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神託の翻訳者~僕だけ読める神託の石板は最強のアーティファクトでした~  作者: 猫柱


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22.鉱石発見の功績


「これが写真よ」


洞窟内が仄かに青白く、照らされていた。

うっすら光っているのは、床に転がる岩石。


しかし、それを採取することは高難度。

一匹のモンスター全てを『絶望』に染め上げていた。


それは青い『殻』を纏っていた。


それは長く『巨大』で複数の足を持っていた。


まるで逆さ吊りのような姿勢(ポーズ)。しかし、実際は洞窟がモンスターの大きさに釣り合っていないようだった。


この狭い洞窟で戦うのは危険行為。

故に、このひかる岩石は採取されることはなかったのだ。


「実は、ここが何処かすら分かっていないのよ。親父は、嘘つき呼ばわりされて居なくなっちゃった。そんな、いわく付きの写真よ」


しかし、言葉とは裏腹に写真は立派な額縁に入れ飾られている。


彼女は今も父親を信じているのかもしれない。


「モモちゃん。あなたのお父さんは、きっと嘘つきではありませんよ」


「...ラヴィ。気持ちはありがたいけど、慰めはいらないわよ」


「そんなんじゃありません。確かに、私も『存在』を感じるんです」


そう断言して、【スキル】を発動した。

光の奔流が収まったとき、少女の両手には青白くひかる岩石が握られていた。


「ほら、ちゃんとありましたよ?」


「ラヴィっち、あんた......本物の魔法少女だったの!?」


「へ? ...いえ、お父さんの石が」


「そんなんどうでもいいっしょ! ねぇ、ねぇ! 他にどんな魔法が使えるの? 変身は出来る!?」


「ちょっ、お...ち、い...てく、だ...さい...っ」


激しく肩を揺さぶられた少女の腕の中から、石が転げ落ちた。


訂正しなくてはいけない。写真を立派な額縁に入れなのは父親本人だ...絶対に。


そうして、暫く魔法談義に花が咲いた。

彼女、モモさんは熱心な魔法少女オタクだった。


「つまり、あんた達は魔法武器を作って、この世界を救いたいって訳ね」


「その通りです」


「分かった。私も魔法好きの一人。その話、引き受けましょう!」


「ありがとう、モモちゃん」


眼鏡を掛け直した少女は、テレビのリモコンを手に取って、興奮気味に言った。


「じゃあまず最初に、『ふたりはプリマ!』を見て役に立ちそうなアイデアを集めましょう!  」


「まぁ! 私、続きが気になっていたのです」


「でしょ、でしょ! ラヴィちゃん、わかってるぅ~」


テレビが写し出す、戦士の映像。

『ふたりはプリマ』『yes! プリマ』『Go! プリマ』『魔法使いプリマ』。


長い、夜だった。

そして、『魔法』という現象の『可能性』を見た。


「プリティーマスクは、最後どうなっちゃうのですか?」


「それはね、『名探偵プリマ』を見れば分かるわ」


「あの! 作るとしたらどの武器が最適ですか   ね?」


「そうね、現状、最適なのはロッドでしょうね。ほら、接近戦は危ないでしょ?」


「確かに、なら遠距離武器になるんですね!」


「そうね。ただ、私ひとりじゃ実験出来ないこともあるから...」


「それは、私が協力しますよ」


「ラヴィっちありがとう! でも、本当に良いの?」


「ええ、その代わり、私にも装備を作ってくださいねっ」


「えっと、僕も手伝うよ?」


「では、マルスは勇者村に戻り、武器の報告とレグナリア集落の情報を確認して貰えないでしょうか?」


「了解ですっ!」


快諾して、建物を後にする。

僕も、探したい人がいる。これはちょうど良い提案だった。


街中は、活気こそないものの疎らに人通りがある。天高く聳え立つ摩天楼。都市を守る自衛隊。馴染みのある少女。


「エリシア!」


見知った顔を見つけ、思わず駆け出した。

しかし、少女は振り向きもせず逃げるように建物の角に隠れた。


「待って!」


角を曲がると、そこは無人の路地裏。

もしかしたら見間違いだったのかもしれない。

そう思う程に、そこは閑散としていた。

少しだけ先に進んで、引き返す。


疲れているのかもしれない。エリシアなら僕を見て逃げ出さない筈だ。


...そう、自分に言い聞かせた。


Ж


「ほう、魔法武器とな?」


「はい! いま、クラヴィスとモモさんが試作中です!」


「でかした。それを、勇者村の名物にしよう!」


意気込む学園長が褒美がどうのと喚く声を遮って、レグナリア集落について質問する。


その捜索はクラヴィスに任された重要な任務。


「うむ、場所は分かってるのじゃが...」


「何か、問題があるんですか?」


「近寄れんらしい。何者かが、四六時中戦闘しておるのだ」


「近寄れないほどの戦闘ですか!?」


「そうじゃ、しかも寝ない。それに食事も取らんし休みもしない。そんなの、とんだ化け物よな」


「モンスターじゃ、無いんですよね?」


「分からん。だが確かめる必要はある。近々、適任者を選び送るつもりだよ」


「僕も行って良いですか?」


「駄目だ、と言いたいところじゃが、お主の実績を考慮すれば断り切れんな」


「ありがとうございます!」


「そうと決まれば、準備すると良い」


「いつ出発ですか?」


「明日じゃ」


旅立ちは突然に。

準備するもののない僕は、神託を確認して、眠りについた。


ブゥオン! ブゥオン! キュルルルルル!


騒音に、目が覚める。

鋼鉄の二輪車が響かせる大音量の咆哮。

人が股がっている。どうやら、乗り物のようだ。


「起きたか、そろそろ出発するぞ」


「もしかして、これはヴァルドールさんの二輪車ですか?」


「そうだ。問題あるか?」


「いえ、凄いなと思って」


「悠然としているな。良いことだが、道中含め危険な任務だ。それを心に止めておけ」


謎に押し掛ける重圧感(プレッシャー)

後ろに乗ったとき、僕は言葉の意味を正確に理解していなかった。


ヴァルドールさんは免許取り立てだったのだ。


急発進、急停車、急旋回。


吹き飛ばされそうな引力。

しかし、圧力が決して離れることを許さない。


「うおおおおおおおわああああああああっ!!」


Ж


地面を覆い尽くすのは、赤い炎だった。


近寄ることすら許されない土地は、爆発によって今もその範囲を広げている。


地獄を彷彿させる惨状を作り出しているのは赤い球体のような生物と、僕の神託に胴貨をくれたお客様─魔王と思われる女性だ。


「あれが、『勇者』と『謎のモンスター』か...」


ヴァルドールさんが呟く。しかしどちらも間違いなく不正解だ。


「いえ、あそこにいるのは『勇者』でも『モンスター』でもありません。」


「どういう事だ?」


「あの女性を拘束出来れば分かると思います」


「出来るだろうが、どう見ても赤い方が危険だぞ?」


「危険じゃない、と信じたくもないんですけど」


「良くわからないが、最悪両方拘束するとしよう」


流石脳筋思考。

最悪は、無いと思いたかった。


近付くに連れ、激化する衝撃。

ヴァルドールさんが衝撃を相殺し、僕は突っ走る。


「ストップ!!」


僕は二人の間に割って入った。

一瞬、途切れた攻撃。

即座に態勢を整える二人を襲う重圧感。


「「─ッ!」」


一瞬の隙が、命運を分けた。

重圧による牢獄が、二人を捕らえた。


「ま、まさ...か、も...う、一人、いた...と、は...っ」


最大限の魔力が込められた重圧の檻。

女性を拘束するには充分な威力だった。

逆に、巨大な男性には不十分であった。


「たすかったよ。ふたりとも」


頼もしく、懐かしい声がした。

他でもない、赤い球体。小さい頭部から、確かにその声が聞こえた。


「クロムさん...ですか?」


「ああ、あえてうれしいよ。まるす」


その体型どうしたんですか、とは言い出せなかった。人の容姿を弄る行為は良くない、それがシスターの教育理念。


重圧の牢獄が揺らいだ。

クロムさんを見て、ヴァルドールさんが動揺していた。その目が、何があったか問いかけている。


開いた口が塞がっていない。

このままでは、脱出されてしまう可能性がある。


聞けるのは、僕しかいない。


(ごめんなさい。シスター)


「クロムさん、いったい、何があったんですか?」


「うん? なにかおかしなことがあったのかい?」


...すいませんっ。なんの回答も!! 得られませんでした!!

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