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深紅のアイリ - Scarlet Airi -  作者: 櫻庭 詩
─第4章 烈日 ─
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 第12話 激突






 息が切れる────。





 脳筋とからかわれ男の上をいくには体力だと明けても暮れても身体鍛え上げたヘルカ・ホスティラであった。



 だが、万を倒した戦いで両肩を揺すり荒い息でなお魔物らの群勢は後をたたず悪夢のようだと目眩めまい覚え長剣(ロングソード)振り回し無双し続けた。



 子鬼(ゴブリン)石像鬼(ガーゴイル)は一撃で殺す。



 人食い鬼(オーガ)は手強く、2撃、3撃を必要とする。



 山男(トロール)となると小屋よりも背丈があり筋肉も分厚く倒すとなると子鬼(ゴブリン)数十体も相手にするのと同じ危険がつきまとい屈強な力と正確な打撃が必須だ。



 中距離攻撃と瞬時多量攻撃ができるマカイのシーデ姉妹は持久力がなく二人で一万数千余りがやっとだった。



 パーティー七名で多めにみて四万倒してやっと。アイリの夫──青竜が単独で二十万以上をほふっていた。



 やっと魔族らの半数を殺し、残る一部が城壁に押し寄せさらにその残りが中央を目指してくる。



 天界の眷属である巨竜を失えばこの中央は一瞬で崩壊すると女騎士ヘルカは少しでもノッチのかたわらにいようと努めた。



 ノッチの首をねようとしたアイリ・ライハラはしくじり巨竜の最上位の背鰭せびれ削いで城壁頂部へと跳躍ちょうやくした。



 ヘルカは不安視したが、その後、城壁の守備が乱れはせず、しばらくして大魔王が頭上を跳躍ちょうやくし引き返すのをヘルカは眼にした。



 下級魔族らに混じっていた六災厄幹部らも撤退したが、すでに消耗戦となったこの戦場いくさば安寧あんねいなどなく誰が先にひざ落とすのかと女騎士は危惧し続けていた。





 矢先、いきなり爆音が広がり青竜が横倒しになり多くの魔物を押しつぶし跳ね飛ばした。





 ヘルカから居館(パレス)五棟ほど離れた場所に魔物らを弾き飛ばし長剣(ロングソード)もった赤髪の少女が着地し土煙上げた。



 ちょっとした城ほどもの大きさあるノッチをあのlアイリが軽々と蹴り倒したのかとヘルカは唖然となった。



 あんな小柄な娘がと────大魔王となり得た力の大きさ意識し精神衛生上よくないとヘルカはつと思った。



 長い首を巨体ゆえゆっくりと起こしかかる青竜に長剣(ロングソード)振り上げ駆けだしたアイリに女騎士はおのれ長剣(ロングソード)いて猛然と走りだした。



 速いアイリ・ライハラに対し距離は近いと思った。まに合うかは五分。アイリが青竜の急所を知っていれば一撃で勝敗のつく状況にヘルカ・ホスティラは鉄靴(サバトン)の爪先で地面(えぐ)りながら脚を繰り出し続けた。



 間に合ってもあれ(・・)やいばと打ち合い止められるのか!?



 諸刃もろはソードごと押し切られノッチに食い込ませてしまうかうもしれぬ。



 腕力、脚力のみならず身体スピンさせあらゆる力を合わせるしか勝機はない。



 眼の前の邪魔する雑魚どもは甲冑(アーマー)で次々に弾き飛ばした。





 いきなり隣りに追いついてきたものにヘルカは驚き顔を振り向けた。





 流し眼向けたテレーゼ・マカイが紫の唇の口角吊り上げ微笑んだ。



 そうかこいつ軽装だから速く走れるのだと女騎士は大声で問うた。



「テレーゼ、アイリをわずかでも遅らせられるか!?」



「任せな! マカイのシーデの片割れだぜ」



 そう双子の妹が言い切った寸秒、駆けるアイリが残像おいて急激に加速するとテレーゼが走りながらアイリの残像と青竜の間の地面に呪いの叫聲おらびごえ浴びせた。



 その瞬時、いきなり地面が地震のようにうねり一瞬でばらばらに裂け砂塵が吹き広がりその土煙に消えたアイリが突如とつじょ現れた。



 加速し続けるには確かたる大地が必要だが、今や少女の前の地面は耕した農地と同じくずぶずぶだった。



 さらに走りが遅くなったアイリ目掛けテレーゼは甲高い叫び声浴びせた。



 大魔王は振り上げていた赤黒く光る長剣(ロングソード)を顔の防備に使うしかなく横へ振り向け迫る空気の波動を(ブレード)で弾き上げた。



 それら足枷あしかせが赤髪の少女を遅らせ、女騎士ヘルカ・ホスティラは間に合ったと確信し駆ける足を急激に交差させ飛び上がりソード抱き寄せ強速ごうそくで回転しすくい上げるように伸ばした長剣(ロングソード)やいばをアイリ・ライハラの首目掛け叩き上げた。





 その、下から恐ろしい速さで伸び上がる白銀の帯が見え、アイリは中途半端な構えから打ち下ろし迎えやいば交えるしかなかった。





 甲高い怒号が先に外へ走り抜け、小屋ほどの火花広がり、地面の土が一瞬で円形に浮き上がり二人の外に弓矢よりも速く津波のように広がった。







 かわし振り向いたテレーゼ・マカイは刺さるように飛んでくる小石から腕で顔をかばい、こいつらは化け物だと思った。












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