第四百十七話 紅麗様
「よくここまで来れたね。みんな諦めてこなかったのだけど、さすが私に恋の知らせを届ける男だ」
目の前に広がる光景は、まるで夢の中にいるかのようだった。真紅の龍は、日輪の中心でその姿を現している。大きさは想像を超え、瞳だけで俺の身長などゆうに超えて、どこまでの大きさなのか理解できなかった。
蒼羅様を見た時も存在の大きさを理解できなかったが、四元龍というものはそもそもからして理解できない存在なのだろうか。
巨大な鱗は赤に染まり、美しいと感じた。こんな存在に恋の知らせと言われても、俺が自分のちっぽけさを理解できない愚か者としか思えない。自分が恥ずかしくて恥じた。
「よいよい。人など身の程をわきまえぬぐらいでちょうどよい。利口なものたちはつまらぬ」
紅麗様は、ダンジョンの中に置ける全ての炎の源であり、赤の源、その存在があまりにも高温の炎に包まれ、生物の存在を嫌うように濃密なエネルギーが常にたゆたう。
神秘的な姿であり、本質的には破壊的だ。ただの幻想ではない。レダから得た知識ではダンジョンの始まりから続く伝説の存在であり、生命が始まる瞬間に寄り添う存在とも言われているそうだ。
以前極寒の地で見た紅麗様は分身であり、その鮮やかなどこまでも赤い姿を思い出す。今は抑えきれないエネルギーに満ちていた。これでも、まだ本体よりは数万キロ離れている。これほど巨大に感じるのに距離は近くすらない。
「お招きいただいたこと感謝します」
俺が頭を下げる。俺は赤い世界の足場などない空中にいた。今は人の姿に戻り、鳥よりはこの姿の方がいいかと思ったのだが、そんなことにこだわるレベルですらなかった。
「畏まる必要などないよ。ルルティエラ様以外で私にここまで近づいたものなど、数えるほどもいないんだよ。そうだ。お前がその姿なら、私も人の姿の方が話しやすかろう。私も人の形をとろう。椅子をやるゆえ、座るが良い」
大きすぎて表情などわからなかったが、気配で多分嬉しいのだということが伝わってくる。紅麗様の言葉の後、俺の真後ろに赤い椅子が現れた。鮮やかな赤い椅子。紅麗様の紅を思わせる深い色。
それでも最初に抱いた感想は“椅子が熱そう”だった。何しろめっちゃ燃えてる。
「失礼のやつよ。その状態であれば大丈夫だ。さっさと座れ」
「えっと、はい」
簡単に心が読まれるんだと思い出して焦った。でも、素の俺なら座った瞬間、消し炭も残らないような化け物じみたエネルギーを感じるただの椅子だ。座ること以外何の役目も果たさないはずなのに、ものすごく威厳があった。
「何をしている」
「はは、なんかルール違反みたいで申し訳なくて」
ルルティエラが造ったという完全なる熱遮断結界によって守られ、俺は信長たちがきっと諦めたであろうこの場にいることができる。ちょっと、いや、かなりズルをしてしまった気分だ。
「真面目な子よな。そんなことはないから早くお座り。お前には時間がないのであろう」
つぶやき、肌の部分以外は全て真紅に染まる紅麗様が人の姿を現した。同時に後ろにいたあまりにも大きすぎる龍は姿を消し、本当に俺と同じぐらいの人間の女性になっていた。いや、正確に言えば体の各部に龍の特徴は残していた。
炎龍神・紅麗様は常にその身を炎の光で輝かせ、真紅の髪は炎のように柔らかく揺れ動き、その先端は金色に変わっていく。肌は、陶器のような滑らかさを持ち、赤みを帯び、炎の熱を反映して輝く。
瞳はその美しさに引き込まれ、紅麗様が目の前にいることに畏れを抱く。
「……紅麗様」
神秘的であり見惚れた。今まで見てきた女性のどれとも違う。言葉で表現などできない存在がいた。
「私に見とれてくれるのは嬉しいよ。しかし、六条、お主は少々緊張しすぎている。本当に座っていいから座るが良い」
紅麗様の言葉に促された。
「はい」
俺は今度こそ着席した。そうすると炎が形を持って優しく体を支えた。超高温に耐えることさえできれば、かなり座り心地のいい椅子なんだと感じる。最もそれが一番の問題なのだが。
レダの知識では四元龍は紅麗様が最も近づくことが困難であり、その次が暗璃様、その次が白聖様、最も近づきやすいのが蒼羅様なのだという。ゆえに紅麗様とここまで近づけた存在などレダが知る限りいないらしい。
「さて六条。お前は急いでいるな?」
「申し上げにくいのですが、急いでます。よければ本題に入らせていただいてよろしいでしょうか?」
より上の存在になればなるほど、性格は穏やかである。天照大神様を見た時も蒼羅様を見た時もそう感じた。だから図々しくもお願いしてしまう。
「まあそう慌てるでない。どうしても急ぐというならほれ」
紅麗様がそう呟いた瞬間、世界から時間の流れがなくなったことがわかった。自分も一瞬とはいえ使えるから、それがどれほど完璧な形で止まったのか理解できた。日輪の炎のゆらめきが止まっている。
「これなら誰でも私に近づけると思ったか?」
「お、思いました」
「残念ながらこの方法でも私は動くわけだから熱は伝わり続ける。日輪の熱が止まる程度ではどうにもならんのだよ」
紅麗様は寂しそうだ。紅麗様自身が一番の熱源なのだ。やはり普通の人同士のような交流を持つのは難しそうだ。
「なんとかならないのですか?」
「こればかりはどうにもならん。まあ、お前の今の状態なら、これで1時間ほどは大丈夫だ。あまりに長く止めすぎるとルルティエラ様が怒ってくるのでその辺が限界だ。六条、正直胸が高鳴っているよ。人とこれだけ近くで話すのは久しい所ではない」
「……そうですか……はは、なんか俺でいいんですかね。本当の資格はなかったように思います」
やはりどうにも俺がルルティエラに好かれている。そのせいで信長たちの運命すらも変えてしまったのではと思えた。それはどうにも居心地が悪かった。
「そう考えるのはわかる。だがその考え方は違う」
「違いますか?」
「うむ。本来ならもっと早くに別の人間が私のところに会いに来る予定だったのだ。しかし、どうすれば良いのかクエストの“仕掛け”がわからず、何人かは、かなり近づこうとしたが、お前ほど近づくことはなく帰ってしまった」
「それはまあ無理はないかと……」
何しろ俺の熱耐性だけで進めたのはあの道の半分ほど。それ以上はどうやったところで進めば死んでしまった。紅麗様は信長たちのことを言っているのだろうが、引き返さなければ死ぬだけだったはずだ。
俺は死んでも近づこうとしてしまったが、それは半ば自暴自棄にも近かった。レダがいなければ残り1割に到達することもなかった。レダがクエストの達成条件だとすれば、さすがにちょっと仕掛けが過ぎる。
「そうであろうか? お主が現にここにいるではないか」
「俺は結構いろいろ反則技というかそういうのを使いましたし、神の争奪戦の時、ここに到達する難易度が不可能に近いものならば誰も来るわけは……」
「しかしお主はここにいる」
「ですから俺は……」
「俺は?」
紅麗様は面白そうに聞いている。
何だ、まだ気づかないのか?
と言われている気がした。
「えっと……まさか……誰でもできたんですか?」
「誰でもは無理であったろうな。だが少なくとも日輪の中までやってきた織田信長、風魔銀次、近藤勇……この3人であればできたであろうな」
「つまり到達するための条件があった?」
「でなければそもそもクエストとして成立しておらんな」
ダンジョンには絶対のルールがある。何をどうやってもその人の能力ではクリアできないクエストは出してはいけないというものだ。しかし、この場所にあの神も争奪戦の時来ることは不可能に思える。
「お主が自分でやったことであろうに、わからないのか?」
「自分で……」
紅麗様は俺が、紅麗様の元までたどり着いた方法を言っているようだ。でもそれはレダの協力があったから……。
《違うな六条。私は協力しているようで協力できていなかったぞ》
《レダが協力してない……?》
そう言われて考えてみる。レダは確かに俺や弁財天よりも紅麗様の近くに進みはしたが、残り1割をどうしても近づけなかった。それを近づくことができたのは……。
「紅麗様に助けてもらえたから……いや、声が届いたから……」
「そういうことだ」
「あ、ああ……」
ようやく理解できた。そもそものクエストの攻略方法を間違えて考えていた。紅麗様に近づくとなれば超高温に耐える。それが誰の認識にも一番最初にあった。
弁財天はそのための準備を徹底的にしてきたし、俺は自分の種族特性ゆえに自分が有利だと考えた。しかしそれ自体がそもそも違うのだ。実際のところルルティエラにとって紅麗様に近づくのは簡単なこと。
だからその感覚でこのクエストは用意され、そしてその簡単に近づけるルルティエラは、紅麗様の元に近づける簡単な方法を残した。
「正解だよ。ルルティエラ様は私にこう言い残していたのだ。『誰かの声が聞こえたら、その人をあなたの前まで連れてきてあげて、後はどうするか紅麗に任せる』と」
「つまり【黄泉孵りの卵】を手に入れるためには、紅麗様に何らかの形で声を届ける。つまり声か【意思疎通】を届かせることが必要だった? そして、本当にこのクエストで一番重要な対策は、このエネルギーに満ちた空間で、紅麗様にしっかりと届くような強い出力の声を届ける方法を見つけること?」
「よしよし、お利口だ。神の争奪戦の最中なら誰か一人くらいは、自分の命をかけて、こんな酔狂なことをやってくれる人がいるかと思っていたけれど、結局みんな途中で諦めてしまった」
「それがわかってれば諦めた人はいなかったでしょうね」
「それは確かなことであろうな。まあ実は、ルルティエラ様は私の願いを聞いてくれただけなのだよ」
「それはまた……」
ルルティエラという存在がそういうことをするんだということが意外だった。
「私があの方に『たまにはあなた以外の人とも話したい』と言ったことがあるのだ。あの方はそれが気になったのか、神を巡る争いの中で、もしかしたらそれを実現してくれる人が出てくるかもしれないと思って、クエストを私の前に進めるように組み込んでくれたのだよ」
つまりルルティエラが人の限界点が分からず、無茶苦茶なクエストを組んだわけではなく、始まりは紅麗様の望みを聞いてあげるためだったのか。
「考えてもみよ。私に会いに来るのだから、私に声をかけるのは当然であろう?」
「確かに」
分かってみると面白くて笑ってしまった。誰かの家を訪れたらまず家人に声をかける。簡単で当たり前のこと。それさえできる方法を見つければ、あとは、ルルティエラの残した結界によって守られ紅麗様の前まで行けたわけだ。
「残念ながら皆、途中で熱によって進むことができなくなってしまった。そうすると、あまりにも近づくことが無理すぎて、クリアできないクエストだと思ってしまった」
紅麗様に声を届けることだけが重要だったのだと最初からわかっていれば俺も、もっと別の方法を用意した。結局俺も含めて誰もその答えがわからなかったから熱対策だけに集中してしまった。
「俺は余裕がなかった。だから引くわけにはいかなかった」
「信長もそうであった。あのものも寿命が来ていた。このクエストにかけていたのであろう。10度もここを訪れていた。しかし信長が対策を講じて到達できた最高が私のところまであと3割のところまでだった」
「【火除けの神衣】よりも上の熱対策を信長は用意してたんだ」
「あのものは何度か私に語りかけもしていた。しかし、普通に声や【意思疎通】を飛ばしても私には届かない。【黄泉孵りの卵】は手に入れれば勝利が間違いないと聞いていたのでな。クエスト条件はちゃんと私のこの場所に届くように声もしくは【意思疎通】を放つことと決めていた」
「なるほど……じゃあ俺の勝ちだ」
それを聞いて気持ちがすっきりした。ズルをしたわけでないのなら、ラッキーであろうと何であろうと、クリアできた俺の方が上だったと思える。幸運に恵まれることもダンジョンにおいては大事なのだ。
「そういうことだ」
「今、こうしていろいろわかると本当に楽しいです」
「そうか。そう言ってもらえて良かった。神が決まったのに【黄泉孵りの卵】がずっと私の元にあったから、攻略の難易度を間違えたのかと思って、もしそうなら信長に申し訳ないことをしてしまったと憂鬱になっていたんだ。お前がしっかりクリアしてくれて、本当に良かったよ」
「本当、ダンジョンをもうちょっとゆっくり楽しみたい。時間が許すならここで1年ぐらいいても良かったんだ」
「その結界は私のところに来るとき、いつでも発動する。だから、急ぐ用事が終われば、また来ておくれ」
「きっとそうします。でも、俺の方の問題もちゃんと答えはあるんですかね」
誰に言うでもなく声が漏れた。
「ルルティエラ様はお前に一番大事なものを殺せという。その問題についてだね?」
「はい。でもそのためにも知りたいことがあるんです。それはもっと根本的なことで、俺は俺が何なのかを知りたいです。紅麗様ならば白蓮様が言われるところの究極系という言葉の意味もわかるでしょうか?」
「ふむ……」
紅蓮の真紅の瞳がゆらめく。龍の神はしばらく黙ってから口を開いた。
「六条よ。究極系の答えは私でも持っていないのだ。ただルルティエラ様はそれが見つかればダンジョンの管理をやめる。という話は遠い昔、本人から聞いたことがある。しかしその理由は語られなかった」
「それって……俺自身を調べたら分かったりしますか?」
「お前の体を調べることは、以前もやっておるのだ。その時に私はお前自身に変わったところを見つけられなかった。あの時お前を調べたのは私の分身だったが、本体の私がお主を調べたからと言ってそれが変わるとは思えん。何よりも力の加減は間違えると今度こそ殺してしまいかねん。以前よりは強くなったようだが、やはり私にとっては微々たる違いでしかなかったしのう」
「打つ手はないですか?」
「それはある。お主が来たらしようとも決めていたことがある。お主がちゃんとここにいる。それが重要であったのだ。六条、東堂伊万里を殺さなくていいようにしたい。お主はそれが最優先なのだな?」
「はい。俺の望みは伊万里を殺さなきゃいけないという決まってしまっていることを何とかしたいです。そしてできれば死んでしまった米崎やジャックも生き返らせたい」
伊万里だけのことではなくなっていた。それに付随して死人まで出してしまった。他にもう誰も死んでいないのか。それも気がかりだった。
「さすがに3つも望みを叶えるわけにはいかんな。私の目の前に来る。これは神の争奪戦においても誰もできなかった。ゆえにお前が偉業を成し遂げたと評価して褒美をやることができる。だがそれは一つに限定せよ。いくつもは欲張りすぎだ」
「……」
でも1つなら俺の望みを叶えてくれると言ってるのか……。俺は米崎とジャックに心の中で謝りながら口にした。
「すみません。際限なく力が借りられるわけがない。当然のことですね。じゃあ俺の望みは伊万里のことだけです。この問題だけはどうにかしたいです」
「ふむ……しかしお主は自分の望みもあろうに、それは置いておくのだな……」
紅麗様はこの世のどんな存在より赤い瞳を閉じて、何かをしばらく考え込みだした。しかしそれほど待たせることなく喋り始めた。
「六条よ。実はな。その問題を解決しようとするとずいぶんといくつもの問題を私が解決してあげなければいけなくなる。それほどに東堂伊万里というより勇者の問題というのは解決が難しいのだ。そもそも勇者やダンジョンから好かれたものというのは、機械神と女神の意志が大きく関わっている。ここまでは知ってるのう?」
「はい。聞いています」
「私でもこの両者の存在を無視して、お主の望みを叶えることは無理だ」
紅麗様の声は重く俺に響いた。どうにも相当根深い問題に巻き込まれていることは間違いないようだ。何がどうなったらそんなややこしいことにがっつり巻き込まれるのか。以前、翠聖様に調べてもらった時も何も出なかった。
だが過去に何もないのであれば先に何かあるのであろうと言っていたことは覚えてる。過去ではなく未来。まだ起きていないことに原因がある。謎かけのような言葉だなと思ったのは覚えている。
「では、何か道を示していただけますか?」
無理だから何もなし。紅麗様がそんなことを言うために俺をここに呼んだわけではない。それだけは確かだと思えた。
「示そう。そして私がその望みを叶える上でできる限りの協力をしてあげよう。まず1つ目だ」
「複数の望みを叶えてくれるのですか?」
「いいや、望みを叶えるのは一つだ。東堂伊万里を助けたいというお前の願い一つだ。しかしそれを叶えるためには過程が必要であり、それをなすために必要な力を授けよう。結果として他のお前の望みが叶うことになるかもしれんが、それは私にとっては瑣末なことだ。気にするな」
気にするなって、ひょっとして紅麗様、こういうことできるのが初めてだから審査基準が甘々になっているんじゃ……。
「これ、余計なことを考えるでない。私にはお主の声がまる聞こえになるのだ。嫌なわけではあるまいに」
「それはもちろん。紅麗様がいいのであれば俺はありがたいですけど……」
「それにこれはお前だけのことでもないようなのでな。ダンジョン自体に関わることといえば許される範囲も増えるというものよ。では最初の一つ目だ」
「はい」
「まずこちらに近づいておいで」
俺は言われるままに、少しだけ恐れる気持ちもあったが、炎の椅子から立ち上がって紅麗様の本当の目の前まで来た。相変わらず足場は何もなく心もとなかった。この距離に来てもルルティエラの結界は完全に作動するようだ。
「六条祐太。その状態ではあまりにもお前は脆弱だ。ゆえに私の目の前に来た褒美として12英傑におなりなさい」
「はあ……?」
驚くほどあっさりと言われた言葉。
一瞬嬉しくて飛びつきそうになる。
しかしすぐに正気に戻った。
「俺はレベル1000を超えたらだめなんじゃ……」
自分がなぜそんなことになっているのかは理解できない。でも南雲さんから聞いた話では俺がレベル1000を超えれば、その瞬間俺に女神が接触してくるという話だ。その瞬間、ダンジョンが壊れるかもしれないと聞いていた。
当然そんなことになることを俺も望んでない。それは俺と伊万里のこと以上に根本的にダメなことだと思えた。
「そうだな。確かにその事態が起きる」
真性の神様以上の存在としゃべる時、自分の心の中で考えていることも含めての会話になる。そしてこういう存在は、人の心の中を見たぐらいでは何の感情の揺れもないようだった。
「回避できないんですか?」
「それはすでに決定されていることのようだ。だがお前の記憶の中にその解決方法があるではないか」
「そんなのないですよ?」
言われた言葉の意味がわからなくて首をかしげた。
「ボケておるのう。仕方のないやつだ。お前が先程考えた相手のことではないか」
誰のことかと考えて、まさかとは思った。しかし紅麗様は俺の戸惑いなど置いて先に進めていく。
「お前の考えで正しいよ。それをどうするべきかずっと考え続けてきたものがいるなら、私よりも良い考えがあるのだろう。ならば、それを呼び寄せれば良いだけ、
【おいで】
“そなた”が聞いているのはなんとなくわかるよ」
紅麗様がつぶやき、言葉に力を込めたのがわかった。その瞬間空間が軋む嫌な音が響いた。紅麗様が事象そのものに干渉して歪めた感覚。魔法とは違う。根本的なこの世の律を歪めた。





