4話【開会式終了】
いよいよ開会式が始まった。
ギリシャの人々が選手達を出迎えダンスや歌でパフォーマンスをしている。
会場が震える程の歓声が沸き起こり音楽と合わさり一体になる。
大盛り上がりの会場の外や内側をランバは浮遊しながら邪魔にならないように警備員として人々を守る為に周りを見渡す。開会式では各国の選手達が集まり会場の盛り上がりは最高潮だ。
開会式の〆にギリシャの国歌が流れ開会式は終了した。
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「オレに何か用?」
ブライトンはじっと見つめられている事に気が付いた。
「あ、ごめんなさい…」
タンザニア代表の体操競技の選手であるブライトン・ハミシ。ランバはムフパの友人だと教えられていた。ゆっくり降り立ち気まずそうに笑う。
「ムフパの友達って聞いていたもので…」
「…あ、日本の友人の人ね。オレも聞いていたよ」
ブライトンは基本本を読むか練習の為に家から出ていた。その為ムフパと連絡を取っても会うことはなかった。これが初めての対面になる。
話もそこそこにランバはブライトンの健闘を祈りその場を後にした。
「…ランバって話通りの奴だったな」
『人間臭い良い奴』
ランバという人物はムフパからの評価通りだった。
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それから観客席へ続く大きな道へランバは移動した。
「あれ、…壁…大丈夫かこれ…」
低い男性の声。左が白、右が紫のツートンカラー。右の紫を三つ編みサイドテールにしている。赤い瞳に左目が赤の反転目で時計のような瞳孔をしているのが特徴的だ。その車椅子に乗った男性が困った様子だ。車椅子の取っ手が壁に当たり動きを邪魔しているようだ。このまま動くと壁に傷をつけてしまうと無理やり動くわけにもいかないと立ち往生している。
「大丈夫ですか?今動かしますので!」
ランバは駆け寄り車椅子を引いて壁から引き離した。
「ありがとうございます…使いすぎて歪んでたのかな…」
「見た所車椅子に問題は無いですよ」
「そ、そうですか…」
男性は何度も礼をして去っていった。やはり見回りは大事だ。予想外のトラブルがある。
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ランバが見回りをする中ルアンは遺漏の力を使い真っ直ぐアディーとフリーダの下へ向かっていた。
「はぁ…あの子の意思は尊重したいのだがのぉ」
アディーのおねだりなら聞いてやりたい。そう思ってしまう。だが仕事だし、なにより安全のためなら仕方がない。またおねだりされたら聞いてしまうかもしれないが。
「…普段はこんなこと無いんだがのぉ」
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今現在選手達が各々自身のモチベーションを高める為に準備運動や出番を待ち部屋に戻るなど選手達はバラバラに動いていた。
ティタはオリンピュアの危機管理本部にいるネストルの下へ帰ろうと歩くが…。歩けども歩けども人々の話題が変わらない。
『アディー可愛い』しか皆話さない。試合の話が極端に少ない。
『さっき見た子可愛いね。アディーって名前なんだってさ』
そんな話をよく聞く。
「すみませ〜ん」
韓国のマラソン選手の一人に話しかけた。水色の髪の毛で真ん中で分け目ができており右と後ろをお団子にしている女性。
「は〜い?どうされました?」
「我は安全管理本部のアドバイザーなんですけれどうちのVIPのアディーで話が持ちきりで…何かありました?」
「アディーちゃん?可愛いですよね〜今友達と歩いているのを見かけたけれど探している人がいるっぽいの…治療に長けた遺漏持ちの人だって…」
「あ、飴貰ったんですけれど食べます?結構量多くて…」
「あ、どうも」
「にしし、お裾分け!」
悪戯っぽい笑みを浮かべる彼女に笑顔を返す余裕は疑問により奪われた。
(あれ?ルアンはどうしたんだろ…)
ちゃんと護衛はしている筈。彼は生真面目だからきっとアディーを守ってくれる筈。何も問題は起きていない筈。でも何だろう。この違和感。不安とはあまり関わりが無い性格なのに何かを見落としている気がする。
貰った飴の甘さでその不安を誤魔化した。




