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第5章 ちゃんと目を見て、話をして。
今日は海美とちゃんと話したい。少しずつでも。目を合わせて。
制服を着ているからだろうか。今日は暖かいな。嫌でも引退が近づいてるって……思っちゃう。
俺は渡り廊下の真ん中で足を止めた。後ろから音が聞こえる。後ろの音も止まった。
海美だと信じて話そう。
「……今日、暖かいね」
「そう……ですね。」
やっぱり海美だ。よかった。
突然ボソッと声にでた。
「俺、もうすぐ引退だよ。」
言いたくなかった。言ったら海美の中の俺が壊れる。
風がサクラを撫でた。
「……そうですね」
早く海美を見ろ。
すぐ逸らしてしまったが目を見れた。
美しい、惹き込まれるような目だった。
「じゃあね」
少しだけでも話せた。最後はやっぱりあいつを見れなかった。――いや見なかった。
俺が壊れそうで。結局俺は自分中心なんだ。もう考えないようにしよう。
――なんて、出来るわけ、ないのに。




