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眠り姫  作者: TAI
3/4

出発





「うまっ……







しかしこの宿の飯はうまかったなぁ〜




ってかお前全然食べてないじゃん」






遠くを見つめている男に、賑やかな男が話し掛けるが、返答は無い。







この静かな男、名前を“ファバル”と言う。







幼なじみの“ティオ”と、宛のない旅をしていた。









鼻筋の通った、整った顔立ちに、少し赤みを帯びた長髪の風貌をしている。










黒いロングコートは、もう幾年も身に纏っているであろう、彼の体に馴染んでいた。

傍らには立派な剣もある。




「おい、聞いてんのか?

ファバル!



あ、あの〜



それもらってもいい?」







「……勝手に食え…」









このティオと言う男、ファバルとは性格が正反対で、とても気の合いそうにない。







しかし、ティオを根っから嫌っているわけでもなさそうないファバルは、同年代とは見えず、少し大人びていた。







この宿に三日前から滞在している二人は、これから出発する予定である。




海沿いに建てられたこの宿では、宿泊する客に海の幸を持て成す。



周囲では評判の宿であった。




ここの景色、料理が気に入ったティオは、旅立ちを拒んでいた。







「なぁ〜

ファバル〜




もう一泊していこうぜ〜」




すでに平らげた料理は宿の者が片付け、綺麗になったテーブルに身をもたれながら話し掛ける。






「お前な、ガキじゃあるまいし…




それに、自分の財布見てみろ?

それでももう一泊するか?」




「確かにそうだけど〜


お前は?お金残ってないの?」




「呆れたヤツだ……」




そう言うと、席を立ち背を向けるファバルを見て、ティオも渋々重い腰を上げた。







「ティオ、次の街はなんて名前だ?」















宿の外にあるベンチに腰掛けた。




「確か…



“トーマ”?


“トーム”?



忘れた…」






頭を掻きながら舌を出す。






「……。



もういい。地図かせ。」






そういうと、地図を広げたファバルが立ち上がった。




「北に進んで行くんだから…


こっちだな…










名前は“トーモ”…


分かったか?ティオ。」










俯きながらコクリと頷いた。




「よし……出発。」
















どれくらい歩いただろうか。










晴れ渡った昼時に出た景色は、綺麗な夕日に照らされていた。










「ファバル……



あとどのくらいで着くんだ?










腹へったよ…










この草食えるかな…」










道端の雑草を見てティオが呟く。







「街に着いたところで、このままだと飯も食べられないぞ?」










ファバルがティオに言うと、ティオは肩をガクッと落とす。










「とりあえず、金がないとなぁ…」










呟いたティオは、突然立ち止まった。










「あれ…



街じゃないか?」










前方を指差して言う。










「おぉ〜!!」










そう叫ぶティオは、









真っ先に走り出した。










「お、おい!

ちょっと待て…」









ファバルが落い着いた頃には、ティオの姿が見当たらない。









「ん……


どこ行ったんだ…?」










気付けば、街の様子がおかしい…










“神闘軍”









と書かれた軍旗が、辺り一面に揺られていた。







「まさか…



この街…






ティオが危ない…!!」










腰に下げた剣に手をやると、歩を進めて行った。

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