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黄昏のオダマキ  作者: ないある
人造オミッション編
15/25

15話【アズメの居場所】

【終点、石巻、石巻です】

電車のドアが石巻駅の入り口に繫がっている。

「もーやだ!疲れた!ちょっと休もうよー!」

花菜がやだやだと駄々をこねてベンチに座ってしまう。

「疲れたって…電車に乗っただけでしょうに」

「電車に乗るのも体力使うんだよ〜体揺れるし」

ランバの言葉に反論しながらベンチに横になってしまう。

電車の中でも他の客なんていないから靴を脱いで横になっていたのに。


「さんせ〜い」

敦己も地面に寝っ転がる。


「こら!兄さん!せめてベンチに寝てよ!」

「僕のもふもふはベンチにおっさまらな〜い」

やいのやいのと盛り上がっている中双は地図を広げて遺漏により電流に乗り空から道を探している。

地図とにらめっこしていた双の顔がだんだん悪くなっていく。

「ね〜歩くなら2時間…いや、4時間?くらいかかりそう」

「あ?」

四時間も歩く?冗談じゃない!誰もがそう思った。

双の遺漏に乗せてもらうにしても身体にしがみつかなければならないし人一人に対して全員…特に敦己は身体が多すぎて感電してしまう。

「…今日中にたどり着きたかったらせめて今から歩こうか」

まひるに促され皆で歩き出す。

街はもう何処の建物も機能していない。仙台と同じく一箇所に集まっているのだろう。それならばアズメはどのようにして暮らしているのだろうか。

そんな事を考えながら橋を渡りひたすら歩く。1時間程経ってから休めそうな場所にみんなで腰を下ろす。

「地図はあったのに…何で時間計算しなかったかな…」

後悔の念が渦巻く。

「しょーがねーよ。こうなったなら歩くしかない」

一番だるそうにしていた花菜が前向きになっている。

「あんたの情緒どうなってんの」

まひるは若干引き気味だ。

休憩の後はまた地図通りに街を歩く。

「此処らへんオミッション少ないのな」

敦己は遠くを見ても何もいないことに首を傾げる。

「仙台にはいたんだけれどもね…」

歩き続けて3時間程。

ようやく一体のオミッションを見かけた。それは小さい小動物で危険性がなく放っておくことにした。

「ねぇ、ランバは記憶戻ったらどうするの?」

「え?」

敦己に聞かれた。そういえば記憶を取り戻して何になるのか。ただ不安は解消される?

異形頭にバグシィを預けられた意味がわかるのか。仙台で倒れていた理由も…。

「戻らないと分からないかもしれない…」

「そういうもんかな」


海沿いを歩いていると波打つ音がする。

「夏になったら泳ぎたいなぁ」

「此処らへん遊泳できるの?」

双の言葉に敦己は訝しげだ。

「震災とかオミッションで色々気軽に海入れなくなったしなぁ…プールで我慢して」

調べるにしてもここにはもう人いないし確認のしようがない。

「海のあの塩水がさぁ、魚とか砂浜に波がさぁ」

「うっせー歩け」

双は駄々をこねていたが花菜に肩を押されて渋々歩き始める。

海沿いの近く、建物が極端に少ない場所。ようやく見つけた。


「マジで疲れた」

「お疲れ様だねぇ…」

花菜が今にも床に寝転びそうだ。ランバは急いでドアをノックする。

立派なドアを、ノックしてチャイムを押す。

『…はぁい?』

暫くしてドアが開いた。

『結子ちゃん?それともカクさんかなぁ』

現れたのは赤い半ズボンに黒い白衣、モップのついたピンクのスリッパを履いた身長が極端に小さい男性だった。紫色のぐるぐる目に青い髪の毛が特徴的だ。


「見たことない人達だ…近所の人?わえに何か用ですか?」


「【アクリエイティ】の星場アズメさんですよね?」

ランバが尋ねると「如何にも。わえがアズメですよ」

と返ってきた。ようやく目的地に着いた。

「【アクリエイティ】を知っているという事は陋能転国の関係者?」

「いや、知り合いというだけで関係者でないです…」

「あれか。ラジオで騒いでたあの騒動の?」

「…はい」

「取り敢えず入る?」

お言葉に甘え招き入れられると部屋のありとあらゆる所に機械があり殆どがその筋の知識が無いと用途すらわからない物だらけだ。散らかってはいない。ちゃんとリビングにはソファや机があり客のランバ達が寛げるスペースがある。


「クソ散らかってると思ってたけれど綺麗」

花菜の遠慮の無い評価にうんうんと敦己が頷く。その二人をまひるがふわふわの肘でさりげなく小突く。

「おまたせぇ」

お盆の上にぶどうジュースとカロリーバーを人数分配っていく。

「ありがとうございます」

まひるは礼をしてからぶどうジュースに口をつける。

双はカロリーバーの包装裏を眺めている。

「………」

もし此処に荒見がいたらアズメを見て「寒いべっちゃや」なんて言ってアズメの白衣ならぬ黒衣の前のボタンを閉めていくだろう。

ランバは手を動かし「失礼します」と言って黒衣のボタンを閉めていく。

「どもね」

その行為にアズメは目を丸くしたが素直に喜んだ。

「それでわやに何か用事があるらしいけれど何かご用?」

質問を受けてランバは口を開く。

「これ、陋能転国の正元さんが作った機械だけれど壊れてしまって…」

ランバは『記憶の雫』を机に置き頭を下げる。

「私の記憶を取り戻すためにこれを修理して欲しいんです…どうか宜しくお願いします」

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