第四百十九話 禁忌
少しだけ時間が遡る。
紅麗様を前に、ルルティエラに対してどうするべきかを話しているのは白蓮様だった。とはいえ白蓮様とレダは、この環境下で表に出てくることはできないらしく、レダが俺の中に造った花園の中に相変わらずいた。
さすがのレダも優雅に紅茶を飲むなんてことはしておらず、白蓮様が花園の上に正座をして、レダはその横でかしずいていた。どうも紅麗様はレダにとっても敬意を払わなければいけない相手のようだ。
《まず六条の坊やに見てほしいものがある》
そう言って白蓮様は花園の中で、自分の隣にアイテムボックスから1つの人間のような物体を取り出した。どうもレダが俺の中に造った空間は、通常の物質を外に出すこともできるようになっているようだ。
《それは?》
俺は白蓮様が出したものを見た。そして表情が歪む。その見た目はあまり気分の良いものではなかったんだ。最も誰から見ても気分の悪いものではなく、俺限定で気分が悪いと感じるものだった。
強烈な違和感に吐き気さえ覚える。それぐらい俺は目の前に現れた“俺”のようなのにかを薄気味悪く感じた。そうなのだ。白蓮様が見せてきたものはどこからどう見ても俺と瓜二つな何かだった。
身につけているものまで何もかも完全に同じにしか見えなかった。
《まさか専用装備も完全に再現してる?》
俺は紅麗様の作ってくれた椅子に座りながら、その強烈な違和感のある物体に、自分の意識を自分の中に沈み込ませて触れた。俺と同じ暖かさがあった。
《勝手にこんなものを造ったことは詫びるのじゃ。じゃが、ルルティエラの目をごまかすことをできるとすれば、これしかないと思ったのじゃ。見た通りこれは……》
《完全なる六条自身だな》
レダが声を出していた。
《私が見ても六条との違いがわからない。よくもまあこんな気味の悪いものを造ったものだ。というよりも清明よ。これは完全に禁忌だぞ。分かっていないわけがないな?》
あまりにもそれは俺に似すぎていた。そっくり過ぎて気味が悪い。体の構造から何から何まで完全に俺を再現している。自分と完全に似た存在を見るというのはこんなに気持ち悪いのかと思わされるほど、俺との違いがわからなかった。
違うところがあるとすればまだそれは動いていないことだけだ。何よりもこういったものをダンジョンの中で作ることは禁止されている。それは俺も赤様の背中でレダに教えてもらった知識から知っていた。
紅麗様はダンジョンの管理側の人間だろうに怒らないのだろうか? ちらっとその赤い瞳を見た。
《六条。良いも悪いも私は判断しないことにしてるんだよ。私はどんな存在にも与えるだけ。その結果滅ぼしてしまうことはあったとしてもね。だから白蓮も安心してそんなものを出すわけだよ》
《なるほど……》
炎はただそこにあり善も悪も照らすだけか……。そんなことを思いながらも、たかが16歳でそんな達観できるわけもなく俺は尋ねた。
《白蓮様これはどういうつもりですか?》
悪趣味すぎて責める口調になった。この人が俺に悪意を持っているとは思わない。しかしかなりこれは悪趣味だ呼ばれてないで。
《結論として、ルルティエラが六条の坊やと接触して尚且つ、ダンジョンが破壊されずにすむ。その方法がこれしか思いつかなかったのじゃ。だからこの六条祐太とそっくり……六条祐太をもう1人作りたいのじゃ》
《詳しく説明してもらったもいいですか?》
俺にとって大事な話だ。若干前のめりになって聞いた。そっくりでもなく、ドッペルゲンガーでもなく、俺そのものがもう一人。白蓮様はそう言ってるように聞こえた。何よりも白蓮様が取り出した“俺”にどう見ても俺との違いがなかった。
《もちろんなのじゃ。これはなもう一つのものがあって完成する【双体魂】というワシが長年かけて生み出したアイテムなのじゃ》
《【双体魂】……ですか?》
名前からして双子を連想する。祐希丸と玉姫を思い出すけど、多分これはそれとも違う。
《そうじゃ。まずこの目の前にある肉体の素材。これはわしら真性の神レベルになるとおそらく誰でも生み出せるものなのじゃ。レダのじいさんも作れるじゃろ?》
《造作ないことだ》
爺さん呼びは特に問題ないのか、レダが言った。これに似たものを迦具夜も作っていたが、これは何かがそれとも違う。全てが完全なる対にでもなってるようで、細胞が死んでいくことから血液の流れ心臓の鼓動全てが同じだ。
どうやったらこんなに同じになるんだ? それが理解できなかった。
《量子的なつながりまで全て同じにしてあるのじゃ。だからこれは六条祐太であり、六条祐太も六条祐太であり、何1つ違う点がない。完全なる同一体なのじゃ。この世界にある限り六条祐太がレベルアップすれば、この六条祐太もレベルアップする。そして六条祐太が考えることも、この六条祐太が考える。この時代にある限り六条祐太が死ねばこの六条祐太も死ぬ》
《それはまた意味のわからないものを……》
《いや、私には理屈は分かる。もしルルーティエラ様にどちらも大事なものだと思わせたければ、こうする以外の方法はない。つまりそういうことだな?》
レダが口にした。興味深そうにもう1つの俺を見ている。
《そういうことなのじゃ》
《しかしこれには一つ弱点があるぞ》
《うんうん、これ魂が存在してませんよね?》
レダの言葉を聞いて俺が言った。確かに俺そのもので連動しているが、これは目を開きもしないし、動いてもいない。体がどれだけ同一体だったとしても、魂が宿っていないのだ。
俺の魂は、俺にしかないものだから当然だ。
《それも正解なのじゃ。だからこれには2つアイテムがある。もう一つのもの。これは今のところわしにしか創れんのじゃ。まあ創るとルルティエラに殺されかねんから創らないというのもあるんじゃけど》
白蓮様はかなり危険な匂いのすることを口にして、自分の人差し指を立てた。俺とレダ、そして花園の空間を見通している紅麗様も、その様子を眺めていた。おもむろに人差し指の上に何か白く光る小さなものが浮かんだ。
白く光る小さな何か。とても見えづらく、しっかりと見ようとしなければ見えないけど、確かにそこにあり、そしてその白い光は揺らいで見えた。それはどこか見覚えのある揺らぎであった。
《これってまさか……魂ですか?》
そう感じたのだ。
《正解に近いけどちょっと違うのじゃ。正確には魂の雛形なのじゃ》
《清明、お前……》
レダが彼女らしくもない白蓮様を恐ろしいものでも見るように目を向けた。雛形の言葉通りだろうか?それは魂というには無機質な、魂独特の色を感じない。魂というものは、人によってかなり特色が出るものだ。
俺なら炎属性が強いので赤っぽくなるし、レダは暗黒に近い色になる。この魂だけはその人の特徴をごまかすことができないものだった。これが常に見えていることで俺はレダが爺さんとしか思えないのだ。
それなのに白蓮様が示した【双体魂】には特色など何もなかった。
《六条の坊や。これはもっと分かりやすく言うと命の始まりなのじゃ》
《それはまた……なんか凄そうですね》
《実際すごいのじゃ。褒めてくれていいのじゃ。禁忌を恐れずここまで創っちゃうやつはワシだけなのじゃ。何しろ、からくり族でも何でも大抵のものは作っても起こらないルルティエラでも、命の始まりを生み出すことだけは許してくれないのじゃ。だからバレるとめちゃくちゃ怒られるのじゃ。わしが追いかけ回されていた理由も、これを創ろうとしているのがばれてたのもある》
《うわあ……》
この人結構やばい系の人だ。自分が作りたいものは何でも作りたくなる。きっと米崎属性がかなり強い神様だ。そういえばドワーフが白蓮様を信仰してるって言ってたな。
大八洲国で造ると危険なものもドワーフ島で作れるようにしたのもこの神様だという。
《それで六条。これを使うとな。お主の魂をもう一つ全く同じに作ることができるのじゃ》
ドヤアみたいな感じで、見た目小さい女の子のおばあさんが、褒めていいぞみたいな顔をしている。でもそれがどれほど危険な代物か、考えてみたことはあるんだろうか。
レダに至っては『こいつマジか』みたいな顔で白蓮様を見ている。紅麗様はというとこうして近くで誰かと話すのが楽しそうだ。あんまり表情が分からない方だけど、笑っているように思えた。
《清明。貴様よくそんなものを創って今まで生きてられたな》
レダが口にしていた。
《それがあれば同じ存在が2つ出来上がってしまうのだぞ。同じ存在が2つこの世に常に存在している状態。ダンジョンは全ての探索者を管理しようとしているのだ。実際それはほぼ間違いなく実行されている。しかしその中に同じ存在が2つあれば、それどころか何人でも創り出せるとすれば、システムは凄まじい混乱を起こすだろう。女神どころか機械神にまで嫌われるぞ》
《ほんによくもルルティエラ様からそれほど逃げ続けられるものよな。私でも感心するよ》
《そんなに褒められると照れるのじゃ》
白蓮様は本当に照れてるみたいだった。
《でもみんなに褒められるために頑張ってるのじゃけど、結構逃げるの大変だったのじゃ。紅麗様、ルルティエラ様に追いかけるのやめてって言ってもらえないでしょうか?》
《私は善悪の判断はしないよ。それより、いくら思考加速しているとはいえ、結論は急いだ方が良いぞ。ルルティエラ様はお前がこちらに出てきた時点で気づいておられるのであろう?》
《そうじゃった……。六条の坊や。もう想像はついていると思うのじゃが、わしは六条祐太を二人にする。それ以外にダンジョンの崩壊を防ぐ方法はないと考えておるのじゃ》
《俺が2人になってその後どうするんですか?》
それがわからなかった。2つの存在が俺になったところで、片方死ねば終わりなら片方が死ぬなら、片方がルルティエラと接触しても終わりだろう。それだとむしろ二人いる分、ルルティエラにすれば接触しやすいだけではないのか。
《もちろんそれはわしも承知している。じゃから1人は過去に飛んでもらう》
《過去……今からですか?》
思わなかった形の話の流れに心臓が高鳴った。それってつまり……。
《六条の坊やの頭の中で考えておる通りなのじゃ。南雲の坊やから聞いていると思うのじゃが、戻る過去は100万年前じゃ。そしてもう1人はルルティエラとの接触の時、わしが守るからここに残ってもらう。覚悟は良いか? 六条の坊やはこれからサファイア級となり、1人は過去へ行き、もう1人はここに残る。時代が違う場所に2人が存在しておると、もう片方はもう片方の影響は受けない。これは六条の坊やが未来に飛んだ時に確認済みなのじゃ》
《まさか確かめたいから、俺に時間移動のアイテムをくれてたんですか?》
《それもあるのじゃ。でも純粋に助けになればと思ったのもあるのじゃ。そしてこれには利点があるのじゃ》
《それは何でしょうか?》
《この法則にはルルティエラも引っ張られるのじゃ。過去に戻った場合、ルルティエラはその時代のルルティエラに引っ張られる。つまり》
《ルルティエラ様は過去に存在しようと思えば外との関わりを完全に立つしかなくなる。少なくとももう一人の自分と反応しない程度に》
《そういうことじゃ》
レダが思わず口を挟んだ言葉。それに白蓮様が頷いた。
《ううむ。よく考えたものだな》
《なるほどのう。白蓮。私も感心したよ。よく考えたね。確かにそれならルルティエラ様は過去に向かう六条を追いかけるしかないであろう。過去に何かあればあるほど、ルルティエラ様はきっとそうする。そしてもう一人の六条はここにいるままか……》
紅麗様が俺の目の前で頷いた。どうもこの方法はルルティエラを混乱させるのにかなり有効な手段のようだ。とするなら他に選択肢はない。この俺よりもはるかに上位の三神が、この考えに賛同している。
だとすれば俺に否はない。覚悟決めた。
《ならば早くしましょう》
《了解なのじゃ。まず、もう一人の六条祐太を完全に創る。六条の坊やに異存はないということで良いかの?》
白蓮様がしっかりと確認してくる。
《問題ありません》
ダンジョンが壊れることを求めているやつなどいない。俺だってそんなの嫌だ。俺が2人になったその先がどうなるのかちょっと想像がつかない。最終的にどちらかの俺は死ぬしかないかもしれない。
でもそれが最終的には良い方向に行く。紅麗様や白蓮様はそう考えてる。それなら、それでよかった。何よりもこれで安心して伊万里のために死ぬことができる。
《言っておくが六条の坊や。伊万里の嬢ちゃんのために死ぬのはやめておくのじゃ。何しろどうも伊万里の嬢ちゃんの後ろにロキがいるのじゃ》
《ロキ?》
《これに関しては六条の坊やのクエストに関わることじゃからの。わしからも全部教えられんのじゃ。でもよく考えて死ぬつもりなら死ぬことじゃ。わしが六条祐太をわざわざ2つの存在にしたこと無駄にしてくれるなよ?》
《……はい》
多分これ以上は何を聞いても教えてくれない。そんな雰囲気だったから俺はそれ以上聞かなかった。
《すまんの。もっと良い方法を思いつけばよかったのじゃ。でもそれが最良の方法だとわしは信じておるのじゃ。だから六条の坊やが納得してくれるなら、やるのじゃ》
白蓮様が俺の中にいる状態で、左手の指先で俺の魂に触れた。それはあまり良い感覚ではなく寒気がした。命の根幹を握られてる感覚。それを感じながら不思議なことに何も宿っていなかったはずの【双体魂】に色のようなものが付与されていくのが見える。
白蓮様が口にした。
【命よあれ】
と……。
「——こっちの俺には気づかずにいなくなってくれましたね」
レダと俺がいなくなる。そして紅麗様の熱から逃げるように離れた俺と白蓮様がいた。ルルティエラの結界はもう一人の俺の方が過去に持って行ってしまった。多分あちらも大変だろうから、それはいい。
「六条坊。さすがにその考えは甘いのじゃ。ルルティエラはこんな距離で周囲の状況を見逃したりしないのじゃ。もう1人の六条坊にも気づいていたのじゃ」
「気づいてたんですか?」
「この世界にいるどんな存在も、女神の目から逃げられたりはできんのじゃ。この空間内にいる限り逃げ場はないのじゃ。女神はいなくなった。じゃが機械神はまだわしを見ておる」
「でもどうして俺も連れて行かなかったんでしょう? 俺はてっきりルルティエラは100万年前に俺を戻したいのかと思ってました。時間移動の能力をくれたりしてましたから」
「それを渡してたのはわしなのじゃ」
「……」
俺は一時停止した。
今何を言われたのかしばらく考えた。
「え? 本当に?」
「本当じゃよ。だってわし六条の坊やのそばに結構前からいたからの。レダと一緒にいるから黙ってもらうのに苦労したのじゃ。たまにあやつ黙って六条の坊やと口をきかなくなる時があったじゃろ?」
「ああ、ありました」
「ああいう時はわしとよく喋ってたのじゃ。それで結構わしの言うことを聞いてくれてたのじゃ」
「あいつ言うこと聞きますか?」
なんか結構俺って知らない間にいろいろされてる。他はないだろうなと体の各部を確かめたい気分になった。
「ちゃんと対価は取られたのじゃ。『100万年前に一緒にレダが行く』という対価をな。本当ならわしが一緒に行くつもりだったのじゃが、ルルティエラをわしも一度は止めればならん役目もあった。紅麗様はそれには協力してくれんじゃろうしな。だからレダとわしは利害も一致しておったのじゃ」
「……俺とレダは本当に100万年前に……行ったんですよね?」
あの場では加速した【意思疎通】でもあまり余計なことまで聞く時間がなかった。
「まあとりあえず六条坊。紅麗様に別れの挨拶をしておこう。赤の背中の上で詳しい話はしてあげるのじゃ」
「……そうですね」
なんだか話をそらされた気がした。大丈夫なんだろうかと思えるが、疑ったところで俺には信じることしかできない。100万年前の過去など、ここにいる俺にとっては手が届くはずもない、遥か遠い場所だった。
そして何よりも俺は紅麗様にお礼が言いたかった。
「紅麗様。ありがとうございました。これで何か少しだけでも道が見えたように思います。急ぐのでこれで帰らせてもらいますが、心より感謝を申し上げます」
「もう帰るか……」
「必ずまた改めてお礼に伺います」
紅麗様が寂しがっているように思えて俺は付け足した。
「もうこれほどは近づくことはないであろうな」
「ああ……。えっと、頑張ってそのうち近づけるようになります!」
「ふふ、六条、その言葉期待して待っているよ。では弁財天が随分と心配しているようで気の毒だよ。早く帰ってあげなさい。白蓮、2人とも赤のところまで飛ばしてあげよう」
そう言って2人とも紅麗様から少しだけ力を込められた。自分たちの姿が揺らぐ。白蓮様の姿も揺れた。一瞬後、俺の目の前には弁財天がいた。
「……祐太君?」
弁財天が赤様の背中の上でこちらを見ていた。目を開いて突然現れたことに結構驚いていた。でも俺は周囲に白蓮様の気配がなくて見回した。
「……いない?」
いくら大きな赤様の上でも隠れてるわけでもないならすぐに見つかる。だけどあの幼い顔をした老婆の姿はどこにもなかった。
「もう姿を隠したってことか……」
もっとちゃんと説明してほしいことがたくさんあった。でも、白蓮様というのは、あまりこの場に留まることはできないのかもしれない。何しろこの場にいるだけで機械神の目から逃れることは不可能なのだというのだから。
「祐太君。随分と雰囲気が変わって……もうサファイア級になれたの?」
「……なることができた」
俺は頷いた。自分が死んで終わりというわけにはいかないのだという。ロキ……レダが教えてくれていた虚言神のことだろうか。そんなものが伊万里のそばにいるのか。やはり、死んで終わらせるわけにはいかない。
どうして今こうなっているのか。それを俺はちゃんと知る必要があると思った。
「あなたは本当に生き急ぎすぎよ。祐希丸と玉姫も驚くなんてものじゃないわよ」
「【黄泉孵りの卵】を貸してもらうことはできる?」
急がなきゃいけなかった。【黄泉孵りの卵】は完全に使えるようになるまで時間がかかるという話は事前に聞いていた。
「もちろん。祐太君。呼び出す“亡き神”は決まってるのね?」
弁財天もそれ以上は言わなかった。そして【黄泉孵りの卵】が詳しくどういうものか教えてくれたのは彼女だ。俺はそれに頷いた。
「ああ、“亡き神”は決まってる」
「そうなんだ。いくらなんでもそんな知り合いまでいないと思ったから紹介しようと思ったのに、その“亡き神”はセラスに対抗できるレベル1500以上なのね?」
「心配ない。元はレベル1883らしい」
「どこでそんな“亡き神”に知り合ったの?」
「結構昔だよ。本当に随分と昔……」
俺は何だかずいぶん昔のことに思えて遠い目になった。
「ともかく急ぐ。早速始めよう」
俺はそう言って伊万里との決着のために【黄泉孵りの卵】に触れた。
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