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黄昏のオダマキ  作者: ないある
世界編
38/56

38話【ほっと一息】

ブレナンの右腕の欠損と右頬の生々しい傷跡に硬直していたがそれを本人は気にしていない。

「てかどうやって来たの!?」

ブレナンからの言葉にハッと正気に戻り答える。

「飛んできた。羽根で」

「羽根で…?」

「うん」

なんとなしに言うが彼女の背中の羽はちゃんと使えるようだ。

「会えたんだ…姉に」

「美人っていうか…天使の輪っか付いてるんだけれど…」

シズと一樹がコソコソと話をしている。

ブレナンは周りのお祝いムードにマフラーをいじり口元を隠した。しかし頬が赤らんでいるのは周りは見逃さなさった。しかしこれ以上は可哀想なのでお祝いムードは自重しようと口を閉ざす一同。

何があったのかを聞こうと思ったがその前に

「うぁあぁ…!よがったねぇえ…!」

泣きながら口角を上げるオレンジ色の髪の毛の男。そして背の小さな角の生えた男が一緒にいた。

「俺はチビとか人の容姿を揶揄する奴が嫌いだ…あんたらは?」

小さくぼやいている。

「…姉さん…その人誰…?」

「あーしと同じく日本に来たらしいジャスミン・クレメンテ!フィリピンのネグロス島?出身だって!」

「あと、こっちの泣いてる子は和平 千景(かずひら ちかげ)!大阪の人!宮城まで案内してくれたの!あと遺漏のせいで嬉しい時に泣いて悲しい時に笑っちゃうんだって!」

結界が破れ弟の旅行先の宮城に向かっていたらデカいロボがいてそこから弟が出てきたという巡り合わせ。

「千景は日本で出会ったPareパレ(相棒)…」

ジャスミンはかなり千景と親しげだ。

「うわあああっジャスミンやめろ恥ずかしいい!」

まだ泣いている。嬉しいのだろう。

「ちょっと姉さん、あっちに休める場所あるから詳しく話そう」

「あ、鈴彦待機してて!見張っててね!」

「えっ?えっえ、私一人で!?」

鈴彦は強いから大丈夫だろうとブレナンは踏んでいるしかし鈴彦本人は一人だと心寂しい。嘆きが海へ虚しく響いた…。

――――

「ヴァーチュース…うん、天使だね。あーしと同じ」

「あーしは【カマエル】だよ。すぐ疲れるんだけれどね。生傷治したりすごい威力の炎の剣を振り回したり使ったらすぐ倒れそうになるけど」

今現在廃墟の海近くのレストランで座り積もった話を消化している。

「ポイント・ネモに危険な存在を集めて一気に処理する…か…」

しかしまぁ創造神やらなんやらと色々話が壮大すぎる。そこに弟のブレナンも巻き込まれていてこのまま行かせていいものかわからない。

「目当てのブレナンには会えたけれど…危険なところに行かせられないな…」

「はぁあっ!?俺だけ帰るなんて今更ヤだよ!」

足をジタバタさせているブレナン。

「……わぉ」

かなり気まずくウェズはヘラヘラと笑いそれを咎めるタニアとデレック。

ランバは窓へ目を向け千春と鈴彦は今何しているかを話し合う。

「……食べるか?」

シズがとりあえず何か一緒に食べればイライラも収まるだろうと静かにおにぎりを取り出す。梅やカツオ、鮭など味が多くありしなびた海苔が良いアクセントになっている。

「筋子味どれ〜?」

「透視能力でもなきゃわかんないよ」

双が筋子味を探して手をまごつかせている。それを見てランバが苦笑し空気が少し和らいだようだった。

――――

巨大ロボを座らせ会話が終わるのを待っているとロボが勢い良くガタガタと揺れ始める。

「地震…?」

身構えていると沢山のエラーがロボの身体に張り付いていた。

「ひっ…っう?、え?え?」 

操縦席から退いて転びそうになりながらも廊下に出ようとするが窓を割られてしまう。

「ひぃっぃいああっ…!」

(どうしよう…此処で逃げてもロボットが壊される…)

エラーが身体をぶつけ凹みが出来始めている。

(やるしかない…っやらなきゃ…)

こういう時結子は迷わずやるだろうな。そんな事を考えながら手を払う。エラーを多数同時に圧縮させた。

対象を分散した分威力は弱いが急所の頭を潰せれば意外とかなりの数を減らせた。割れた窓から入ってきた残りは遺漏を使わず置いておいた武器のハンマーを使い頭を

潰し漸く静寂が戻った。

(あのオミッション料理食べてて良かったです…)

鈴彦はオミッションをよく調理して食べていた。その為他の者より遺漏の力が強い。

「……窓…どうしましょう…」

金継ぎではダメなのはわかりきっている。ウェズに素直に謝るしかない。

「…はぁ…」

鈴彦は血溜まりを掃除する為にモップとバケツを探しに掃除用具を探しに廊下へ出た。

(大量のエラー…作為的なものでなければ良いのですが…)

この地で何か大きな絶望を引き起こす事件でもあったのだろうか。

――――

Namit ナミット《美味しい》」

ジャスミンが口布を身に着けたまま裏からもぐもぐと美味しそうに2つ手に取り交互に食べている。小柄だが食いしん坊の様だ。

「天むす…天むすは無いのか…でも梅があるし良し!」

和平の言葉にジャスミンが反応する。

「フィリピンにもKiamoy(キアモイ)っていう梅干しのお菓子がある」

「そうなの!?フィリピン安全になったら食べに行くから案内して!」

「此処で梅干し関連の豆知識聞くとは思わなかったな…」

シズが静かに言うと双がおにぎりを3個ほど持ち立ち上がる。

「流石に鈴彦に悪いからちょっと差し入れついでに様子見てくる」

「あだしもー」

双とレヰチが料理を持ち鈴彦の元へ駆けていく。

「ちょ、ちょっと待ってよ!お前らだけだと不安だ!!」

一樹が走り2人を追いかけていく。

トモシビにはそれが親しい人が亡くなったのを新しい出会いで何とか覆い隠そうとしているように見えていた。

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