第16話 相対 新たな出会い/大量の魔獣は何処へ…
日が暮れる頃には、水平線に街が見えた。
先程まで居た街よりも遥かに大きな街だった。
これが街ならあそこは町みたいなものだったね。
「そろそろ着きますね。休憩は1回しか取っていませんから、しっかり休みましょう」
「うん、そうだね〜。って、あの街が滅茶苦茶になってるかもだから僕達向かってたんだよね」
「確かにそうだったっすね!めっちゃ無事ですし、魔獣来なかったんすかね」
「そういえば、魔獣の足跡も死体もこの辺りで途切れていますね。けどこれじゃあまるで…」
「全部…消えた…みたい…」
「だね。何か色々おかしいなぁ…。けどまあ、足ガクガクだし、情報収集しないだから、どちみちあの街にパパっと行くよ〜」
「お前達も、向こうの町からの避難者か?」
「はい、そうです」
街の門に着くと、衛兵が、
出入りする人々の身分の確認していた。
「では、身分を証明できるカード、書類等はあるか?」
「ギルドカードでよろしいですか?」
「ああ」
「ギルドカード…」
そんなものあったっけ。
僕もらった記憶ないんどけど。
そう思いながら、鞄の中をガサゴソと探す。
そうすると、触り慣れない感触がするものを見つけた。
鞄から取り出すと…
「それですよ、れてさん」
「はえぇ…。初めて見たかも」
「いえいえ、そんなわけありませんよ。ギルドに登録する際に、皆渡されますから」
「あれ…そうだっけ…」
いや本当に記憶にないけど…。
■■■
あれ、けど言われてみれば何かそんな気も…。
「まあ通れるなら何でもいっか。は〜い、お願いしま〜す」
「…よし。通っていいぞ、次」
「は、はい…」
そんな風にして、無事全員街に入ることができた。
「そういや、この街なんて言うの?」
「ここは、スターラドの街です。この国の北部では有数の都市となっています」
「マスター、詳しいね」
「はい、あの町に移り住む前も、ここに少々立ち寄りました」
「なるほど〜。三人もあの街に来るのには、ここに寄ってきたの?」
「はい、そうっす。スターラドから少し離れたとこに俺達の村があるんすよ」
「あ、あの町に居たのは依頼の為で…」
「(コクコク)」
「はへぇ~」
そんな風に会話しながら街を散策する。
あの町とあんまり変わらない様に見えるけど、
結構綺麗な感じというか、整ってる感じ。
そう、あの町の赤レンガより鮮やかな感じがするなぁ。
人々の服装が高そうなのも、
街の雰囲気が良い感じなのに関係あるかも?
「あっ、あの大きな建物って?もしかしてギルドとか?」
「はい、その通りです。情報収集の為には、やはりギルドが良いでしょう」
「んだね〜」
「結局依頼達成できずに戻ってきちゃったっす…」
「あぁ、依頼で来てたんだったもんね。何の依頼だったの?」
「えーと…」
歩き出したばかりのロイドは腕を組んで考える。
「あれぇ…何だったっけなぁ…」
「ろ、ロイドは忘れっぽいので…。あれ、けど確かに、僕達は何の依頼で」
「(首を傾げる)」
ロイドの代わりに説明しようとしたレヴェンも、
その後ろにいたルーイも、三人して考え始めた。
「「「…」」」
「まさか依頼の内容を忘れるとは…。そんなこともあるんですね…」
「まあまあ、忘れるってことは頭が覚えるに値しないって判断したんだから、そんな気にしなくても良いんじゃない?」
「確かに!そうっすね!」
「ロイドはそれでいいの…?」
「(何とも言えない顔)」
そう言って考えることを放棄したロイド達と、
ギルドに向かって歩き始めた。
うーん、やはり暑苦しい。
鼻をつんざくような鉄やら汗やらの臭いもするし…。
外にいる方がめちゃめちゃマシマシ。
情報収集はマスターに任せて、
そこら辺のお店でお茶でも飲んどけばよかった〜。
それか依頼を見に行ったロイド達に
付いていけばよかったかな…。
けどまあ来てしまったものは仕方がないからなぁ。
「スターラドのギルドへようこそ!」
窓口に行くと、ラベンダー色のツインテールの
女性が明るくて大きな声でこちらに挨拶をしてきた。
「元気がいいね〜」
「はい!元気が取り柄なんです!あっカード確認しますね!」
そう言ってギルドカードを渡す。
「それは良きことだよ〜」
「はい!カードの確認終わりました!あっ用件聞かなきゃか…。ご用件は何ですか?」
「あ〜えーと…何だっけ?」
「何だかれてさんも釣られて忘れっぽくなってしまったんですかね…。街の周辺で大量の魔獣を見かけませんでしたか?」
マスターの方を見ると、代わりに答えてくれた。
んや〜確かに釣られてるのかも。
「うーん…聞いたことはありませんね。ちょっと確認してみますね!」
そう言い、彼女はツインテールを揺らしながら、
窓口の後ろへ走っていった。
「あっいてっ!」
あっ転んだ。
「情報を探してはみたんですけど、関係しそうな書類も依頼もありませんでした…。実はいまギルド長もいらっしゃらないので…」
「うひゃー、タイミング悪かったかな。ギルド長とかが居たらどうにか出来た気もするけど」
「明日はいらっしゃるかもしれません」
「では、出直した方が良さそうかもしれませんね」
「うーん、そうしよっか」
疲れてて、とりあえず宿で休みたかったから
長々話をされるのはごめんだし、丁度いっか。
「あっそうだ。最後に君の名前を聞いておこうかな」
「私の名前はフィオレです!またのお越しをお待ちしております!」
「うん〜バイバイ〜」
そう言って、ギルドを皆で出て行った。
宿に着くと…。
ベッドにダイブ!
「あぁ~最高!」
もふもふでもふかふかでもないけど、まあ及第点!
「れてさん、埃が舞い上がってしまいますよ」
「いや〜けどしょうがないよ〜。ずっと歩きっぱなしだったしさ」
「まあ…それもそうですね」
リラックスでレモンティー飲みたいけど、
眠れなくなっちゃうから明日の朝にしよ。
「マスター、先寝てるね〜」
「随分と歩きましたからね、お疲れ様でした。では、おやすみなさい」
「うん、おやすみ〜」
そう言って目を瞑ると、直ぐに眠気が襲ってきた。
「あら、ここは…」
目を開けると…。
いや、目を開けるって感じではないんだけど…。
目の前によくわからない空間が広がっていた。
うーん、何だかまるで…
「ノートみたい?」
そう呟いた瞬間、後ろからあまりにも激しく、
しかし静かで、そして途中で消えかけては現れる、
不思議な声が聞こえた。
「ようこ お越しくだ い した!」
後ろを振り向くと、
そこには白と黒の丸っこい人型の何かが立っていた。
「では、 己しょ 介させ いただ ましょう!」
そうして叫ぶ。
「私の名 レ ス!」
「…。ごめん、もう一回言ってほしいな。聞こえなくてさ」
「あ はい…。」
そうして、変な奴と相対することになったのだった…。
あっ自分のことではなく…。
ここまでご愛読ありがとうございました!
また来週、お楽しみに!




