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黄昏のオダマキ  作者: ないある
人造オミッション編
22/25

22話【根之堅洲國行き】

『もしもし?』

人見がランバ達に連絡を送った。

『私戦えないんだけれど…かわりに力になれるならってさ…ずっと限界までお互い連絡取れるようにしておいたから』

人見は旬のいる部屋に避難しその部屋の前を荒見が守っている。

「サンキュー」

『いや、おばぁちゃんに守られるとか私情けなくて泣いちゃいそうなんだけど…』

『別に気にしてねでば』

荒見の声が聞こえた。花菜は口笛を吹きながらそれならばと早速一つお願いをした。

「ならさ、いまバグシィのいる場所探せないかな?」

『バグシィ?…あぁ、あの猫ちゃん!ちょっと待ってね!…っえ?此処にいるんだけど!?ねぇ!?大丈夫!あけぼのクラブにいるから!』

気がつけば旬の頭の近くに立っていたり

「え?偽者じゃない?」

『いや、どう見てもこの毛並みも包帯もやんのかステップもバグシィだよ』

それならば信じるしかない。それに今は戦いの最中、会話にばかり意識が向いていると怪我が増えてしまう。

その時通信に誰かが割り込んで声をかけられた。

『ランバ俺をそっちに送って』

「え?良いの…?」

そう言ったのはバグシィに慰められ心を開いていた燈矢だった。

『バグシィを攫ったやつ許せないから』

その声色は語気が強く双と同じくバエルに対する敵意がむき出しだった。

「わかった」

空間から飛び出し翼で空を飛ぶ燈矢を見たバエルは

「邪神が…!」

と恨めしそうに睨んでいる。

「ただの遺漏者だけど?偽邪神」

陋能転国での戦いで消耗していない為に燈矢は全力で戦える。

「そっちも偽悪魔だしさ」

――――

あけぼのクラブでは苛烈を極めていた。

大量の小さな悪魔が無差別殺戮を繰り返す為に這い回る地獄絵図を作り出していた。

鈴彦も悲しみを拭う暇もなくあけぼのクラブに入り込もうと突っ込んで来た悪魔を排除する為に駆り出されてしまう。

前線にシズ、鈴彦、ブレナン、千春が出る。

「キリがない…っ」

千春は絞るような声を漏らす。

体を食い破られる痛みに耐えながらちまちま殺していてはあけぼのクラブに侵入されてしまう。

鈴彦も圧縮という能力では相性が悪い。一匹圧縮しても次が来る。

ブレナンもまた、引き寄せる力では巻き込み事故を引き起こすだけでは大したダメージにはならない。

「合わせろ」

「は…はいっ…!」

作戦を思いついたシズが石を投げ鈴彦がその石に悪魔達を圧縮で石に圧縮され塊を作っていく。やがて大きなボールが出来上がった。

圧縮の性質を持った塊は悪魔を引き寄せ続けブレナンが引き寄せてては蹴ってを繰り返しさらに周りにいる小さな悪魔達を巻き込んでいく。千春が遺漏で絡め取り動きを止め燃えはじめた悪魔達を更に巻き込ませ大きな燃えるボールが悪魔の軍団を追い詰めていく。

しかし此処で大きな誤算が起きた。

大きな塊になった悪魔の軍団が一つの大きな悪魔に変化した。その悪魔は猫の顔に口がカエル。体が蜘蛛で手足が人間の姿をしていた。もう燃えてはいない。悪魔としての格が上がり身体が強化されたようだった。

――――

シズが殴りかかるがそれを手で軽く受け止める。

「…だろうな」

シズはそのまま体を捻り悪魔の首を両足で挟みねじ切ろうとする。

それを察知し顔を膨らませシズを弾く。

「シズ!お前の身体は一般人なんだぞ!」

「知ってる。だがこいつ、一体に固まったせいでポテンシャル面で逆に弱体化してるだろ」

ナイフをポケットから取り出し器用に手の中で回し操り悪魔を翻弄し段々と後ろへ引き下がらせていく。しかし悪魔もシズのナイフを持つ手を押し返しナイフを極力避けようとしてくる。

武器があるとはいえ体術だけで悪魔を退けられるほど簡単な殺し合いではない。これは時間稼ぎ程度にしかならない。

だがシズはそんなことで済ませる気ではない。

こいつを仲間に触れさせない。自分が殺す。そのつもりで戦っている。

顔を殴られれば殴り返す。悪魔の力で体を変形させ奇襲をしようとするならその部位を切り落とす。

何よりシズはこの戦いを楽しみながら継続している。

その殺意と気迫に悪魔も段々と目の前の人間が狩りの獲物ではなく狩人なのだと認識し始めている。

千春はあんまり一人で突っ走らないでよ。そう言いたいが目の前の戦いに気圧されてしまう。

「……っ一人では…」

そう言いかけたがシズ自身楽しみながらも自身の力量や周りの状況を鑑みている。戦いに狂ったように楽しみを見出しながら優先すべき事項をちゃんと把握している。しかしそれでもこいつを殺したいと感じてしまう性がある。

シズは傷だらけになりながらも悪魔をナイフを持っていない方の手で殴りつけ吹き飛ばした。しかし悪魔が自身の持つ魔力を両手から浮かべた。

それをを見て千春はその手を拘束した。両手をお化け提灯の燃える舌で止めトドメを刺すように叫んだ。

「一樹さん!!」

今遺漏を持たないシズが近づいたら危険だ。


ブレナンが悪魔の数十メートル離れた背後に立ち一樹の遺漏を『引き寄せた』

「これで電車は無敵になった」

一樹が電車を呼び出し悪魔に突っ込ませる。

「テメェが行くのはきさらぎでも地獄でもねぇ。根之堅洲國(ねのかたすのくに)だよ」

根之堅洲國。素戔嗚尊(すさのおのみこと)が治める異界。現実世界からすれば黄泉の国と同じ異世界だ。さらに黄泉の国とも近いとされている。

遺漏による疲労で鼻血を出しながらも不敵に笑う。

「日本で暴れ腐りやがって…日本の神にシバかれてろ」

「言っておくが日本の神は怒ると本当に怖いぞ?」

電車の中で乗り換え案内の声が聞こえる。

【次はかたす駅…次はかたす駅です】

「…!?ねの…っ何だって…?…ッチ…これは…」

死を感じる。

異界に連れ込む気だと察した悪魔は抵抗しようと電車の破壊を試みるがブレナンの遺漏のヴァーチュースの効果である『引き寄せる間の物質は無敵になる奇跡』が邪魔をした。

ブレナンが電車に轢かれない為に遺漏を切り避ける。しかしその時には既に電車は悪魔を轢きながら異界に入り込んでいた。

素戔嗚尊が手をこ招きながら大八嶋国(上の兄弟)を荒らした不届者を射殺さんとばかりに睨みつけている気配を感じる。

あけぼのクラブを襲った悪魔の軍団は一つの悪魔となり根之堅洲國へ誘われた。

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