表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏のオダマキ  作者: ないある
人造オミッション編
24/25

24話【親と子】

暴力描写が多めです。

今までやたら首を飛ばしていたのは頭を攻撃しても意味がないと思わせる為だったのだろうか。

だが今ウツシビの発言を信じるなら頭を潰せばすべて終わるということだ。


「頭を潰せば終わるっ…!」

ランバが空間に手を突っ込みバエルの脳を内側から突き破ろうと突っ込んだ。

「ふ、ぎぃははっ…!簡単に終わるなんて甘いことはないんだよ!!!」

空間に合わせて自身の頭をずらし手に触れさせない。

「そりゃ頭動かせるならそうするか…」

ランバの空間を操るという能力は既に知られて悪用もされている。対策されている。

突然大きくバエルの蜘蛛の脚から糸が大量に溢れた。

「は…っ?」

それはランバにではなくランバの背後にいた双へ向けられていた。

蜘蛛という形だけで糸を出すとは思わなかった。あるとしてもお尻から糸を出すと思っていたがこいつ…人間の認識を逆手に取りやがった…っ!

蜘蛛の糸はやけにネバネバしててそれになかなかほどけない。それにこれ、毒か…?糸に触れた皮膚がピリピリしてきた。

「ぎは、ぎぃははは!」

笑っている。ここで殺されると期待させて一気に絶望に落とす狡猾な悪魔。

更にバエルは双が動けなくなったところを足で体を突き刺そうとする。

負傷を覚悟した瞬間水が吹き出て吹き飛ばされてしまう。

バエルの攻撃でも気絶している燈矢の海水でもない。花菜だ。花菜が洗剤の混じった水を噴出してバエルの攻撃から逃れられた。

花菜の遺漏はゲームのキャラの遺漏でありただ水を出すだけではない。状態異常を治すというゲームの仕様が現実世界で毒等を治すという効果に変換されている。

しかしそれをバエルに知られたからにはただでは済まない。

「あーあたし真っ先に狙われるなこりゃ」

花菜は肩をすくめてわざとらしくため息を吐いていた。

「口悪女からぶっ殺す!」

「テメェの方が口悪いだろ!!ぶっ殺し返してやる!!」

バエルは花菜に飛び出すが粉洗剤を出現させ目眩ましして体を巻き付けた。

「潰れろ害悪ッ!!」

ローラー式洗濯機のローラーが再び近づくが頭を上に飛ばし体を再生させた。

「ローラーから逃げるなー!!!」

「ローラーから逃げるなって何だよ!?意味わからねぇクソ女だな!!」

宙を飛び回るバエルにランバは空間を側に切り開いた。

「今っ!!」

『了解』

空間を開き現れたのはブレナンと荒見だった。

ブレナンは何かを引きつけている。荒見が方向をしじあしているが…。

「ババァ!!!てめぇ…!!イカれた女しかいねぇのかよ!!!」

「悪魔ならおめのほーが年食ってっぺや!!ごしゃぐなや!!」

荒見の幼い頃の認識を実現させる遺漏で召喚した何かを引っ張っているようだ。それが『何なのか』を察知し顔を青ざめさせて叫んでいる。

シャンシャンシャンシャンと大音量で大きな塊がこちらに高速で引っ張られている。

それはクリスマスに現れる『サンタクロース』だった。子供ならサンタクロースは存在すると寝ずに待ち構えようとしている。(いやサンタクロースは存在するとフィンランドではサンタクロースは正式な職業であるがこれは伝説の方のサンタクロースだ)

そしてサンタクロースの元になった存在はキリスト教で語られる聖ニコラウス。つまり悪魔が忌み嫌う神聖な存在だ。

バエルにとっては見るとすら苦痛のようだ。皮膚の表面がチリチリと崩れている。

「別の宗教だからって悪魔扱いしたテメェが正義みたいな面しやがって…」

「今の前の悪行を肯定する理由にはならない。それにお前はバアルではなくてバエルだろ」

ブレナンはそう言い放つとサンタクロースをチラリと見る。

「あんま時間ねぇど」

サンタクロースの召喚はランダムで出現時間が限られているようで荒見が急かした。

生き当たりばったりの作戦だ。

「それではこれを」

サンタクロースは3つプレゼントをランバと双、レヰチに渡し消えた。


プレゼントボックスを開くとキリスト教の聖水が入っていた。

それをランバと双、レヰチの3人が被り戦闘態勢に戻る。

(聖水平気ならキリスト教圏の悪魔じゃないか)

ランバは内心自身が悪魔じゃないことに安堵していた。

「これならようやく対等に殴り合える」

レヰチは自身の巨大な手を握りしめ飛び掛かった。

「くっせーんだよ!!」

レヰチの左拳を躱し、右拳を受け止める。しかしその手に触れると痛みが走ったのか顔をしかめた。

「忘れんじゃねぇよ」

電流に乗り近づき足蹴りをくらわせる。

「ぎぃははは!!借りた力で調子乗んな!楽観的!!」

痛みを無視しレヰチの顔面を掴み地面に叩きつけ足で体を突き刺した。

「テメェもだ。ずっと後ろからちまちま探りやがって」

高速で移動しランバの片目を潰した。

「ぐぅうっ…!」

しかし怪我をしながらもランバは泥臭くバエルにしがみつき顔に噛みつき目を潰し返した。ランバの頑丈な身体で身体を潰されたバエルは再生しようとするがランバが噛みついたまま離そうとしてくれない。

「この…っ」

双はその隙を付き自壊を問わない攻撃をする。双を振り払おうとするがレヰチが召喚したハート等のグリッターが散りばめられたピンク色のスライムスクイーズで蜘蛛の脚を捕らえた。レヰチの頭はひび割れているがまだかろうじて割れてはいなかった。

「ランバもう離れろっ!!」

ランバが体を離し花菜の元へ瞬間移動したのを確認し全力で突進した。衝撃で骨が折れるがそのまま突っ込み頭を破壊した。

そして双は高らかに笑った。

「母さんの仇を取れるなんて…こんなに幸せなことはないよっ!!!」

「お前の負け面見れて気持ちいいい!!」

――――

「終わったかぁ…」

花菜はランバの顔を見るが既に目は再生していた。それについては記憶が戻ってから聞くとして問題は双の方だ。

「手足ひん曲がってるよ…多分だけど肋も無事じゃないよな?私は医者じゃねーし陋能転国まで…ランバ、いけそう?治療が必要っても私の遺漏じゃ体の怪我は治せねぇからよ」

「…………」

「あーー!!!!医療免許欲しい!!!技術を盗む!!!」

「落ち着いて、私なら運べるから…レヰチは…?」

「…私はまだ大丈夫。アズメさんを呼んでくる」

戦いの後なのに情緒不安定に叫ぶくらいには元気な花菜は怪我はそこまで見当たらない。

気絶した燈矢を介抱していた敦己と一緒にランバは双を抱えて陋能転国に瞬間移動し運んだ。

陋能転国には医療器具は揃っているし人手も多いだろうからきっと大丈夫だ。

まひるは「私レヰチ見てくる」と言い歩き出し花菜は一人になった。

「………」

「……?」

「おい!!!電車も瞬間移動もなきゃ帰れねぇじゃねぇかぁああっ!!!!!」

海岸沿いの石巻の夜に花菜の絶叫が響き渡った。

――――

「あーひでぇよ〜」

まっさかあの小型ミサイルが燃えるなんて。いや、欠陥だった訳じゃない。あの悪魔に逆に悪用されて此処を焼き払うつもりだったのだろうか。それにもう戦い終わっただろうなぁ真実は闇の中か。

「…あーこれもう今際の際だ」

機械が多い建物だったのが災の種だったかいろんな機器が壊れて火に油を注いでいる。それに酸素がどんどん持っていかれている。

(一酸化炭素中毒の方がヤバいなこれ…)

服で口元を覆うが気休めにもならない。


「…っ!!」

「…!……!!」

声が聞こえる。いよいよ意識がヤバいか?と思ったがレヰチがこちらに向かって来たようだった。

レヰチの頭がボロボロだ。

「ずっとほっぽっていたわやより自分の事大事にしなよ」

「はいこれ、ランバに渡して」

レヰチの大きな手に掴まれるがその手に修理された『記憶の雫』を渡す。彼女はそれを受けるがアズメに無理やり掴み飛び上がる。

「そうやって良い親気取らないで下さいよ…っ」

まだやりたいことがあるのに手を取らず振り払わうなんてとんでもない。

「そんなにいい親気取りたいなら娘のワガママを聞いてくれますよね?」

「子供は無条件に親を慕うんですよ」

「そっかー…」

「わや父親になったんだったなぁ…お姫様抱っこされてて情けなくて申し訳ない…」

手を伸ばしその異形の頭に触れたいが背が高すぎる。それにひび割れ手ボロボロに崩れていく顔に触れることは出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ