第18話 「オランジェット」
1
早番の夜。
恒一さんは、当務で今日は帰らない。
そして、バレンタインデー三日前。
今年は、手作りチョコに挑戦する。
料理は好きだけれど、特に目を引く逸品が作れるわけじゃない。
家庭料理ができるくらいだ。
お菓子は、可愛い見た目に惹かれて、高校生くらいからたまに作る程度で、これも本格的に習ったわけじゃないけれど。
でも、今年のバレンタインデーはずっと前に、作ったことがあるオランジェットに再挑戦する。
最初は、オレンジで作るつもりだった。
オランジェットというくらいだから、オレンジのほうがそれらしい気がする。
けれど、スーパーの果物売場で立ち止まったとき、少し迷った。
並んでいるオレンジは、輸入のものが多かった。
皮をむいて食べるなら、そこまで気にしなかったと思う。
でも、今回は皮ごと薄く切って、砂糖で煮て、チョコをかける。
自分で食べるだけでも、ちょっと迷う。
けれど、人にも渡すつもりだった。
国産のオレンジは、近所のスーパーではあまり見かけない。
それなら、冬に手に入りやすい国産の柑橘を使えばいい。
そう思って選んだのが、伊予柑だった。
よく洗った、伊予柑にぷつぷつ穴をあけて、丸ごと茹でる。
お湯を切ったら薄く輪切りにする。
包丁を入れると、思っていたよりずっときれいなオレンジ色が出てきた。
まるい断面が、まな板の上にいくつも並ぶ。
少し大きいもの。
端に近くて小さいもの。
きれいな丸になったもの。
少し楕円になったもの。
鍋に入れてシロップが半分以下になるまで、砂糖で煮るから結構時間がかかる。
時間をかけた甲斐もあって、輪切りの伊予柑は透き通ったステンドグラスみたいになってきた。
今日は、ここまでだ。
明日は、これを低温のオーブンで乾かす。
翌日。
バレンタインデー二日前。
遅番の今日は、ちょっと早起きして水きり用の網に半透明でつやつやの輪切りを並べた。
シロップを切って、低い温度のオーブンへ入れた。
きれいに乾きますように…
そう思っていたら、当務明けの恒一さんが帰ってきた。
「何してる」
「おかえりなさい」
「バレンタインです」
「そうか」
眠いのか、疲れてるのか、それだけだった。
「お風呂沸いてますから」
私はオーブンを覗きながら、オランジェットの乾き具合を見ていた。
「おにぎりとお味噌汁と卵焼き、できてます」
「ありがとう。先風呂」
そう言って、脱衣所へ行ってしまった。
気が付くと時計は十一時だ。
明日は、チョコの準備。
幸い、大蔵屋には製菓用のちょっといいチョコレートは、この時期豊富に売っている。
早めに出勤して、調達しないといけない。
バレンタイン商戦も追い込みだ。
今日も忙しいに違いない。
私はオーブンの中の伊予柑をもう一度見て、そっと扉を閉めた。
この時点では、まだ知らなかった。
チョコレートの温度管理が、私よりも恒一さんを本気にさせることを。
2
オランジェットの仕上げをするため、休みの今日も早起きしてエプロンをつけた。
当務明けの翌日は、恒一さんも休みだ。
乾いた伊予柑を見比べる。
真ん中あたりを切った、きれいな丸い形のもの。
端っこの方は小さいので、うちで食べる。
形が崩れたものは、私の味見用。
真剣に選別していたら、恒一さんがダイニングに入ってきた。
「何してる」
「選別です」
「検品か」
「なんで、そうなるんですか。バレンタインです」
恒一さんは、並んだ伊予柑をしばらく見てから、少し眉を寄せた。
「オレンジじゃないのか」
「伊予柑です」
「伊予柑なのに、オランジェットなのか」
やっぱりそこに引っかかった。
「そこは、たぶん広い意味で」
「名称としては、不正確では?」
「お菓子なので、許してください」
「許可制か」
「家庭用なので、許可は私が出します」
そう言いながら、私は形のいいものをそっと端に寄せた。
「これから、チョコを溶かすんですけど、温度管理が微妙なんです」
恒一さんは、温度管理と聞いて興味があるのか「何度?」と聞いてきた。
昨日は「そうか」だけだったのに。
「必要なら測る」
「お菓子作りですよ?」
「温度管理だろ」
「警備みたいに言わないでください」
「何度だ」
「早く言え。温度が下がる」
「五十度で溶かして、ボウルごと氷水で二十八度まで下げます」
「もう一回、湯せんで三十二度を維持です」
「よし。まかせろ」
なんだか、張り切っている。
恒一さんは、温度計を片手にキッチンの真ん中で「温度管理」を徹底している。
「そんなに厳密に見ないでください」
仕事でもないのに、食い入るように温度計の数字を見ている。
「必要なんだろ」
「必要ですけど…圧がすごい」
恒一さんの徹底した温度管理で、テンパリングは成功した。
出来上がったオランジェットを、クッキングシートの上に並べて、また選別する。
「これは警備室用…これは恵美に」
「これは……形がちょっと」
恒一さんが、形の崩れた一枚を見る。
「食うのか」
「味見です」
「さっきも味見してた」
「さっきのはチョコの厚みの確認です」
「今のは」
「形の確認です」
「形の確認に味見がいるのか」
「手作りなので」
「そういうことにしといてください」
「確認項目が多いな」
「おいしくできてるか、大事ですから」
そう言って、形の崩れた一枚を口に入れる。
伊予柑の苦みと、チョコの甘さが、思ったよりちゃんと合っていた。
少しだけ、ほっとする。
「どうだ」
「おいしいです」
「なら、成功だろ」
「まだです。これは味見です」
「完成品じゃないのか」
「人に渡す分は、形のいいものです」
「味は同じだろ」
「そうなんですけど」
私は、クッキングシートの上に並んだ丸い伊予柑を見つめた。
きれいなものは、外へ。
少し崩れたものは、家へ。
去年なら、きっと一番きれいなものだけを彼に渡したかったに違いない。
でも今年は、形の悪いものが家に残ることを、少しも嫌だと思わなかった。
3
休み明け。
ふたりして早番だ。
そして、今日はバレンタインデー当日。
出勤前のテーブルには、透明で少し柄の入ったクリアパックが並んでいる。
真ん中のきれいな輪切りのオランジェットは、とってもかわいい。
オレンジ色とチョコが外から見えるだけで、少しそれらしく見える。
「これ、持って行ってもらえますか」
私は、いくつかを紙袋にまとめて、恒一さんに差し出した。
「俺が?」
「はい。KSSの皆さんでどうぞ、です」
「俺宛てではなく?」
「皆さんで、です」
恒一さんは、紙袋の中を少しだけ見る。
「家には?」
「あります」
「ならいい」
「そこ、確認するんですね」
「重要だろ」
その言い方が真面目で、少し笑ってしまう。
形の悪いものも、小さいものも、チョコのかかり方が少し曲がったものも、保存容器にちゃんと残っている。
それを確認してから、恒一さんは紙袋を受け取った。
大蔵屋では、九階の催事場での「世界のチョコレート・バレンタイン・フェア」も最終日だ。
お客様の入りは、朝のうちはまだ落ち着いている。
けれど、バレンタイン商戦も今日で最後。
午後になれば、きっとまた九階は混む。
大蔵屋の従業員のバレンタインデーも、去年ほどの緊張感はない。
少なくとも、私の中ではそうだった。
私はインフォメーションカウンターに入って、まず恵美に渡した。
「おはよ」
「おはよ」
「これ、恵美に」
職場に持ち込んでいるトートバッグから、オランジェットを取り出して言った。
恵美は、ちょっと驚いた顔をしている。
「あたしに?」
「手作り?」
「うん」
「すごっ!女子じゃん」
「ふふ。女子です」
「いや、分かってるけど」
「可愛いねぇ。ありがと」
ちょっと嬉しそうに、恵美はトートバッグにオランジェットを入れた。
「売れるんじゃない? すごくキレイ」
「売れないよ。形のきれいなの選んだから」
「じゃあ、形悪いのは?」
「家で食べようと思って」
「夫婦って感じ」
「もー! やだー」
ひとりで照れている私を、恵美は半眼で見ていた。
***
警備室に入ると、神田がすぐに紙袋に目を留めた。
「主任、それ何すか」
「差し入れだ」
机の端に紙袋を置く。
「バレンタインの?」
「KSSの皆さんでどうぞ、だそうだ」
神田が中をのぞき込んで、すぐににやりとした。
「これ、奥さんの手作りっすよね」
「差し入れだ」
「一個ずつ包装されてる。可愛いっすね」
「食べろ」
神田は透明な袋を一つ手に取った。
オレンジ色の輪切りに、半分だけチョコがかかっている。
形のいいものばかり選んでいたから、見た目は確かに整っていた。
「主任、家にもあるんでしょ」
「ある」
そこは確認済みだ。
神田が、分かりやすく肩を落とした。
「いいなー」
「前田さんにもらえ」
「それ、今から言うのやめてくださいよ」
「知らん」
神田はオランジェットを見つめたまま、少しだけ真面目な顔になる。
「……今年は、ちゃんと渡してくれますかね」
「本人に聞け」
「聞けたら苦労しないっす」
そう言いながらも、神田は少し嬉しそうだった。
まだ何ももらっていないくせに、もう期待している顔だった。
4
休憩が終わる少し前、社食を出て、ロッカールームで化粧を直してから戻ろうと思った。
角を曲がったところで、ちょうど亮と鉢合わせた。
偶然。
別に退勤前でもよかったけど、今なら人も少ないし、気持ちがまだ逃げていない。
「神田さん」
声をかけると、亮は立ち止まって、こっちを見る。
いつもの、あの柔らかい笑顔。
かわいくて、ムカつく。
去年のバレンタインデーにも、あたしは亮にチョコを渡した。
『余ったから』『人から勧められたやつだから』
どれも本当じゃない言い訳を、わざわざ並べて。
あのときの亮の顔を思い出す。
たぶん、とっくにバレてた。
あれが本命だってことくらい。
今年も、ああいう誤魔化し方をすれば楽だ。
何でもないふりをして、さっさと手渡して逃げればいい。
でも、それは違う。
去年と同じじゃ、意味がない。
だって、今年のこれは余り物じゃない。
亮のために選んで、時間をかけて、ちゃんとお金を出して買ったやつだ。
「これ」
胸の奥で、まだ口にしていない台詞だけが、行き場を失くしている。
「俺に?」
亮が、少しだけ目を丸くする。
「うん」
自分の声が思ったより小さくて、慌ててもう一度うなずく。
「バレンタイン?」
「そう」
ここまで言ったら、もう引き返せない。
「……恵美さん、今日、素直」
からかうみたいな言い方なのに、目はまっすぐでずるい。
「素直に渡したら悪いの?」
精一杯、いつもの調子を装う。
「悪くない。全然」
「すごく嬉しい」
一拍おいてから返ってきた言葉が、ちゃんとあたしの胸に落ちる。
「なら、よかった」
去年みたいな逃げ道のない会話が、こんなに怖くて、こんなにうれしい。
「開けてもいいですか」
手提げ袋を持ち上げながら、亮が子どもみたいな顔をする。
「家で開けなさいよ」
即答すると、やっぱり不満そうに眉を寄せた。
「なんで」
「ここで嬉しそうな顔されたら困るから」
言った瞬間、自分で自分の首を絞めた気がする。
意味を分かってほしくないのに、分かる人には分かる言い方だ。
「嬉しい顔しかしないって」
悪びれもなく言い切るから、心臓に悪い。
「だから困るの」
目を合わせられなくて、視線を亮の胸元あたりに落とす。
本当は、ここでその顔を見るのが一番嬉しいくせに。
「じゃあ、家で開けます」
亮は、手提げ袋を少しだけ大事そうに持ち直した。
その仕草を見ただけで、渡してよかったと思ってしまう。
悔しい。
すごく悔しい。
「別に、普通のだから」
「俺には普通じゃない」
さらっとそういうことを言う。
本当に、心臓に悪い。
「……戻る。休憩終わるし」
「うん」
「あと」
言いかけて、少しだけ迷う。
でも、今年はここで逃げないと決めた。
「ちゃんと、あんたに選んだから」
亮の目が、大きくなる。
言ってしまった。
もう取り消せない。
「……うん」
今度は、亮の声の方が少し小さかった。
「すごく、嬉しい」
その顔を見たら、きっとまた困る。
だから私は、返事をする代わりに軽く手を振って、ロッカールームの方へ歩き出した。
後ろから、亮の声が追いかけてくる。
「恵美さん」
「なに」
振り返らずに答える。
「ホワイトデー、期待してて」
「期待しすぎない程度にしとく」
「それ、結構期待してるよね」
「うるさい」
今度こそ振り返らずに、私は角を曲がった。
たぶん、顔が赤い。
化粧を直しに行くつもりだったのは、正解だった。
5
巡回中の恒一さんは、今年もチョコをもらっていた。
ただ、去年のようなざわつきはもうない。
「KSSの皆さんでどうぞ」
「いつもお世話になっております」
「奥様と召し上がってください」
差し入れの言葉が、きちんと仕事と家庭に分かれていて、少しくすぐったい。
中には、推しチョコみたいな軽いものもある。
「朝倉主任の幸せを祝うチョコです。奥様とどうぞ」
そう言われたとき、恒一さんはいつもの困った顔をした。
申し訳なさそうで、でもどこか嬉しそうな。
離れたところで見ていた神田さんが、肩を揺らして笑う。
あの人にとっても、今のこの空気は、きっと悪くないはずだと、勝手に思ってしまう。
「主任、推しの幸せ祝われてますよ」
神田さんの軽口に、周りがふっと和む。
「意味が分からない」
恒一さんは、書類を受け取るみたいな顔でチョコを受け取りながら、真顔で返す。
「まあ、いいことじゃないっすか」
そのやり取りを聞いても、前みたいには揺れない。
もちろん、少しは胸の奥がざわつく。
それでも、今の私には分かっている。
恒一さんが素敵なのは、自分が一番よく知っている。
真面目で、不器用で、変なところで律儀で。
それから、彼が気の多い人じゃないことも、もう知っている。
だから「奥様とどうぞ」と言われるたびに、
胸の奥で、小さく「はい」と返事をする。
「余裕じゃない」
カウンターの中で、恵美がにやっとする。
「余裕というか」
うまく言葉が出てこなくて、曖昧に返すと、
「奥さんの顔してる」
と、さらっと言われた。
「してない」
反射的に否定すると、即答で、
「してるわよ」
と笑われる。
そんなはずない、と口では思うのに、胸のあたりがじんわり温かい。
前みたいに不安でいっぱいになる代わりに、「奥さん」として見られていることが、少しくすぐったかった。
「でも、今年は落ち着いてるじゃない」
恵美が、伝票をそろえながら言う。
「そうかな」
「去年なら、もうちょっと顔に出てた」
「そんなに?」
「出てた」
即答されて、反論できなくなる。
去年の私は、きっと一つ一つに揺れていた。
誰かが恒一さんにチョコを渡すたびに、胸の奥で小さな棘みたいなものが動いていた。
でも今年は、その棘がないわけではない。
ただ、刺さる前に、ちゃんと知っていることがある。
恒一さんは、帰ってくる。
同じ家に。
同じテーブルに。
形の悪いオランジェットが入った保存容器のある場所に。
「奥さんの顔って、どんな顔?」
そう聞くと、恵美は少し考えてから、にやっと笑った。
「余裕あるふりして、ちょっと嬉しそうな顔」
「してない」
「してる」
また即答される。
形のいいものは、もう職場に配った。
少し崩れたものと、端に近い小さなものは、家に残っている。
今年のバレンタインは、たぶん、そっちの方が私たちらしい。
6
家に帰って、夕ご飯を済ませたあと、マグカップを二つ並べて、コーヒーを淹れる。
テーブルには、保存容器に入った伊予柑のオランジェット。
職場には持っていかなかった分だ。
形が少し楕円のもの、端に近いところだけ細くなったもの、チョコの付き方が微妙に薄いもの。
でも、味はちゃんとおいしいと分かっている。
向かいに座った恒一さんが、ひょいと一枚つまんで口に運ぶ。
「形、悪いですよ」
「味は同じだろ」
コーヒーをテーブルに置きながら返す。
「そうですけど」
自分でもわかるくらいに、声が和らいでいた。
「なら、こっちでいい」
私は、その言い方に返事を失って、少し黙る。
テーブルの上には、形の揃っていないオランジェットが無造作に転がっている。
人に渡す分には選ばなかったもの。
でも、家で食べる分としては、少しも嫌じゃないもの。
それを当たり前みたいに一緒に食べていることが、なんだか不思議で、うれしかった。
恒一さんは、もう一枚つまんで口に運ぶ。
「うまい」
短くそう言うので、思わず身を乗り出してしまう。
「ほんと?」
「苦みがいい」
伊予柑を煮ていたときの香りを思い出して、嬉しくなる。
「もう一個食べます?」
「あとで」
コーヒーをひと口飲んでから、いつもの調子でそう言う。
その「あとで」のあと、保存容器の中身は、数日かけてゆっくり減っていった。
けれど、減らしているのは、だいたい私だ。
仕事から帰るたび、ひとつだけ、と言い訳しながらふたを開けてしまう。
数日後、夕食のあとでふと保存容器を見て、つぶやいてしまう。
「……私が一番食べてますね」
「そうだな」
テーブル越しに恒一さんが、いつもの調子でうなずく。
「恒一さん、結局何個食べました?」
「二個」
「二個」
「一個じゃない」
「そこ、主張します?」
「うまかった」
「二個で?」
「うまいものを大量に食べる必要はない」
「私は大量に食べてます」
「作った人間の権利だろ」
その言い方がおかしくて、思わず笑ってしまう。
「これ、形悪いですよ」
容器から一つつまんで見せる。
「うまい」
迷いなく返ってくる。
「恒一さん、結局きれいなの食べてないですね」
「食べた」
「二個」
「二個食べた」
「そこ、そんなに主張します?」
「うまかったからな」
取り繕わないやり取りが、チョコより甘いと思う。
私も、一枚取る。
少し楕円で、チョコの線も少し曲がっている。
けれど、口に入れると、伊予柑の苦みとチョコの甘さが、ちゃんと広がる。
きれいな一枚だけを渡していたバレンタインも、きっと幸せだった。
でも、不揃いなものを並べて一緒に食べられるバレンタインも、今の私たちには、ちょうどいい。
恋人だったころなら、私はきっと、一番形のいいものを選んで渡した。
少し欠けたものや、チョコの付き方が曲がったものは、見せないようにしたと思う。
でも今は、保存容器の中に残った不揃いなオランジェットを、同じテーブルで一緒に食べている。
「味見です」と言い訳しながら、たぶん私が一番たくさん食べている。
それでも、恒一さんは二個食べて、「うまかった」と言ってくれた。
その二個で十分だと思えた。
今年のバレンタインは、去年ほど緊張しなかった。
けれど、去年より家族の味がした。
ひより日和 新婚編 第18話 「オランジェット」 おわり




