第二十話 父親
今回の話は視点変更があります。
コチコチと壁掛け時計が音を刻む。
「......」
「何をしていた?と聞いているんだぞ?答えられないことか?」
父さんは私に向かってそう言う。怖い。
「......何も、しておりません。」
「何もせず、ただ外をウロウロしていただけと?そんな暇があるならば勉強をして成果を出せ。お前はそれぐらいしか価値がないのだから。」
父さんは私へそう言った。私は答えない。
「......」
「それで?一体何をしていた?答えろ。」
父さんは聞く。答えたくない。
「あの......その......」
「早く答えろ。仕事が残っているからな。」
だめだ。答えたら美幸に被害が行く。それはだめだ。
私は答える代わりに、自分のバッグに目を向けた。
「それか。」
「......!」
まずい。見られた。
「なんだこれは......転入手続き?保護者のサインと押印を押す場所がないではないか。今時未成年に向かってこのような書類があるとは......」
父さんは私のバッグからファイルを引っ張り出し、転入手続きを取り出す。
「こんなものは認めん。」
「あ......」
破られた。美幸と一緒に入る筈だった学校の書類が。
「お前は私の引いたレールに乗っていればいいんだ。わかったのなら部屋に戻れ。」
「はい......」
私は父さんの言う通りにする。
「ああ、それと。」
父さんは私の背中に向けて言う。
「澤田のとこの娘との縁を切れと何度も言った筈だ。早くしろ。」
そして、リビングの扉は閉められた。
§
ぼやけたような視界が広がる。そこは私の知っている背景だ。
「——夜更——?早———に戻—。」
男の人の声がする。その声はとても威圧感のある怖い声だ。
「———?何———る?早く——。」
男の人は私に向かって質問する。
「......」
私は答えない。代わりに男の人に近づく。
「——?紗綾—、——つもり—?」
そのまま、私は男の人の首を絞める。
「ぐっ......!?離—……!」
男の人が抵抗する。私は力を強める。
「かひ——……!なんだ、——馬—力—......!」
抵抗する。私は力を強める。
「か......!が......」
抵抗が弱くなってきた。◾️してはいけないので私は力を弱める。
「......」
そのまま、男の人は気絶した。
「......」
私は力ある言葉を唱える。これで処置は大丈夫だ。
「......」
続いて、男の人の瞼を開く。そしてそこに生み出した光を当てる。光の色、配列を変えながら長時間当て続ける。
すると、目の前が白くなってきて———
「———ああああ!」
私は目覚めた。ここは澤田家の私の部屋。ここは私の家。
「ハァ......ハァ......」
気味の悪い夢だった。私は両手を見下ろす。
どこかで見たことのある背景に、生々しい感触。それだけが残り、言われたことも、言ったことも忘れてしまった。
その時ノックが起きる。
「ちょっと、美幸?叫んでたけど大丈夫.....?」
声が聞こえる。お母さんの声だ。
「だ、大丈夫......ちょっと悪夢を見ちゃっただけだから。」
「そう?ならいいの。ご飯できてるからね。」
お母さんがそう言ったので、私は学生服に着替え、リビングに行く。
「大丈夫だったか美幸?だいぶ大きな声がしたが?」
「莞爾さん?美幸は悪い夢を見ていたとさっき言った筈では......?」
「伶菜さん、悪夢でもタチの悪いやつや正夢ってことがあるんだから、心配したほうがいいんだよ......」
私は話に参加しない。お父さんの首を見る。首、首、首に、手を当ててそのまま———
「う......ぉ、うぇ......!」
「え!?美幸!?」
私は吐いた。気持ちが悪かった。私、私夢だとしても、あんな、あんなことを。
「美幸!?ちょっと莞爾さん!ビニール袋とってきてください!」
「分かった!」
そのまま、私はしばらく介抱されていた。
4/1 修正




