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黄昏のオダマキ  作者: ないある
世界編
39/56

39話【犯人は】

「そういえば詳しく聞いてないんだけれど…アニタさんとジャスミンさんがどうやって和平さんと出会ったの?」

千春はお茶を飲み終えるとアニタにそう尋ねる。まだどうであったのかについては詳しく聞いてはいなかった。

「あーしは和平とジャスミンの二人と飛んでる時に見かけて…って感じ!」

「ぼくはね〜山形にいた時ジャスミンに会ったんだ〜それで物資を受け取りやすいに宮城まで一緒にって感じ」

「そう。千景が案内してくれたらアニタと出会った」

「それでさ、ブレナンのやりたいことも聞いたけれどやっぱり危ないから…あーしもついてく!これならいいでしょ?…2人は宮城に残るんだよね?」

2人は物資を受け取るために来た。なら此処でついていく必要はない。

「…」

「…」

和平とジャスミンは顔を合わせた。たしかに出会って間もない人達に自分達を危険にさらす義理はない。だが、此処で置いていくのも気が引ける。

「…おにぎり分は何か手伝いたいけどな…」

ジャスミンは手をおしぼりで拭きながら考え込む。

「そだねー。情報で手伝えないかな」

ジャスミンに賛同し肩を組む和平。慎重さで殆どもたれかかる姿勢だ。ジャスミンは表情が口布で分かりにくい。

一樹がふぅ、と空を仰ぎながら話す。

「世界のことはわかるんだけれど今悩みの種は仲間を殺した奴と…世界中の危険人物かな…特に」

「…カクって奴が容疑者候補だが結局どんな奴なのかわかってないんだよな」

「え、カクさんの事知ってるの?」

「え?」

ジャスミンの言葉に一樹は首を傾げた。

瞬間、空気が大きくぶれた。ジャスミンが動いたからだ。

一樹の首を抉ろうと爪を立てたがその腕をトモシビに止められた。

「仲間ってアズメの事?」

腕をしがみ疲れたままだが会話を切り出すジャスミン。

「殺したの俺だよ。ぜーんぶ嘘【アクリエイティ】の一人だし海外出身は本当だけれど日本に移住してた」

アズメを殺したのは自分だと暴露するジャスミン。

「アズメの動きがきな臭いから一応殺っといたんだけれど…正解だったみたい」

「ジャスミン…?」

和平はジャスミンがまさか嘘をついて欺き人を殺しているとは思わなかった。嘘だよな?そう聞きたいのに声が名前を呼ぶ以上のことができなかった。

いつもと同じように年上として自信満々に名前を舌で転がし陽気に声をかけていたのに。今この瞬間から全てが崩れていく。

「はは、ジャスミンは友情を忘れる鳥頭じゃないはずなのに…ぼく一人で踊ってたってわけじゃないのに」

遺漏のせいで和平は悲しいのに笑いが出てしまう。

ジャスミンは和平のその様子を見てすぐに目を逸らし僅かに目を伏せてから話を続けた。

「『エラー因子』の研究をを担当しててさ…結果としてはエラー因子を持つものを強制的にエラー化させることができるようになったんだ」

カクの命令によるエラー因子を研究。血液、人体実験、あらゆる非道な事も命令により遂行した。無論一人では出来ない為実験体の遺漏が使えそうなら無理矢理使った。

DNAのような二重螺旋の小さな物質を作り出すことに成功した。それを今彼は取り出し手に持った。

シズに向けたが特に反応はなかった。 

「何だ…黒髪エラー因子無いのかよ…もしかして遺漏無い?」

黒髪とはシズの事だろう。彼には双子の弟がいたと少し前に聞いた。

「てめぇ自分で人の容姿揶揄してんじゃねぇか!!」

シズの怒声を聞き流しジャスミンは千春に狙いを変えた。

「じゃあそっちのおじょーちゃんで」

千春を指差しパキンと手のなかにある螺旋を折った。

千春の身体が歪に変形していく。声を上げる暇もなかった。

「これはエラー因子を無理矢理活性化させてエラー化させることができる代物。使い道はないと思ってたけれど…的を自陣の尖兵にするには良いかも」

身体中を貫かれ燃え上がるがランバは死ぬことはない。

瞬間移動ジャスミンの手をはたき落とした。そして胸倉を掴む。その間にランバ血まみれの身体が再生していく。ランバは怒気を孕んだ声でジャスミンに語りかける。

「…」

「……ほんと…なんでそんなに人の身体を消費させるの?」

腹が立った。少し前の自分と同じ過ちを犯している。身体は自分だけじゃなく誰かが大切にしてくれている。こねくり回して浪費するなんてあってはならない。

それを聞いてジャスミンは「あーー」と驚愕と疑問を混ぜ声を漏らした。

「…カクさんにやれって言われてるから?受動的…だから特に意味は無い…かな」

ランバはジャスミンを地面に投げ捨てる。そして千春に近づき身体に触れると千春は元に戻っていく。

「は、すごく…今気持ち悪い…」

しゃがみ込んだ千春をトモシビが支える。

「研究…その話を今する意味は…もしかして情報を集める為?」

「そう。あのレヰチってやつ。アズメの子でしょ?…アンタをモデルに作ったんだと踏んでる。カクさんの欲しい情報そのものだ」

声色が嬉しそうだ。しかしそれを遮るように名を呼ばれた。

「ジャスミン…」

そう声をかけたのはブレナンの姉のアニタ。

眉を下げ悲しそうにしている。しかし

「ゲロ業務頑張りすぎて死んでほしいよ。いやそれは慈悲だから拷問する」

「姉さん!?」

ブレナンは此処まで最悪で下劣な言葉を口汚く吐き捨てる姉を見たことなかった。いつも穏やかで微笑んでいる姿しか見たことなかった。仮に昔同じ場面に遭遇しても驚き悲しむだけだったろう。なのに…

(遺漏の影響…?)


「おねーさんPabebeパべべ《ぶりっ子》だったの…?」

瞬間周りにいた瓦礫が次々と吹き飛びそれが弾幕攻撃として飛んできた。突然のことに頭を腕で守ることしかできない。トモシビは咄嗟に周りの人を庇うように植物を囃し立てを作り出した。

しかしトモシビは「間に合いませんでした」と口にする。

ランバは硬直してしまった。 

瓦礫の中、に紛れ外に偶然居合わせたであろう人間の生首が紛れていた。瓦礫と生首が飛び交う中

その弾幕の中にシズの首もあったからだ。

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