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新史:第二帝国  作者: 桜虎


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2/20

No1.各国の思惑


ヘッツェンドルフ参謀総長からの報告を受けた老皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、その場に膝をついた。


「フェルディナントが……セルビアの民族主義者に殺されたというのか……」



「はっ。この機会にセルビアへ最後通牒を突き付け、戦争に持ち込みましょう。」



「しかし、そうなればロシア帝国、さらには英仏までもが参戦してくるのではないか。そうなれば我が国に勝ち目はあるまい。」



「ご安心を。ドイツ帝国は我らの盟友。見殺しには致しますまい。参戦を要請すれば、必ずや力を貸してくれるでしょう。」



「だが、ドイツは二正面作戦になる。西でフランス、東でロシア。それではドイツも我が国も各個撃破されるのではないか?」



「ドイツ軍はシュリーフェン参謀総長が健在。 すでに戦争計画を練り直しているとのこと。必ずやロシアも英仏も蹴散らしましょう。」



「……参謀総長がそこまで言うならば、最後通牒を送れ。 フェルディナントの仇を討つのだ。」



「ははっ!」










「二重帝国が動いたか……」

シュリーフェン参謀総長は地図の前で静かに呟いた。



「ロシアが動員を開始すれば、我が国は二正面作戦に……」



「心配するな。」

老参謀総長は、まるで待ち望んでいたかのように言い放った。



「私は十年以上前からその事態を想定している。 右翼を強化し、フランスを六週間で叩き潰す。その後、全軍を東へ転用すればロシアなど恐るるに足らん。」



「はっ。では計画通り西方軍の準備を進めます。」



「ウィーンには伝えよ。ドイツは盟友を見捨てぬ、と。」










「二重帝国がセルビアに最後通牒を突き付けたか……」



「はっ。ニコライ二世陛下。すでに二重帝国は秘密裏に動員を開始している模様。我々もセルビアを助けるため、動員を開始すべきかと。」



「動員にはどれほどかかる?」

「六週間ほどかと。しかし六週間でセルビアは陥落しますまい。セルビアが耐えている間に我々は動員を完了させ、一挙に二重帝国を叩きましょう。」



「……分かった。動員を開始せよ。」












「二重帝国がセルビアに最後通牒を突き付けたか……」



「はい、ポアンカレ大統領。ロシアはすでに動員を開始したとのこと。我々はどういたしますか?」



「フランスは戦争を望まない。 その意思を示すため、国境から10km軍を後退させよ。」



「しかし、それでは国境が手薄に……」



「大丈夫だ。国境の要塞群は数日で落ちる代物ではない。ヴィヴィアーニ首相、英露との連絡を密にせよ。」



「承知しました。」



こうして、各国はそれぞれの思惑を抱えながらも、 世界はゆっくりと、しかし確実に“破局”へと歩み始めていた。

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