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第2章 練習
靴紐を固く結ぶ。
トラックの音とともに走る。走って、走って。
後ろから足音が聞こえる。もっと早く走って。
最初はもっと自由に走ってたのにな……。
昔の俺は走ることが大好きだった。いつから数字を気にするようになった?もういい。
今はとにかく走れ。あいつのタイムより縮ませろ。そうするしかないんだ。
『ずさっ』
俺、転んだ?早く立て。じゃないと、早く、早く!!
足が言うことを聞かない。
「佐倉先輩!」
背中から声が聞こえた。視線が地面から離れない。砂利や砂の匂いがする。
「先輩大丈夫ですか?!」
「……」
声が出ない。大丈夫。って言え。しんぱいなんて、いらないんだよ。
『パシっ』
「……大丈夫だから」
「そう、ですか。」
目線をあげる。俺は目は合わせずすぐ走り出す。背中から声が聞こえる。気にしない。
そんな目で、こっちを見るな。




