第3話 登録 ギルドの配当ろくでもない!
「はあ…はあ…歩くの速すぎ…」
「ここが、ギルド…」
シノの高速歩行について行ってると、気づいたらギルドに着いてたみたい。
うーん、やっぱり速すぎ☆
走るだけじゃなくて歩くのも速いのか…。
僕が全力疾走し続けても追いつけないし、汗の一つもかかないで…やっぱり恐ろしいなこの子。
というか、大きな建物だなぁ…。
他の建物に比べて簡素な造りに見えるけど、他のどの建物よりも大きい。
まあギルドは街の中心っていうイメージ、若干あるもんね。
呼吸を落ち着け、冷たいノブを捻り、ドアを開ける。
うわっあっつ!
ドアが開いた瞬間、雪国ってことを忘れるぐらい蒸し暑い空気が外に流れ出す。
ギルドの中に入り、その理由がよくわかった。
汗やら酒やらが混じった匂いに、思わず顔をしかめちゃったよ。
なんだか空気が重いような気がして、あんまり息したくないな〜。
僕はここ、ちょっと苦手かも。
中には20人程度の人がいて、みんな大柄で強そうなおじさんや若者。
まさに「冒険者」っていう名前が似合いそうな感じだねぇ。
大声で笑う者もいれば、野蛮に叫ぶ者もいる。
そんなことも気にせず、そそくさと受付に向かうシノについていく。
いつもの光景だから、慣れてるんだろうなぁ。
受付は2箇所あり、それぞれ数人ほどが並んでいので、その後ろに僕たちも並ぶ。
ギルドの中を見回すと、掲示板があって、ランクE・採取とか、
ランクC・討伐みたいな依頼がまばらに貼ってあった。
なんとかの薬草の採取、魔物の討伐、とかが多いのかと思ったら、
山菜の採取、鹿の狩猟みたいな依頼も…。
いや山菜て、薬草じゃないのかい。
山菜の採取とか依頼主本人で行けないんですかねこれ。
それにこういうの受ける人いないでしょ…。
けど、雪の街だし、意外とこういう現実的な依頼も必要なのかもなぁ…。
まあそれは置いといて…見た感じ、依頼のほとんどがランクC以下で、
報奨金も5000円から10000円程度ってことはわかったけれど…命かけてる割には結構安いなぁ…。この世界って意外とこんなもんなのかな。
とにかく、いろんな種類のものがあって、見ているだけでワクワクするなぁ!
しばらく並んで待っていると、こちらへの視線を感じた。
この視線は新参の僕よりも、シノに向いてる感じがするなぁ。
そういえば、ギルドに入った時も一瞬黙ったり、
シノを見てコソコソ話している人達がいたなぁ…。
なんでなんだろう、それだけシノが有名ってことなのかな?
そんなことを考えているうちに、僕達の番になり、シノは慣れた様子で手続きを始めた。
「依頼を探しに…あと、この人の冒険者登録を…」
「わかりました。ではまず、冒険者登録から行わせていただきます。こちらに個人情報の記入を。」
「わかりました〜。」
名前、性別、年齢、生年月日…などを記入し、手渡す。
いやぁ、この世界で日本語が使えて本当によかったぁ〜。
「はい、問題なく登録は完了しました。
では、ギルドのシステムについて説明させていただきます。
ギルドに登録すると、まずFランクから…」
というような説明を受けた。
まあFからSまでランクがあって、Sが最強ってことだね。
ただSランクになるには国を救うとかの功績が必要で、Aランクが実質最強みたいなところがあるみたい。
それで、依頼は受付を通して受注する、問題を起こしたらギルドメンバーの資格剥奪と…まあ当たり前だね。
まあ特筆するところもないから、あんまり気にしなくていっかぁ。
あっそういえば…
「ちなみにシノって何ランク?」
「Aランク…」
「WOW」
こりゃWOWですわな。
なるほどなるほど、さっきの視線はだからなのか〜、腑に落ちた!
僕の登録が終わったので、次はシノが依頼を受注する番。
「シノ様はAランクですので…こちらなどはいかがでしょうか」
推奨ランクがランクBやランクAなどと書かれた依頼が束になってシノの前に出された。
シノは一つ一つの依頼にサラッと目を通し、
気になったものについては詳細に依頼内容を確認している。
まさに慣れてる仕事人って感じでかっこいい!
結局、シノは狩猟・討伐系の依頼ランクDを一つ、ランクBとランクAを二つずつ選んだみたい。
「あなたも依頼を受注いたしますか?」
「あぁ、お願いします〜。できれば採取系かつ簡単なものがいいんですけど…」
「では…ちょうど山菜の採取の依頼が…」
…いや山菜て。
っていうかさっきのやつじゃん。
受ける人いましたよここに。
いやけど、最初はそんなもんだよね…多分。
うん、やっぱり文句は言わない方が吉だね、自分に返ってくるし…。
まあ今回は甘んじて受け入れよう…っていうか高ランクの依頼なんて受けれるわけもないしね。
「じゃあ、それでお願いします〜」
用事を済ませて、僕達はギルドを出た。
なんだかちょっと疲れた感じかも、いやギルドで冒険者登録しただけなんだけどさ…。
「昨日も今日はもありがとうね!命を救ってくれたし、街にもギルドにも連れてきてもらったし…。ホントに感謝でいっぱいいっぱいだよ〜!」
「それは…よかった」
シノの口が少しだけ緩む。
可愛い…と。思わずそう思ってしまった。
なるほど、クーデレ好きのいうこともわかるというものだね。
「まあずっと助けてもらってるわけだし…僕に何かお礼をさせてくれないかな?」
「お礼なんて…」
「いやはや、僕の気が済まなくてね、多少なれど恩は返したいからさ」
「じゃあ…なんで、あの雪山に登っていたの?」
「うーん…ちょっぴり長くなるかもなぁ…それでもいいなら、いいよ?」
「...大丈夫」
「じゃあ折角だし、お茶でもしながら話そうか!」
そゆわけで…シノとのお茶、楽しみだなぁ〜。
って寒。
まあさっきまで暑いギルドいたしなぁ…。
ま、あったかいレモンティーでも飲んでぬくぬくしますか!




