天使な婚約者からのプレゼント
「!、美味しい、です」
「ふっ、そうか」
10分程悩み続けて、マックを選んでハンバーグを使われたのではなく、チキンフィレオを選んで美味しそうに食べる姿を見て、やっぱり少し変わってる所があるんだな、と思いながらマックポークを食べる。
だが、此処でも周りの人達からの視線があり、食べずらさを少し感じる。
それに気付いたのだろう、優姫が申し訳なさそうな顔をして、食べて居た手を止めたと思えば、信じられない言葉を言った。
「、、、、美琴君に申し訳ない、です」
「なんで謝るんだ」
「私のせいで周りから視線集めて、、、、食べずらいですよね」
「、ハァァ、そんな事か。確かに食べずらいな、とは思うが、これからこんな事何回も経験すんのに最初から根なんてあげないっての」
「、、、、これから?」
「言っただろ、お前の、優姫のしたい事やろうって。1人でやるより2人の方が挑戦しやすいだろ?断然」
「!!!!!!」
まるで、感激、と言う様な表情をさせ、美琴を見つめる優姫は若干頬を赤く染めている。
意地悪いだろうが、嬉しそうな表情、照れた表情がもっと見たいな、そう美琴は思いながらポテトを頬張る。
だが、本人は気づいてないのだろう。恋心が大きくなっている事に。それすら気付かないこの男は罪男だな、その様子を見て居た客達は思った。
「と言うか、ずっと思ってたんだが、敬語だよな、誰に対しても」
「敬語、、、、そうですね。昔からこうなので、、変でしょうか?」
「いや、変ではないけど」
「良かったです。ぁ、、、、そうだ、その、美琴君に渡したい物がありまして」
「?、俺に?何?」
食べ終わってトレーを端に寄せ、持って来た鞄から取り出しす物に自然と目が行く。
アプローチをしてくる相手からの物と言うのだけでも気になってしまうのだろう、自然とソワソワしてしまっている。
テーブルに置かれたのは縦長のラッピングがされた箱だった。
明らかに高い物だと言うのが分かり、美琴はすぐに優姫の意図が分かったのか、少し表情筋が緩む。
(誕生日プレゼントか)
箱を手に取り、綺麗にラッピングを外して箱を開けると、中に入って居たのは、万年筆だった。それも綺麗に名前入り。
婚約が決まってから急遽用意したんだろうと分かる、、、、
「万年筆」
「美琴君、字が綺麗だったので、それで」
「俺の事良く見てんだな」
「当たり前です。好きですから」
思わず息を呑む。
好き、と言う優姫の顔が恋をしている少女の顔をして居たからだ。
それを自分にだけ向けていると言う事、その想いが自分だけだと言う事実を突き付けられると、美琴本人も照れてしまった。
彼女の前だと自然と綻びが出てしまう。
事なかれ主義で、何でも適当に、大変な事にも好意にも興味なんてなかった、はずだった。
だが、彼女と過ごすうちに自然と大切にしたいと言う気持ちが強くなっている。
「ありがとう、、、、有り難く使わせて貰う」
「はい。本当は、お財布とか時計とか買いたかったのですが、初手でそれは重いと思ってしまって」
「配慮してくれて貰って助かる」
トレーを片してフードコートから出ながら自然と会話をする。
話をする相手、とは思ってなかった相手とこうやって自然と緊張もせずに話せているのは、思ってなかったし、それが嫌だとは感じさせないのはお互いの性格故なのだろう。
「ぁ、そうだ。明日から学校だが、どうする」
「どうする、とは」
「俺にアプローチをするのは良いが、、、、それをしたらお前に何か被弾される事もあるだろうからな」
「そう言う事でしたか。、、私は大丈夫です、ですがもしそれで美琴君に何かあるのは嫌ですね。分かりました、学校ではアプローチをする事を控えます」
「そうしてくれると助かる」
何を言われても別に何とも思わないが、こんな自分を想ってくれている優姫を悲しませたくはないと言う気持ちと、大好きな人が傷付くのは嫌と言う2人の気持ちが上手く混ざり合い、上手く話が収まった。
2階を暫く歩いて文房具などを買ったりして居たら、ゲームセンターが優姫の視界に入りソワソワしながら、美琴の方に視線を向けた。
それを見てやりたい言う気持ちを察した美琴は素直に頼られたり甘えられるのは悪くないな、と思いながら財布を取り出す。
「両替するか。やりたいのあったら言ってくれ」
「!、はい」
ワクワクしながら、数百円を渡したらクレーンゲームを始める。50cm程の大きさのクマのぬいぐるみと言う選択に悶絶してしまうのを隠し始めてだろうクレーンゲームを見守る。
難しいのか、眉間に皺を寄せながら取る姿も可愛らしさが勝つ。
(此処は見守る方が良いか)
苦戦している姿は普段見せない姿、普段から苦戦など知らない、何でも完璧に出来ると思えた彼女の新しい一面がちゃんと見えた瞬間だった。
そして、二千円に到達しそうになった頃、やっと取れてたクマのぬいぐるみを抱き締めて美琴の元へと戻る。その笑顔を見て、キュンっと心臓を掴まれる感覚になったのか、一歩後ろによろける。
「取れました!」
「おぉ、良かったな。クマのぬいぐるみ、か」
「はい。美琴君に似てるので」
「俺にぃ?」
クマのぬいぐるみを見れば黒色に目の部分が翠色でジト目と言う色合いが美琴に似ていた。似ていたから取った、と言う様な表情を向け、愛おしそうにぬいぐるみを抱き締めてる。
頭がちょうど触れれる距離感で頭がちょうど触れやすい位置にあり、ゴクリッと息を呑む。頭を撫でられるんじゃないか、と言う下心が湧いて居るのを何とか我慢し、手を後ろで組む。
「良いんじゃね」
「ですよね!、、、、って、もうこんな時間です。帰りましょう」
「そうだな。夜ご飯も楽しみだしな」
「本当に思ってます?」
「思ってる思ってる」
事実、たった2食彼女の料理を食べただけで、既に虜状態になっている美琴は、すっかり同棲が億劫とは感じず寧ろ料理を食べられると言う喜びさえ感じていた。
イオンから出るとまたチラチラと優姫に対する視線が向けられる。
だが今度の視線は好意などの下心がある様な視線とは真逆の可愛いと言う感情だろう。
大きなぬいぐるみを持っている天使みたいな可愛らしい彼女とくれば、可愛いと思うのは同感だと、横から見ている美琴は思った。
それよりもぬいぐるみの大きさのせいで前が良く見えてないんじゃないか、と言う不安が薄らと過ぎる持ち方をしていた。
「ちゃんと前見えてるか?」
「多少は見えてます」
「やっぱり俺が持つぞ」
「いえ、初めて取ったんです。私が持って帰りたいんです」
「、、、、ハァ、変な所で本当強情だよな、お前」
初めて、と言われれば断りずらいのを分かってやってないのが、余計にタチが悪いのを彼女は一切気付いておらず、自信満々に歩いている。
(、、、、そういや、昔俺もこんな事してたっけか)
初めて取った景品を嬉しそうに抱えて帰った幼少期を思い出した美琴は、自然と車道側に立ち優姫を守れる様に帰路に着いた。




