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流転の國 vol.7 〜幻と記憶が交差する宙色の物語〜  作者: 川口冬至夜


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第五十四話 ヒカル王

「まだ見つからないのか…」

桜色の都の国王ヒカルは、一向にマヤリィ様発見の報告が上がってこない日々に焦りを感じていた。

かと言って、国王である自分が直接捜索に加わることも出来ず、他の職務をこなしながらもマヤリィのことばかり考えていた。

「流転の國の方々は『魔力探知』を使ってもマヤリィ様が見つからないと言っていた…。それはもしかしてマヤリィ様のお身体が弱っていらっしゃるからなのでは…?」

「その可能性はございます、陛下。命の危機に瀕していればどんなに強い魔力をお持ちの方であろうと、魔力を頼りに探し出すことは出来ないかと存じます」

国王の傍に控えていた侍従が言う。

「しかし、白魔術師部隊はその御方の魔力を追っているのではなく、王都内のどこかで保護されていることを前提に捜索を続けております。それにもかかわらず、手がかりすら掴めないということは、既に王都にはいらっしゃらないのでしょうか…?」

「…となれば、捜索範囲を拡大する必要があるのか……」

ヒカルはもうどうしたら良いか分からなかった。

「これだけ探しても見つからない以上、私の力ではどうすることも出来ない。…流転の國の方々は今どうしているだろうか?」

「特に連絡はございませんが、あちらはあちらでマヤリィ様を探していらっしゃることでしょう」

「連絡がないということは見つかっていないということか…」

ヒカルは少し考えた後、

「これから流転の國に書状を送る。この先は合同捜索だ。…そして、我が国の領内で改めて『魔力探知』をして頂くことにしよう」

「畏まりました、陛下」

流転の國からは距離的に無理でも、桜色の都まで来てくれれば『魔力探知』の精度も上がるかもしれない。

ヒカルは、白魔術師部隊が依然としてマヤリィ様を発見出来ないことと、直接桜色の都に来て『魔力探知』を行って頂きたいということを書状にしたため、使い魔に託したのだった。

「しかし…もしマヤリィ様が瀕死の状態で見つかったとしたら…」

ヒカルは先ほどの侍従の言葉を思い出す。

白魔術師部隊は医師で構成された救急隊のようなものなので、その場で治療が可能だが、彼等の手に負えない可能性もある。

そうなれば、患者(マヤリィ)を診るのは王都でも一流の腕を持つ白魔術師でなければならない。

「最悪の可能性も考えるべきか…」

ヒカルは幼い頃から叔父のツキヨに白魔術を教わっていた。白魔術の権威と呼ばれたツキヨに様々な魔術を伝授されたヒカルは、彼には及ばないものの都では上位に位置付けられる白魔術師である。

17歳で即位することとなった為、王立魔術学校には通っていないが、その卒業生よりも優れた白魔術を使える。

「叔父上に連絡を取ろう」

ヒカルは突然そう言った。

「最悪の事態を想定すれば、叔父上の力が必要になる。すぐにエアネ離宮に連絡を取り、事情を説明して、王宮まで来て頂けるよう取り計らってくれ」

「はっ。畏まりました」

流転の國との合同捜索の件も然り、ヒカルはもっと早くそうすれば良かったと思いながら、今思い付いたことを全て実行しようとする。

「…そうだ。叔父上が王宮にいらっしゃる間、昔のように白魔術を教えて頂こう。私は即位してからというもの、魔術訓練を怠っていたからな…」

こうして、ヒカルは流転の國からの連絡と、エアネ離宮にいる叔父からの連絡を待つことになった。


「ご苦労様。ヒカルからだね?」

ヒカルの使い魔はエアネ離宮に到着すると、ツキヨに直接書状を渡した。

その内容を読んだツキヨは初めて聞く話ばかりで驚いたが、すぐに返事を書いた。

【委細承知しました。離宮で治療中のミノリ・アルバ男爵令嬢を伴い、早急に王宮へ向かいます】

魔力事故によって顔に傷痕が残ったミノリ嬢は、今もエアネ離宮でツキヨの治療を受けている。それを依頼したのは他でもないヒカル王なので、王宮にミノリ嬢の部屋も用意してくれるだろう。

「さあ、頼んだよ」

ツキヨは使い魔に返事を託すと、ミノリ嬢を呼んだ。

「今、ヒカルから連絡が来た。何でも、流転の國の主様の危機ということで、王宮まで来て欲しいとのことだ。勿論、君も連れて行く。治療の場所は変わるが、王宮なら問題ないだろう?急ぐ必要はないが、準備が出来たら出立する。突然のことで申し訳ないが、よろしく頼むよ」

ミノリ嬢は急すぎる話についていけない様子だったが、

「畏まりました、ツキヨ様。お優しいお気遣いに感謝致します。早急に支度を整えます」

そう言うと、すぐに自分の部屋に戻った。

エアネ離宮に来た時はひどい状態だったが、ツキヨの治療のお陰で傷痕はだいぶ薄れてきている。もう少し治療を続ければ、完治するだろう。


その後、返事を受け取ったヒカル王は、ミノリ嬢の治療が順調に進んでいることを感じ取って、嬉しく思うのだった。

完全に後手後手に回ってしまったマヤリィの捜索。

ヒカル王は、流転の國に書状を送り合同捜索の依頼をすると同時に、最悪の事態を想定してエアネ離宮にいる白魔術の権威ツキヨを王宮に呼ぶのでした。

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