52話【世界蠱毒】
エラーにランバば近づき元の人間に戻そうと触れようとするが目に見えない力に押し返されそうになる。
翠嵐海の足が北東の方角からランバに向かう。それをトモシビが両腕で足を受け止める。ズズズ…と受け止めきれず耐性がずれかける。しかし威力は抑えられた。トモシビの体から大蛇が現れ絡み突き首を締め上げ仰け反らせるが直ぐ様南西を向き大蛇の体に爪を貫き消滅させる。
翠嵐海は首裏の触手と尻尾を使い北東から二人同時に攻撃を展開した。ランバは受け止めるために盾に変え身構えトモシビもまた体にセンザンコウの鱗を生やし防ごうとする。
翠嵐海はその動きを見て口端を吊り上げた。
地面が揺れた。
「こいつ…!」
そう言えば地面を操れるんだった。
結界の地面が大きく揺れて地震により体が揺れる。
しかし次の瞬間翠嵐海は身体が揺れ血を吐いた。エラーが目に見えない攻撃をしている。「…スピリチュアル?」ようやく解析できた。このエラー。元の人間の持つ遺漏はスピリチュアルを操作するものだ。
エネルギーを消し鬼門を操る翠嵐海の能力を反転させ翠嵐海が鬼門、裏鬼門両方どちらの方角も不利にしかならないようにしたんだ。
苛立った様子の翠嵐海は口から大きな超音波を発した。超音波により体が震え耳だけでなく身体が壊されそうになる。ランバは脳を揺さぶられるがトモシビの方が苦しそうだ。トモシビは耳がないのにも関わらず聴覚が鋭い。エラーは地面に倒れ込み身動きが取れなくなっている。
ランバは空間を裂いて翠嵐海を孤立させた。
「はーっ…はーっ…」
空間操作に緻密性が求められ疲労が蓄積されていく。翠嵐海のあまりにも攻撃に特化したその性質。乱闘でも暴虐の限りを尽くした。その力で危険な存在を破壊させたが制御自体は出来ていない。ただの便利な破壊兵器ではないというのはさもありなんといった所だが。
動きが鈍ったランバとトモシビ。起き上がったエラーのその気配が強くなった。際限なく力が膨れ上がりランバの作った翠嵐海を孤立されていく結界がバリバリと壊れていく。反発するように再びランバ達のいる場所へ移されていく。
大きな霊的なエネルギーをトモシビは捉えた。
「あれを食らうと確実に死にます」
死んでも生き返られるが結界は間違いなく壊される。いや結界の力を吸い上げたのか。
「私は結界を維持するから狙いを逸らして!」
「わかりました」
ランバは宙に浮きなるべく死角へ移動する。
トモシビは翠嵐海へ近づき翠嵐海の足を地面から生やしたカバに噛みつかせた。一次的な拘束に過ぎないが目的通り翠嵐海の肉体が弾けて崩れた。トモシビは体の半分を傷つけられたが再生していく。
ランバは好機を見逃さずエラーに力を込めて元の人間に戻していく。吐血するがこれで元に戻れるのなら。
「は…っはぁ…っ!!ぅ、うあああっ…!!!」
元は10代にも満たない少女。少女は自身がエラー化した時にした虐殺を思い出し狼狽を越えて絶叫を上げ廃人も同然に蹲っている。
その隙をついてなのだろうか。
「うっああっ…!」
エラー化を解除させ戻したのに女の子が取り込まれていく。
「あっ…あ、やめ、やめろっ…!」
ランバは瞬間移動で無理やり引き剥がそうとしたが力を使いすぎて身体をうまく動かせられない。自身の手ごと飲み込まれしまった。写し日に背中をつかまれ後ろへ倒される、手を千切られとうとう救えなかった。
手は再生したが…今何が起きているのかわからない。
脳裏を過ったのはこのエラー化した女の子が家に帰れるかもしれなかったこと、彼女の遺骨すら家に、家族の元に帰れないんだという事だ。考えたくもなかったのに。
「畜生…」
蠢く肉塊を睨みつける。それが形を成していく。
「収束?それともリファクタリング?…どちらにしても最悪な遷移だけれど」
これは誰が何の為にしていくのか考えてみるが…エラーじゃない。翠嵐海とデータは死んだはず。だけれど…この変遷移はデールの死体を中心に起きている…つまり。
「やぁ」
「寄生しちゃった」
寄生植物のごとく翠嵐海とエラーに寄生し新たな姿を得たデール。
三者が合体した悍ましい生命体との戦いが幕を開ける。




