第二十五話 攻略
「『特殊害獣対策課』2係7班に所属しました!濱那 善です!」
「『特殊害獣対策課』3係2班所属の月森 奏です!コレからよろしくお願いします!」
「『特殊害獣対策課』5係2班所属の古森 真奈美です。よろしくお願いいたします。」
「と、『特殊害獣研究課』魔法測定班所属の神崎 昴です。よ、よろしくお願いします。」
新入生の挨拶と挨拶が終わるたびに拍手が響き渡る。
「大体『特対課』出身なんだねー......」
「まあ......そうだね。」
新入生の数は私たちを含め32人。そのうちの22人は『特対課』出身で残り8人も『特研課』や『特装課』の出だ。
「コレにて『特殊害獣研究課』の挨拶を終わらせていただきます。それでは次に、『特殊地下構築物攻略課』の新入生の挨拶をさせていただきます。」
おっと、私たちの番が来たようだ。私たちは立ち上がり前に出る。
「『特殊地下構築物攻略課』から来ました。志野 紗綾香と申します。所属する課での仕事の関係でしばらく学校に来ることはできないと思いますが、よろしくお願いします。」
「『特殊地下構築物攻略課』から来ましたー!澤田 美幸ですー!さっき紗綾香が言った通りしばらく来れないと思いますがよろしくねー!」
拍手が起きる。が、それは今までのものとは明らかに小さく、さまざまなところから戸惑いの声が聞こえる。それらの大半は『特対課』からのものだ。
———『 特装課』や『特研課』は結構お世話になってるからわかってる人多いでしょうし、貴女達の先輩も私から話を通しておくけれど......『特対課』の新人のみんなは完全に初対面で新設の課である私たちのこと知らない人が多いから頑張るのよ———
紗枝さんがそう言っていたのを私は覚えている。どうやらその通りだったらしい。
「『特殊地下構築物攻略課』ってなんだっけ?」
「さぁ......?」
「というかまだ来れないなら今来る必要なくね?」
......コレは、なかなかにキツい。
私は人の子だ。メンタルは普通だし、こうやって面と向かって言われるのも陰口を叩かれるのも結構嫌だ。
しかし見ておけ。明日からはちゃんと実績ができるんだからな......
「はい、ありがとうございました。どうぞ席にお戻りください。」
先生がそう言ってくれたので私たちはそそくさと席に戻る。あのまま立っていたらかなりキツかったな......
「それではこれにて始業式を終わります。起立、礼。」
そんなこんなでこの集まりは解散になった。
§
次の日、私たちは新宿駅に来ていた。
「ここが、新宿駅のダンジョンですか。」
一見するとただの薄暗い階段だ。故にこそ灯りで満ちた新宿駅構内ではかなり目立つ場所となっている。
「その通り、現状見つかってる中でここのダンジョンが一番近場だった。」
そう言ったのは陽毬さん。こちらも紗枝さんの呼び方を変える時に「じゃあ私の呼び方も変えて。」と言ったのでこちらも変わった。
ちなみに八千代課長はそのままだ。「普段の場で桜ちゃんなんて呼ばれたら立つ瀬がないので......」と疲労を滲ませながら紗枝さんを睨んでいた。
「ふーん......そういえば、今ダンジョンって幾つ見つかってるんです?」
「世界規模では7500、日本では94くらい見つかってる。ただ、国が秘匿しているものや山間にあるもの、個人で隠しているものがまだあるかもだから総数はもっと多い筈。うちの国も94中10くらいは隠してる。」
ふむ、どうやら世界では本当に色々な策謀が繰り広げられているようだ......
「そんな......個人所有って、普通に考えて不味いですよー?ダンジョンって入り口塞いだり、入念に管理......って多分間引きですよねー?それをしなきゃいけないのに、どうして報告しようとしないんですかー?」
美幸は疑いの視線を向ける。
「言っても聞かないやつはごまんといる。革命家、怪しい宗教団体、富豪、企業、果ては自分は選ばれたのだと勘違いする一般人。しかもタチが悪いのは、その一般人がダンジョンに入らず情報が出揃ってから入るとか考えること。」
「ええー......?」
「うわぁ......」
それは......もはや馬鹿なのではないだろうか?
「おーい、早く入ってくださいっすー!」
と、ここでダンジョン内部にいる柏田の声が聞こえた。彼はダンジョン内部で私たちの武器を出すために待機している。
(頑張って紗綾香ちゃん!私も応援するから!)
(紗枝さん......勝手に言ってくれちゃって......)
紗枝さんは今でも『特攻課』でデスク仕事をしながら私たち
に念話を届けてくれる。
「行こう?紗綾香。」
「......うん、そうだね。」
そうして、私たちはダンジョンの中に足を踏み入れた。




