表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏のオダマキ  作者: ないある
逢魔が時編
28/31

28話【天誅】

「何、何なの…!?」

訳がわからないまま千春は言葉をなんとか絞り出す。足が震える。理解が及ばない。ランバが知った真実とは何なのか。何も知らないまま異形になった。

エラー化とは違うただ姿がそのまま変わっただけ。本人の意識があるのかは分からない。

千春は自分が臆病なのを思い出した。いつも仲間に囲まれて父の死から目を逸らし強くなったと思っていた。本当は臆病なのに。何一つ変わっていないのに。

周りには双、鈴彦、ブレナン、荒見、花菜、燈矢、レヰチ。建物の中にも旬とバグシィが…沢山仲間がいる。他の人達は見回りで此処にいない。それは幸か不幸か。それより今は此処にいる仲間を助けなければ、いや、そもそも戦う必要があるのか?バグシィは何かわかるのか?思考がぐちゃぐちゃだ。


「かぐれてらい!(隠れてろ!)」

荒見が声を荒げる。すぐに反応したのは燈矢だ。

「えっちょ、」

ブレナンは燈矢に引っ張られて旬の眠る最奥の部屋に連れられてしまった。

「守られてばっかりじゃん!」

ブレナンの声は虚しく建物内に吸い込まれていった。


「ランバ…?」

双は静かに声をかける。

今するべきことは『目的はランバに誰も殺させないこと』『元の姿に戻すこと』この2つ。

【…………】

返事が無い。返ってきたのは金属を擦り合わせたような不快な鳴き声。


優しく触手に手を伸ばし触れると嫌がり触手で手を浅く斬られた。

「いった…っ」

「大丈夫!?」

レヰチがパンケーキの食品サンプルを召喚し壁を作る。

派手な見た目だが特に反応も反撃もされなかった。何がしたいのだろう。

花菜が何かを叫ぼうとしてギリギリのところで堪えて大きく息を吐く。今苦しんでいるであろうランバにとやかく言うのは人として最低だと我慢しているようだ。

「……何で触られるのが嫌なんだ?」

「……」

わからない。何もわからない。千春はもう泣きそうだった。なんでこんなことになったのか。

「…っ話をしてよっ…」

父が死んだ時、あの時もだ。遺漏者から私を庇って死んだ。何故私に何も言わず勝手に死んだのか。

このままランバも何処か行くのか?許さない。絶対に。怖いし腹が立つ。

提灯お化けの口から炎が火炎放射器のように放たれる。

「…!……!!」

微塵も焼けてない。しかしランバはうれしそうに触手を揺らし口を開閉させている。罰を欲しているのか。まさかそんなことあるの?

「………どうして」

「……」

体を撫でてやろうとすると触手で手を切られた。深い傷をつけられた。

自罰的な怪物なのか。怒られる為に悪いことを敢えてするなんて。

千春は提灯おばけの熱した舌で手を無理やり止血し情緒不安定な勢いのまま叫んだ。

「効くか馬鹿がよ!!」「…自分の為に周りに迷惑かけて!!」

罵倒すると嬉しそうにする。

「……本当にさ、何も話さないくせに叱れって?気色悪いし無駄に腹が立つんだよ…」

双は怒りに言葉が震えている。友達なのに。もう家族とも思えていたのに。勝手に絶望して勝手に罰してほしいとかわけ分からない異形の姿で求めやがる。

段々と罰してくれないことに焦り始めたのかランバの方から動き始めた。

周りを壊して、傷つけてそれに対抗して攻撃されようとしている。最悪だ。避けなければ深手を負う。

今此処で動きを止めようとしてもランバは瞬間移動が出来る。空間を操るランバには拘束など意味が無い。

対処法が何も思いつかない中バグシィがあけぼのクラブから飛び出してきた。それを見た荒見はあけぼのクラブの建物の方へ駆け寄りバグシィを保護しようと動く。

「ごしゃいでばっかでわかることもわがんね」

ランバはバグシィを見た途端叫び出しバグシィめがけて触手を展開してきた。荒見は走り出し触手を避けるが目の前を触手に塞がれた。

バグシィが荒見から飛び出しやんのかステップでぴょんぴょんと器用にジャンプしながらランバの周りをぐるぐる動き始める。何かを感じ取ったのだろうか。それとも気を引こうとしているのか。

前後不覚になりぐすぐすと本格的に泣きだした千春。それを慰める双。未だ警戒を怠らず壁を更に作り出すレヰチ。あわあわと要領を得ないまま慌てふためきどうするかと周りを見渡す鈴彦。

「……?」

鈴彦が目を向けた箇所にワニの顔をしたスライムのオミッションがいた。

鈴彦は青に緑、ピンクのグラデーションの付いたそのオミッションを捕まえた。

「あの、今それどころじゃないんです!」

「くねくねっ…!?くねぇ!?くねっ…」

「くね…?なんなんですかこのオミッションは…」

「ちょっと待て。それ貸せ」

鈴彦はオミッションならやはり退治するべきかと遺漏を発動させようとしたがそれを花菜が止めた。

そしてオミッションをひったくると伸縮さを確認し始める。スライムのオミッションは抵抗虚しくされるがまま暫し確認される。


「……千春…部屋に戻って少し休もう…?」千春をひとまずブレナンと同じく避難させようと双は建物内に誘導した。

それを見たランバが裂けた空間から出た巨大な手で二人を捕らえようとする。双が迎え撃とうとするが銃撃がランバの手を掠めた。

花菜がスライムを持つ手を止め銃撃の方向を見る。

咲弥が走りこちらに向かってきたのが見えた。

「この辺にいるスライムのオミッションを探しててね」

「オミッションでもエラーでもない。…でもこの色味は…ランバだよね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ