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天使な婚約者は俺にだけ愛が重過ぎる (旧案:天使な婚約者は俺にだけデレデレです)  作者: 橋本衣兎
第1章

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天使な婚約者からのチョコレート



「ただいま〜、、、、ん、この匂いは」


「ぁ、美琴(みこと)君お帰りなさい!」


 家に帰り玄関を閉めると、チョコレートとの匂いが玄関にまで届いて居るのに気付く。

 パタパタと言う可愛らしい足音をさせながら、エプロンを付けキッチンから現れる優姫(ゆき)の手には包丁があり一瞬ビクッとなった。

 

 だが、それよりもチョコレートの匂いに意識が向いて居るし気になって居る。

 大のチョコレート好きとしては見逃せない案件でもある。


 であるが、難しいお年頃代表の美琴が素直にチョコレートか?と聞ける程簡単な性格ではない事は本人が1番何故かそこだけは理解していた。


「何か作っていたのか?」


「はい、言葉で言うより見て貰った方が良いので、リビングに来て下さい」


「、、あぁ」


 質問されたのが嬉しかったのか、柔らかい表情をしながら早く来て欲しそうに即してくる優姫を見て少し笑いが溢れかけるのを我慢して靴を脱ぎスリッパに履き替え、リビングへと向かう。


 リビング扉を通った先に見えた光景に言葉を失い、とうとう天使以外の幻覚が見える様になったかと思う。


 美琴の目の間に広がるリビングテーブルに、チョコレートを使ったケーキと言うケーキが全て並んでいる。

 ホールケーキ目視でも10個ほどはある。

 何故かチョコフォンデュをする機械まであり、美琴は自分の目がとうとう故障したかと疑いかけたが、隣でどうですか?と言う様な表情を向けてくる優姫を見ると、変な事は言えない気持ちになる。


「凄いな。チョコレートケーキ尽くしだな」


「美琴君がチョコレートの中でもチョコレートケーキが好きだと聞いましたので。作ってみました」


「だから、全部作ったのか?」


「はい、昨日のうちに準備はしていて生地の準備も万全だったので帰って全ての工程を終わらせた所です」


「へぇ、、、、美味そう」


 褒められたのが余程嬉しかったのか横顔だけでも嬉しそうにして居るのが分かるしいつも以上に褒められた事で自信満々になっている優姫を見てちょっと可愛いと思ってしまった。

 こう言う顔には何故か弱い。うなじが熱く感じるのは照れているのか分からない。

 そもそも一緒に暮らして居るのにそこまでやって居ることに一切気づかない自分自身の鈍感さの方に程々呆れてしまっている。


「ありがとうございます。まだ何個かあるので来週までチョコレート尽くしの食後のスイーツになりますね」


「優姫???」


「26種類のチョコレートケーキを作る予定なので楽しみにして下さい」


「優姫、、、、!!?!?」


 最高かそれとも最悪か分からない宣言を優姫からされた。


 優姫の決定事項に逆らえば何が起きるか分からない、怒りか悲しみはどちらにせよ体感したくはないので辞めよう。

 機嫌の良い優姫の笑顔は可愛いし。


 とりあえず、暫くはチョコレートに困らない生活が送れることだけは確かだと分かる。

 そして言おう、来年はもう少し量を減らして貰おうと前持って言おうと美琴は心の中で深く決意をした。


(まずどれを食べるか、だけどな、、、、ん?チョコの匂い?)


 どれから食べようかなんて頭の中で考えていると鼻先にチョコレートの匂いが漂ってくる。

 ケーキの方から匂うチョコの匂いではなく芳香剤と混ざった甘く少し爽やかな匂いが鼻腔をくすぐった。その匂いの元は、隣に立つ優姫からするとすぐに分かった。


 あれ程の量のチョコレートを使っていたらチョコの匂いがするのは当たり前か。

 学校内だと他の生徒のチョコの匂いで分からなかったんだな。


 スンスンっと、優姫の首辺りに顔を近づけ匂いを嗅ぐ。甘いチョコの匂いが美味しそうで何でか落ち着く。だが、白く綺麗な首元がジワジワと赤くなっていくのを見て、優姫の顔を覗き込むと信じられないほど真っ赤な顔へとなっていった。

 白玉みたいな肌林檎みたく綺麗な真っ赤になっていて、照れたんだとすぐに分かる。


「、、、、み、美琴君、きゅ、急にイケメン行動しないで下さい」


「いや、そう言われても、、、、と言うかこれイケメン行動か?」


 急にそっちもキスしただろう、と口に出そうになったが結果を考えると辞めようと他の事を言葉にする。


 こうやって優姫が一喜一憂して、色んな顔を自分にだけ見せて、チョコを作ってくれたと考えるとそれだけで嬉しくて、優姫のそばにずっと居たいと思ってしまう。


 1人では食べ切れない量なので優姫と一緒に食べようと言えば嬉しそうな顔をするがまさか1人で食べさせようとしたんじゃないかと、思ったが言わない方が良いなと分かる。


 それから手を洗い椅子に座り、優姫が最初に切り取ったザッハトルテをフォークで一口大に切り取り口に運ぶ。フワッとチョコの甘さと生地の柔らかさが口の中で広がり頬の筋力が緩む。


「、、、、美味い」


「!良かったです。昔作った事があったのですが、美味しくて良かったです」


「スイーツまで作れて料理も出来て、優姫は天才だな。そんな優姫と婚約出来て俺は幸せ者だ」


「ッ、、、、美琴君はズルい、です」


「何処が?」


 多分いらん事を言ったのか、照れる様な事を言ったのだろうが、自覚はしてないし良くは分からないが可愛い顔をしているし喜んでいるみたいなので、とりあえず良いって事にしよう。


 美琴が美味しそうに食べれば優姫も反動するかの様に美味しそうに笑顔で食べている姿をしており、リビング中がチョコレートの甘い匂いで優しいく穏やかな雰囲気に包まれている。

 バレンタインの良い思い出となったと美琴は思いながら、優姫の実質初めてのバレンタインでのある意味奇跡な展開は今後忘れる事はないだろう。


 だが1つ気になる。

 チョコレート好きとしては明らかに分かる高級なチョコを使用している。この総合の値段が非常に気になる。


「、、、、因みに材料費って」


「、、、、、、、、経費です」


「経費って桜木(さくらぎ)家か、桜木家なのか?」


「ちゃんと許可は貰いました」


 プイッと美琴の質問に顔を背けて、誤魔化す優姫を見逃さないが、許可は貰ったと言う斜め上の方向の答えに思わず美琴は笑いかける。

 話を変えたいのか、優姫はザッハトルテを口に含んでほっぺが餅みたく膨らんでて、ほっぺに人差し指を突っつけたい気持ちが美琴の中で湧く。


 だが、優姫に気持ちを答える為にも全部食べる気はあるし嬉しいが、材料費と優姫の想いプラスだとホワイトデーに何をお返しすれば良いのかが本当に分からなくなる。


 とりあえず、金は使おう。


 母・美咲に金を要求しようと美琴は心の中で決めた。




























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