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黄昏のオダマキ  作者: ないある
黄昏のオダマキ 【アルヘア】
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15話【失踪した完備班】

「ぷふぅ…」

ぽんぽんとネストルは膨らんだお腹を叩いた。どれだけ忙しくても、どれだけ大変でも食事は欠かせない。栄養であり生きる術。

しかし休息の時は短い。スマホに着信。ティタからだ。

『ネストル〜どうしよ〜客同士のトラブル。それに片方は登録されてない客なんだよ』

「ティタ君、そう言うのは儂ではなく警備員に言ってくれないか?」

『いや、警備員には言ったよ?ランバとルアンにもね』

『でもあの二人も巻き込まれてて…警備員は今他の場所に回しているし…我は遺漏使えないからさぁ〜』

「…はぁ…わかった。今向かう」

————

「……言ってみたけれど…」

スマホをポケットに仕舞いティタは息を吐く。

別に遺漏が無いから動かないというのは建前。他の仕事の為。ネストルが代わりに動いてくれている間やるべき事をやる。それっぽい論理で説得しないとネストルは重役としての仕事を優先してしまうから。

「さて…動かないと」

ティタは観戦客の情報を検索し始めた。オリンピュアの選手だけでなく観戦する客人達にも遺漏の情報はトラブル防止の為に収集している。今必要な人を探さないといけない。協力してくれる人を。

————

女性が男性に暴力を働いている。そういう報告。

その現場にまで人手が足りないのはこちらの落ち度だ。此処は責任者として責任を取らないといけないだろう。

そう考えながら原因の二人を見つけた。

被害者の男性を見てネストルは気がつく。彼はバルダーだ。その特異な姿。忘れもしない。アイツは世界完備班で行方不明だったバルダーだと。

世界完備班は力がほぼ序列になっている実力主義。ネストルはその歪さが嫌いだったがそれでも優秀な人材は記憶に残している。バルダーもその一人だった。

バルダーは世界完備班の中でもゲリラ作戦に強い。序列一桁のトップからも目をつけられていた。優秀だが問題児。そんな彼が急に消えた。

だと言うのに何故此処にいる。何故女性に絡まれている?

「制裁ッ!!」

そう叫ぶ女性に慌てて駆け寄る。

「待ってください手は出しちゃ駄目です!」

バルダーが反撃しないのは性格故だろうか。でも彼は表向きヘラヘラしているがその中身はかなり気性が荒い筈。

「どうしたんですか…というかバルダーも…」

バルダーは両手を広げ頭の横で指をぐるぐる回す。

「どうもこうも急に犯罪者扱いで殴ってきたから躱していただけっすよ」

「そ、そう…貴女は?お名前は?ちゃんとチケット買っているので名前は調べがついてますが…ファティ・ンバイさん」

セネガルのダカールから来た女性。遺漏は『ファフロツキーズ』空から魚や肉、オタマジャクシ、赤い雨から『スターゼリー』と呼ばれる謎のゼリーと様々なものをを降らせることができるらしい。

「私はこの犯罪者に正義の拳を…っ」

そう言いながらもマスクで口元は見えないが…顔がだんだん赤くなっていく。

(恥ずかしい…?)

流石に叫んどいる所を見られて羞恥心が混ざったのか声が小さくて聞き取れなくなっていく。

「それで、この男…は………っ」

「せ、せいさ…っ」

「な、何顔赤らめてんだよ…」

バルダーは引き気味だ。

「この男は高いお金を払って来た観客を横目にチケットを持たずのこのことオリンピュア会場を出入りして…っ!いっっぅさぁあああいッッッ!!!!」

再びファティは拳を振り上げた。

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