表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神託の翻訳者~僕だけ読める神託の石板は最強のアーティファクトでした~  作者: 猫柱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/33

18.文明の力


モンスターの脅威。


それは何処へ行っても変わらないのだと思い知った。


そこには無数のモンスターがいた。モンスターは人に抗う存在であり、共存は難しい存在だった。


人々もそんなことは考えていないようで、モンスターに容赦はしていなかった。

ミサイルで爆殺し、銃器で蜂の巣にし、鋭利な刃物で切り裂いた。


そして、再生するモンスターに『絶望』した。


転機が訪れたのは、突如、魔法を扱う人類が登場した時だった。


それは、人ではなく、人に似た『何か』。

言葉では形容できない戦力が、人種と言う壁を隔てた。


モンスターの脅威から街を救った自称『勇者』達は人類にひとときの平穏と安寧を与えてくれた。


『勇者』は都合の良い存在だった。


彼らは博識であり、モンスターの知識を分け与えてくれた。


だが、『勇者』は言った。これ以上、協力は出来ないと。


何故かは良くわからなかったが、蔑むような冷たい目をしていたことを覚えている。


それから、『勇者』や『モンスター』の研究を始めた。それが、人類のためになるのだと信じていた。


片時も休むことなく研究を続けると、魔法、魔力、魔方陣と言った『奇跡』に出会った。


未知の発見が、人類の未来を変えるのだと研究に没頭した。


─失敗。これも駄目だ。


行き着いた先は残酷な真実。

人類には、魔力が無かったのだ。『勇者』はこの世界にない『魔力』を所持していることになる。


そうして、『異世界召還』に行き着いた。

魔力が無いなら、魔力のある世界から助っ人を呼べば良いのだと、研究に身を投じた。


そうして、いつからか命を狙われるようになった。

自らの命を守るために、研究を加速する。

狙われると言うことは、正解に近付いていると言うことだろう。


独学で学び、完成した魔方陣。

理論上起動するはずのない、最高の駄作。


─そこに、光が灯る。

薄暗い部屋、魔力のない魔方陣の上で、一人の少年と出会った。


Ж


「来ます」


「様子を見よう。(じき)に自衛隊が到着する」


街中を闊歩するモンスター。

場所は街の外れに並んだ商店街。


街中にモンスターが侵入するのは想定内のようで、一瞬の内にシャッター街へと変貌する。


攻撃の手段が十全ではないにしても防衛に徹することによって、街の様相を保っているのだ。


正確には、シャッターで防げるほどモンスターの攻撃は甘くないだろうが。


街を守る組織、『自衛隊』。


モンスターを撃退する『自衛隊』の到着を待つ時間稼ぎとしては、それなりに効力があるようだ。


「来たぞ」


ブラックバック─真っ白な体毛に覆われた筋肉質のモンスターは、動物の変異体のような外見。


異様に太い二の腕が特徴的で、圧倒的な握力(パワー)を誇る。捕まれれば、二度と逃れることは出来ない。


「行くぞ!!」


始まった。

迷彩服の集団が銃器を構え突撃する。商店街に発砲音と硝煙の匂いが広がった。


『ゲエエエエエエエエエエッ!』


咆哮をあげ、地面を粉砕しながら怒り狂うブラックバック。体毛が鉛玉を弾き、決定打を与えることは不可能。


それでも、攻撃の手は止まない。


「現在プランB遂行中。商店街を抜けた後、プランCへと移行する」


「「サー イエッサー」」


命懸けの追いかけっこ。着かず離れずの距離を維持しながら誘導を行う自衛隊員。


そして、特大の攻撃が放たれた。


「総員、衝撃に備えよ!」


鉄の鳥、戦闘機が落とした爆弾が一寸の狂いもなく背中に直撃し、粉々に弾け飛ぶモンスター。


「あれが『科学』の力ですか?」


「その通り、魔法みたいだろう?」


「ええ、魔法のようでした。これだけ強ければ『魔法』なんて必要ないと思うんですけど?」


「確かに威力は充分だ。しかし、毎回あのような攻撃を続けては、いずれ資源が枯渇する」


「うーん、でも魔力が使え無いんですよね」


「残念ながらね。人類には魔力が無かったよ」


「やっぱり、『勇者』と協力は出来ないんでしょうか?」


「難しいね。彼らは、こちらを拒絶している」


勇者は、元の世界に帰りたがっていた筈だ。もしかしたら、この世界の『勇者』は僕の知る勇者じゃないのかも知れない。


「魔物の素材は使わないんですか?」


「使えない、が正しいかな。見ての通り、素材は爆撃に耐えられない。耐久力が低すぎて、研究対象にすらなっていないよ」


「確かに、あれは使えなそうですね」


粉々で焦げ焦げなモンスターの遺体。

素材というにはあまりに小さく、黒く、そして歪すぎた。それはまさに、ごみ屑だった。


モンスターは存在自体が脅威。

手加減などしようものなら返り討ちに遭うのがオチ。


使えるかわからない素材を集めるために、命を賭ける者はいない。まずは、素材を集めて有用性を示す必要がありそうだ。


そうして新たな防衛手段が確立すれば、異世界召還の情報が得られる。


そういう契約(やくそく)


─早く、帰らなければ。


討伐が完了して帰還準備中の自衛隊。

彼等は、一瞬にして炎に包まれた。


「うわあああああああっ!」


「まったく、護衛を雇うなど面倒なことをしてくれるわい」


あれは『襲撃者』。

状況の把握も儘ならないまま、駆け出した。

今ならまだ、助けられる!


「【バブル】」


水の泡が、延焼する兵士を包み込んだ。


「...はあっ!」


振り向き様。


何の確証もなく、神託の石板をひと降振りした。


「なんじゃと!?」


不意討ちを受けた経験が、生死を分けた。

─訂正、実際には神託があった。


「【ファイヤーボール】」


「その程度の魔法、効かぬと、まだわからんのかっ」


瞬間。フードの襲撃者が消える。

『テレポート』。それ以外説明がつかない奇妙な動き。遠くで発動した火の玉が、突然目の前で弾け点滅した。


「~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」


凄まじい衝撃に、地面を転がり壁にぶち当たった。

駄目だ、まともに戦っても勝ち目はない!


見上げた空。そこに襲撃者の姿はなく、まるで雪のように火の粉が降り注いでいた。


「これで、終わりじゃ」

「お待ちなさい!!」


大きく響いた声に、視線が集まる。

そこにいたのは、舞踏会用の仮面を付けた少女。


「愛と勇気のプリティー戦士、プリンセス仮面見参!」


「お前はっ、クラヴィス!!」


「良かった、クラヴィス。無事だったんだね」


「違いますぅ~。私はプリンセス仮面ですぅ~。クラヴィスなんて、知りません!」


決めポーズ姿で固まるクラヴィス、改めプリンセス仮面がちょっとだけ不機嫌そうに、二人の間に割って入る。


「何故、私達を攻撃するのですか? セラフィナ・アルヴェール学園」


「そうか、あなたは学園長だ!」


「違いますぅ~、通りすがりの襲撃者ですぅ~。学園長など、等の昔に辞めたのじゃ!」


「...転職したとは初耳ですね、学園長。何があったかはわかりませんが、一旦、話し合いの場を設けるというのはどうでしょうか?」


「ヴァルドールさん!!」


「無事そうで何よりだ。お前達」


「貴様までこちら側に飛ばされたのかヴァルドール」


「その様子では現状を知ってらっしゃるご様子。教鞭を執る者として、是非ともご教授願いたい」


「ふんっ、良かろう。ならば明日、勇者村に来い。そこで、待っとるよ」


視界から消失した学園長。

その言葉を信じるなら、今日は襲われることのない休戦期間。


「勇者村って、何処にあるのでしょうか?」


「知らんな。生憎、私もここに来て日が浅い。だが、その男は何か知っていそうだな?」


「ひぃっ!? 分かった教える、いや、教えさせてください!」


震えながら地図を差し出すオグリは、ヴァルドールに丁寧な口調で説明を始めた。


筋骨粒々な肉体。滲み出る威圧感。

筋肉こそが、文明を越えたコミュニケーション能力。


そう確信した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ