表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんちゃって妃は怪異解決がお仕事です ~したたか娘と自堕落天狐の千夜主従物語~  作者: 狭山ひびき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/46

シャイターナ 4

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 まさかこんな単純に封印が解けるなんて、とシャハラは半ば茫然としていた。


 光り輝いたランプから金色の煙が立ち上ったかと思うと、それは見る見るうちに人の姿になった。否――男の精霊の姿になった。


 褐色の肌に長い銀色の髪。髪と同じ色の瞳。

 シャハラが知るどの男性よりも背が高いのに、繊細な感じがするのは、彼がそれほど横に大きくないからだろう。程よい筋肉の隆起は見られるが、筋肉質というほどでもない。


 シャハラは固唾を飲んでその男を見上げた。

 彼が、ファイサルでいいのだろうか。

 このランプにはファイサルが封印されているかもしれないとは思ったが、それが正しいのかどうかはわからなかった。もし、現れた精霊がファイサルではなく別の――たとえば悪魔であったなら、絶体絶命というやつかもしれない。だが、ユエが封印を解けと言ったのだから、きっと彼には勝算があるのだろう。そう信じる。


 男の精霊は、ばさりと髪をかき上げた。


「ユエ、君はもう少し僕を丁寧に扱うべきだと思うよ。浴槽に沈められた時は危うく窒息するかと思った」

「どうせ死なねえじゃねーか!」


 ユエが犬歯を見せてにかっと笑った。

 シャハラは彼がファイサルなのだと確認し、ホッと胸をなでおろす。


「それで、これはどういう状況?」

「どうもこうもねえ、このケバい悪魔女が俺様のもんにマーキングしやがったからしつけてやってる最中だ。そのランプよこしな!」

「手を貸そうか?」

「いや、いい。案外小物そうだからな」


 ファイサルがランプを掴むと無造作にユエに向かって放り投げる。

 あのランプをどうするつもりなのだろう。

 ランプを受け取ったユエが、実に凶悪な笑みを浮かべた。


「目ん玉かっぴらいて御覧じろ! ユエ様がとっておきの仙術を見せてやる!」


 何かを感じ取ったのだろう。アドナナがさっと表情を変えて書庫の扉から逃げようとした。

 けれども、アドナナがどれだけ引っ張っても扉は開かない。ユエの仕業だ。シャハラは直感した。

 何がはじまるのだろうか。

 気になるような怖いような、そんな複雑な気持ちで見つめていると、ユエがランプの蓋を外してアドナナへ向けた。


「俺様のもんに手を出したこと、それから俺様をただの獣扱いしたこと、永劫の時で悔やむんだな。俺様の術を、その辺の貧弱な聖職者の封印と一緒にすんなよ!」

「や、やめ――」


 アドナナの悲鳴が聞こえた。

 だが、すべてを言い終わる前に、アドナナの姿がどんどんと小さくなっていく。

 ランプの中に納まるまで小さくなったアドナナは、吸い込まれるようにしてランプの中に消えた。


「ほい、完了!」


 ユエがランプの蓋を閉じる。

 それを、ぽんとシャハラに向かって放り投げた。


「わわ!」


 シャハラは両手を伸ばして、何とかランプを受け取る。

 ユエがシャハラとファイサルに近づきながら、くっくっと喉を鳴らして笑った。


「壊そうが沈めようがこすろうが、そいつはもう二度とそっから出てこれねえぜ。シャハラ、そのランプをそのまま王に渡してやんな。ランプが転がってるのを見つけて、ついでに悪魔も見つけたらから封じておいたとでも言えばいい。聖職者が見れば何かが入ってるのには気づくだろうから、疑われることはないだろ」

「そ、そうかな……」


 そんな報告をしたら、これから先も何かが起こるたびにシャハラに厄介事の後片付けを命じられそうな気がして嫌だが、とはいえ、ランプをこのままにもしておけないだろう。ここはユエの言う通り、諦めてカリムに渡しておこう。

 じーっとランプを見つめていると、何を思ったかユエがつかつかとシャハラのすぐ目の前まで歩いてきて止まる。

 どうしたのだろうかと見上げると、数秒考えこむように首を傾げたユエが、シャハラの顔に手を伸ばした。


 一瞬後、シャハラの唇に熱いものが触れる。


 シャハラが口づけられたと気づいたのは、ユエの唇が離れていったあとだった。


「な……何するのよ‼」

「いや、あのケバ女が美味いって言うから、本当に美味いのかと思って。まあまあの味だな」


 ぺろり、とユエが舌を伸ばして唇を舐める。

 シャハラは思わず、手に持っていたランプをユエに向かって投げつけた。

 ファイサルがあきれ顔で一言。


「ユエ、君は昔から、女性の扱いがなってない」


 ファイサルのその声に続けて、シャハラは叫んだ。


「はじめてだったのに、ばかあああああああああああ‼」





面白い!続きが気になる!続きが読みたい!と思ってくださった皆様、

ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ