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- 第12話 肩を並べて -

夏の陽射しが強くなるころ、

俺とティオは、広場の隅を”修行場”にしていた。


誰に言われたわけでもない。

自然と、そうなっていた。


お互いに木の枝を剣に見立てて、

構え、打ち合う。


最初は、子供同士のじゃれあいだった。

けれど、

何度も繰り返すうちに、

少しずつ、動きに重みが出てきた。


剣を振るたびに、汗が滲む。

腕が痛くなる。

足がもつれる。


それでも、

ティオは楽しそうに笑った。


「負けねーぞ、ライナス!」


「こっちこそ!」


息を切らしながら、

何度も、何度も打ち合った。


一人で修行していたころは、

ただ黙々と、自分との戦いだった。


だけど、今は違う。


目の前に、

同じように必死で戦う仲間がいる。


負けたくないと思う。

でも、同時に、

一緒に強くなりたいとも思う。


不思議な感覚だった。


ある日のこと。


俺が、転んだ。


体勢を崩し、尻もちをつく。


ティオは、すぐに手を差し伸べてきた。


「大丈夫か?」


その手を見て、

思った。


──ああ、俺は、一人じゃないんだ。


前世で、

ずっと感じていた孤独。


ここでは、

少しずつ、少しずつ、溶けていく。


俺は、ティオの手を掴んで、立ち上がった。


そして、

心から、笑った。


「オレたち、きっとすっげー強くなるよな!」


ティオが、

太陽みたいな笑顔で言った。


「ああ」


俺も、

はっきりと頷いた。


未来のことなんて、まだわからない。

けれど──


今、この瞬間だけは、

そう信じられた。


──ライナス、七歳の夏。


一人じゃない。

肩を並べて歩くことの、

小さな喜びを知った日々だった。

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