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〈世界の終焉ティータイム〉 神徒、れもんてぃー片手に多世界めぐり  作者: かんちゃそ(神無月茶祖)
第1章 邂逅 バグっちゃったよ世界!後悔するのでクールなもふもふガールと仕事する!
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第10話 帰宅 帰るなり危機沢山!!休む暇はないのかしら...

「改めて歩いてみると綺麗で素敵な街だなぁ…まあただ、寒すぎるけどね」

かなり冷たい夜風に吹かれながらシノと並んで宿に向かう。

異変が見つかったし、やることはとりあえず終わりかな。

これでようやく愛しき我が家に帰れる…!

3日程度でも、引きこもりにはきついからねぇ…。

「神界に帰るの?」

「うん、そうだね。明日の昼までには。」

「そう…」

暗い。

街灯の数が少ないから、シノの顔がよく見えない。

ただ、もふもふの気配が少し下がったことはわかる。

「あら、寂しい?大丈夫大丈夫、また来るからね」

「何かほかに仕事?」

「いや?普通に観光!」

「…そう…」

暗くても、あまり良い目で見られていないのはわかるね。

「それに…」

「?」

「借金返してないからね…次来る時までに用意しとくよ…」

「…いつでも」

「気前が良くて助かるな〜。けどそう言われると早く返したくなっちゃうな!」

「えぇ…」

しばらくシノの顔が見られないのはちょっと寂しいなぁ。

まあ、またすぐ会えるから大丈夫だよね。


 シノに適当に喋りかけながら歩いていれば、

「ここ」

宿の前を通り過ぎかけていた。

暗すぎてどの店がなんの店なのか全く見えない…。

シノがいなかったら間違いなく詰みと言いますか…。

階段を登り、部屋へ向かう。

「じゃあ申し訳ないんだけど、明日、近くの雪原に連れて行ってもらえないかな?」

「わかった…理由はわからないけど、れてにはれてなりの事情があるってことはわかる」

「すぐわかってくれて嬉しいな」

「今日はお休みのはずなのに結局動いちゃったね、ご苦労様。」

「ほぼ、れてが原因だと思うけど…」

「HAHA、気のせいさ。じゃ、しっかり休んでね。おやすみ!」

「…うん、おやすみ」


 「本」の修正ツールのページを開いて、

例の石を置き、ツールを起動する。

まだこの石が何か影響を及ぼしていなくてよかった…。

僕は大して何もしてないけど疲れたな…。

帰る準備が何気に一番疲れるし、早く寝よ。

そう思い、ベッドに入るとすぐに眠気が襲ってきた。

今日も…良い夢が見れると…いい…けど…。

…。

……。




「…」

いつも通りの白い天井。

くすんでいて、ひび割れて、

いつにでも下敷きになってしまいそうだ。

…いや、そうなってもあまり変わらないか。

動けないことには変わりない。

誰も来ないことにも変わりない。

ただ、生き延びているだけ。

全く、技術の進化で人が苦しんでいるなんて、

皮肉もいいものだね。

…また近くで、爆発音や悲鳴が聞こえる。

きっと外は、阿鼻叫喚で仕方がないんだろう。

はあ…昔の自分は、

この状況を変えられると本気で思っていたのか。

馬鹿馬鹿しいと、何度思わされただろう。

そして…今でもそれができると信じている自分が…

この上なく不快だ。

…耳を澄ますと、

先ほどよりもさらに近くで激しい戦闘音が聞こえた。

やるならパッパとしてほしいな。

焦らされるのは嫌いなんでね。

そんなことを考えているうちに、

どうやらそろそろ僕の番のようだ。

凄まじい破裂音が聞こえたと同時に、

気づけば視界はくすんだ白色で覆われていた。

…やっとか。

…。

……。




……。

…。

「うーん…おはよう世界!」

カーテンを開けると、太陽が昇りつつあるのが見えた。

ちょうどいい時間帯に起きれたね。

シノも早起きだろうし、さっさと準備して帰りますか〜!

「本」とその上にある元に戻ったただの石を手に取る。

さて、もうこの部屋に残したものはなし!

出発!

…。

…。

久しぶりだったけど、生々しくてやっぱり嫌だなぁ…あの夢。




 もはや恒例と化したおんぶで雪山に向かいNOWな今日この頃。

「ここらでいいかな」

「わかった…」

シノの背中から降りると、

靴を履いているはずなのに地面の冷たさが伝わってきた。

見回せば一面真っ白の雪景色。

傍から見れば茶色のもふもふと黒がぽつり、

あまりにも不自然な光景だね。

これからすることも不自然なことなんだけどね。

「ここで、何をするの?」

「帰宅の準備さ」

「一体どうやって…」

「『本』を使うのさ」

「あの本、なんでもできるんだ…」

「なんでもじゃないけどね、大体のことはできるんだよね〜。いやぁ、ホントに素晴らしい!」

「…読ませてもらってもいい?」

「ん?いいよ〜」

「…。」

シノは真剣そうに一ページ目から読もうとした。

けど…

「…何これ…見たことのない文法…」

「その反応からして…この言語、見たことあるのかな?」

「昔住んでいた村の中で…」

「へぇ〜」

なるほど、じゃあシノはスゥーさんの一族に

通じている可能性があるのかな?

あの身体能力からしてかなり遺伝子的にも近い…。

ただ髪の色が銀と茶色ではかなり異なるから、

途中で人間と…。

「れて…れて?聞こえてる?」

「…ん…ああ、聞こえているよ?もう一回言ってもらってもいい?」

「それ聞こえてないってことじゃ…はあ…」

多分これまでの人生で

こんなにため息を吐いた数日間はないだろうなぁ…なんて。

「起動したらすぐに帰れるのかなって…」

「んー30分ぐらいかかるかなぁ…」

「そう…」

!!

もふもふが…上がった!!

多少は寂しがってくれているのかしら、嬉しいなぁ…。

「じゃあ、帰る準備ができるまで、お話しよっか」

「…うん」



 やはり楽しい時間というのはすぐ過ぎちゃうものだね。

シノとのおしゃべりをしていると、

(僕がほとんど話しかけてるだけみたいだったけど)

「本」に完了のメッセージが表示された。

「準備ができたみたいだね」

「…そう…」

!!

もふもふが…下がった!

これは僕がいなくて寂しいってことだよね!うん!(確信)

「また借金返しに来るから、そんなに寂しがんなくていいよ」

「いや、寂しがってない…」

結構真面目な顔で言われるとショック…。

「ま、まあまた会いに来るってことで…あっちょっと僕から離れたほうがいいよ。」

「?」

「体の一部が消し飛ぶ可能性があるからさ」

「!?」

「シノのビックリする顔は面白いなぁ」

「…冗談はよしてよ…」

「あはは!じゃあまたね!またすぐに」

「うん、また…」

「あっ体が消し飛ぶって話は冗談じゃないよ」

「え…え!?」

シノに手を振り、別れを告げる。

「ちょ、ちょっと!」

やっぱりシノの反応は可愛いね。

これはまた見にこなくちゃ。



 次の瞬間、瞬時に目の前の景色が変わる。

足元には冷たい感覚だけが…

いや、雪と土ごと持って帰ってきてしまった。

あんまり地形を荒らすのは好ましくないんだけどね…。

僕は、優しい匂いと、温かい明かりに懐かしさを感じつつ、

階段に向かって歩いていく。

階段を一段上るごとに神界に戻ってきたという実感が湧いてくる。

階段を上り終えればついに我が家だ。

扉を開けて叫ぶ!

「ただいま!待たせちゃってごm」

「れて様!丁度良いタイミングです!」

「ふぇ?」

「現在、第一世界及び神徒の管理する複数の世界にエラー表示が同時に検出されたと報告が!」

「えっと…」

…(思考停止)。

「マジ?」




 次の瞬間には、れての立っていた場所にはクレーターが空いていた。

「ふぅ…」

とても濃い数日間だった。

何かすごいことをしたわけでもないけれど、

いつまでも鮮明に記憶に残るような、そんな時間だった。

だからこそ、ひとりになった今は心にぽっかりと穴が空いたようで。

…彼の言う通り、寂しいと感じている自分がいるのかもしれない。

…。

けど、いつまでもここにいる訳にはいかない。

「帰ろう…」

刹那、自分の全身に違和感が。

自分の家の周りに人間が来ることなんてない。

だが、今は何かがいる。

その上…かなり多数だ。

気づけば、走り出していた。

あちらにはかつての村もある。

守らなきゃ。

まだ背中に残る温もりを感じつつ、

脚に突き刺さる雪の冷たさを踏み潰すように駆け続けた…。






【お知らせ】

・ちょこっとキャラクターの設定資料を今週金曜に公開致します。

・翌週からは毎週金曜16:00に更新を切り替える予定です。


ここまでご愛読ありがとうございました!

この第10話にて、第1章における1つ目の区切りを迎えました。

始まったばかりの物語ですので、どうか温かい目で見守っていただけると......!

また来週、お楽しみに!

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