3話【早速トラブル】
正反対な性格の二人組だった。
特に目を引く活発な少女。白い髪の毛に黄色のコントラスト。青と赤のオッドアイ。猫耳に尻尾。浮いた天使の羽と愛されフォルム。服は水色とピンクの可愛らしくフリフリ。そして極めつけは僕っ娘。
対照的に濃い茶髪のボサボサの髪の毛の眼鏡の子。青い上着にシンプルな黒い首飾り。灰色の服に茈色のサスペンダー。どんよりとしたダウナー基質な性格が隣の子により更に強調されている。
「僕!僕がアディー!」
「フリーダ…です…ごめんなさい」
「何謝ってんだよー!」
軽く小突いてくすくす笑う少女。
「護衛だよ?迷惑かかるじゃん」
「やってくれるって言ってくれたもん!」
2人はお互い小言を言い合ってしまっている。
「まぁこの二人の護衛となる。ルアンよろしくね」
「承知した」
そこまでは良かった。だが
「え、怖い」
「失礼じゃん!」
「うぬぅ…」
やはりと言うべきか複眼はまだ八歳の子供には刺激が強すぎた。先程眼帯をしろとティタに言われたのはこれが理由か。
「左目は失明しておるから額の目だけで見ることになってしまうのぉ」
「大丈夫?問題ない?」
「平気じゃよ」
ルアンは眼帯を医務室からもらおうとその場を去った。
「それじゃあお先に見回りするので失礼します」
3人にそう言いランバは先に見回りを開始した。
ルアンを待つ間3人は暫し楽しく談笑をすることにした。
「アディーちゃんはお友達の…えっと…フリーダちゃんと二人だけで来たの?」
「そうだよ〜お友達に乗せてもらったの!」
「それはすごいね!」
「………ふん」
フリーダは会話に混ざろうともしない。
「楽しんでくれると良いなぁ〜」
「いろいろ見て回るよ〜!」
そこまで話すとルアンが走り複眼の右目に眼帯をつけて戻ってきた。
「待たせたのぅ」
「はーい!それじゃあ早速オリンピュアを観て回ろー!」
アディーが先頭に立ち意気揚々と小走りで向かう。ルアンはそれを一定の距離を保ちながら追随する。フリーダはルアンの後ろを歩こうとしてアディーに手を引かれて前を歩くことに。
美味しそうな出店が立ち並び人々はアディーを見ると
「お嬢ちゃん!食べていかない?特別におまけするよ!」
と皆が皆奢ろうとする。
「わーい!フリーダ!一緒に食べよ!」
「……わかったよ」
「人気じゃのう」
食べ切れない分はルアンが貰うことになり3人とも美味しく頂いた。
「もうすぐ開会式が始まる時間じゃ。…席のチケットは…」
「あ、そうそう僕達探している人がいるんだよね」
「探している…?」
「試合も気になるけど探している人の為に来たからちょっと此処は見逃して欲しいな…!」
「…うむぅ……仕方がないのぉ」
アディーはフリーダを連れて小走りで立ち去ってしまう。
「……」
フリーダは申し訳なさそうにルアンを見つめていた。
暫くしてランバがルアンを見つけ話しかける。
「あれ?あの二人は?」
「うむ?見逃して欲しいと言うから見逃したぞ?」
「…え?護衛対象から離れたの!!!??」
「あ、そうじゃのぉ…見逃したのぉ」
「何してんの!?何してんの!?仕事だよ!?あんな幼い子供だけでこんな広い場所を!?」
「沢山目が付いているのに面目ない…おねだりされてしまっての…」
「おねだり!?おねだりで護衛辞めたの!?なんで!?」
「なんでじゃろうなぁ…可愛かったからかのう」
「ひっどい理由!」
ランバが詰め寄っても本人は何処吹く風。というより破綻している。言うことを聞いてしまった理由がかわいいから?おねだりされて?仕事だぞとランバは言いたかったが堪えた。
「じゃが遺漏で何処にいるのかは把握しておるから大丈夫な筈じゃ」
「そういう問題じゃなくて…安全の為なの!」
「あ、安全……承知した」
「遺漏…本当に2人の場所わかる…?」
「イオドじゃからのう。ちゃんとわかるぞ。ばっちしじゃ」
(イオド…ラヴクラフトじゃなくてヘンリー・カットナーのクトゥルフ神話に出てくるあれか…)
「はぁ…」
ランバは何でこんな事に…とため息を吐きながらルアンを信じてまた警備に戻り別れた。
「あの幼子は随分と可愛いな」
ゼウスの愛人センサーにアディーが引っ掛かった。ゼウスは気に入った相手なら老若男女節操なくなんとか捕まえ愛人にしようとする。
下界に降りてアディーを捕まえようと立ち上がろうとするのをヘラがすかさず手を握った。
「貴方?もう妾だか愛人だか知りませんけれどそんなのもう十分でしょう…!私が、私がいるのです!あなたを一番に愛しているのは私!!!私私私がぁあっ…!それに『アレ』は…」
「わ、わかった…わかったから静かにしろ…」
痴話喧嘩にクスクスと笑う他の神話の神々達。
アンガシャもその様子を見てにんまり口角を上げている。ゼウスもまたこれ以上動いたら良い見せ物だとため息を吐きヘラに抱き着かれたままになる事にした。ギリシア神話の最高神として失態を見せるわけにもいかない。(本当は焼き尽くしてやりたいが)平和の祭典だとアンガシャが自身を持って出している。はっきり言ってお互いの機嫌を良くする為の祭典だ。揉めたくは無い。
そんな様子を見ていたデメテルはため息を吐いた。
弟の節操の無さ、それに姉である自身にもその欲望を無理やりぶつけてきた。娘のペルセポネは可愛いが。
「メタル音楽でも聴きます?ストレス飛びますよ?」
アンガシャは慰めようとしてくれたのだろう。だが対人関係の浅いアンガシャの優しさは空回りだ。デメテルは首を横に振った。「気持ちだけ受け取る」と答えておいた。「そうですか…」と肩透かしを食らったような顔をしているアンガシャだった。




