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第10話 入部体験2

森下が大鎌を構え直す。


その正面には、十分に距離を取った奏多がいた。


奏多の手にはライトシューター。


狙いを定める。


「……!」


光弾が飛ぶ。


森下は大鎌を動かして対応しながら、奏多との距離を詰めようと一歩踏み出した。


だが、その一歩を待っていたように次が来る。


森下が対応する。


その間に、奏多は一歩下がった。


もう一歩、森下が前へ。


また撃たれる。


また奏多が下がる。


「うーん……」


森下は大鎌を手にしたまま、奏多との距離を見た。


(この距離はキツいな……)


大鎌は届かない。


近づこうとすれば撃たれ、対応している間にまた離される。


森下は手元の大鎌をちらりと見た。


「これは一回やめよ」


大鎌が消える。


すぐにスマホを操作し、別の武器を選択する。


生成されたのは――ランス。


奏多はそれを見ても、すぐにライトシューターを撃った。


光弾が森下へ飛ぶ。


だが、今度の森下は違った。


ランスで光弾を受ける。


そのまま、一歩前へ。


「!」


奏多がもう一発。


森下は防ぐ。


さらに一歩。


奏多が下がりながら撃つ。


それもランスで受け止め、森下はまた距離を詰める。


さっきランスを使ったときのように、バッテリーばかりを狙ってはいない。


ランスそのもののガード性能を使って、正面から奏多の射撃を押し切ろうとしている。


奏多はさらに一発撃った。


だが、もう森下はかなり近い。


「……」


奏多は手元のライトシューターを見る。


(ちょっと撃ちすぎたな……)


このまま撃ち続けるのはまずい。


(温存しよう)


ライトシューターを解除。


代わりに選んだのはシールドだった。


生成されたシールドを前に構える。


(少し様子を――)


考え終わるより先に、森下が踏み込んだ。


ランスが来る。


ガンッ!


「!」


シールドで受け止めた。


続けて二発目。


ガンッ!


これも防げる。


奏多の表情から、わずかに力が抜けた。


――守れる。


少なくとも、ランスの攻撃を正面から受け止めることはできる。


だが。


三発目。


ガンッ!


「……え?」


シールドの耐久が、一気に減った。


奏多が表示を見る。


その一瞬にも、森下は止まらない。


ガンッ!


さらに突き込まれたランスがシールドにぶつかる。


表面に亀裂が走った。


「えっ」


もう一突き。


次の瞬間。


シールドが砕け散った。


「うわっ!」


守るものを失った奏多へ、そのままランスの穂先が伸びる。


HIT。


奏多は距離を取るように後ろへ下がった。


シールドは破壊された直後だ。すぐには再生成できない。


なら――。


奏多はスマホを操作する。


選んだのはブレード。


手元にARの刃が生成される。


「お」


森下が声を上げた。


奏多のブレードを見る。


それから、自分のランスを見る。


少しだけ笑った。


「じゃあ、ちょっとはいいとこ見せとこうかな!」


ランスを解除する。


森下もスマホを操作した。


選択したのは、同じブレード。


生成された刃を構える森下。


奏多もブレードを構え直す。


二人が、同じ武器で向かい合った。


森下の指が、もう一度スマホを操作する。


《OVERCLOCK》


表示された文字に、奏多が目を留めた。


「?」


その瞬間。


森下が一気に踏み込んできた。


「うわっ!」


鋭い斬撃。


奏多は慌ててブレードを合わせる。


間に合った。


――と思った直後には、もう次が来ている。


奏多も必死に腕を振った。


速く。


もっと速く。


森下のブレードに合わせて――。


「!?」


おかしい。


腕は動いている。


相手の攻撃間に合うように振っている。


なのに。


手元のARブレードが、その動きにまともについてこない。


わずかに遅れて刃が動く。


その遅れを、森下のブレードが抜けた。


HIT。


「っ!」


さらに森下が斬り込む。


奏多はまた腕を振る。


今度こそ合わせようとする。


だが、やはり遅れる。


自分の腕と、そこにあるはずの刃が噛み合わない。


(ARが……ついてこない!)


森下はそのまま次の動作へ移った。


「もういっちょ!」


スマホを操作する。


《連撃》


表示が浮かぶ。


「え?」


森下が踏み込んだ。


ブレードが高速で振られる。


一振り。


なのに――攻撃判定が二重に走る。


奏多は必死にガードしようと腕を動かした。


だが、間に合わない。


HIT。


続けて、HIT。


森下の攻撃が止まらない。


奏多もブレードを振る。


けれど、速く振れば振るほどARの刃が遅れる。


防ごうとしているのに、防げない。


そして。


森下が最後の一撃を振り抜いた。


HIT。


奏多のGBが――ゼロになる。


《K.O.》


試合終了の表示が浮かんだ。


森下はブレードを下ろすと、いつもの調子で笑った。


「おつかれ!」


奏多は動けないまま、自分の手元を見ていた。


さっきまで握っていたブレードは、もう消えている。


腕は動いた。


間に合うはずだった。


なのに、ARの刃だけがついてこなかった。


それに、最後の攻撃。


一回振ったはずなのに、二回当たった。


奏多はようやく顔を上げた。


「……今の、何ですか?」

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