ユエの目的 2
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短いので、今日は二回(朝・夜)に更新します!
(さあって、俺様のおもちゃを泣かしてくれたやつはどこだあ?)
先ほど覚えた匂いを頼りに、ユエは廊下を歩く。
すれ違う宦官や女官たちはもちろんユエの存在に気づかない。当然だ。故意に姿を見せている時でない限り、ユエの存在に気付けるのはシャハラくらいなものだろう。
(母親が法師だって言ってたけど、ありゃ結構な見鬼だな。訓練すりゃそこそこいい線いくんじゃね? ま、そんなことはさせねえけどな)
訓練なんてさせてせっかくの契約を解除されたら元も子もない。あれはあのままでいいのだ。ただ見えるだけで。契約が解除されない限り、シャハラはユエから離れられない。ならばユエが守ってやればいいだけのことである。
(しかしぬかったぜ。あいつに直接危害を加えなくても、こんなやり方ができるなんてな。人間ってのはずる賢いもんだ。あー、ムカつく)
シャハラの目が潤んでいるのを見た瞬間、ユエは全身の血が沸騰するかと思った。きっちりと落とし前をつけてやらなければ気がすまない。
にやりと唇をゆがめて、ユエは匂いが濃くなっていく方へ歩いて行く。
すると中庭に、三人の女がいた。
ベンチに座って楽しそうに談笑している。
「みーっけ」
間違いない、あいつらだ。
(さてどうするかな。怪異騒ぎは起こすなってシャハラに言われているし。だったら……)
ユエはちらりと、女たちから少し離れたところにある噴水に目を止めた。
(いいもんあんじゃねーの)
ユエは宙に文字を書くように指を軽く滑らせる。
その一瞬後、噴水がまるで暴走するようにある一点に向かって大量の水を吐き出た。そう、三人の女たちに向かって。
まるで横殴りの滝のような水を浴びた女が大きな悲鳴を上げてその場にひっくり返る。
噴水の水が止まると、今度は女たち目掛けて虫の大群が襲い掛かった。もちろん、これもユエの仕業である。
「きゃあああああああ!」
「いやあああああああ!」
虫にたかられた女たちが悲鳴を上げるのを見て満足したユエは、くるりと踵を返して元来た道を笑いながら戻って行った。
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