表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流転の國 vol.7 〜幻と記憶が交差する宙色の物語〜  作者: 川口冬至夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/79

第三十九話 発砲

お久しぶりの流転の國。

こちらでは、マヤリィ探しが難航しています…。

「なぜだ…なぜ見つからない…!?」

「お前の『魔力探知』が大したことないからじゃないのか?」

「失礼な!」

流転の國では、相変わらず水晶球がマヤリィの行方を掴む為に『魔力探知』を続け、相変わらず失敗を続けていた。

水晶球が困惑した様子を見せるたびにルーリは揶揄っていた。

「すっかり仲良くなっちゃったわね、人外なのに」

ミノリまでそんなことを言い出す。

「人外はルーリも同じではないか!こやつは悪魔だぞ?」

「知ってるわ。でも、ルーリは人間と変わりない姿をしているし、これが元々のルーリだっていうじゃない?」

確かに、ルーリは悪魔種だが皆がそれを思い出すのは『悪魔変化』した時だけで、人間と同じ姿をした今が本来のルーリである。まぁ、どちらにせよマヤリィはルーリの全てを愛したのだが。

「因みに、私もシロマも人間です。水晶球様、あまり人間に喧嘩を売らない方がいいと思いますよ?」

クラヴィスまでそんなことを言い出す。

「私の持っている『流転のリボルバー』は貴方ではなくマヤリィ様が授けて下さった物だとミノリ様から伺いました。恥ずかしながら受け取った時の記憶はないのですが、このマジックアイテムを味方に対して発砲しても効果がないということは覚えています。しかし、敵が相手ならば、百発百中。威力は抜群なのです。つまり…」

「そなたは話が長い。確かにその魔術具は私が授けた物ではないが、だから何だと言うのだ?クロネを味方と認識してしまったせいであの時お前はそれを使うことが出来なかった。その反省を述べているのか?」

「いいえ、違います」

クラヴィスに対して嘲笑うような声で話していた水晶球に、今度はシロマが口を挟む。

「クラヴィスは、貴方が我々の敵である可能性を疑っているのです。これがどういうことかお分かりですか?」

「っ…」

「試しに撃ってみるというのはどうでしょう?」

いつになく過激なシロマの発言に、さすがの水晶球も言葉に詰まる。

「ルーリ様、やってみますか?」

「そうだな…やってみる価値はあるかもな。私の雷が効かなくても、マヤリィ様お手製のマジックアイテムなら、こいつを吹っ飛ばせるかもしれない」

ルーリはそう言うと悪い笑みを浮かべる。

その途端、水晶球は狼狽える。

「待て。私が砕け散ればこの流転の國はどうなるか分からんぞ?」

「それは本当か?」

「た、たぶん、この城が崩れ落ちる…と思うんだけど……分かんない…」

「キャラが崩れてるが、大丈夫か?」

動揺する水晶球。せせら笑うルーリ。

「…だが、お前が怖がっているところを見ると、クラヴィスのリボルバーがお前に通用する可能性は十分にあるってことだよな?」

「ちょっと待て。冷静に話し合おう」

「私はいつだって冷静だが?」

「ルーリ…!!」

恐怖と憤怒が混ざった声でルーリの名を呼ぶ水晶球。

しかし、ルーリもミノリもシロマもクラヴィスも至って冷静だった。

「このまま話を続けても埒が明かないな。…やれ、クラヴィス」

「畏まりました、ルーリ様!」

ルーリが威厳に満ちた声で命じると、クラヴィスは『流転のリボルバー』を構える。

「待て!」

「待ちません!」

その瞬間、クラヴィスは発砲。弾丸は真っ直ぐに水晶球を貫いた。効果は抜群だ。

「くっ…まさか、この私がそなた如きにやられるとはな…」

「いえ、私ではありません。偉大なるマヤリィ様のお力にございます」

クラヴィスがそう言っている間に、水晶球の罅が広がっていく。

「そんなマヤリィ様を貴方は追放したのよ!自業自得だわ!」

ミノリはここぞとばかりに水晶球に厳しく言い放つ。

「貴方が粉々になっても、私達は諦めません。必ずや流転の國を統べる宙色の大魔術師マヤリィ様を探し出してみせます」

「ふっ…ならば、そなたらに託すとしよう…」

シロマの力強い言葉を聞いた水晶球はようやく観念した。

「記憶は全て返す。ルーリやミノリのマジックアイテムも引き続き使えるようにしてやる。しかし…この耳飾りを装着することが出来るのはマヤリィだけだ…。それを覚えておけ」

その時、ミノリを除く三人の身体が虹色の光に包まれる。

「な、何これ…眩しい……!」

ミノリが目を閉じた瞬間、物凄い音とともに水晶球が砕け散った。

直後、虹色の光は消失する。

「何なのよ、もう…」

そう言ってミノリが目を開けると、その場に座り込んだ三人の姿があった。

「ミノリ…」

かろうじてルーリが声を出す。

「ルーリ、大丈夫…?」

「ああ。……いや、全然大丈夫じゃない」

「えっ…」

ミノリが戸惑っていると、ルーリは玉座の間まで響き渡るのではないかというほどの大声で叫ぶ。

「マヤリィ様ぁ~~~~~~~!!!!!!!」

その手には、輝きを失った『宙色の耳飾り』が残されている。

もはやマヤリィにしか装着することが出来ないマジックアイテムだ。

砕け散った水晶球。そのまま残された流転の城。

全ての記憶が戻ったルーリは押し潰されそうな罪悪感と後悔に襲われ、涙を流すことも出来ず、その場に座り込んで動けない。

ただ、マヤリィと過ごした日々だけが頭の中を駆け巡っていた。

「マヤリィ様……私の愛する…マヤリィ様…」

ルーリがマヤリィの名を呼びながら放心状態に陥っている間、誰も彼女に話しかけることは出来なかった。

ルーリは『流転の閃光』、ミノリは『流転の羅針盤』というマジックアイテムを顕現直後に水晶球から授けられています。

シロマの持つ『ダイヤモンドロック』は彼女が流転の國に顕現する前から持っていた物。

そしてクラヴィスの持つ『流転のリボルバー』は、魔力を持たない彼の為にマヤリィが特別に授けたマジックアイテムです。上述の通り、味方に向かって発砲しても効果はありませんが、敵ならばたとえどんなに大きいモンスターでも一発で仕留められるほどの威力を持っています。以前、彼はこのリボルバーを使って桜色の都の危機を救ったことがあり、その際にはヒカル王直々に歓迎され、様々な話をしたとか。ミノリの『長距離念話』をルーリに報告しなかったのも、桜色の都との繋がりを再び持ちたいが為でした。クラヴィスにとって、ヒカル王は特別な存在なのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ