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第二十一話 ギャルと校則と文化祭準備


翌日。

昼休み。

江口の席の周りに人が集まっていた。


机の上には北見のラフ。

天野はメモ帳を開いている。

安西もいた。


江口は真剣な顔だった。


「まず確認する」


「安西」


「なに?」


「出るのか?」


教室が少し静かになる。

安西はラフを見る。


フリル。

リボン。

可愛い。


少しだけ笑った。


「出る」


江口が頷く。


「よし」


即答だった。


陽介が笑う。

「軽いな」


「軽くない」

江口は真顔だった。


「文化祭だぞ」


「やるなら勝つ」


妙な説得力があった。


御影が呆れる。

「なんでそんな本気なのよ」


「好きな作品だから」


即答だった。


誰も反論できない。


天野がラフを見ながら言う。

「生地なんだけど」


「ん?」


「和柄使いたい」


江口が顔を上げる。

「理由は?」


「ステージのライト」


天野はラフを指差した。

「黒の無地も良いと思う」

「でも光当たると潰れる」

「和柄の方が映える」


江口は少し考える。

ラフを見る。

天野を見る。

そして頷いた。


「原作超えられるなら」


天野も頷く。

「超える」


即答だった。


陽介が笑う。

「強気だな」


「作るからには」

天野は当然みたいに言った。


江口は満足そうだった。

「よし」


そして。


「北見」


「ん?」


「安西のメイク頼む」

北見が顔を上げる。


「私?」


「そう」

江口は安西を指差した。


「今のメイクじゃシーンが台無し」


「顔に絵を描く感じで頼む」


安西が眉をひそめる。

「言い方が雑」

「ムカつく」


教室が笑う。


北見は少し考えた。

そして安西を見る。


「ひまりちゃん」


「ん?」


「アクセ外すの抵抗ある?」


「全然」


即答だった。

安西はその場で。

指輪を外す。

ネックレスを外す。

ピアスも外した。


北見が少し驚く。


「もし彼氏とかのプレゼントなら」

「無理に外さなくても」


安西は首を傾げた。


「ん?」

「彼氏いた事ないけど」


教室が静かになる。


「え?」


「マジ?」


「意外」


安西は気にしない。


「全部自分で買ったやつだし」

「バイト代」


そして少し笑う。

「私はギャルになりたくてこの学校選んだんだ」

「髪色自由だし」

「アクセも大丈夫だし」


その時だった。

担任が口を開く。


「はい、注目」


全員が振り返る。

担任はため息を吐いた。


「みんな勘違いしてるみたいなので説明します」


嫌な予感がした。


「うちの学校は髪色髪型自由ではありません」

「ちゃんと校則あります」


安西が固まる。


「え?」

「注意された事ないよ?」


担任は頷く。


「校長の方針です」


静かになる。

担任は続けた。


「自分を良く見せたい」

「理想の自分になりたい」

「これは悪い事ではありません」


誰も喋らない。


「むしろ大事です」

「大人になってから自分の見せ方を勉強するのは難しい」

「だから今のうちに色々挑戦してください」


安西が少し嬉しそうだった。

担任は続ける。


「ただし」


空気が変わる。


「全ての大人がそう考えているわけではありません」

「学生らしさとは何か」

「そういう意見を持つ人もいます」


「だから」


担任は出席簿で机を叩く。


「使い分けを覚えてください」

「TPOです」


宮坂が呟く。

「社会の授業始まった」


陽介も笑った。

担任は無視する。


「文化祭は文化祭」

「普段は普段」

「以上」


話は終わった。

しばらく静かだった。


その後。

江口が立ち上がる。


「よし」


全員が見る。

「文化祭盛り上げるぞ」


教室が笑った。


でも。

誰も反対しなかった。

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