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天使な婚約者は俺にだけ愛が重過ぎる (旧案:天使な婚約者は俺にだけデレデレです)  作者: 橋本衣兎
第1章

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天使な婚約者の為の家事


 家に到着し玄関扉が閉まり玄関の段差の部分に座る優姫(ゆき)は靴を脱ぐ姿を横目で見るが、湿布や痛みのせいか脱ぎにくいのが目に入る。

 リュックと紙袋を床に置いて優姫の正面にしゃがみ込んで、靴紐を解き脱がせる。


「!、、美琴(みこと)君」


「言っただろ。頼れって、それに出来ない事はお互いで補うのが夫婦の基礎らしいぞ」


 驚きの表情をしながらも、申し訳なさそうな顔はしてないから及第点と言った所か。

 頼る事より頼られる事が多い人生だったからすぐにはその気質を直せる訳ではないからな。


 昔、両親に「夫婦の在り方はお互いに出来ない事を補ってそれを当たり前だと思う事が大事」なんて事を聞かされた事を美琴は覚えていた。

 靴紐を解き、靴を脱がせると優姫の足が出て、靴下越しだが美琴の手に触れ何故かシンデレラの靴を履かせた人の気持ちに美琴はなった。


 美琴の言葉に優姫は嬉しいのか表情が綻びが出るが何かに気付く顔をする。


「、、、、はい、、、、あれ、でも美琴君料理出来ないですけど、どうするんですか?」


「ぁ、、、、痛い所を突くのが上手いな、優姫」


「話逸らしてます?」


 優姫からの料理と言う単語が出て思い出したと同時に作れない事実を突きつけられて咄嗟に話を逸らした。それすらすぐに察せられたのは痛手だったが立ち上がり靴を脱ぎそそくさとリュックと紙袋を持ってリビングに向かう。


 リビングに入るとカーテンの隙間から夕焼け空が見えて洗濯物を取らないといけないな、と思いながらキッチンの方に入る。


 料理が出来ないのは分かってはいるが、料理上手の優姫に言われると肯定も否定も出来ない。何故か。


 優姫に家事を休めと言った手前料理だけは作れなんて言えば、自分の覚悟はどうなるんだと美琴は思いながら紙袋をキッチンの端へと置く。


 リビングに入って来た優姫の方に視線を向けると「作りましょうか?」なんて顔をするから余計に美琴は少し意地を張る。


「今日と明日は俺が家事をするって言っただろ。優姫は休む」


「、、、、はい、」


 ちゃんと断りと宣言をしなければ目を話した隙に何をするか分からないぐらい意外と行動派なんだよな、優姫は。

 しっかりと伝えれば、嬉しそうなのを隠せてないがちゃ?と分かってますみたいな顔をして了承していて、少し可愛いと思ってしまった。


「部屋に行くか?ぁ、勉強はダメだからな?」


「分かってます、、、、よ」


「本当か?」


「本当です」


 こんな会話病院でもしたな、なんて思いながら2階に上がろうとする優姫を見送るが、軽症の捻挫とは言え歩くのも少し拙かったのに階段を登れるかと言う疑問が出る。


 案の定、数段登ったがその動作で軽い痛みが出たのか横顔だけでも苦痛の表情をしているのが目に入る。


 美琴はブレザーを脱いでソファにかけて、優姫の所で行くと抱っこ、通称お姫様抱っこを優姫にする。

 ふわっと体が浮かんだ事とお姫様抱っこをされている事に気付いた優姫は顔を真っ赤にしながら至近距離にある美琴の顔を直視出来ないのかチラチラと見ながらアワアワしている。


「み、美琴君なんで」


「軽い怪我でも怪我だ。我慢をすればずっと我慢するだろ、これも頼む事だ」


「そう、でした、、、、これは感謝を言っても良いですか?」


「これは俺がしたいからしてるから言わなくて良い方だ」


「、、、、分かりました」


 小さい痛みでも我慢出来るってなったら他の怪我の時もしそうなぐらい優姫は我慢をする。我儘になって来ては居るが自己犠牲を惜しまない所は優姫の悪い所だと思っている。


 お姫様抱っこをしたまま優姫の部屋の前まで連れて行きゆっくりと下す。


 優姫の部屋まで連れて行きたかったが、見てはいけない物がある可能性すらあるので辞めておく。


「じゃあ、俺は今から家事をするがその間優姫は休む。勉強も家事もダメだからな」


「はい、分かりました、美琴君。美琴君に借りた漫画でも読みます」


「よし」


 お互いに今からする事を確認すれば、美琴は少し安心した顔をする。

 もしかしたら優姫が勉強をするかもしれないが、その時は説教ついでに勉強に必要な物は没収するが、それでも漫画を読む事を言ったとなれば優姫はそれを必ず実行する。


 貸した物は必ず読むのが優姫だからな、夕ご飯の時に内容を聞けば一目瞭然だろう。


 優姫が部屋に入ったのを確認して、2階におりベランダに干した洗濯物を取る。


「夕ご飯どうするか、だな。明日はパァッと宅配にするが、、、、」


 料理を出来ないとは自認はしているが一応、母・美咲(みさき)に指導はされている自負はある。白米炊ける、お味噌汁は作れる、卵焼きは焼ける。


 他は、、、、まぁ、うん。


 優姫の料理に勝てる気はないし勝つ気もないが、優姫の場合は自分が作った料理であれば死ぬ程喜ぶのが目に見えている。


 今の時代はレシピがSNSで投稿されている。

 それを見ればある程度手順通りに作れば、完成するのではないか、美琴はそう思いながら、取り出した洗濯物を畳む。


「あと、掃除もしないとだな」


 1日にやる家事の量を分担したとは言え名前のない家事と言うのは多い。

 ゴミ出しで言えば「ゴミ袋をセットする」、「ゴミ箱に入ったゴミをゴミ袋に入れる」、「満杯になったゴミ袋をまとめる」、「まとめたゴミ袋を玄関に置く」、どれも家事の一部だ。

 片付けだってそうだろう。元にあった場所に戻す、それも名のなき家事。


 そう考えると、専業主婦の方は勿論共働きでも家事をしている人は凄いと思ってしまう。


 家事をするのは女性が当たり前なんて言う人が居るが、手を足があるなら分担って選択肢を作る脳もないのかと、美琴はふと思う。


 美琴からすれば生まれた時から家事の殆どを使用人がしている環境の中で、ある程度の年齢になって家事の大変さを教えてくれた美咲と使用人には今更ながら感謝の気持ちがある。

 それを平然と美琴が気付かなければ毎日同じクォリティで家事をする可能性すらあった優姫は本当に女神なのかもしれない。














「!美味しいです」


「それは良かった」


 SNSで流れて来た唐揚げのレシピが美味しそうで急いで作ったが、優姫の舌がお気に召したのか美味しそうに頬を膨らませて頬張っている姿を味噌汁を片手に見つめる。


 副菜とサラダは優姫の作り置きのおかげで、おかずしか作らなくても良くなったが本当に助かっている。


 改めて思うが味噌汁と卵焼きが作れる様に教育されたのは感謝しなければならないな。昔はこんな事覚えても結婚しないし、と思っていたがこう言う時の為に役に立つって言う事だったとは。


「明日は食パンもあるし朝ご飯は洋食でも良いか?」


「はい、勿論です。ジャムも買っておいて良かったです。、、、、私、祖母に憧れがあったんです」


「憧れ?」


「はい、家事の全部を完璧に行ってる姿が私は本当に素敵だと、思って私もそんな女性になりたいと思ってたんです」


 昔の事を思い出している顔を見て嬉しそうなそれでいて本当に憧れているんだと言う顔を優姫がしていて、それであんな風に家事をする根、原点が優姫の祖母・薫子(かおるこ)と言う事だったか。


 美琴はそれを聞くと今の自分の性格や考え方の半分は両親からの教育の部分もあるだろうと、分かる。

 優姫は勿論美琴や人は周りの人々からの影響で性格が作られると言われるのが分かる。


「だから家事を1人でやろうと同棲初日も次の日もやってた?」


「ぅ、、、、はい」


 図星だったのか、優姫の箸を持つ手が止まる。


 祖母がやっていたから自分もやる、実に優姫の性格らしいな、と思うが薫子は多分だが周りをちゃんと頼っていると思う。

 ヴィクトルや商人がしっかりと薫子を手伝ったり支えたりしてきたと思っている。


 だが、優姫の性格を考えれば幼少期に家事の殆どを薫子がやっていたって言う勘違いを起こしても当然かもしれない。


「夫婦の在り方はその夫婦ごとに色々ある。だが、俺はそんな夫婦よりも分担して支え合うのが、俺の理想の夫婦像ではあるが、優姫は賛成出来ないか?」


「!、違います。美琴君が分担の話を出してくれた時本当に嬉しかったんです。だけど無意識にやってしまって、、、、美琴君の考えは私も賛同出来ますし、だから我儘と甘える事をちゃんと意識します!」


「、、、、よろしい」


 優姫の心からちゃんと宣言した顔をして少し安心して、コタツで優姫の足先が、自分の足先に触れて違う温もりが伝わる。

 こう言う素直な部分が優姫の良い所で、何故か癒される。


 だが直接に我儘と甘える事をする、と言われるのは流石の美琴でもその優姫の顔の可愛さに耐えられない。

 我儘を言われても甘えられても、照れたり可愛いとは思うが、それとは違う可愛さがあって、耳が熱くなるのが分かる。


 優姫が美琴の存在で考え方が変わったとあるならば、美琴も優姫の存在で考え方が変わっている。


 それは美琴にとってあり得ない話で、美琴にとって優姫は特別な存在になっていたのだ。































追記:7.000PVありがとうございます!

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