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- 第14話 新たな一歩 -

秋が深まるころ、

村の空気はひんやりと澄んでいた。


広場では、子供たちが元気に走り回り、

焚き火の煙が空に昇っていく。


そんな中、俺たちは、今日も修行を続けていた。


剣の素振り。


風魔法の制御。


どちらも、まだまだ未熟だったけれど、

少しずつ、手応えを感じ始めていた。


剣を振る腕に、芯が通る。

風を集める手に、確かな重みを感じる。


努力は、裏切らない。


最近は、そんな実感を持てるようになってきた。


周囲の子供たちも、

小さな魔法を使うのが当たり前になっていた。

•転んだ友達を助けるために、風で体を支えたり

•遠くのボールを軽く浮かせたり

•焚き火の火をちょっとだけ大きくしたり


そんな光景が、広場では日常だった。


特別なことじゃない。

この世界では、魔法もまた「生活の一部」だった。


ティオも、

風を起こして落ち葉を吹き飛ばしたりしていた。


「な、すげーだろ?」


得意げなティオに、俺は笑った。


「俺も、負けないからな」


そう言って、

両手に魔素を集め、

そっと地面に向かって風を走らせる。


ふわり、と落ち葉が舞い上がった。  しかし、ティオのように落ち葉を吹き飛ばすまではいかない。


ー俺は他の子に比べて魔法の成長が著しく遅かった。

毎日あんなに努力しているのに、あまり成長を感じない。やはりモノには才能があってそれが全てなのだろうか。俺には才能がないのだろうか。


最近はそんなことを考えることが多くなっている気がする。




そんなある日。


父に、言われた。


「ライナス。剣も魔法も、どちらも大事だ。だが──どちらかに、もう一歩踏み込んでみるのもいい」


「踏み込む……?」


「自分の強みを、育てるんだ」


父は、俺の頭に手を置いて言った。


「無理に得意じゃないことを伸ばす必要はない。お前に向いてる道を、しっかり歩け」


夜。


星空の下で、一人考えた。


剣と魔法。

どちらも、大切だろう。しかし、得意な剣と不得意な魔法。毎日努力をしてみても成長を実感できない魔法。



だけど──


俺は、

この手で、大切なものを守れる人になりたい。そして、もっと遠くへ届きたい。



守りたい人たちを、

もっと確実に、確かに守れるようになるには。


(俺にできることは……)


そっと、手を広げる。


掌に集まる、かすかな風。


──これだ。


俺は、心の中で、そっと決めた。


剣も鍛えながら。

だけど、

魔法にも、もっと本気で向き合おう。


俺には、

この世界でしか手にできない力がある。


それを、育てよう。


──ライナス、七歳の秋。


小さな一歩。

けれど、確かに未来へ続く、一歩だった。

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