国独自の特殊部隊用語。
Ultra high
High
Middle
Low
前回の任務、ロイヤル・ワトソンの優先度がUltra high。
実際、特殊部隊に回ってくる任務はどれも重要。
そんな重要な中のさらに重要な任務だということ。
こむぎが言う
「.....わかった。」
翔が言う
「え...?」
りんなが言う
「え....?...いや...別に無理しなくても...」
こむぎが言う
「やる。やるんだよ」
こむぎが躊躇した理由はいくつかある。
まず、
誕生日に人殺しをしたくない
という点、それとこの任務はこむぎ以外の家族は知らない。
つまり、軍と特殊部隊以外の人間はこの作戦の存在自体を知らないということ。
特殊部隊の作戦の機密性は非常に高く、軍の参謀と特殊部隊の内の一人が他の特殊部隊員に口頭で伝える。
作戦は特殊部隊と参謀の間の記憶にしか残らない。
誕生日パーティー。そこで...《《人を殺す》》...?
.............。
嫌だ.....。
嫌だ..........。




