9話【電波越しの口戦】
しかし異常だ。ランバは場所を更に移動しアディーとフリーダを追跡した。通りかかる職員さえも
『大人もいないのに子供だけで来れるなんて流石アディーちゃん!』だの『子供なのにイケメンで美人!将来きっとセクシーになってモテまくる』とアディーを持て囃す言葉ばかり。
『アディーちゃんに金メダル渡して!』
ただ観客の行動も過激化していると報告が上がっている。スマホのメッセージがティタから来たが運営に対して金メダルをアディーちゃんにと強奪しようとする観客も出る始末らしい。ティタもまた影響を受けているはずだが仕事はするのが幸いだ。
運営側もそういった動きをしようとする人もいるからかなり危うい状況だ。
(アディーと話す時間に関係するのかな…)
(気味が悪い…まぁ神々のオミッションには効かないのが不幸中の幸いだけど)
(神々がこれで何か変な事始めないよね…?)
痺れを切らせ動き出すとなるとかなり対処に困りそうだ。そうでなくともこのまま何日も過ごすとなると頭がおかしくなりそうだ。神々もこんなの観ても楽しくないだろう。
(ネットもアディー賛美ばかりなの…?)
しかしランバの考えは杞憂に終わる。しかしそれ以上に斜め上方向に恐ろしいことになっている。スマホで今のオリンピュアに対する書き込みを見ると罵詈雑言の嵐だった。
『アディーの為のナニー・ステイト』
『オリンピュアの資金を二人の関係ないガキの為に使うの??』
『アディーとかいうメアリー・スーのせいで試合が盛り上がりに欠けている』
『誰か現地行ってあいつの耳と尻尾引きちぎって』
『いつまでアディーの写真映すんだよ。選手映せよ試合見せろ。ションベン臭いガキのレポートすんな』
『キショいから早く追い出せ。画面に映すな』
『アディーばっかで隣の女の子ガン無視なの笑える』
匿名だからラインを超えた誹謗中傷にまでなっている。
「めっちゃ炎上してるじゃん…!」
(遺漏は電波越しでは効かないんだ)
ランバは心の拠り所を求めてあけぼのクラブの双に電話をかけた。国際電話の料金?心より勝るものは無い。
————
「今からアディーとその友人を捕まえて欲しいのです」女の透き通る声が響く。
「私『エイル』の名にかけてこの状況は見過ごせないのです…私の眷属になってください」
ランバ、カジス、ルアンとはまた別の勢力がアディーを狙い動き始めていた。
そんなことは露知らずランバは心の安定の為にあけぼのクラブに電話をかけていた。心の平穏は自身のコンディションを整えるのに最優先事項だ。
「早く出て…っ」
着信音が鳴る中ランバは今にも泣きそうだった。




