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流転の國 vol.7 〜幻と記憶が交差する宙色の物語〜  作者: 川口冬至夜


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第四十四話 流転の國を目指して

自分を超える魔術師は流転の國にしかいないということをマヤリィは分かっていた。それも、一人だけだ。

流転の國の現女王ルーリは『宙色の魔力』を持っている。世界に存在する全ての魔術を司るというその魔力を使えば、禁術も解くことが出来るだろう。

しかし、既にこの時ルーリは水晶球から『宙色の耳飾り』を取り上げられていた。勿論、マヤリィもジェイもそれを知らない。


「流転の國を目指すとして、再びシャドーレを頼りたいと言いたいところだけれど…。この間、店のお客さんが彼女の話をしていたのよ」

「えっ?ミラーのステージを見に来たお客さんが?」

驚くジェイに、マヤリィは説明した。

「ええ。今のシャドーレは『クロス』の特別顧問ではなく隊長を務めているらしいの。それも、モンスター討伐任務の際に犠牲になった隊長の代わりとなることを自ら国王陛下に申し出たとか…」

「それって…ダーク隊長が亡くなったってことですか?」

ジェイはかつて流転の國を訪れたことのあるダークの顔を思い出す。

「お客さん達の話が正しければ、そういうことになるわね」

マヤリィがそう言うと、ジェイは難しい顔をする。

「…だとしたら、シャドーレは邸に帰ってないかもしれません。非常勤の特別顧問と比べたら隊長職は遥かに忙しいと思いますから『クロス』の宿舎に泊まり込みかも…」

「そうね。私もそれを懸念しているわ」

ジェイは少し考えてから、

「たとえそうだとしても、今頼れるのはシャドーレしかいませんよ。僕の『空間転移』で彼女の邸に戻って、運良くそこで会えたら事情を話せます。それに…『クロス』の訓練所も邸からさほど遠くないと聞きました」

今にも『空間転移』を発動しそうな勢いで話す。

「姫、早速シャドーレの邸に向かいましょう」

「ちょっと待ちなさい、ジェイ。私の話はまだ終わっていないわよ?」

落ち着きのないジェイを制して、マヤリィは話を続ける。

「貴方は今言った通り『空間転移』でシャドーレの邸に戻り、助けを求めて頂戴。私は…エアネ離宮のツキヨ殿に会いに行くから」

「えっ?別行動なんですか?」

「そう。シャドーレの力を借りることが出来なかったとしても、ツキヨ殿から国王陛下に連絡を取ってもらえば、流転の國に帰れるかもしれないわ」

ここからエアネ離宮までどのくらい距離があるのかは分からないが、ツキヨならば『幻影』魔術を見抜くことが出来るかもしれないとマヤリィは思った。

「確かに、ツキヨ様ならば分かって下さるかもしれません。でも、どうやってエアネ離宮まで行くんですか?」

今のマヤリィは『空間転移』を使えない。

「それに関しては…頼れる人物がすぐ近くにいるでしょう?」

「それって、フランシスのことですか?」

「ええ」

「彼を利用してエアネ離宮まで連れて行ってもらうつもりですか?」

「利用とは人聞きが悪いわね。助けを求めるだけよ。『旅人がエアネ湖を見たがっている』という設定でね」

確かに、エアネ湖は風光明媚な場所だと聞く。旅人という設定のミラーならば、行きたがったとしても不自然ではない。

それに、フランシスはミラーに惚れているし、快く引き受けてくれるだろう。

「あくまでもミラーの設定で行くつもりなんですね?」

「ええ。正体を明かしたところで信じてもらえるわけないでしょう?ミラーは偽名で、旅人というのも偽りで、本当は流転の國の前女王であり、今は禁術のせいで本来の姿に戻れない、とでも説明するの?」

ややこしすぎる。

「大丈夫よ、ジェイ。エアネ離宮に辿り着くことが出来さえすれば、あの場所は人も少ないし、すぐにツキヨ殿に会えるでしょう。国王陛下に謁見を求めるより現実的だと思うわよ?」

「それもそうですね…」

前国王の住居だというのに、エアネ離宮には最低限の警備員しか置いていないと聞いたことがある。怪しい者でないと分かれば、ツキヨの方から出てきてくれるかもしれない。

「…分かりました。ここからは別行動ですね。僕はシャドーレの邸に戻り、貴女はエアネ離宮のツキヨ様を訪ねる。…今度会えるのは流転の國に帰ってからでしょうか?」

ジェイは寂しそうに聞く。

「そうね…どこで再会出来るかは分からないけれど…」

マヤリィはそう言ってから、

「必ずまた会いましょう。場所がどこであっても、絶対に貴方と再会する。そして、今度こそ離れないわ」

ルーリの身体でジェイを抱きしめる。

「姫…!」

たとえ姿が違っても、ここにいるのが愛するマヤリィであることに変わりはない。

「姫、大好きです…」

「私もよ、ジェイ。愛してるわ…」


一縷の望みに賭けて、自分を追放した流転の國に帰ることを決めたマヤリィ。

本物の自分の姿でジェイを見たい、ジェイを抱きしめたい、ジェイの傍にいたい…。

その一心で、彼女は禁術を解く為の旅に出る。

ジェイはマヤリィが完全にルーリに変わる前に出発することにしました。

マヤリィの声を耳に留め、ジェイは元来た道を戻ります。

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