第四話 同胞
この先、不快な会話及び表現があります。一応R18にはならないよう気をつけるつもりです。
家の最寄りの駅に着いた私はそのまま寄り道もせずに家路についていた。今日は光球の練習をしようとかそういうことを考えながら家を目指していた。
そこで、それを見た。
「......?」
きっかけはパンッと爆竹を鳴らしたような音が聞こえたことだった。私は吃驚しながらも、特に気にすることもなく帰ろうとした。その直後、
辺りの風景が、一変した。
「......!?」
風景が極彩色に彩られる。あまりにも目に悪く、私は眼を細める。次の瞬間、先程の爆竹を鳴らしたような音が響き———
———瞬間、私の右腕は吹き飛んでいた。
「ッ!ああああああ!?」
痛い。凄まじく痛い。私はその場でつまづく。続けて胸を撃たれてのたうち回る。そんな私の醜態を見ながら彼らは言う。
「あーあ、外しやがった。おい、銃貸せ。今度は俺がしっかりヘッドショット決めてやるからよ。」
「やだよ、お前俺より下手じゃねえか。て言うか俺のは外れたんじゃなくて『外した』んだよバカ。それくらい分かれよ。」
その言葉が聞こえて私は意識を向ける。
人物が2人いる。1人はチャラいと言う言葉が似合う男性。もう1人は眼鏡をかけた陰険な男性だ。
眼鏡をかけた方の手には一丁の長銃がある。あんなもの、どうやって。
「は?外した?何言ってんだよお前......ああ、成る程。『お楽しみ』ね。」
「そう言うこと。バケモノでもせっかくJKヤレるんだからそれを逃さない手はないでしょ?」
不愉快な会話が続く。2人は私に近づいて、
「へへへ、それじゃあ楽しませてもらいますか......!」
そう言いながら服に手をかけた。
私はその手を払おうとする。しかし、
「は?こいつバケモノのくせに人間に何逆らってんの?」
「うわっきめえ。とりま左腕使えなくしようぜ。」
と言って、私の腕を踏み折った。
「〜〜〜!!」
「おっいいねいいね。いい声で鳴くじゃねえか。」
「いやあこういうのヤルのは気持ちがいいねぇ。」
痛い。痛い。もう痛くて仕方がない。
そう思いながら私は涙声で呟く。
「どうして、こんなことになったんだろう。」
その声に男が反応する。
「は?あーはいはい。そういう感じ?自分は悪くありませんー悲劇のヒロインなんですーだから許してくださいーって感じ?ハッ、ダッセェ。」
「お前らは、生きてること自体が間違いなの。俺らヒーロー様にボコられ殺され楽しまれるのが役割な訳。わかりゅ?」
そう言われる。嫌だ。嫌だ。
そう思いながらも彼らは私の制服に手をかけて、破いた。
「うっひょー、いいねえいいねえ。白くて綺麗な肌してんなあバケモノ風情がよお!」
「ていうかコイツの肌なんか冷たくね?もしかしてゾンビじゃん?」
「うわっまじ?てことは俺らゾンビパニック防いだ救世主ってこと?いやあ照れるねえ!」
ゲラゲラと品のない笑い声が響く。考えてみればその通りだった。私はバケモノ、彼らは人。そんな私が許されるわけもなく、いつしか私が討伐されるのは仕方ないことだったのだ。
そのまま私は、この痛みに身を任せてしまう。
どうせなら行為の途中は意識がない方がいい。そう思ったが、腹を蹴られる。
「なーに寝ようとしてんの?お前は、俺たちに、やられなきゃいけないワ・ケ」
「意識失うとかまじで大罪なんですけど?オラ、いい声で泣けよ!」
「ガッ......ふっ......!」
痛い。私は気を失うことすら許されないのか。
そう思いながら、私はもうどうでも良くなり、それを受け入れようと———
「み......ゆ、き......」
「あ、ミユキ?誰だそいつ?」
「知らねえよ。どうせこのバケモノの仲間なんじゃね?どうせならそいつもヤっちまおうぜ。」
......いやだ。いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ嫌だ!
美幸がそんなことされるなんて耐えられない。美幸はだめだ。美幸はダメなんだ。美幸はお前らなんかが穢していい存在じゃないんだ!
私は諦めかけていた自分の心を奮い立たせる。どうする。どうすればこの状況からコイツらを美幸から離せられる。
「光球!」
私は光球を発動する。
「がぁっ!?このクソガキ......!」
「てっ...めえ!この野郎!」
私は地面に投げ出される。だがそれでもいい。こんな痛みがどうした。美幸が穢される不快感に比べれば全然マシだ。塵とエベレストぐらいの差だ。
光球はすぐに消滅する。栓も開けてなかったし、集中しながらやったわけじゃないから当たり前だ。だが今はそれでいい。
とはいえこのままでは私は銃で撃たれてそれで終わり。腕がしっかりしていれば銃を拾ったりすることもできるのだろうが右腕は吹き飛んでいて左腕は砕かれている。そこで私はあるスキルを思い出す。
———〔捕食 lv1〕。
一度発動しかけて失敗したこのスキル。このスキルに気がついた瞬間、私は陰険な方に向かって疾走し、その喉笛を噛みちぎった。
「ぎぃっ!ぎいいいぃぃぃ......」
陰険な方はそのまま崩れ落ち、拾いかけていた銃を落とす。
そのまま前に向かって倒れ、陰険な男は落とした銃の上に覆いかぶさる。コレでもう銃は使えない。そのままピクピクとしながら、陰険な男は起き上がらない。
「なっ......テツ!てめえ......!」
私に向かってチャラい方が憎悪の視線を向ける。ふざけんな。美幸を傷つけようとしたお前らにはふさわしい......いや、それでも足りない。私ごときに喰われて死ぬだけマシな死に方だと思えゴミども。
「光球!」
私は再度光球を唱える。だが、
「ハッ!効くかよクソガキ!」
そう言ってチャラい男は眼を瞑る。
———知ってたよ、そんなことは。
私は眼を瞑る男の脚を強く払う。
「がっ!?ぶぎっ!」
男は呆気なく地に伏せる。私は男の胸の中心部分を踏みその部分を砕こうと———
「待て、待て!交渉だ!」
そこで、少しの間止めることにした。
「お前......お前!俺たちの銃がどこから来たか知らねえだろ!?教えてやる!俺らの素性も!下僕にだってなってやる!だからこの脚を退けろ!」
ふむ。確かに彼らの銃がどこから来たのかは知っておきたい。それに彼らも恐らくステータスを持っている。
私みたいなのを何度も狩ってきたからこそさっきまでのセリフを吐けるのだろうし、そのステータスを活かせばいい下僕になるだろう。が、
「だぁめ♡」
そう言って、私は男の胸骨を力強く踏み割った。
「がはっ......この......嘘つき野郎......」
と、何か勘違いをしながら男は意識を失った。すぐに意識を失えるなんて羨ましいことだ。
こうして、私の同胞とのファーストコンタクトは終わったのだった。




